見出し画像

何清漣★楊潔篪の「自信」の根は米国の衰退にあり 2021年3月30日


3月27日、ビルマ軍はデモ参加者を虐殺し、90人近くが死亡しました。この日は、2月初旬以来、ビルマで行われた民主化デモの中で最も血まみれの日となり、欧米諸国は次々に非難しました。 ビルマの状況に関心を持つ人々は、中国に対する西洋の圧力も、同様に限られた効果しか無くなっていると感じています。ビルマや新疆問題で国際的な抗議の声があがっても、半歩も譲歩しようとしない中国、その原因はどこにあるのでしょうか?

 その理由は、3月18日のアラスカ会談で明らかになりました。米・中双方の実力に変化が起きています。とりわけ、米国のソフトパワーが2020年に急激に暴落したとの中国側の認識です。私のように米国に住む中国人が米国政治の衰退を指摘しても、それが事実であっても関係者は聞く耳を持ちません。

 しかし、現在、ようやく左翼勢力も無視できない機関や人物から批判の声が上がりました。これは世界に全体主義が蔓延していた1941年に設立され、長年にわたって民主主義の促進と監視を担ってきたNGO「フリーダムハウス」であり、人物とはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の元編集長、ジェラルド・ベイカーです。

 フリーダムハウスは、3月22日に発表した特別報告書の中で、アメリカの民主主義が後退する上での3つの大きな問題点として、「有色人種の不平等な扱い」「政治における金の不当な影響」「党派性と過激主義」を挙げています。

 BLM問題への理解は、アメリカ左派のポリティカル・コレクトネスの最前線であり、フリーダム・ハウスの反省もこれと同じパターンですが、二番目と三番目の大問題は確かに米国政治の現在の深刻な悪弊です。 例えば、選挙の改善案は、2020年に民主党が実施したH.R.1プログラム(訳注;期日前投票や郵便投票などを通じて投票しやすくしようとする民主党の提案。不正が横行すると共和党は反対)の投票用紙収集方法を合法化することを目的としており、米国の政治的対立を悪化させることになります。

 ★危機にある米国民主主義

私がフリーダムハウスがアメリカの民主主義について考えてくれることを期待する理由は2つあります。ひとつは、すでに民主化された発展途上国の「脱民主化」に関する有名なプロジェクトに資金提供したこと。その結果は、アメリカの有名な政治学者で「21世紀の社会学の父」と呼ばれるチャールズ・ティリーの生涯にわたる学術的研究の集大成である「Democracy, Democratization, De-Democratization and their Interdependence(民主主義、民主化、脱民主化とその相互依存関係)」が完成しました。

 同書では、民主化の4つの特徴を挙げています。第1に、自由で公正な選挙の劣化と不正な総選挙の出現、第2に、言論・報道・結社の自由の権利への侵食と、野党が政府に異議を唱える能力の弱体化、第3に、政府の司法・官僚的制約に対する法の支配の侵食と、司法の独立への脅威、第4に、政府による国家安全保障上の脅威の創出または過剰な強調による「危機感」の醸成です。この4つの特徴は、すべて現在の米国にも当てはまります。

 第二に、本書に掲載されているすべての情報は、フリーダムハウスの長年にわたるモニタリングデータに基づいており、民主主義の最終的な評価として、フリーダムハウスによる市民の政治的権利と市民的自由の評価を用いていることです。フリーダムハウスは今回の報告書の中で、「権威主義的な政権がこれを使って、自分たちのシステムの方が優れていると主張させてはならない」と明記しています。つまり、これは、アメリカの民主主義が危機に瀕していることを組織が認めたものです。しかし、その内容をみると、この報告は、チャールズ・ティリーが他国の問題を認識したようには、自分たちの国の問題を客観的に認識できていないように思えます。

 3月22日、ジェラルド・ベーカーは、WSJに「西洋の文化エリートは、レーニンの言葉(訳注;強欲な資本家は、自分の首をつるすことになるロープですら売ってしまう)のように首吊り用の縄を用意している」論評を発表しました。

 記事では、カマラ・ハリス副大統領が米国を「暴力的で人種差別的な国」と強く批判した3月17日のアイルランドのマーティン首相とのビデオ会議と、3月18日の米・中アラスカ会談の2つの出来事に焦点を当てています。米国ではアラスカ会談の全映像が公開されていなかったため、米国人が米国が挫折し、中国側から民主主義問題で上から目線で批判されたことはわからなかったのでした。

 ベーカーの論評記事では、「その国のリーダーが自分たちの価値観を悪だと思っているなら、その国はどうやってイデオロギーの戦いに勝つことができるだろうか」「米国の主要な文化機関の支配者たち、そして今や米国政府は、中国の死刑執行人のためにイデオロギー的な『首吊りロープ』を熱心に生産し続け、さらにこの1年間、それを加速させてきた」と問いかけています。全体では大変鋭く米国左翼のアイデンティティ政治を批判し、BLMの街頭略奪行為を非難しています。

