何清漣★中国はスイスのどんな弱みを握ったのか? 2020年12月14日

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 最近、三つのニュースが全世界に対して、中国の「紅色浸透」に対する懸念を掻き立てました。一つは、中国とスイスが2015年に署名した「5年間の再入国協議」です、。中国の捜査官がスイスに入国して、中国の犯罪容疑者を尋問することができて、その費用はスイスの納税者が負担するというもの。

 他の二つは古い話が蒸し返されたもので、、今年9月に、オンラインんに195万人の中共党員の情報が含まれるデータが流出したこと。データ分析機関の「Internet 2.0」の協力を得て、「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)はこの資料を認証し、デイリー・メール紙を含む世界的なメディア4社にこのデータを渡しました。

 リストは79000以上の党支部に分かれており、中には企業や機関に属する例も多くあり、その後、メディアはこうした共産党員が英米に多数存在することを明らかにしました。

 この三つを合わせると、国際社会の中国に対する疑念は深まります。ここではスイスがなぜ中国にこのような奇妙な協定を結んだのかを分析しましょう。


 ★この協定の奇怪な点は

 この協定は秘密にされてきましたが、今年8月にスイスの新聞ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング(NZZ)にの記事によって明るみに出ました。それは、「中国当局者が、強制送還の準備ができているスイスにいる中国人を尋問できると規定している」です。

 アジアを対象とした人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、この協定の細かい点を明らかにし、スイスと他の国の協定との違いや、「中国政府が国外からの追放(つまり自国への強制送還)を望んでいる人々」にマイナスの影響を与えると指摘しています。

 スイスに入国した中国と関係のある反体制派は、主に新疆ウイグル自治区のチベット人とウイグル人、香港の一部の人たちです。ディフェンダーズの代表ピーター・ダーリン氏は、この密約内容が「スイスの評判を落とすことになる」とみています。

 ダーリン氏は、スイスに派遣された中国人の「専門家」とはただの入国管理局員などではなく「エージェント」であり、協定により、スイスでは監督なしに自由に動き回り、事情聴取や尋問を行うことができ、香港や台湾などの「中国からの亡命した反体制派」が中国に送還される可能性があると指摘しています。

 スイス移民省は、この協定は他の60カ国との協定と同様の標準的な「技術的な取り決め」であると主張し、協定についての機密性はないと断固として否定しました。他の協定のように発表はされていないが、いつでも要求があれば表示するし、スイスと中国のこの協定は、過去5年間に2016年に一度だけ使われたことがあることを明らかにしました。当時、2人の中国政府からの官僚がスイスに数日滞在し、13人の中国人を尋問したといいます。

 「政治犯」制度を持つ専制国家が、自国に入り込み、政治的反対派を自由に尋問できるなどということは、欧米諸国の中では初めて公開された事例であり、大変、グロテスクなものです。

 ★なぜスイスはこんな協定を結んだのか?

 スイスがこのようなグロテスクな協定を中国と結んだのは、ただ中国の経済に深刻に依存しているからです。一般的に言えば、スイスという小国の経済の柱は、主にスイス銀行が富の金庫となっているという特殊性があるからです。ですから、この種の経済依存は、中国のエリート権力階級がスイスに巨額の預金をしていることからきます。

中国のパワーエリートがスイスにどれだけのお金を預けているかは、もちろん秘密です。

 2019年8月3日、中国の公式エコノミストである賈康氏は、スイスの銀行が中国人100人のスイスの銀行への預金を7.8兆元とした報告書を発表した、と中国国内に投稿したことで、ネットで騒動となりました。

誰もが驚いたのは、内容の矛盾でした。賈康氏は、中国人民政治協商会議(CPPCC)全国委員会、同経済委員会の委員であり、中国国際経済交流センター、中国税務学会、中国都市財政学会、中国改革研究学会の常務理事として、その立場でこのような発言をしたのだから、普通の人がアクセスできない情報も見たはずです。

しかし、この数字によると、中国の億万長者100人以上がスイスの銀行に7.8兆元(1人あたり780億元)を預けていることになります。しかし、富豪番付のデータによると、上位100人を合わせた資産は7.8兆元以下なのです。しかも、そのほとんどが現金ではなく株式ですから、スイスの銀行に預金として預けておくことは不可能なのです。

 これより以前に、クレディ・スイス銀行が以前、「中国には1億ドルの富裕層が300人以上いて、その総資産は約7兆元に上る」と結論づけた報告書を発表しているからです。ですから、賈康氏の話は、でたらめな受け売り話である可能性があります。

 ましてや、富豪の財産を銀行の金庫にしまっておくのでは、中国の国家の利益にはなりませんから、スイスの中国への依存というのは、こうした金庫番的な業務の話ではありますまい。

