★習近平の「時と勢いはわが方にあり」の意味を考える  2021年1月19日

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 波乱万丈の2020年を過ごした習近平は、今年1月11日に開催された省・閣僚指導者研修会で、「世界は100年に一度もない大きな変化を迎えており、時間と勢いは我々の側にある。そこに我々の決意と背骨があり、決意と自信がある」と得意満面に宣言しました。続いて「中国の発展は依然として重要な、前代未聞の戦略的チャンスがある」と言いました。「チャンスは問題より大きい」というのは、チャンスは中国側にあるという意味です。これに対しては様々な解釈があります。

 ★「勢い」は政治、イデオロギー、経済

 国際舞台では大事件があまりにも多く、全世界の注意力はすべてワシントンで1月20日に行われるバイデンの大統領就任式に向けられており、習近平の発言にはあまり注意を払われていません。中国語の世界では依然として二極化状態で、一つには中共メディアが大声で賛美する一方、批判者側からはいつもどおり「習近平の大ボラだ」「中国の危機は深刻で崩壊は近い」です。しかし、今回の習近平の言葉はホラではなく根拠があります。それは当然ながら彼の運の強さです。


 習近平が「時間と勢い」を語るとき、「時」はチャンスを意味し、「勢い」は「状況」を意味するのではなく 「天下の形勢」です。 2019年から一世を風靡した、いわゆる「グレートリセット」は色々言われていますが、核心部分は以下の数項目です。

 政治の上では、過去1世紀にわたって作られた「資本主義」、とりわけ自由競争資本主義を改めて全面的に再検討すること。正確に言えば、「大きな政府」と「大衆の利益のために、個人の自由」を縮小することです。

 資本主義体制の改革、撤廃、経済をコントロール、管理する政府の権限の拡大、「ポリティカル・コレクトネス」を基準にして社会の言論を審査する――こうしたことは、中国政府が大変ぴったりしています。これまで、世界にはこれほど強大な政府、全能の政府、土地、森林、河川など重要資源をコントロールした社会主義国家はありませんし、経済的な範囲や能力においても、世界に右に出る国はありません。

 イデオロギー分野では、世界はグローバリズムからグローバルリセットへ向かい、社会主義的な思潮がすでに次第に主流の地位を占めるようになっています。英米のミレニアル世代やZ世代に信奉者が集中しエチルならば、中国は華麗なる変身など必要ありません。

 中共はずっと四つの基本原則を堅持してきました。その中では「マルクス主義」を第一、社会主義の道が第二におかれています。その上の世代には毛沢東左派がどっさりいて、若い人々がすべて「ピンク色の共産党ファン」ですから、グレートリセットの中で、中国と西側国家の間で、イデオロギー論争が起きたところで、同一政党の正統争いまがいであり、資本主義と社会主義の争いなどではありません。

 中国が民主主義かどうかに至っては、2020年以後はもう対して重要ではなく、中国政府はそんなものは論点にならないと信ずる十分な理由があります。


 経済的には、グローバルな統合が加速しています。 米国の選挙後2カ月ほどで、東南アジアの近隣諸国も欧米諸国も、同盟を結ぶなどして中国への友好姿勢を示しています。 これまでの記事で分析してきたように、中国は米国の選挙時期をチャンスとして、対外経済協力のステップアップを図り、8年の歳月をかけて進めてきたRCEP-15の正式調印と、いうことを聞かない台湾の排除、東アジアと東南アジアを結びつける2つの協定を締結した。

 2つ目の結果は、7年間の交渉を経て、EUと中国が投資協定に原則合意したことです。 今回の合意は、欧州企業に中国の新市場を開放することを約束しています。

バイデン政権の正式就任を目前に控え、習近平はトランプ時代の米中経済デカップリング説が消え、トランプ時代以前の米中関係がすぐに復活することを確信しています。 そのため、1月15日、習近平が最近、スターバックスのハワード・シュルツ名誉会長に米中関係修復のための手紙を書き、シュルツ会長は大変積極的な反応を示したと、新華社が報じました。

 グレートリセットのプロセスで、世界経済における米、中、欧州連合の三本足の鼎状態は、もうできているということは誰も否定できません。ですから、習近平総書記が「100年に一度の大変化がおきている」というのは、ベルリンの壁崩壊後の結論の「20世紀の人類最大の教訓は社会主義的な思潮の興隆と衰亡だった」という時代が終わったのです。

「時と勢いは我が方にある」という習近平発言は、2019年の世界経済ダボス会議で公然と旗揚げされた「グレート・リセット」の基本的内容と、今、欧米で起きている変化を踏まえた判断です。

