何清漣★インド太平洋地域のパワーバランスを変える「AUKUS」  2021/09/24


 最近の国際的な出来事の最たるものはAUKUS(オーカス=米英豪厳選配備安保パートナーシップ)の設立以外にありません。

この新協定により、フランスが2016年にオーストラリアと締結した699億ドルの軍産協力協定が取り消され、フランスは米国とオーストラリアの大使を召還する事態となりました。

 この合意は、AUKUS3国の対仏関係に大きな打撃を与え、「ヨーロッパの盾」と呼ばれるNATOの亀裂を一層深めました。しかし、これが実現したことで、インド太平洋地域のパワーバランスを直接変化させ、長期的な利益をもたらします。

 ★オーストラリアの配慮には高い合理性がある

 AUKUS協議は3つの締結国にぞれぞれ自己の考慮がありますが、中でもオーストラリアの考えには高い合理性があります。

 第二次大戦時期に、大国が生産する武器、航空機、大砲などの能力は比較的、接近したものでした。しかし、現在では、小は弾丸、拳銃、自動小銃から、大は戦略爆撃機、輸送機、航空母艦など、国家間の差はますます大きくなり、それぞれの国の科学技術と製造能力の最高水準を体現するものとなり、また各国の国力競争を表しています。

 最新の統計によれば、現在、世界には230以上の国と地域がありますが、陸・海・空のすべての兵器・装備(「核」と「宇宙」、すなわち核兵器や各種軍事衛星などを含む)を生産できるのは、米国、ロシア、中国だけです。

 そして、この3カ国の水準の差も極めて大きく、ロシアを除く欧州で軍事産業システムの最もまともだと考えられているフランスですら、すべての武器装備の自主独立は実現できません。

 中国の脅威が日増しに高まる中、オーストラリアは自国のために戦闘力のある艦隊建設を検討しており、パートナーとしては最新鋭の原子力潜水艦を製造できる米国を選択するのが自然な流れです。

 現在、世界で原子力潜水艦を保有しているのは、米国68、ロシア29、中国12、英国11、フランス8、インド1の6カ国のみであり、オーストラリアは7カ国目となり、8隻というのはフランスと同数であり、この方針の合理性はよく理解できます。

 9月17日付のニューヨークタイムズ紙は、「フランス『背信』と怒る。米国の国防合意(Behind the U.S. Defense Deal That France Called a 'Betrayal': Secret Talks and a Hidden Agenda)」と題した記事を掲載した。

 英米官僚へのインタビューによると、バイデンの米大統領就任直後、オーストラリアは、従来型のディーゼルエンジン搭載潜水艦を使用すると、航続距離が限られ、中国に弱みを握られる懸念があるとして、2016年にフランスと締結した通常型潜水艦の契約を解除する意向をワシントンに打診した。

 航続距離が短く、中国に探知されやすいこと、最初の潜水艦の進水には15年かかり、フランスの潜水艦は納入される頃には技術的に時代遅れになる懸念が理由でした。

 一方、英米が設計した静かに航行できる原子力潜水艦の艦隊は、南シナ海をパトロールする際に発見されるリスクを減らすことができます。

 フランスがオーストラリアと結んだ12隻の潜水艦契約は、バイデン政権が中国に対抗する新戦略についてオーストラリアやイギリスと真剣に議論を始めたことで、事実上の死亡宣告を受けたのです。

 アメリカ、オーストラリア、イギリスは、史上最大の軍事契約を失ったフランスがどのような反応を示すかを確実に把握しており、交渉に関わる人間はごく少数に限っていました。

 豪州の立場からすると、この選択は完全に理解できます。中国の全方位的な圧力に対応するには、長期的観点から見て、必ずや十分な武装が必要です。両国が対決した時、最後にものをいうのは軍事的な力です。

 短期的にみても、米国との同盟は、優秀で多くの原潜を手にいれることができるほか、直接的な軍事援助を得ることもできます。

 消息筋によれば、情報筋によれば、米国は、バージニア級原子力攻撃型潜水艦の一部をHMASスターリングに配備し、できるだけ早く南太平洋での定期的な哨戒活動を行うための暫定措置を計画しているといわれます。これは、南太平洋におけるアメリカとオーストラリアによる中国海軍に対する抑止力が強化されることを意味する。


 オーストラリアがフランスの通常型潜水艦を購入する560億ユーロ(699億ドル)の契約を中止し、米国の原子力潜水艦を採用することを決定したことは、パリで大きな怒りを呼びました。

 それは、フランスの産業の存続に関わることであり(軍需産業のニーズとて無限ではありません)、また、フランスがヨーロッパのど真ん中の大国であるという幻想を傷つけることでもあります。

 フランスのマクロン大統領は、前例のない動きとして、キャンベラとワシントンのフランス大使の召還を命じました。

 9月19日のAFPの報道によると、来年のフランス大統領選に立候補を表明している右派のベルトラン氏は、RLL/LCI/ル・フィガロの共同インタビューで、北大西洋条約機構(NATO)の臨時首脳会議を急ぐべきだと強い姿勢で発言し「アメリカ人に、我々を尊敬しているのか、NATO同盟はどこに向かっているのかという信頼の問題を問わなければならない」「我々は数に入っているのか、2流扱いなのか?」と述べました。

 共産主義者である左派の大統領候補ファビアン・ルーセルも、同日、フランス国内のラジオで、「NATOの統一司令部から直ちに撤退せよ」と反撃を訴えました。

 米国にとっても、これは小さな事ではありません。ある米国政府関係者によれば「この技術はたいへんデリケートなもので、率直に言って、これは様々な面で我々の政策の例外だ。