 ★複雑なスイスと中国の関係

 私は2011年に「独裁者の富の金庫に亀裂」(《独裁者财富保险箱的裂缝》=未訳 https://yangl3.sg-host.com/2011/04/07/swiss-bank/ )と、1987年にスイスが米国などからの長年にわたる持続的な圧力を受けて、匿名口座の廃止を余儀なくされた話を書きました。スイスの富の金庫の安全性が独裁者の政治的安全性と結びついたのです。

 2011年1月に施行された「独裁者資産法」では、中東・北アフリカ4カ国の独裁者が政権を失った後、全財産を没収することが認められました。

 それ以来、スイスの銀行よりもはるかに信頼性と信用性が低い、世界中の数十のタックスヘイブンで突然ビジネスがブームになり、スイスの富裕層向け貸金庫ビジネスは大きな打撃を受けました。

 2016年4月、パナマ文書が明るみに出た後、世界中のタックスヘイブンやマネーロンダリングセンターも安全ではなくなり、米国EUによる取り締まりの対象になったため、発展途上国の権力者や富裕層は、他の場所に目を向けました。

 そして、米国、英国、高級住宅が、発展途上国のマネーロンダリング希望者たちの新しいお気に入りとななりました。ニューヨーク、サンフランシスコ、十数都市、英国ロンドン、オーストラリアのシドニー、カナダのバンクーバーや他の場所、高級住宅価格は過去2年間で急速に上昇し続けています。こうした国々の国民は住宅が投機の対象となるのにたまりかねて、次々に購入制限が始まっています。

 この間、スイスは指をくわえて見ていた訳ではありませんで、中国など発展途上国の多元的な経済関係を結び始めました。例えば、クレディ・スイス・ファウンダーは、この時期に中国事業を大幅に拡大させた。 2008年に設立され、北京に本社を置き、A株、外国株式、国債、社債のスポンサーシップ、引受、および関連するフィナンシャル・アドバイザリー・サービスなど、中国現地の顧客に資本市場サービスを提供しています。

 また、クレディ・スイスは資産運用の合弁会社「ICBCクレディ・スイス・ファンド・マネジメント・リミテッド」を設立しており、現在中国最大級の資産運用会社となっており、2019年12月末時点での運用資産総額は1兆3000億元近くに達しています。

 クレディ・スイスの中国との経済関係はどの程度深いのでしょうか? 米証券取引委員会の記録によると、米選挙に関与したドミニオン投票システムの親会社であるステイプルズ・ストリート・キャピタルIIIは、2020年10月8日にUBS証券CO LTDから4億ドルを受け取ったといわれています。そしてUBS証券(スイスのチューリヒとバーゼルに本社をおくUBSグループ)は中国政府が75%を所有しています。(この件に関する米国証券取引書のリンク

スイスと中国の複雑に絡み合った経済的依存関係を理解すれば、スイスが中国と特殊な協定を結んでいることに驚く必要はないでしょう。 欧米の人権機関もまた、中国の人権状況の改善を支援する上で、非常に複雑で困難な課題に直面しているのです。(終わり)

何清涟:中国抓住了瑞士什么痛点?
2020-12-14
最近三条消息让全世界对中国的红色渗透更增疑虑:一条是中国和瑞士在2015年签署的“5年再入境协议”,让中国特工能够入境瑞士审讯中国的犯罪嫌疑人,而且相关费用由瑞士税务人埋单。另外两条则是旧闻新热,今年9月就已上网的一个包含195万中共党员信息的外流资料库。在数据安全分析机构“Internet 2.0”的帮助下,IPAC在对材料进行认证后,将数据库传给了包括《每日邮报》在内的全球四家媒体机构。该名单被指划分为79000多个党部分支,其中许多分支隶属于公司或机构当中,然后媒体据此发现了美国与英国不少这类中共党员。

三条放在一起,国际社会对中国的疑惧加深。本文只分析瑞士为何会与中国签订这种怪诞的协议。

瑞士与中国这一秘密协议怪诞在何处?

英国卫报报导,瑞士和中国在2015年时签订了一个所谓的“重新接纳”协议。协议在12月7日到期,需要更新。瑞士曾经和超过50国签署类似协议,允许这些国家的官员来协助辨认与驱逐非法公民,唯有和中国大陆的协议从未公布过详细内容。

这个协议一直不为人知,而瑞士报纸NZZ今年8月的一篇报道,终于令这个秘密的协议得曝光:该协议为中国官员进入瑞士讯问准备被遣返的中国国民提供了条件。专注于亚洲的人权组织“保护卫士”(Safeguard Defenders)将该协议的条款细节公之于众,并在其所附报告中指出该协议与瑞士和其他国家签署的类似协议有何不同之处,认为将会对“那些中国政府希望其被遣返的人”构成威胁。