 ★中国政府はテック系大企業に独自の奥の手

 なぜ中国政府は米国のテック企業ではなく、スターバックスのCEOに手紙を書いたのか? 正確に計算した上でのことです。

 中国は長い間、米国の大手テック企業をはじめとする欧米諸国を取り込んできました。 簡単な話で、北京の魔法の道具は市場アクセス制限です。 米国のいくつかのハイテク企業は、米国とその他の国々とうまくやって、市場を独占して来ました。各国が不満に思ったところで、せいぜい独占禁止法を使って罰金を取る程度で、大きな制限をしようとはしません。

 しかし、中国政府は、立法、司法、行政の三つの権限をもつ三位一体ですから、立法は政府の必要でなんとでもなりますし、行動も素早いのです。もしすぐ何かを制限したければ、政府があっというまに法律を作ってしまいます。


 アメリカのハイテク企業は、中国市場での足場を固め、シェア拡大のために、中国が様々な規制を緩めてくれることを期待して、多くの技術特許を中国に譲渡する「市場化技術」戦略をとってきたが、これまで一度もその願いは実現していません。そして、アメリカに戻っては「中国政府が技術移転を強要している」「利益を求めている」と不満を漏らしていました。

 グーグルは中国政府の制限的な暴言に反発して2010年に中国市場から撤退しましたが、投資家から「中国市場への復帰に全力を尽くすように」と圧力をかけられ、3年後に日本のソフトバンクの子会社であるビジョンファンドとの合弁会社の名目でベンチャーキャピタルから出資を受けてようやく再び市場に参入しました。

 この苦肉の戦略は巧を奏し、2016年末までに、Googleは最終的に中国の検索エンジン市場で5位にランクされ、2017年12月までに、北京の6000平方メートルの人工知能研究所を設定することができました。 2020年、総額1557億元の中国の検索エンジンの広告収入で、Googleの所得は公表されていませんが、少なくとも10%を占めていると推定しています。

 他のハイテク企業は違います。フェイスブックのザッカーバーグは中国に参入しようと毛沢東先週を学ぶ姿勢をアピールしました。フェイスブックのアカウントチェックは有名で、フォックスの司会者のタッカー・カールソンらが、2020年10月下旬に報じたところによると、フェイスブックは、少なくともH-1B就労ビザを持つ中国国民をアルゴリズム開発担当にさせて、フェイスブックの発表内容を審査している。ツイッターの管理方法に至っては、ますます中国政府に似て来て、「ポリティカル・コレクトネス」(政治的正義)に反する言論をチェックしてアカウントを取り消し、まるで中国政府の微信(ウィーチャット)の翻訳版のようです。

 「グレートリセット」とは、ハイテク企業が世界のインターネットを掌握し、言論を統制し、超政府的な立場から政治的影響力を発揮する計画です。イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、オーストラリアなどは、ツイッターがトランプ大統領のアカウントをブロックした後に、これを制限する立法が必要だと思い至りましたが、中国ではそうではありません。中国政府は将来も、政府が全てを横断的にしっかり掌握しつづけます。

 以上のことは、確かに習近平に「時と勢いはわが方にあり」と思わせるでしょう。中国はグレートリセットの二つの主軸国家の一つですから、その協力意思と、程度は、かなり重要なものなのです。(終わり)

 
何清涟:习近平的“时与势”究竟指什么?
2021-01-19

经历过天翻地覆的2020年,习近平在今年1月11日举行的省部级第一把手讲习班上踌躇满志地宣布:“世界正经历百年未有之大变局,时与势在我们一边,这是我们定力和底气所在,也是我们的决心和信心所在”;接着又指出,“中国发展仍处于重要战略机遇期”,机遇和挑战之大前所未有,但“机遇大于挑战”,意即机会在他统治的中国一边。对此各有解读。

习近平的“势”涵盖政治、意识形态与经济

国际大事太多,全世界的注意力都放在华府的1月20日拜登的就职典礼,没太关注习近平说了什么。中文世界仍然是两极,一是官媒照例地大声赞好;二是批评者照例认为习近平自大吹牛,中国危机深重,接近崩溃。但是,这次习近平真不是吹牛,而是有所依凭,这依凭当然是他的时运太好。

习近平所谈的“时与势”,“时”指时机;“势”在此不是指“形势”,而是“天下大势”。从2019年开始风靡世界的所谓“大重置”,说者纷纷攘攘,其实核心点就那么几条:

政治上,要重新全面检讨过去超过一个世纪建立的“资本主义”,尤其是自由竞争的资本主义。确切地说,就是主张大政府和为了大众利益缩小个人自由。 改革 / 革除资本主义制度,扩大政府控制管理经济的权限,用政治正确标准审查社会言论——按照这些标准,中国非常符合:至今仍然是世界上少有的几个社会主义国家,超大政府、全能政府,政府管控土地、森林、河流等重要资源;在管控经济的范围与能力上,世界没有哪个大国能出其右。

