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何清漣★バイデン式「国運をかけた大博打」 2021年4月3日

 バイデンが米大統領に就任してから3カ月も経たないうちに、この40年以上も政治の世界に身を置き、常に穏健派としてだったベテラン政治家は、今や革命的な理想を膨らませています。

 ジェンダーの多様性、マリファナ合法化、グリーンエネルギープログラム、非移民への国の開放、黒人賠償プログラムなど、世界を変えた民主党の長年の夢を実現するために彼が出した60近い大統領令は言うまでもありませんが、つい最近には、3つの超巨大な経済刺激策を打ち出し、その総額は6兆ドルを超えます。

 巨額のお金をばらまいて経済を活性化させようとする政権の狂いっぷりは、毛沢東「大躍進」に匹敵するもので、2009年に5兆元をばらまいた北京でも気恥ずかしくなるようなものです。

 バイデンは、自分の計画は米国にとって百年に一度の機会を提供するものであり、3つの段階的なプログラムが含まれていると述べています。

 1.9兆ドルの「米国救済計画」(American Rescue Plan)では、多くの海外援助を含む資金のほとんどが民主党の州に流れます。また、発表されたばかりの8年間で2.3兆米ドルのインフラ計画では、道路や橋の修復、ブロードバンドアクセスの拡大、研究開発費の増加が中心となっています。

 ブロードバンド・インターネットアクセスの拡大、研究開発への資金提供の増加、道路、橋、高速道路、港湾などのインフラの再建に6,210億ドルを投じるほか、電気自動車市場に1,740億ドルを投じ、2030年までに全国的な充電ネットワークを構築することなどが含まれます。

それに加えて、バイデンは4月に、さらに2兆ドルの景気刺激策を追加する別の経済提案を発表する予定です。そのお金はどこから出てくるのでしょうか? 法人税を現在の21%から28%に引き上げ、巨額の政府支出を賄うというのがバイデン氏の方法です。

 民主党は、世界中の左派政権と同じように、お金を使い、ケーキを分け合うという神様のような快感を味わうために権力を握っているのです。しかし、そのお金がどこから来るのかについては決して考えようとしません。考えても、その方法は増税、増札、借金増の3つしかないのです。

 進歩的な民主党議員は、これらの計画に大興奮しています。AOCがバイデンの刺激策を高く評価し、「もっとお金を使って、もっとやれ」と言っています。共和党は不満で、上院院内総務ミッチ・マコーネル議員を含めて反対です。

 2020年の選挙日の1週間前に名乗りを上げたNPOの「プロテクト・デモクラシー」とともにバイデン支持を発表するように求めた米国商工会議所(U.S. Chamber of Commerce)やバイデンのキャンペーンを全面的に支援してきた多国籍企業は、大いに不安になって強力なロビイングを展開しようとしています。


 これまでバイデンと民主党をずっと支持してきたワシントン・ポスト紙は4月1日に「Democrats, Republicans and Businesses Fight Over Biden's Proposed Tax Hikes」を、ブルームバーグは3月31日に「Biden's Infrastructure Plan Squeezed by Congressional Parties」を掲載し、増税に反対するさまざまな声を紹介しています。

 ★国債発行と紙幣増刷の二刀流

 新型コロナウイルスの大流行で、世界各国は例外なしに紙幣増刷、国債発行で難関を乗り切ろうとしていますが、米国は狂ったように3兆ドルの紙幣を増刷しました。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が発表したデータによると、ドルだけで約11兆ドル増加、これはこの1年に米国が印刷したドル紙幣は米ドル総量の34%にもなるといいます。

 その上、バイデンは、米国の歴史上かつてないほどの大規模な景気刺激策を打ち出し、総額6.2兆円(1.9兆円+2.3兆円+2兆円の3つのプログラムを順番に)、最終的には紙幣増刷、国債による解決に頼るほかなく、ドルの切り下げをを考えないではいられません。

