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何清漣★米軍撤退後のアフガンの受け皿は誰? 2021/08/24


 米軍がアフガニスタンから撤退した以上、短期間に再登場はありえません。周辺4カ国と米国など西側諸国がまるまる20数年以上翻弄されてきたこの国に世界は向き合わねばなりません。

 まず最初の問題はタリバン政権を承認するかどうかです。次に、誰が「受け皿の後継者」(主に経済的な支持者)になるかです。

 この地の経済構造は千年も前から変わっていないのに、この20年間で人口は倍増しました。米軍が進駐した2001年のアフガニスタンの人口は2,161万人だったのが、2020年には3,892万8千人と言われます。

 現地の資源ではこの膨大な人口を支えるすべはありません。すべてドルの灌水によって増えたのです。アメリカをはじめとする欧米諸国が100万人の難民を受け入れたとしても、国の人口圧力は依然として存在します。

 ★「最初にタリバン政権を承認する大国」は?

 目下の情勢を見るに、国際社会は最後にはタリバン政権を承認し、国連がタリバン統治下のアフガニスタンを加盟国として受け入れることは疑いないようです。残る懸念は、大国のなかで誰が最初にタリバン政権国家を承認するかです。

 全世界が、さっさと「第一承認国」の重責を中国に期待しており、中国政府もその期待に応える動きをしています。

 8月16日、中国外交部の華春瑩報道官は、「アフガニスタンの状況は大きく変化しており、中国はアフガニスタン国民の意思と選択を尊重する」と述べました。

 19日、タリバンのスポークスマンであるシャヒンは、中国共産党の公式メディアである環球電子網(CGTN)との独占インタビューで、「タリバンは中国と良好な関係を築いており、中国が将来的にアフガニスタンの建設に貢献することを望んでいる」と語りました。

 また、先に中国の王毅外相と会談したタリバン幹部は「アフガニスタンの領土を使って中国に仇なす勢力は許されない」と言明しました。

 こうした阿吽の呼吸の舞台劇は、中国が「最初に受け皿になる」ことを買って出るようにも思えます。

 しかし、フランス政府は、中国だけにいい格好をさせないよ、とばかりに、8月18日、ジャン=イヴ・ル・ドリアン外相は、タリバン政権を国際的に承認するための5つの前提条件を順に示しました。

 第1に、タリバンが恐怖から国外に出ようとするアフガニスタン人にそれを許可すること。第2にアフガニスタン国内にテロの聖域をなくすように、はっきりと具体的に行動すること。第3に、人道的援助がアフガニスタン領内に到達することを許可すること。 4つ目は、権利、特に女性の権利尊重を実践すること。最後にタリバンは、暫定政府を樹立しなければなりません。

 この5条件は、タリバンがちょっとその気になれば軽々と果たせるものです。

 まず、外国ビザを持つアフガニスタン人は続々と国外脱出しており、中には妨害されている人もいるが、極めて少数です。

 二つ目は、タリバンはこれまで自分たちがテロ分子だと認めたことはありませんし、テロ分子を擁護したということも認めません。

 三つ目は、まさにいまタリバンが必要としていることで、これはまるでタリバンが居眠りしようとしたら、枕を差し出された、みたいな話です。

 四つ目は、8月18日の最初の公式声明で、タリバンは平和のために活動し、イスラム教の枠組みの中で女性の権利を尊重することを約束した(結果的に世界ははイスラム教を尊重することになります)こと。五番目は今やっています。

 となると、唯一気になるのは、中国とフランスのどちらが「第一承認国」になるかです。勿論、国際世論の批判のマトにならないよう、同時承認もありえます。そして、両国のどちらかが率先垂範すれば、大多数の国々も後に続くでしょう。

 英国の「Daily Express」サイトに掲載された最新ニュースによると、米国の政治リスクアナリスト、アンダース・コアー氏は、タリバンの勝利は間近で、英国や米国をはじめとする西側諸国は敵と交渉するしかないかもしれないと述べています。

 そして世界のリーダーの一人でも、タリバンをアフガニスタンの正当な指導者と認めれば各国ドミノ的に続くだろうと。

 ★アフガンの現在の資源では4千万人国民を養えない

 2001年にタリバン政権が崩壊した後、アフガニスタンの経済は大きく改善しました。これは主に、20億ドル以上の国際援助によって農業生産が回復し、市場メカニズムが再構築されたことによるものです。

