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何清漣★フランスの「エレガント・レフト」が米国の極左を恐れる 2021年3月16日



 欧州は左翼の発祥の地で、フランクフルト学派(訳注:独、米を中心とする新マルクス主義)は現代の新左翼の法王と言えましょう。しかし、現在の欧州左翼はもはやアメリカの左派に何でも同調しようとはしません。意外にも米国左派の反人種主義についていけないということです。サセックス公爵ヘンリー王子の配偶者、メーガン妃はヨーロッパでも「人種カード」を切ても、効果が無かったのは、そうした反応の一つに過ぎません。

 メーガンは王妃になってから、王室に腹を立て「婦唱夫随」で何年もお騒ぎを起こしていますが、結果は出ていません。

 米国に暮らす彼女は、BLM運動(「黒人の命は大切だ」運動)からヒラメキを得て、自分もBLMの血統であることに思い至り、これまで王室から自分の子供がどれほど黒いかと言われたとか、王子の地位を得られなかったことを思い出し、ついに王室に、家庭内の問題を今世紀最高級の「人種差別」として核爆弾級の「ジョーカー」カードを王室に投げつけ、「国際事件」としました。(訳注;イギリス王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃がアメリカのテレビ番組に出演し、メーガン妃が王室内で差別的な扱いを受けていたと語ったことがCBSテレビで2時間にわたって放送されたこと)

 米国の主流メディアは自分たちこそ世界の左翼メディアの傑出した指導者だと思っており、さらにダイアナ妃が大好きで、反人種主義に大変熱心です。

 ですから、ダイアナ妃の息子の嫁であり、米国のアフリカ系の女性スターが、なんと英国王室から人種差別を受けた、となればよしきたとばかり王室に向けての天地を揺るがさんばかりの攻撃を開始しました。

 大衆に、これぞ「ポリティカル・コレクトネス」に反する最大の出来事だと言いだし、ひいては英国王室の存廃の危機だ、などと余計なお節介論議まで飛び出しました。

 騒ぎはやがて、エリザベス女王が王室幹部緊急会議を開き、バッキンガム宮殿は3月9日、声明を発表。「サセックス公爵夫妻がオハラ・ウンフェルのインタビューを受けたなかで人種問題について言及したことは『大変懸念されることだ』、『記憶には違いがある』、しかし『極めて深刻に受け止めている』とし、オプラ・ウィンフリーのインタビューにおいて提起された問題は王室内で解決する」と述べました。

 これは王室が礼儀正しくメーガン妃の横っ面をひっぱたいたと言うことで、米国以外の各国メディアはみな喜びました。(訳注;女王は「この数年間がヘンリーとメーガンにとってどれほど厳しいものだったか、その全容を知った家族全員が悲しんでいます。提起された問題、特に人種についてのものは懸念される。記憶の相違はあるものの、極めて深刻に受け止めており、王室が内々に対処する。ヘンリー、メーガン、アーチーはいつまでも非常に愛される王室メンバーです」と発言した)

 米国の主流メディアは、いらだたしげに「女王は人種差別問題を追及する気はなく、大ごとにならないように問題を矮小化した」と書きました。

 米国の大統領選挙では米国メディアと共同戦線を張って(訳注;反トランプで)肩を並べた英国メディアでしたが、今回は大多数のメディアがメーガンの人種差別話には乗ってきませんで、メーガンに皮肉や冷笑を連発し、英国首相も女王のやり方がまっとうだと発言しました。

 メーガンの「核爆弾」は王室を傷つけることができず、反対に自分の父親から「娘は嘘をついている、英国王室ははじめから人種差別などない」と言われ、その姉や弟もみな、メーガンが嘘をついていると言いだし、メーガンの欧州における株はがた落ちになりました。

 ホワイトハウス関係者によると、バイデン大統領は黒人への補償法案に署名する予定で、シカゴ近郊の民主党の町、イリノイ州エバンストンでは、マリファナ販売者からの資金に3%の税金をかけて地元の黒人に支払うことになっているといわれます。

 米国の民主党員たちが大喜びする一方で、フランスの政治家や一流の知識人、学者たちは、米国からの左派の暴走や「キャンセル・カルチャー」文化がフランスのアイデンティティを脅かしているのではないかとの懸念を次々に表明しています。(訳注;有名人や企業の発言や行動を糾弾し、不買運動を起こしたり放送中の番組を中止させたりするSNSで広がる動き)米国における人種、性別、ポスト植民地主義、とりわけ米国の大学の思想が、現在のフランス社会を破壊しており、フランスの伝統に対する攻撃である」と。

 アメリカではこのようなアイデンティティー・ポリティクスにより、学校や雇用、福祉などで黒人にあらゆる特権を与えるだけでなく、巨額の賠償金を支払うことになっており、アフリカやラテンアメリカの人々もいずれそれに倣って、旧植民地国であるフランス、イギリス、ドイツ、オランダ、スペインに賠償金を要求することになれば、たまったもんではありません。