 今後、他の状況でこうすることはかんがえていない」とのこと。そして「1958年に英国と原子力技術を共有したことがあるだけ」だという。(注:当時、ソ連の脅威はそれほど高かった。今、同じぐらいだということになる)。

 これは、バイデンの8ヶ月間で、彼の外交がやった一番ましなことでしょう。(終わり)


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 AUKUS将改变印太区域的权力平衡
2021/09/24

最近,国际大事当中之最,非AUKUS的建立莫属。这项新协议让法国在2016年与澳大利亚签署的价值699亿美元的军工合作协议泡汤,引发法国召回在美国与澳大利亚的大使。这一协议重创AUKUS协议三国与法国的关系,使号称“欧洲之盾”的北约陷入进一步撕裂当中。但落实一这协议,将直接改变印太区域的权力平衡,收功长远。

澳大利亚的考虑具有高度合理性

AUKUS协议三方都有自己的考虑,其中澳大利亚的考虑有高度合理性。

二战时期,各大国生产武器、飞机、大炮等的能力比较接近。但发展到现阶段,武器装备的形式和技术含量提升到了前所未有的高度,小到子弹、手枪、自动步枪,大到战略轰炸机、运输机、航空母舰等,不同国家之间的差距越来越大,既体现各国科技和制造能力的最高水平,也体现着各国国力的竞争,按照最新的统计,目前全球有230多个国家和地区,但要说能够完全自主生产海陆空(还要包括“核”与“太空”,即核武器和各类军用卫星等)全套武器装备的国家,只有美、俄、中三国,而且这三国的水平落差极大,即便是被认为是除俄罗斯外欧洲军工体系最健全的法国,也无法做到全系武器装备独立自主。

面对中国日渐升温的威胁,澳大利亚考虑为自己建立一支有战斗力的舰队,选合作伙伴自然要挑能够生产最先进核动力潜艇的美国。考虑到目前全球只有6个国家拥有核动力潜艇——美国68、俄罗斯29 、中国12 、英国11 、法国8 、印度1,澳洲将成为第7个,而且拟建造的数量是8艘,与法国数量相当,这种考虑的合理性就更容易理解。

《纽约时报》9月17日发表一篇题为《法国称之为“背叛”的美国防务合同背后:秘密会谈和一项隐藏议程》(Secret Talks and a Hidden Agenda: Behind the U.S. Defense Deal That France Called a ‘Betrayal’)的报道,根据对英美官员的采访,在拜登就任美国总统后不久,澳大利亚就与华盛顿接触,表达有意取消2016年与法国达成的常规潜艇合同,理由是澳担心使用常规柴油动力潜艇航行范围有限,很容易被中国人发现,而且首批潜艇需要15年才能下水,法国潜艇在交付时技术装备就已经过时。而英美设计的可更宁静航行的核动力潜艇舰队,可以降低在南海巡逻时被发现的风险。当拜登政府开始认真与澳大利亚和英国讨论其新战略对抗中国时,法国与澳大利亚签署的12艘潜艇的合同实际已经被判死刑。美澳英三国当然知道法国如果失去史上最大一笔军工合同会是什么反应,参与谈判过程的人员被限制在极小范围。

从澳大利亚的立场来说,这种选择完全可以理解,要对付中国咄咄逼人的全方位压力,从长远来看,必须很好的武装自己,两国对峙,最后都得依靠军事力量。从短期来看,与美国结盟,除了能够得到质量优秀得多的核动力潜艇之外,还能直接得到军事帮助。有消息称,为了让核潜艇尽快在南太平洋实现定期巡逻,作为一个临时步骤,美国正计划在向澳大利亚皇家海军斯特林基地(HMAS Stirling),调派部分“弗吉尼亚”级核动力攻击型潜艇。这意味美澳在南太平洋对中国的扼制更大,对中国海军将形成强力遏制。

澳大利亚决定取消购买法国常规潜艇的560亿欧元(约699亿美元)合同,转而购买美国的核动力潜艇,这在巴黎引发了极大的愤怒。因为这既涉及到法国一个行业的生存前景(军工需求并非无限),更伤害到法国以欧洲中心自居的大国幻觉。法国总统马克龙已下令召回法国驻堪培拉和华盛顿的大使,这是前所未有之举。据法新社9月19日报道称,提出竞选明年法国总统的右派候选人贝特朗在接受RLL/LCI/Le Figaro联合采访时强硬表态说,应该敦促召开北大西洋公约组织非同寻常的峰会,在峰会上,"我们必须问美国人提出信任问题:你是否尊重我们,北约盟约将走向何方?""问题是要知道,对美国人来说,我们是否也算数,或者我们是否是第二等人。"左翼的总统候选人、共产党人法比安-鲁塞尔(Fabien Roussel)同一天也在法国国内广播电台上敦促法国启动大动作回击, “立即退出北约的统一指挥"。

对美国来说这也不是小事情,据一位美国官员告诉路透社,“这项技术是非常敏感的。坦白说,这在许多方面是我们政策的一个例外,我预计今后在其他情况下也不会这样做。我们认为这是一次性的,”这位官员还特别补充说明,华盛顿只在1958年分享过一次核推进技术( nuclear propulsion technology)给英国。回溯拜登政府8个多月的执政,这是拜登外交中做得最正确的一件事情。


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