 フリーダムハウスとジェラルド・ベイカー 彼らに共通しているのは、アメリカの民主主義が深刻な問題を抱えているという認識です。こうした問題の根本原因に対する認識が大きく分かれていることは、アメリカの民主主義が容易には修復できない状態にあることを示しています。

 米国のソフトパワーの深刻な低下は、国際社会における発言力の欠如につながっています。ベイカーが言う通り、米国文化のエリートたちはいまや「被害者意識を現代アメリカの名誉の主要なシンボルとしてエスカレートさせている」――アメリカはマルクス主義的なアイデンティティ・ポリティクスを特徴とする社会に堕落しつつあり、そこにこそ楊潔篪らがアラスカ会議で示した自信の根が存在するのです。(おわり)

楊潔篪們的底氣來自美國的墮變(何清漣)
2021/03/30

3月27日,緬甸軍方大肆屠殺示威民眾,近90人死亡,成為該國2月初民主抗爭以來最血腥的一天,歐美各國紛紛譴責。關心緬甸局勢的人士,深感西方國家對中國的壓力同樣處於邊際效益遞減狀態,在緬甸、新疆問題上,雖然國際抗議聲不斷,但中國半點也不退讓,原因何在?

這原因,3月18日阿拉斯加會議給出了答案:中美雙方實力發生了變化,尤其是中方認定美方軟實力在2020年急劇跌落。如我這種僑居美國的人指出美國政治衰變,哪怕事實確鑿,總有聞者不服氣。現在,總算有左派也不能忽視的機構與人物出來批評,這個機構是自由之家,是1941年世界極權主義盛行時成立的NGO,多年來一直承擔向外推廣民主與監測民主的責任;人物是《華爾街日報》前總編傑拉德.貝克。

自由之家在3月22日發佈的特別報告中指出美國民主倒退的三大問題:有色人種遭遇的不平等對待、金錢在政治中的不當影響、黨派對立和極端主義。對BLM問題的理解是美國左派政治正確之首,自由之家的反省也落此窠臼;但後兩大問題確實是美國政治當下的嚴重弊端。它所提出的幾大改進方法明顯有政治立場偏向,例如提出改進選舉的方法是要將2020年民主黨實施的H.R.1方案中收割選票的方式法律化,只會加劇美國國內的政治矛盾。

美國民主面臨危機

我希望自由之家能夠反省美國民主,原因有二。一是該機構曾資助過一著名項目,針對已經民主化的發展中國家所做的「去民主化研究」,最終成果就是美國著名的政治學家、被譽為「21世紀社會學之父」的查理斯.蒂利一生學術的顛峯之作——《民主、民主化、去民主化及其相互依賴關係》。書中列舉的去民主化有四個標誌:一、自由公正的選舉惡化,出現大選被操縱的現象;二、言論自由、新聞自由和結社自由權受到削弱,削弱了政治反對派挑戰政府的能力;三、法治對政府司法和官僚約束被削弱,司法獨立受到威脅;四、政府製造或過份強調國家安全威脅,以製造一種「危機感」。以上四個特徵在今日美國都具備。

二是整本書的全部資料來自自由之家多年的監測資料,並將自由之家對公民政治權利和公民自由的評判標準作為最終評價一個國家的民主程度。自由之家今次在發佈報告時特別指出:「別讓專制政權借此妄稱他們的制度更優越。」說明該機構承認美國民主面臨危機,但從其內容來看,我認為該報告未能像蒂利認識他國問題那樣,客觀地認識美國自身的問題。

3月22日,傑拉德.貝克在WSJ上發表評論〈西方文化精英正送出列寧所說的絞索〉。此文針對兩件事:3月17日美副總統賀錦麗在會見愛爾蘭總理馬丁的視像會議上強烈抨擊美國是個暴力和種族主義的國家,以及3月18日的中美阿拉斯加會談。由於當時美國國內未播放會談全部影片,幾天後美國人才發現美國被挫並被對方高調指摘民主有問題。文章開篇就問:「如果一個國家的領導人認為它的價值觀是邪惡的,那麼這個國家怎麼可能在意識形態鬥爭中獲勝呢?控制美國主要文化機構的人,以及現在的美國政府,一直在熱切地為中國劊子手製造意識形態的繩索,而且在過去一年裏他們已經加快了生產。」整篇文章非常尖銳地批評了美國左派的身份政治,直斥搶劫的BLM為街頭流氓。

自由之家與傑拉德.貝克的反思處於左右兩極,二者唯一的共同點就是都知道美國民主出現嚴重問題。這種對問題根源認知的嚴重分裂,正好說明美國民主處於不易修復的狀態。

美國軟實力嚴重下降導致國際社會話事不靈。正如傑拉德在文中所說,美國文化精英正在「將提升受害者身份的作為現代美國榮譽的主要象徵」——美國正在墮變為一個帶有馬克思主義身份政治特徵的社會,這也是楊潔篪們在阿拉斯加會議的底氣所在。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?