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何清漣★バイデンの「インフラ建設」の誤りはどこにあるか 2021年5月8日


 バイデンのインフラ計画は、インフラ建設を突破口に米国経済を振興させる目的です。バイデン政府がこれに寄せる期待は高く、なんども米国民に対して「百年に一度のチャンス」と訴えています。

興味深いのは米国は20世紀の世界では、最強の実力を誇る「インフラ建設マニア」の初代だったことです。現在推進している「インフラ大躍進」は中国に対して、「顰に倣った」その第2代といえます。真面目に考えれば、これは政治的必要性から出てきたもので、米国の実際の必要性や諸条件からかけ離れたものだとわかります。バイデン政府がゴリ押ししても高い授業料を払うだけに終わるでしょう。

 ★バイデンの「中国式大躍進」

 この計画には中国的要素がいたるところにあります。計画の目標は「中国との競争」ですし、細部にも当然、その痕跡があります。

 バイデンが3月30日にピッツバーグで行ったスピーチは、5兆米ドル規模の「アメリカン・ジョブズ・プラン」と「アメリカン・ファミリー・プラン」を売り込むことを目的としたものでした。

 達成目標として「中国との競争」を前提とし、「これらの支出計画は、未来を勝ち取るために重要である」と述べました。

 理由は「習近平が中国が世界で最も影響力のある大国になろうと渇望しているから」です。「経済の再建は、米国が中国との長期的な競争で生き残るために必要なステップであるとともに、この競争では、米国は民主主義が機能することを証明するだけでなく、イノベーションと生産において世界で最も成功している権威主義国家をリードし続けることができることを証明しなければならない」と、今後の国内議事日程と、米国の海外での影響力回復への意気込みにあふれています。

 4月9日、バイデン政権のブティジ・バーガー運輸長官は記者会見で、「何十年にもわたって投資が行われなかった結果、インフラ整備の面で世界13位にまで落ち込んでしまった」「私は、アメリカ人は常に最高のものを持つべきだと思っており、それがバイデン大統領が示した基調だ」と強調しました。

 しかし、ユーラシアグループ(世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社)のイアン・ブレマー会長はVOAのインタビュー(4月30日)で率直に、「バイデンが中国の名前を出したのは、米国の国内政治に有利だからだ」と言いました。

 私ははっきり言って、ハイテク時代にインフラを重視して競争力を高めるというのはあまりにも本末転倒の回り道なので、バイデンと民主党の真の目的は、米国の競争力を高めるためにインフラを通じて米国経済を改革することではなく、中国との競争というスローガンを通じて社会資源に対する政府のコントロールを強化し、「大きな社会」から「大きな政府」への移行を完成させることにあると思います。

 ★米国のインフラ計画は「中国の顰に倣う」劣化版

 以前、私はバイデンのこの計画は「大躍進」であり、そのアイデアもやり方も完全に米国が昔、米国が世界のリーダーとして優れたインフラ強度を誇っていた頃の先進的な経験を完全に捨て去ったもので、2009年に中国が行った4兆ドル規模の救済措置の劣化版コピーだと書きました。

 バイデン計画が中国の顰に倣ったのは、第一に巨額の政府基金を湯水のように使ってインフラ施設建設に投じることです。

 米国は、1970年代までは世界に冠たる「インフラ建設マニア」の第一世代でしたが、国内インフラの飽和により、技術革新の追求は遅々として進まなくなり、ようやくインフラ建設至上主義をやめたのでした。このインフラ建設至上主義は当然無駄にはならず、インフラ投資だけでも欧州主要国の政府投資戦略を上回りました。

 当時の米国は、民間資本を活用してインフラ投資を拡大する「官民パートナーシップ」を推奨していました。 例えば、コストのかかる米国の鉄道建設の基本戦略は、政府の支援・援助を受けながら、プライベート・エクイティ・カンパニーが建設のための民間資金を調達することです。その際、鉄道株式会社を設立して株式や債券を発行することは、非常に有効な資金調達手段でした。

 データによると、アメリカの鉄道建設投資の85%は個人投資で、そのうち3/4は大手投資銀行の投資と多数の小規模な個人投資が含まれているといわれます。また、個人投資の中でも、配当やボーナスを受け取るために国鉄に投資する人もましたが、自分たちの地元の鉄道建設を応援したいという住民はもっと多かったのです。

 こうしたインフラ資金を調達する本来のアメリカのモデルに比べてバイデンモデルは、後退しています。中国の鄧小平の改革開放が成功したのは、計画経済モデルを変えて個人経済や民間資本に門戸を開こうという姿勢があったからであり、それが今日の中国につながっています。

 当時、経済分野において、鄧小平の最大の知的解放は、ソ連や毛沢東の計画経済がなぜ失敗したかを反省し、「民間経済は常に公的なものよりも効率的であり、公的な資産は常に私的なものよりも、簡単に浪費や枯渇する」という真理にたどり着いたことでした。

 アメリカの実業家は確かにこのことを理解しています。2019年の民主党大統領候補に立候補している人たちが、過激なアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(活動家、現下院議員。ニューヨーク州選出)とアメリカの富裕層への高額な税金が話題になった時のことです。