 アフガニスタンの経済構造は数千年前からほとんど変わっておらず、農業と畜産が国民経済の主役であり、人口の7割近くを占め、耕作地面積は国全体の1割にも満たないのです。

 違法経済の中でもアヘンは第一の柱であり、アフガニスタンは世界最大のアヘン生産国です。国連の推計によると、2017年のピーク時には、アヘン農家への売上だけで14億ドルに達し、その年のGDPの7%に相当します。

 しかし、一つだけ指摘しておかなければならないことがある。米国がアフガニスタンに投入した総額は2.2兆ドルにものぼります。

 このような巨額の資金投入は、当然ながらアフガニスタンの生活にも上からの波及効果をもたらしており、その一つが、アフガニスタンの人口が20年間で約2倍になったことです。

 現在では、アフガニスタンの伝統的な経済とアヘンでは、約4,000万人近い人口を養うことは困難なのです。

 米軍撤退後のアフガニスタンは、財源が断たれ、経済が行き詰まります。ですから、世界は暗黙のうちに、中国に「受け皿の後継者」になってほしいと期待するのです。

 中国は今、意気盛んに語っていますが、タリバンとの協力は以前から行ってきましたし、今後も密接に協力するでしょう。

 しかし、これは米国のような無条件の「受け皿」とは大きな違いがあります。

 と言うのは、中国の中東政策の基本は、「経済協力の強化」なのです。というのは中国のエネルギー輸入のトップは中東地域からであり、中東地域でのいつまでも続く衝突は、中国の利益に損害を与えかねません。

 しかし、中国はそれに対して一定の「不感症、無条件投資」の外交方針を取らねばなりません。要は、紛争のどちら側とも良い関係を結ばねばならないのです。

 外務省の趙立堅報道官は18日、タリバンに関する記者の質問に答えて、中国はタリバンとアフガニスタンの各派閥が「対話と協議を通じて開かれた包括的な体制を確立し、穏健で安定した内外の政策を実施し、アフガニスタンにある外国の機関や人員の安全を効果的に守ることを期待する」と述べました。

 そして『東トルキスタンの分離独立を主張するイスラム運動』を含むあらゆる種類のテロ勢力と断固として戦い、安全を脅かすためにアフガニスタンの領土を使用することをいかなる勢力にも許さないという約束を効果的に果たす」ことを期待していると言いました。

 趙立堅は中国のカードを晒しました。中国とタリバン間の協力の重点はこれです。中国はアフガニスタンに大きな経済的利益を持っているわけではありません。

 アフガニスタンの地理的な位置は、パキスタンや他の中央アジア諸国を結ぶ交通のハブになることが期待されているが、不安定な政治状況がその利点を帳消しにしています。

 北京は常にアフガニスタンを安全保障上のリスクと見なしており、アフガニスタンのワハーン回廊(ワハーン渓谷)と中国の新疆を結ぶ道路をめぐっては対立もあるのです。

 中国の中央アジア地域全体における利益は、アフガニスタンにおける経済的利益よりも重要です。

 タリバンは確かに、「中国に危害を加えるためにアフガニスタンの領土を使用するいかなる勢力も許さない」と言いますが、中央アジアでの長年の外交経験を持つ中国は、こうした「友好的協力国」の約束が金の力でしかないことを知っています。

 中国の強硬な同盟国として知られ、中国から「鉄の盟友」と呼ばれているパキスタンは、長年にわたりテロ対策で中国に協力してきたが、実際には援助目当てに「わざと敵を殲滅しないでほっておいた」のでした。

 パキスタンの「経済発展」のためのさまざまな方策の1つは、長年にわたって外国からの援助を求めること。2001年、アメリカはテロ対策のために200億ドルの援助を行い、2010年から2014年にかけて、さらに75億ドルの援助を行いました。

 この間、アフガン国境付近のイスラム勢力に対する米国のミサイル攻撃がパキスタンで繰り返されたことで、米国とパキスタンの関係は緊張。

  2011年には、アメリカの特殊部隊がオサマ・ビンラディンを殺害した後、両国はほとんど敵対関係になっていました。このような状況の中で、パキスタンは「対外援助」の重要な提供者として中国に目を向けたのです。