 ★アメリカだけでやる、ことに

 3月9日、米国のシンクタンクでのブルッキングス研究所が「21世紀の米独および大西洋関係」をテーマにしたビデオ会議を開催しました。ドイツのマース外相は、「理性、信頼性、責任のもとで」中国やロシアに対する米国との協力を行うと述べ、「政治における理性は今日、脅威にさらされている」「我々は教訓を学んだ。今日、我々は自分たちの、労働者、経営者、家庭を我らの政策の中心に据え、国外では、他の民主国家と国際協力を果たす。言論操作や虚の情報が今、我々のお互いの信用を傷つけている。我々はより良い監督が必要で、国際的にもそうだ。こうした責任をハイテク大企業に任して放置することはできない」と述べました。

 アメリカの政治に関心のある人なら誰でも、今日、アメリカで労働者、農民、中小企業を代表し、伝統的な家族の価値観を語るのは共和党だけであることを知っています。

 2020年の選挙では、アメリカのハイテク企業による言論統制が世界に警鐘を鳴らし、法律によって規制しようとしています。 フランスの左派が、米国民主党に恐怖を感じるのは、その政策が常識から大きく外れてしまったということです。

 世界は変幻常なしです。過去に、欧州は次々と左傾化し、左傾しなかったのは「米国オンリー」でした。今や米国は一挙に世界の極左派のリーダーとなって、フランスのセーヌ川の左岸のカフェでコーヒーを飲みながら政治を高邁に論じていたフランスのエレガントな左派たちは、ついていけなくなって、再び「米国オンリー」になってきました。(終わり)


歐洲「優雅左」害怕美國極左升級版(何清漣)
2021/03/16

歐洲本是左派發源地,法蘭克福學派算是世界當代新左派的教宗。但現在歐洲左派已經不敢再亦步亦趨跟隨美國的左,焦點竟然是無法跟隨美國左派反種族歧視,梅根王妃打出的種族牌在歐洲失靈只是反應之一。

梅根當了王妃後,與王室置氣,婦唱夫隨鬧了好多年,但戰果不顯。生活在美國的她受到BLM運動的啟示,想到她那BLM血統,想起她的寶寶曾被王室評論過有多黑而未獲封王子的不快往事,終於找到了一枚核彈級的王炸發向王室,將家務事變為本世紀最高級別的種族歧視,成為「國際事件」。

美國幾大主流媒體從來就認為自身是世界左媒領袖、業界翹楚,加之熱愛戴妃,十分熱衷反種族歧視,一看戴妃的兒媳、美國的非裔女明星居然在英國王室受到種族歧視,那還得了,於是鋪天蓋地的炮彈射向王室,要其向公眾交代清楚這一政治不正確之最,甚至越俎代庖,開始討論英王室的存廢危機。

鬧到後來,女王在召開王室高級成員的緊急會議後,白金漢宮於3月9日發表聲明,稱薩塞克斯公爵夫婦在和奧花.雲費的訪談節目中提到的種族問題「令人關切」,「記憶或有不同」,但都將「認真對待」,採訪中提及的問題將由家庭私下解決——美國之外的媒體大都歡呼,這是王室很禮貌的打了梅根的臉。

美國主流媒體只好悻悻然表示:女王沒打算追查種族歧視,想大事化小。在美國大選問題上與美媒並肩戰鬥的英媒,這次大多數沒接梅根的種族歧視話頭,對梅根極盡挖苦之能事,英國首相則表示女王做事一向得體。、とr家形象大跌。

據白宮官員說,拜登將簽發對黑人的賠償法案,美國民主黨重鎮伊利諾伊州芝加哥市附近的埃文斯頓城,準備給當地的黑人支付補償費,資金從大麻銷售商那裏課徵3%的稅。

美國民主黨折騰得高興,但法國的政治家、著名知識分子和學者紛紛表示,擔心來自美國的失控左翼主義和取消文化正在威脅法國的身份認同,認為「美國關於種族、性別、後殖民主義的思想——尤其是那些來自美國大學的思想——正在破壞法國社會,是對法國傳統的攻擊」。想想也是,美國這種身份政治鬧到給黑人入學、就業、福利各種特權還不算,還弄出巨額賠償,到時非洲、拉美人民紛紛效法,要求前殖民地國家賠償,法、英、德、荷、西沒哪個擋得住。

終成「美國獨行」

3月9日美國智庫布魯金斯學會召開「21世紀的美德和跨大西洋關係」視像會議,德國外交部長馬斯在會上表示,將在「理性、可靠性和責任感齊頭並進」的情況下與美國合作對抗中俄,而「政治中的理性今天遭到了威脅」,「我們已經吸取了教訓。今天,我們把我們的人:工人、企業主、家庭放在我們對策的核心位置……在國外,我們必須加強與其他民主國家的國際合作。言論操縱和虛假資訊正在侵蝕我們對彼此的信心。我們需要更好的監管,在國際上也可以。而我們無法把這個任務僅僅留給大科技公司。」——關心美國政治的人都知道,如今的美國,只有共和黨代表工人、農場主、中小企業,講究傳統家庭價值。2020年美國大選中,美國的高科技公司控管言論,引起世界各國警惕並正在立法限制。美國民主黨集團能夠讓法國左派感到恐懼,說明其政策偏離正常軌道太遠了。

世事變幻無常,過去是歐洲紛紛向左,只剩下不肯左轉的「美國獨行」;如今美國一舉成了世界極左的領跑者,卻讓法國那些坐在左岸咖啡館裏高談救世情懷的優雅左派們無法緊跟,再次成了「美國獨行」。

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