 狂ったような紙幣増刷にはリスクつきものです。ですから、米国政府は国債の発行も考えなければなりません。 いわゆる国債とは、連邦政府に代わって米国財務省が発行する国家公債です。 米国財務省のデータによると、米国の公的債務のうち約3分の1は外国政府が保有しており、残りは投資家、州・地方政府、米国投資信託、連邦準備制度などが保有しています。

 ★米国債の魅力の低下

 2021年3月1日、米国国債の規模は28兆ドルを超えて、GDPより30%も高く、平均的な家庭では約28万ドル、一人当たりでは約8.5万ドルの負担となります。ニューヨーク在住者は、マンハッタンの6番街にで「我々の借金」と書かれた巨大なデジタル時計を見れば、米国の国家債務の最新の大きさをすぐに知ることができます。

 すでに一部の専門家は、バイデンの4年間の任期終了時には、オバマ大統領の5兆ドルを上回る、少なくとも7兆ドルの新たな国家負債が発生すると見積もっています。

 米国債の魅力は薄れ始めています。

 2021年2月16日に発表された米国財務省の報告書によると、世界の中央銀行は過去33カ月のうち25カ月で約1兆ドルの米国債を大幅に売却しており、世界の中央銀行による米国債売却の記録的な水準となっています。

 その一方で、日本、ドイツ、インド、ロシア、英国、フランス、カナダなど29の米国債保有国が、程度の差こそあれ、保有額を減らしています。中でもロシアは最も保有額を減らしており、手にしている米国債の90%以上を手放しています。

 旧国債は売られ、新国債は積極的に求められず、今回の10年と2年の合計1000億ドルの米国債入札では、市場の関心は低いものでした。イエレン米財務長官は2月23日に「市場では100年債(訳注;満期が百年の超長期国債)発行への関心は低いが、発行を再検討する可能性は否定できない」と発言。さらに、債務の指標を変えて、債務残高の対GDP比ではなく、一国の債務利払いの比率で測ったほうがいいのではないかと提案しました。

 米国の10年債利回りは、歴史的にグローバル・リスク資産の購入比較要因となっており、「グローバル化によるリスクは極めて低い」という考え方を積極的に支持している人でも、米国債利回りの偏った高さを最大のリスクと認識しています。

 残念ながら、米国の10年債利回りはここ数カ月上昇を続けており(FRBの実質的な利上げに等しい)、3月下旬には1.7%に近づいています。 米国の資産評価会社の多くが10年債利回りの基準値を1.5%としているのに対し、シティは1.7%、JPモルガン・チェースは2%と高めに設定しています。

 ★外国人の買い手がいなくなり、米国債は国内循環に

 次のデータは、海外の買い手にとって米国債の魅力が低下していることを示しています。

  現在、FRBのバランスシート上の資産総額は7兆3400億ドルに達しているが、2020年12月16日当時、FRBが保有していた米国債(企業債、MBSなどを除く)は4兆6600億ドルであり、海外の主要な公的保有者の保有数の合計よりも多くの米国債をすでに保有していることになります。

 この数字は、米国債がこれまでのように世界中で購入されて、米国内のインフレ圧力を分散化させているのではなく、「循環・内在化」され、米国内でインフレ圧力が広がっていることを示唆しています。

 米国財務省の内部リサイクル・内部化の傾向が強まっているという現実は、「米国金融市場の立場の弱体化」が強まり、「ドルの覇権はいつまで続くのか」という疑問を必然的に生じさせるでしょう。

 民主党の進歩派は、毛沢東が「大躍進」を打ち出した精神を持っています。「人に大きな胆力があれば,その分だけ土地の生産高も大きくなる。ためらわず金を使え」(訳注:1958年「大躍進」のスローガン)で、議会は万能で議案さえとうせば、お金はどんどん湧いてくる、というわけです。