 タリバンはこのやりかたをパキスタンからしっかり学んでおり、20年以上前にタリバン政権ができたときも、こうした約束を取り付けていました。

 タリバンとの交渉では、北京はかなりの時間、タリバン側の唯一の交渉相手という優位性を持っています。

 しかし、北京は、アフガニスタンが「帝国の墓場」であることをしっかり知っています。

 遠い昔の話はさておいても、第二次世界大戦以降の歴史でも、英国、旧ソ連、米国など、「墓場」に沈んだ大国よりも、自分たちは賢い、と考えるほど中国当局はうぬぼれではいないでしょう。

 ですから、私は中国は「東トルキスタン・イスラム運動」との関係で、タリバンと「友好協力」することはあっても、自分からこの「帝国の墓場」に両足を突っ込むようなことはしないと思います。(終わり)


评论 | 何清涟:美国撤退后,谁当阿富汗的接盘侠?

2021-08-24

美军既已撤出阿富汗,短时间内自然不会再去。这个将周边四邻与美国等西方国家折腾了整整20多年的国家,世界得面对,而面对就得考虑两个问题:首要问题当属是否承认塔利班政权,其次则是谁来接盘充当接盘侠(主要经济支持者)。该地经济结构千年不变,近20年间人口增长约一倍:美军进入的2001年,阿富汗人口为2161万,2020年人口为3892.8万人。当地资源无法支撑如此庞大的人口,全赖美元浇灌。美国等西方国家踊跃接收难民就算达到100万之数,该国人口压力依然存在。

唯一的悬念:大国当中谁会最先承认塔利班政权?

按目前态势,国际社会最后承认塔利班政权似乎不成问题,联合国接纳塔利班治下的阿富汗作为成员国也没有疑义。剩下的唯一悬念就是,大国当中谁是首个承认塔利班政权的国家?

全世界齐刷刷地将“首承国”的重任放在中国身上,中国政府的表现也很符合世界期望。8月16日,中国外交部发言人华春莹已表示,“阿富汗局势发生重大变化,中方尊重阿人民的意愿和选择”;19日,塔利班发言人沙欣接受中共官媒环球电视网(CGTN)专访时,称塔利班与中国关系很好,未来希望中国能对建设阿富汗做出贡献。此前与中国外长王毅会见时,塔利班负责人声称,决不允许任何势力利用阿领土做危害中国的事情。这种配合默契的舞台剧似乎表明,中国将当仁不让地做“首承国”。

但法国政府却不容中国独自掠美。8月18日,法国外交部长让-伊夫-勒德里昂为塔利班政权获得国际承认设定5个先决条件,依次是:第一,塔利班允许那些因为害怕而想离开这个国家的阿富汗人离开;第二,塔利班必须非常具体地确保恐怖主义不会在阿富汗找到庇护所;第三,塔利班必须允许人道主义援助抵达阿富汗领土;第四,塔利班需要尊重权利,尤其是妇女的权利。塔利班宣布他们会尊重人权,那他们就必须去践行;第五,塔利班必须组建一个过渡政府。

这五个条件对于塔利班来说,是轻轻一抬腿就能跨过的标杆:一、目前拿到外国签证的阿富汗人正陆续离开,其中有一些受阻挠的,但远远少于离开的人数;二、塔利班从来就没承认过自己是恐怖主义,当然也不会为恐怖主义找庇护所;三、塔利班此时正需要各种人道主义援助,法国提出这点,好比塔利班想打瞌睡,马上就有人送上枕头;四、塔利班8月18日发表首次公开声明时,承诺致力和平并在伊斯兰教允许的框架内尊重妇女权利(事实表明,世界都很尊重伊斯兰教);五、塔利班正在组建政府。

鉴于此,唯一的悬念就是中、法两国谁成为“首承之国”? -- 当然,各国也可以外交沟通,同时承认,以免成为国际舆论的标靶。只要两国有一国率先垂范,绝大多数国家会跟进。据英国《每日快报》网站近日消息,美国政治风险分析师安德斯·科尔(Anders Corr)表示,塔利班的胜利可能指日可待,英国、美国和其他西方国家可能别无选择,只能与他们的敌人谈判。科尔还预测,一旦有一两位全球领导人承认塔利班是阿富汗的合法领导者,多米诺骨牌效应将在各国之间形成。