瑞士接纳的与中国有关的异见人士,主要是藏人与新疆的维吾尔人,还有香港部分人士。因此,“保护卫士”组织的负责人彼得·达林(Peter Dahlin)认为秘密协议被曝光的细节“将会令瑞士的声誉蒙尘”。达林说,被派往瑞士的中国“专家”并非“移民官僚”,而是特工,该协议允许他们在未受监督的情况下,在瑞士自由走动、采访和讯问。 来自香港、台湾和其他地方的“流亡异见人士”有可能会被引渡回中国。

瑞士移民部断然否认该协议有任何秘密,并声称该协议是一种标准的“技术安排”,就像它与其他60个国家所达成的协议一样。瑞士移民部在一份声明中表示,虽然该协议从未像其他协议那样公开发布,但是随时可以要求得到,并表示,瑞士与中国的这个协议在过去5年里只在2016年时使用过一次。当时两名中国官员在瑞士住了数日,并讯问了13个中国人。

允许一个保留政治罪的专制国家到自己国内自由接触讯问政治异议人士,这是西方国家当中被披露的第一例,非常怪诞。

瑞士为何会与中国签订这种怪诞协议?

瑞士会与中国签订这种怪诞协议,只因对中国有严重的经济依赖。一般人认为,瑞士这个小国的经济支柱产业特殊,主要是瑞士银行的财富保险箱作用,因此,这种经济依赖主要来自于中国权贵存放于瑞士的巨额存款。

中国权贵在瑞士存放多少金钱,这当然是个秘密。2019年8月3日,中国官方经济学者贾康在国内发布一条消息,称瑞士银行发布了报告,认为100名中国人在瑞士银行存款达到了7.8万亿人民币,他这段话在网络上引起了轩然大波。让大家觉得吃惊的是内容的矛盾:贾康身为全国政协委员、政协经济委员会委员,并在中国国际经济交流中心、中国税务学会、中国城市金融学会和中国改革研究会任常务理事等职,以他的身份说这事,应该是看到一些寻常人接触不到的资料。但根据这数字,100多位中国富翁在瑞士银行存7.8万亿人民币,平摊到每人头上就是780亿人民币,根据富豪排行榜上的数据,前100名的资产加起来也不到7.8万亿,而且这些资金大部分都是股权,又不是现金,根本不可能存在瑞士银行。

因此,贾康的说法,可能是一份财富报告的以讹传讹。因为瑞士信贷此前发布过一份报告,认为中国资金1亿的富豪有300多人,其加总资产大概有7万亿人民币。况且,富豪的财富保险箱并非中国国家利益所在,据此分析,瑞士对中国的经济依赖应该不是这一财富保险箱业务。

瑞士与中国的经济关系复杂

我曾在2011年写过一篇《独裁者财富保险箱的裂缝》,谈到在美国等多年持续的压力下,瑞士不得不于1987年取消了匿名帐户,瑞士财富保险箱的安全系数与独裁者的政治安全联系在一起。于2011年1月生效的《独裁者资产法》,让中东北非四国独裁者失去政权之后,全部财产被没收。此后,世界上其他信誉、资历远不如瑞士银行的几十处避税天堂生意突然兴旺起来,瑞士的财富保险箱业务大受影响。2016年4月,巴拿马文件曝光之后,全球的避税天堂与洗钱中心也不再安全,成为美国欧盟打击的对象,于是发展中国家的权贵富豪另觅他途。美、英等法治国家的各种豪宅成了发展中国家洗钱者藏匿财富的新宠,美国的纽约、旧金山等十余个城市,英国伦敦,澳大利亚的悉尼,加拿大的温哥华等地,豪宅价格近两年持续快速上涨,各国民众均受不了住房变成投机品,各国纷纷开始限购。

这一期间,瑞士并没坐吃等死,开始与中国等发展多元化的经济关系,瑞信、瑞银证券都在中国努力开拓各种投资关系,例如瑞信方正这一时期的中国业务获得大发展。该公司成立于2008年,总部设于北京,致力于为中国本土客户提供一系列资本市场服务,包括A股、外资股、政府债券和公司债券的保荐与承销以及相关财务顾问服务。瑞信还组建了一家资产管理合资公司——工银瑞信基金管理有限公司,该公司是当前中国最大的资产管理机构之一,截至2019年12月底,管理资产总规模接近人民币1.3万亿元。

瑞信与中国的经济关系有多深?根据美证券交易委员会的记录,卷入美国大选的Dominion投票系统的母公司Staples Street Capital III公司于2020年10月8日从瑞银证劵(UBS Securities CO LTD)得到4亿美元。而瑞银证券75%的股份来自于中国政府。以下是美国证券交易所关于Stamples Street Capital III公司这笔交易的记录连结。

理解了瑞士与中国这种复杂且牵缠甚多的经济依赖关系之后,对瑞士与中国之间有这种特殊的协议,就不必要再吃惊。西方人权机构帮助中国人改善人权状态的任务,也面临极其复杂的艰难局面。

https://www.rfa.org/mandarin/pinglun/heqinglian/hql-12142020164307.html(文章只代表特约评论员个人的立场和观点)

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