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何清漣★新疆綿花のボイコット:人権活動と経済学 2021年3月29日


 経済学には「ある生産者が、単一の顧客に大きく依存している場合、顧客が商品の価格決定する交渉権を持つ」という原理があります。これは中国では「顧客の店いじめ」とも言われます。

 近年、中国がオーストラリアに制裁を科したのは、自分がオーストラリア鉄鉱石のトップ、石炭のナンバーツーバイヤーなので、「お前らは我が国の市場に依存しているんだから、俺らのいうことを聞かないとひどい目にあうぞ」ということでした。

 ただ予想外だったのは、新疆ウィグル族問題で、なんとスウェーデンのファッションブランドH&Mなどの企業がそのやり方を真似して、新疆の綿花を購入するのを拒否したのです。さらにはナイキなども加わり、大騒ぎになりました。

 インド太平洋地域の緊迫した状況、ミャンマーの騒乱の背後にある中国の姿、さらに新疆ウイグル自治区の問題など、現在97歳のキッシンジャー元米国務長官は、ついに世界情勢を憂慮し、「米国と西側諸国は、中国とともに世界の新秩序達成を了解すべきで、さもないと第一次世界大戦前のような危機に直面する」と公に表明したものです。

 ★中国のやる気満々はどこからくる?

 この「世界の新秩序」なるものは、つまり「中国が米国と同等か、あるいはより以上の発言権を持つ」ことです。この中国の自信は二つの天から来ています。一つは全世界の国々は中国経済に依存している。二つ目は、西側はいま落ち目だ、ということです。二つの点はどちらも一定の現実的な根拠があります。アラスカでの米・中協議の席上で楊潔篪らが示した自信はここから来ています。

 世界の市場に話を戻すと、どんな市場にも浮き沈みがあり、供給が需要を上回る売り手市場になることもあれば、供給が需要を上回る買い手市場になることもあります。

 いわゆる経済制裁とは、大げさに言えば、国際社会において資金面での優位性、市場での供給力、資源の供給力で優位に立つ国が、最大の買い手または売り手としての優位性を利用して、自分たちに依存している国に服従を迫る方法です。

 欧米が6月4日以降に一時的に中国に対して行った制裁も、ビルマの軍事政権に対して行った制裁も、すべてこのタイプです。

 中国の外貨準備高が3兆ドルを超えた高度経済成長期には、世界各国の製品を購入する第1位、第2位の地位を占めていました。 そして中国は、この経済的依存が政治的脅迫のツールに使えることを非常に重視し、制裁措置に使い始めました。

 最初試験的にやったのは韓国で、続いてオーストラリア、さらにはオーストラリアが経済的に中国に依存していることを利用して、いわゆる「統一戦線工作」(訳注;相手国内部での中国反対を減らし、賛成を増やすための違法・合法の諸活動)を発展させ、民主制度を使って民主制度を破壊するにまでいたりました。

 この過程については、★世界各国の中国依存⑴ そう簡単には止まらない 2020年5月7日 ★世界各国の中国依存 ⑵「経済」恐喝にひれ伏した韓国、豪州 ★世界各国の中国依存 ⑵「経済」恐喝にひれ伏した韓国、豪州 2020年5月11日2020年5月11日 ★世界各国の中国依存⑶ 腰抜け欧州連合、 米単独では如何とも… 2020年5月12日 で書いたので繰り返しません。

 中国への経済依存度を政治的な脅しに変えるこのトリックは、中国が2020年の「マスク外交」でも繰り返そうとしたが、各国が嫌悪感を抱きすぎて断念せざるを得ませんでした。

 しかし、国際経済には、比較優勢理論もあります。世界各国の経済・産業の発展はお互いの強みを互いに補い合ってやるものだということです。中国は、外貨準備高の約90%が対米貿易によるものであることや、今回の新疆綿問題のように中国が売り手側になる場合があることなど、自分たちの優位性が砂の城のようなものであることを、全く忘れています。