阿富汗现有资源难以养活4000万人口

2001年,塔利班政权倒台之后,阿富汗的经济得到了重大改善。这主要是由于超过20亿美元的国际援助,让其农业生产日渐恢复,市场机制亦得以重新建立。阿富汗的经济结构几乎是千年不变,农牧业是阿富汗国民经济的主要支柱,农牧业人口占全国总人口的近7成,耕地不到全国土地总面积的10%。在非法经济中,鸦片是头号支柱,阿富汗是全球最大鸦片生产国。联合国估算,2017年高峰时期,仅鸦片种植户的销售就达到14亿美元,相当于当年GDP的7%。

但有一条必须指出:美军进入阿富汗总共花了2.2万亿美元,这么巨额的资金投入当然会对阿富汗的民生产生涓滴效应,其中之一就是阿富汗人口在20年间将近增长一倍。如今的阿富汗,依靠传统经济与鸦片很难养活将近4000万人口。

美军撤离阿富汗之后,财路断绝,阿富汗将出现经济困顿之局。于是,世界不约而同地想到中国将会充当“接盘侠”。

中国如今这么高调,与塔利班的合作事实上也早就开始,今后也将紧密合作。不过,这与美国这种无条件的接盘侠有很大不同。因为中国的中东政策基本调门是:加强经济合作。因为中国的能源进口第一大来源就是中东地区,该地区持续不断的冲突可能会损害中国的利益。但中国一定要保持“不干涉、无附带条件投资”的对外政策,包括不介入冲突、不干涉他国内政,要点是与冲突双方都保持良好关系。

外交部发言人赵立坚在8月18日回答记者就有关塔利班的提问时表示,中方期待塔利班与阿富汗国内各派“通过对话协商建立开放包容的政权架构,实行温和稳健的内外政策,切实保护外国在阿富汗的机构和人员安全”;并表示,中国期待塔利班“坚决打击包括‘东伊运’在内的各类恐怖主义势力,切实履行不允许任何势力利用阿富汗领土威胁安全的承诺”。

赵立坚其实已经将牌摊在桌面上了,中国与塔利班之间的合作重中之重将在这点,并非中国在阿富汗有什么了不得的经济利益。尽管阿富汗的地理位置让其有成为巴基斯坦和其他中亚国家之间的交通枢纽之远景,但动荡的政治局势导致这优势荡然无存。北京一直将阿富汗视为安全风险,在连接阿富汗瓦罕走廊与中国新疆的道路问题上,中国和阿富汗也有分歧。相比在阿富汗的经济利益,中国在整个中亚地区的利益更加重要。

塔利班确实声称“决不允许任何势力利用阿领土做危害中国的事情”,但中国积多年在中亚地区的外交经验,知道这些友好伙伴的承诺完全是看在金钱的面子上。巴基斯坦号称中国的铁杆盟友,被中国称为“铁巴”,这些年与中国进行的反恐合作,其实是“养寇自重”。多年来,巴基斯坦“发展经济”的各种措施当中,其中一条就是争取外援。穷困地区的部落为基地组织提供活动基地,巴国政府则以支持“反恐”为名向外国要援助。2001年,美国为配合反恐,给其200亿美元援助;2010到2014年间,再给75亿美元援助。这一期间,因美国在巴基斯坦境内再三对阿富汗边境附近的伊斯兰武装力量发动导弹袭击,美巴关系进入紧张状态。至2011年,美国特种部队突袭击毙本拉登之后,两国几乎反目。在这种情况下,巴基斯坦转而将中国看作另一个重要的“外援”提供者。

塔利班早就学会巴基斯坦这种养寇自重的模式,二十多年前塔利班掌权时,也有过类似的承诺。

在与塔利班的谈判协商过程中,北京的优势是在一段不短的时间内,中方将成为塔利班政权唯一的重要经济来源。但北京也非常清楚,阿富汗号称“帝国的坟场”,远的不论,就以二战以来的历史观之,英国、前苏联、美国等多个大国在那里折戟沉沙,中国当局还未狂妄到以为自己比这些国家都高明。基于此,我判断,中国会因为反“东伊运“的关系,与塔利班“友好合作”,但决不会将自己的双足陷于这个“帝国的坟场”。


(文章只代表特约评论员个人的立场和观点)

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