 「年収1,000万ドル以上の富裕層には70%の税率を課すべきだ」と提案しているコルテス女史を支持するかどうか尋ねられたデル・コンピューターのマイケル・デル社長は、「政府にお金を渡すよりも、自分の財団を通じて多くの資源を配分する方がいいね」「その提案は米国経済に良いところはないから、支持しない」と答えました。 彼は、政府はコストがかかり非効率的だと指摘し、出席していた経済エリートたちもそれを理解していたのです。

 アメリカが強いのは、立憲政治に基づいて自由競争力のある資本主義経済モデルを維持してきたからでした。アメリカに追いつこうとしている中国の政府規制経済に学び、アメリカ経済を改革しようというバイデン氏の計画は、先進国が後進国に学ぶという愚行です。

 ★「バイデン式大躍進」の短所

 総額6兆ドルを超える3つの計画を立案したバイデンチームは、世界帝国としての米国の強みしか見ていないことが明らかです。

 それは、

 第2次世界大戦後の世界の通貨システムにおける米ドルの覇権、米ドルが「ペーパーゴールド」と呼ばれているのは、世界の経済決済システムがすべて米ドルを使用しており、米国の中央銀行がある意味で、世界各国の中央銀行になっているからだという、世界帝国としての米国の強みしか見ていないことです。

 このような地位にあるので、米国は中国以上にお金を刷り、国債を発行する余裕があるのですが、そうはいっても、インフレ圧力が外部に放出されることも避けられないのです。

 それに比べると、中国人民元は、国際化が始まったばかりで、過剰な通貨発行をやったところで、インフレ圧は国内でしか吸収できません。

 次に、バイデンを中心とした建設計画の欠点は、第2世代の「インフラ建設マニア」としての中国の強みを無視していることです。

 インフラに必要な各種資材の観点からは、これから成長しようとする川上・川下産業において中国はコスト面で優位に立っています。労働コストの観点からは、中国は世界で最も勤勉で低賃金の労働者がいます。この二つの点は米国の短所です。

 インフラの物資は、非常に長い産業チェーンが必要で、少なくとも50の川上と川下の産業があります。 米国が 「インフラ建設マニア」だった頃、米国のこれらの産業はどんどん成長する力を持っていました。

 しかし、半世紀経った今、米国の多くの産業は長い間姿を消しており、これらの産業を再構築するには時間がかかります。もし他国から購入した場合、建設資材、エンジニアリング機器、付帯設備などあらゆる面で中国ほどのコスト優位性はありません。

 人的コストの面からは、まさにこれが米国の全産業で最も高いコストとなっており、特に建設作業員のように汚れ仕事をしなければならない職種では、賃金の請求額や保険料がより高額になります。 数千人の労働者を必要とするバイデンのこのインフラプロジェクトの人件費は、天文学的な数字になるでしょう。

 さらに、バイデンの計画に含まれる投資の多くは、労働者に高い賃金と労働保護を提供する条項も含まれています。また、全国労使関係法に違反した使用者に罰則を与える立法案が追加されており、派遣労働者が組合を結成しやすくするといいます。労組はもともと雇用コストが増える機関であり、メンバーも給料がかかりますが、そうした費用はすべて予算にかぶさってきます。

 米国のインフラ産業は現在、斜陽産業であり、一方、中国のインフラ産業は成長と成熟の段階にあり、コストをコントロールできるのです。中国のインフラチームは長年にわたってほとんどどこにでも進出しており、低コストが主要な勝利戦略となっています。バイデン組がどう考えようが、これが現実なのです。

 ;インフラ産業の長いフロントチェーン、大規模なボリューム、米国は1970年代にハイテク工業を発展させて以来、建築業は一連の企業として上流も下流も衰亡していますが、中国は長年の蓄積の上に、インフラ産業はもうスケール優位の経済になっているのです。

 民間企業でも、米国のインフラのコストは中国よりもはるかに高く、連邦政府が調達しようとするならば、政府公営企業のコストは、使役業のコストよりはるかに高くつくという”法則”から、米国のインフラは世界ナンバーワンの高騰コストになります。

 コストを考えれば、他国の建設会社にアウトソーシングしたり、外国人労働者を雇ったりすることは、例えばインフラが最強の中国にまかしたりすれば、バイデン氏の「中国と競争する」というスローガンの計画に反して、中国を助けることに等しいのです。

 ★米国のインフラ産業の利益は中国よりはるかに少ない

 アメリカと中国では、インフラ整備のスタートラインが全く違います。1990年代以前、米国のインフラは世界で最も進んでおり、鉄道の走行距離も航空交通も世界で最も発達していました。

 現在、世界の競争力ランキングでは13位ですが、遅れをとっているわけではなく、アメリカがずっと守ってきた「世界第一」の地位に少しだけ劣っているだけなのですが、それがアメリカは我慢ならないのです。

 こうした条件の下でインフラ基盤整備をやろうとすれば、既存のものをベースに改善するしかないが、中国とは異なり、後進地域では全く新しくやらねばならず、資本投下の限界利益(売上から変動費を引いた時に残る利益)は高くありません。