 ★BCI:中国と「大顧客」

 新疆ウイグル自治区の綿花で、中国は買い手側の最大の顧客によって、オーストラリアが直面した中国の購入拒否の同じ仕打ちに出会いました。現在、世界の綿花生産量は平均で年間約2,500万トン。 そのうち、インドが26.1%、中国が24.4%、アメリカが13.2%を生産しています。中国にとって、綿花は1,000億人民元レベルの重要産業です。

 また、中国は世界最大の繊維生産国であり、綿花の最終製品を自国で生産して輸出するだけでなく、綿花の中間製品を第三国に輸出することも多くあります。 一言で言えば、中国では綿生産は1,000億米ドル規模の産業なのです。

 では、このH&Mはどのような存在なのでしょうか。そして、なぜH&Mのボイコットが北京を激怒させるのでしょうか。北京はH&Mが新疆綿花の使用を禁止した背後には、さらにNike、Gap、ZARA、ユニクロなどのブランドが控えていることを、はっきりと承知しているのです。

 「BCI」は 「ベター・コットン・イニシアティブ」の略称で「持続可能なコットンの生産を包括的に目指すNGO」です。中国はその最大の得意先で、中国の顧客向けに中国語のサイトも持っています。

 簡単に言えば、「BCI」はサプライチェーン連合で、価格決定権をにぎっているのです。「BCI」は5種類の会員制度を持っており、① 小売ブランド会員、つまりナイキやH&M。② コットン製造業、コットン取引商、紡績業者。 ③ 栽培業者 ④ その他の主に、サプライチェーン供給企業。⑤ 社会団体。主に綿花関連のNGO組織 からなります。

 「BCI」は世界の供給量の約30%を占めており、世界屈指の調達・供給量を組織し、綿花の規格や価格決定権をコントロールしています。 サプライチェーンの優位性、価格決定力、製品の標準化など、このような大きな買い物客であり、中国に大バイヤーとして意見を述べることのできる相手だと言えるでしょう。

 オーウェル・コンサルティング社が少し前に発表したレポートによると、中国の問題は綿花にとどまらず、世界最大のアパレル市場の中国から、2020年には4,000億元が蒸発してしまい、ほとんどの中国のアパレルブランドが経営危機に直面しています。

 こうした状況の下で、これらの「BCI」メンバーが強制労働を理由に新疆の中国綿をボイコットすることは、中国の弱みを捉えた痛烈一打なのです。

 「BCI」が裏にいることで、この新疆綿火問題はまだ延焼しかねません。最新のニュースは:イタリアのブランドベネトンとOVS(オヴィエッセ)は人権を守るために新疆の綿を使用することを拒否しました。ヒューゴボスは公式声明を発表し、新疆の綿を支持する以前の声明を撤回しました。

 ★中国とBCIでは性質も責任も異なる

 中国では、自国経済の良し悪しが税収や雇用に直結しています。新疆の綿花がボイコットされることは、政府財政、社会安定に大きく影響するのです。

 一方、「BCI」は、綿花業界のサプライチェーン、価格決定権、製品規格、NGO、年会費を管理しているだけで、需給側の勝ち負けには直接的な関係していません。中国の新疆ウイグル自治区の綿花は販売されないとなれば、BCIは代替品を求めますが、会費は今まで通りです。

 こうした異なる責任と結果による立場の違いでは、中郷区政府は不利なのです。グローバル化した世界では、米国の9.11事件やそのごの反テロ、国境なき移民キャラバンなど、どれも政府がうまく対応できませんでした。政府間の外交や利益制裁、軍事威嚇など通用しません。ましてや「BCI」は中国政府の新疆ウィグル族へのジェノサイド政策に反対する「道徳的に正しい」という切り札をもっています。

 ★ビジネスは戦争。机上戦略どおりに行かない

 政府間の経済制裁は、例えば世界需要の65%を占める世界最大顧客の立場を利用しての対オーストラリアに経済制裁がやれると中国は自分たちが発注者として大きな価格決定権を持っていると思っていました。