  バイデンにこの投資の最大6.2兆ドルの合計は、ナンシー・ペロシ(米国下院議長、民主党)らが、今、どう段取りをつけるか考え、プロジェクトを別々に分けて、批准していこうかとしています。ただイエレン財務長官はどうやってお金を作るか悩んでいます。

 米国債の「内部循環・内部化」の流れが拡大する中で、いかに外部の買い手に納得して買ってもらうかが最重要課題となっています。もし、外部の買い手がいなければ、インフレやドルの切り下げに対応しなければなりません。

 要するに、バイデンのビジョンは野心的であり、民主党の進歩派はお金を使いたいという気持ちが非常に強いのです。しかし、「100年に一度」と主張するバイデン氏の偉大な夢を邪魔しているのは共和党だと考えるのは全くの間違いです。

  バイデンの夢を阻む「障害」は、共和党でもなく、かつては彼を支持したが今は増税に反対している財界人でもなく、「お金」です。

 言うまでもなく、米国には他に類を見ないほどの多額の負債があり、その負債を抱えた状態で、このような超大規模な経済刺激策のパッケージを実施することは、国運を賭けた大博打なのです。(終わり)

何清涟:拜登美式大跃进有个“拦路虎”
2021-04-03
拜登上任不到三个月,这位从政四十余年、一向以温和形象出现的老牌政客,如今的革命理想十分膨胀。且不谈他颁发近60道总统令实现民主党多年梦想的性别多元化、大麻合法化、绿色能源计划、打开国门迎非移、黑人赔偿计划这些改天换地的社会工程,仅最近陆续推出三项超级庞大的经济刺激计划,就共逾6万亿。这一政府通过大撒币对经济实行超强刺激,其狂想劲头堪比毛泽东跑步进入共产主义的大跃进,更让2009年撒币5万亿人民币的北京自愧弗如。

拜登称他的计划给美国带来了百年一遇的机会,包括三个分期推出的计划:1.9万亿美元的美国救援计划 (American Rescue Plan),钱大部分流向民主党各州、包括不少对外援助;一个是刚公布的2.3万亿美元的基础设施计划,长达8年,核心是修缮公路和桥梁、扩大宽带网络接入和增加研发资金,包括6210亿美元基建重建,如公路、桥梁、高速公路和港口,以及对电动车市场的1740亿美元投资、在2030年前建设全国充电网络。除此之外,拜登还将于4月发布另一项经济提案,使刺激总规模再增加2万亿美元。钱从哪里来?拜登的方法很直接:将企业税从现在的21%提高至28%,以负担巨额政府支出。

民主党与世界各国左派政府一样,掌权就是为了痛快花钱,享受分蛋糕那种上帝式快感,但从不想钱从何来——就算想,也就三条路:加税、印钞、举债。

加税计划让支持拜登的商界烦忧愤怒

据各媒体报道,拜登的计划中,企业税税率将由21%提高至28%、为期15年,并对跨国企业获利课征最低税率。

民主党的进步派议员为这个计划热血沸腾,AOC高度赞扬拜登的刺激经济计划,说希望拿出更多的钱,做得更多;共和党很不满,包括麦康奈尔在内表示反对;曾全力支持拜登竞选的跨国企业、包括在2020大选日之前一周主动找到捍卫民主联盟(Protect Democracy)要求一道发表支持拜登的美国商会(U.S. Chamber of Commerce)都坐立不安,准备开展强力游说。

一向力挺拜登与民主党的《华盛顿邮报》4月1日发表《民主党人、共和党人和企业为拜登提议的加税而战》,彭博社则于3月31日刊载《拜登的基础设施计划受到国会各方的挤压》,提到各种反对加税的声音。

印钞、发债双管齐下

2020年遭遇新冠疫情,世界各国无一例外地印钞、举债以渡难关,美联储疯狂印钞3万亿美元——根据美联储公布的数据估算,2020年美国货币增量约为11万亿美元,这一年美国印钞量就占美元总量的34%。现在,拜登要推出美国历史上从未有过的大规模刺激经济计划,共需6.2万亿(三个方案依次为1.9万亿+2.3万亿+2万亿),最后都只能依靠印钞、举债解决,美元想不贬值也难。