 ましてや米国は私有制度の国家であり、地下50メートルであっても土地所有者のものです。もし移転させようとしても、民主党政府の権力では、中共の私有財産などなんのそのといったやり方はできません。今に到るまで中共のこうしたやり方は米国や西側国家から、人権侵害だとこっぴどく批判されているのですから。

 要約すると、世界で技術と金融の覇権を握っている米国が、突然、中国を見習って工業化時代に戻り、インフラを経済の原動力にしたいということなのです。

 いま、道半ばにある「大きな政府化」のプロセスと、政府の力を強化したいということを除けば、発展の方向といい巨額の負債負担をつくりだすにしても、実行の過程での困難にしても、最後には効果がないことが運命付けられているのです。ですから、バイデン政府と利益関係のチェーンに群がる人々以外には、賛成の声はほとんどありません。(終わり)


 中美競爭的表與裏(何清漣)
2021.05.04 02:00

如今地球村時代,無論美國鷹還是中國龍,任誰隔着寬廣的太平洋呵口氣,對方都能做出及時反應。4月28日拜登剛在國會發表〈美中爭奪21世紀的勝利〉演講,中國《求是》雜誌4月30日就刊出習近平1月11日的內部講話〈把握新發展階段,貫徹新發展理念,構建新發展格局〉。這一在省部級幹部研討班上的講話內容曾被陸續透露,《求是》也未稱「全文刊載」,一度為西方評論者廣為引用的「東升西降」並未在文中出現。

觀拜登首度演講全文,主題當然是為了高度肯定自家「百日新政」,要點是高達六萬億美元的經濟刺激計劃能增加就業機會,提出要向富人和企業徵收更高稅額,當然他也沒忘記將特朗普時期投入巨資開發的疫苗列為自己的歷史性成就。演講中途話鋒一轉,用「習近平在打賭美國的民主趕不上專制」,將美中競爭提升到「民主與專制的較量」上來。

《求是》刊出的習講話雖刪除了此前流出的「西強東弱是存量、是歷史;東升西降是增量」這些話,但具體表述猶存,比如「我國經濟實力、科技實力、綜合國力和人民生活水準躍上了新的大台階,成為世界第二大經濟體、第一大工業國、第一大貨物貿易國、第一大外滙儲備國……」等。

習講話中談到,中國特色社會主義「在推動發展上擁有強大的政治優勢、理論優勢、制度優勢、文化優勢」,可以看作中共對拜登「中美是民主與專制的較量」之回應。該文雖然刪除了此前流出的講話中習談到中美博弈時的判斷,即「當今世界最大的亂源在美國」、「美國是我國發展和安全最大的威脅」,但還保留「最近一段時間以來,世界最主要的特點就是一個『亂』字,而這個趨勢看來會延續下去」,以及習強調的制度自信:「這次應對新冠肺炎疫情全球大流行,各國的領導力和制度優越性如何,高下立判。時與勢在我們一邊,這是我們定力和底氣所在,也是我們的決心和信心所在。」

體制為表 經濟為裏
在國會演講中,拜登着重推銷他的兩項重大計劃,一個是價值兩萬億美元的「美國就業計劃」,着力投資公共交通、鐵路、機場、供水管道、道路橋樑、高速網絡等基礎設施,另一項是價值1.8萬億美元的「美國家庭計劃」,着重於為美國三到四歲兒童提供免費學前教育,還將向美國人提供免費的社區大學教育和家庭帶薪休假。

雖然這兩項計劃聚焦解決美國國內的問題,不過,拜登在推銷這兩項計劃時所給出的理由以及將要達到的目標卻以「與中國的競爭」為前提,並稱這些支出計劃對美國贏得未來至關重要,因習近平「非常渴望中國能成為世界上最重要的和有影響力的大國」。但歐亞集團主席伊恩·布雷默對媒體卻如此分析:拜登提到中國只因這在「美國的國內政治中有用」。

習的講話對自身的優勢有判斷:「當今世界,最稀缺的資源是市場。市場資源是我國的巨大優勢,必須充份利用和發揮這個優勢,不斷鞏固和增強這個優勢,形成構建新發展格局的雄厚支撐。」

這段話容我稍作解釋。我曾寫過三篇系列文章,談世界各國對中國的經濟依賴如何形成及依賴程度。當今世界的發達國家需要中國這個龐大市場銷售產品,資源大國需要中國作為買方購買其原材料與資源,對中國都有程度不等的依賴度。這是從2001年中國加入WTO以後漸成之勢,至於台灣、香港,對中國的經濟依賴形成原因有別,幾乎就是一個經濟共同體。考慮到3月下旬在中國發展高層論壇2021年會上,美國總統經濟顧問委員會前主席福爾曼宣佈的好消息:「美國推出了巨大規模的財政刺激政策,這意味着人們將從中國、歐洲、日本購買商品。」

考慮到世界各國對中國的經濟依賴,以及美國正在成為大政府、將社會主義經濟政策吸收消化這一現實,就知道拜登時代的美中競爭遠非民主vs專制這麼簡單。


 


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