 しかし、鉄鉱石の問題では中国はひとつ見落としていた点があります。中国はオーストラリアの鉄鉱石の3分の2を買っていますから、オーストラリアの鉄鉱石企業は中国が買わなくなってから減産をしいられました。

 しかし世界第二の大鉄鉱石生産国のブラジルもその代役をつとめられずに、結局鉄鉱石不足からオーストラリアの鉄鉱石価格が暴騰してしまったのでした。

 2020年12月11日、中国大連商品交易所の鉄鉱石先物価格は10%も値上がりして、中国のバイヤーは「オーストラリアはけしからん」などと言い出しました。こうした情勢の下で、中国は現在オーストラリアからの購入停止措置のいくつかをそっと取り下げています。その中には石炭も含まれています。

 新しい国際秩序の確立は、しばしば、自国の利益を守るために簡単には譲れない国同士の経済的・政治的な戦いです。中国の厚かましい進出姿勢に対し、欧米は理解を示す姿勢をとってきたが、その結果が現在の状況では、キッシンジャー氏のいう「互いに了解しあって」などというのは解決の道にはならないでしょう。(終わり)

何清涟:抵制新疆棉:人权行动的经济学驱动
2021-03-29

经济学有条原理:当一家生产商严重依赖某一单一客户时,该客户对于商品往往具有较大的议价权。这道理用中国俗语表述,就是“客大欺店”。中国近年痛下杀手制裁澳大利亚,就是因为觉得自己是澳洲铁矿石、煤炭的第一与第二买家,既然你国的产品对我国的市场依赖甚大,那咱就玩一把客大欺店,看你们最后投不投降。没想到的是,因为新疆维族问题,居然会有H&M等企业效法天朝制裁澳大利亚的做法,拒买新疆棉花;接着又有耐克等加入,一时间好不热闹。

印太局势紧张、缅甸动乱后面的中国身影、再加上新疆问题,终于弄得现年97岁的美国前国务卿基辛格忧天下大势,公开表达希望:美国与西方盟友需要与中国就全球新秩序达成谅解,否则将面临第一次世界大战前的危险。

中国的底气来自何处?

这个全球新秩序其实就是一条:中国要有与美国相等,甚至更大的话事权。中国的自信来自两点:一、全球各国对中国的经济依赖;二、西方的太阳正在落山。两点都有一定的现实基础。阿拉斯加会谈,杨洁篪们的自信就来自于这两点。

回到世界市场上来,任何市场都有涨有落,有时是供不应求的卖方市场,有时成为供过于求的买方市场。所谓经济制裁,说穿了,就是国际社会当中那些在金融支配力、市场供给、资源供应等居于优势的国家,利用自身最大的买家或者卖家优势,迫使那些在这三者当中对自己有依赖的国家服从自己。西方国家当年在“六四”之后对中国短暂的制裁,后来对缅甸军政府的制裁,都是这一类型。

中国经济高速发展的那些年,外汇储备超过三万亿之时,中国确实是世界各国产品位居第一、第二的最大买家。然后中国极其敏锐地发现,这种经济依赖可以转化成政治要挟的工具,于是开始玩起制裁来了。用来第一个小试牛刀的就是南韩,接下来是澳大利亚,甚至发展到利用澳大利亚对中国的经济依赖,在该国发展统战力量,用民主摧毁民主。整个过程我在《各国经济依赖中国,终成北京政治要挟的工具》中写过,此处不赘。

这种将他国对自己的经济依赖玩成政治要挟的把戏,中国在2020年的“口罩外交”当中曾想故伎重施,因各国太过反感而不得不放弃。

但是,国际经济还有个比较优势理论,谈的是各国经济与产业发展,本就是优势互补。中国独独忘记自己的优势有如沙堡,一是外汇储备90%左右来自于与美国的外贸,二是也有中国充当卖家的时候,比如这次背后新疆棉花问题。

BCI:中国遇到的“大店东”