印钞疯狂有风险,所以美国政府还得想法子发行国债。所谓国债,就是美国财政部代表联邦政府发行的国家公债。根据美国财政部数据,美国国债中约三分之一的公共债务由外国政府持有,其余部分由投资者、州和地方政府、共同基金、美联储等持有。

美国国债的吸引力下降

截至2021年3月1日,美国国债规模超过28万亿美元,高出GDP约30%,平均每个家庭将负担约28万美元,每人将负担约8.5万美元。住在纽约的读者了解美国国债的即期变化有优势,只要去纽约曼哈顿的第六大道看那块标有“Our National Debt”字样的巨大数字时钟,就可知道美国国债的最新规模。已经有专家估计,拜登四年任期结束,新增国债至少为7万亿,超过奥巴马的5万亿。

美债的吸引力开始退潮。据美国财政部2021年2月16日公布的报告,在过去33个月内,全球央行有25个月在大幅净抛售约1万亿美元的美债,这是全球央行抛美债的创纪录水平。与此同时,包括日本、德国、印度、俄罗斯、英国、法国、加拿大等29个美债持有者均不同程度地减持。其中俄罗斯为减持之最,已将手中超过90%的美国国债抛掉了。旧债在抛售,新债认领不积极,最新总额达1000亿美元的10年期和2年期美债拍卖已出现认购滞销趋势,美财长耶伦女士在2月23日称,尽管市场对百年期国债兴趣不大,但不排除重新考虑。她甚至还想改变债务衡量标准,提出用债务利息支付比衡量一国债务,可能比债务对GDP之比更好。

美国的十年期国债收益率历来是全球风险资产的定价锚,就算是那些认为全球化风险极低的积极拥护者,也将美国国债收益率偏高认定为全球化最大风险。不幸的是,近几个月来,美国十年期国债收益率持续上行(等于美联储变相加息),3月下旬已经逼近1.7%。而美国多数资产评估机构为十年期国债收益设置的临界点为1.5%,花旗略高,设为1.7%,而摩根大通则调整为2%。

外国购买者却步,美国国债已进入内循环

以下这组数据说明美债对外国购买者吸引力下降。当前美联储资产负债表上的资产总和已高达7.34万亿美元,但早在2020年12月16日,美联储持有的美债(除公司债、MBS等之外)为4.66万亿美元,这意味着,美联储持有的美债已超过海外主要官方持有人持有数量的总和——这一数据表明,美债已经进入“内循环与内债化”,而不是像以往那样,全球购买,分散了美国国内的通胀压力。美国国债内循环和内债化趋势日益加剧的现实,必将强化“美国金融市场地位不断弱化”的疑问,引发“美元霸权还能撑多久”的疑问。

民主党的进步派都有毛泽东当年发动“大跃进”的气概:人有多大胆,地有多大产,从来花钱不手软,总以为国会是万能的,通过一个议案、批准一个计划,钱就滚滚而来。对拜登这总额高达6.2万亿美元的投资,南希‧佩洛西等人正在考虑如何在程序上想办法,将项目拆分包装,分项批准,独独没想到耶伦财长筹钱的烦恼:在美债不断扩大的“内循环和内债化”趋势下,如何说服外部买家入场购买是当务之急。如果外部买家不会大规模入场,那就得想法应付通货膨胀与美元贬值。

总之,拜登的理想很宏大,民主党进步派想花钱的愿望更是非常强烈。但他们认为阻碍拜登实现其自称“百年一遇”的伟大梦想的是共和党,却完全错了。拜登实现梦想的“拦路虎”不是共和党,也不是那些曾经支持过他但现在反对加税的商界人士,而是钱,是美国那无与伦比的高大债台,更何况,在美国债台高筑的情况下,这种超大规模的经济刺激计划是一场国运的豪赌。


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