新疆棉花——中国遭遇的是最大客户的买方制裁,与澳大利亚遇到中方拒买性质相同。

目前,全球棉花年均产量约在2500万吨左右。其中,印度产量占26.1%,中国为24.4%,美国为13.2%。对中国来说,棉花是个千亿元级别的重要产业。中国也是全球最大的纺织生产国,除了自身生产的棉纺终端成品出口外,还有很多是棉纺中间品出口到第三方国家。一句话,棉花在中国是个千亿美元的大产业。

那么,这个H&M又是何方神圣,为什么它的抵制能让北京暴怒?这点北京很清楚:H&M禁用新疆棉花的背后,还有Nike、Gap、ZARA、UNIQLO等品牌,他们背后的主导者实为BCI。BCI是Better Cotton Initiative的英文缩写,全称是“良好棉花发展协会”,中国是其最大客户,专为中国客户设置中文网页。简言之,BCI是供应链联盟,掌握定价权。BCI拥有五个类别的会员,分别是:1、零售品牌会员,也就是采购商,比如H&M,耐克等;2、供应商制造商,以棉商、纱线厂为主;3、种植者组织;4、其他类别,主要为供应链提供技术的公司;5、社会团体,主要为与棉花相关的非营利性组织。

BCI的供应量约占全球的30%左右,它组织的采购量和供应量在全球首屈一指,掌控着棉花的标准和定价权。面对这样一个掌握供应链主导权、定价权和产品标准的大店东,一向以大买家身份话事的中国,算是遭遇对手了。

中国的问题不止是棉花,据奥纬咨询不久前发布的报告称,2020年有4000亿元人民币从中国这个全球最大的服装市场蒸发,大多数中国服装品牌面临经营风险。

在此情况下,这几家BCI成员以强迫劳动为名抵制中国新疆的棉花,等于抓住中国的弱点痛殴。有BCI在背后,这把新疆棉之火可能还会延烧一阵。最新消息是:意大利名牌班尼顿和OVS捍卫人权拒用新疆棉;雨果博斯(Hugo Boss)发官方声明,撤掉早先支持新疆棉的表态。

中国与BCI性质不同,责任风险大不一样

中国是个国家,本国经济好坏直接影响到税收、就业。新疆棉花被抵制,对政府财政、社会安定影响甚大。BCI只是个垄断棉花行业供应链、定价权、产品标准的NGO,每年收取会员费用,供方、需求方的赢亏与其没有直接关系。中国新疆棉花卖不出去,BCI自会寻找替代产品,会费仍然照收。这种主体地位不同带来的不同责任后果,注定中国政府一开头就处于不利地位。全球化之后的世界,无论是美国的911,还是后来各种形势的反恐,以及应付移民无疆界的大篷车,没有一个政府应付裕如,政府与政府之间的那套外交、利益制裁、军事威胁都不适用。更何况,BCI还掌握着道德王牌:中国政府对新疆维吾尔族的种族灭绝政策。

商战如战,运筹帷幄也难万全

即使政府对政府之间的经济制裁,比如中国对付澳大利亚想以世界上最大铁矿石买家身份夺走定价权,占全球需求量的65%,中国因此认为,可以凭借澳大利亚对中国订单的依赖获得较大的议价权。但在铁矿石的问题上,中国漏算了一点:中国进口的铁矿石有三分之二来自澳大利亚,澳大利亚的铁矿企业在中国减少购买后不得不减产;但世界第二大铁矿石生产国巴西却无法成为供给替代方,结果由于矿石供应短缺导致澳大利亚铁矿石价格飞涨。2020年12月11日,中国大连商品交易所的铁矿石期货价格上涨近10%,中国买家直呼澳大利亚不讲武德。在此形势下,中国现在对澳大利亚的拒绝购买已经悄悄放弃了好几项,包括煤炭在内。

国际新秩序的建立往往伴随着各国经济、政治方面的争斗折冲,各国要保障自身的利益,不会轻易让步。面临中国咄咄逼人的进击姿态,西方国家一直采取谅解姿态,结局就是目前这种状态。在此情况下,基辛格先生的“互相谅解”可能并非解决之道。


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