意识形态方面:世界从全球化到大重置,社会主义思潮已经逐渐占居主流地位——如果说在英美这些国家,信奉社会主义思潮的主要集中在千禧一代与Z世代,中国连华丽转身都不需要。中共一直坚持四项基本原则,其中坚持马克思主义放在第一,社会主义道路放在第二。老一代中毛左不少,年轻一代普遍粉红。全球大重置过程中,中国与西方国家之间就算在意识形态上发生争论,那也是同一阵营的正宗与旁支之争,不是资本主义与社会主义之争。至于中国是否是民主制度,在2020年之后已经不太重要,中国政府有足够的理由相信这不会成为争论重点。

经济上,加速全球融合。自美国大选以来的两个多月,东南亚邻国与西方国家都向中国示好,纷纷签订盟约。在以前发表的文章中我分析过,中国抓住美国大选这个时间窗口,加强推进对外经济合作,签了两个多年未能达成的协议:成果之一是让酝酿了长达八年的RCEP-15正式签署,并将不臣服的“叛离之岛”台湾排除在外,达成整合整个东亚和东南亚的产业链的目标,让各国对中国产生更深的经济依赖,延续并加强以往形成的政治控制;成果之二是经过七年的谈判,欧盟和中国原则上同意了一项投资协议。该协议承诺向欧洲企业开放新的中国市场。拜登政府行将正式上任,习近平很有把握,特朗普时期的中美经济脱钩论应该从此销声匿迹,很快可以恢复前特朗普时期的中美关系。正因此,新华社在1月15日特地报道了习近平日前写信给美国星巴克公司董事会名誉主席霍华德·舒尔茨,希望他帮助修复美中关系,后者作了非常积极的反应。

谁也不能否认,大重置进程中,美、中、欧盟在全球经济中的三足鼎立状态已经形成。因此,中共总书记习近平说“正经历百年未有之大变局”,指的是柏林墙倒塌之后这一结论:“20世纪人类最重要的教训是社会主义思潮的兴起与衰落”过时了。他说“时与势站在我们这一边”,则是根据从2019年在世界经济达沃斯论坛公开亮明大旗的“大重置”的基本内容,以及目前正在西方发生的变化所做的判断。

中国政府对科技巨头有独特的控制力

中国政府为什么写信给星巴克CEO,而不是美国的高科技公司?这是经过精密算计的。

中国早就收伏了西方,包括美国的各大科技公司。说起来也简单,北京的法宝就是市场准入方面的限制。美国几大高科技公司在美国与其他国家都是顺风顺水,独占市场鳌头,就算各国有不满,最多启动反垄断法修理一下,罚点款了事,不敢有大动作。但中国政府集立法、司法、行政三权于一体,立法服从于政府需要,便捷快速。如果想即刻就做什么限制,可以由政府部门快速出台法规。美国高科技公司为了在中国市场上站稳脚跟并扩大市场占有率,曾实施“以技术换市场”战略,转让给中国许多技术专利,希望中国降低各种门槛,但始终不能如愿。回过头又在美国抱怨说,中国政府迫使它们转让技术,让政府出面找补好处。

Google曾因反对中国政府限制言论于2010年退出中国市场,但受到投资人的压力,为返回中国市场想尽办法与中国方面勾兑,终于在三年之后,以风险投资的名义获得与中国企业日本软银集团(Softbank)旗下的愿景基金合资的机会,再度进入中国市场。此番苦心终于得到回报,到2016年底,Google终于在中国搜索引擎市场上排名第五,到2017年12月,得以在北京成立了一个占地6000平方米的人工智能实验室。2020年,中国的搜索引擎广告收入高达1557亿元,Google虽然对外不公布其中国市场收入,但外界估计至少占了10%左右。

其他的高科技公司莫不如此。脸书总裁扎克伯格为进入中国市场认真摆出学毛选的姿势,Facebook审核用户发帖也很有名,据Fox主持人Tucker Carlson连线记者Sohrab Ahmari 在2020年10月下旬一次报导中说,“ FB至少有6名持有H-1B签证的中国公民,负责开发算法,审查用户在Facebook上发布的内容。” 至于Twitter的管理方法,越来越接近中国政府的互联网管理方式,删除政治不正确言论,给特定人物打蓝标并取消帐号,几乎是中国政府管理微信的翻版。

“大重置”计划当中,由高科技公司掌握全球互联网,控制言论,以超政府地位发挥政治影响。英、法、德、俄、澳等在Twitter封禁特朗普总统帐号后,意识到必须立法限制其作用,但在中国这里却想都别想。中国将坚持政府越越一切之上,掌控一切。

以上数项,当然会让习近平觉得“时与势站在我们这一边”。中国作为大重置的两个轴心国家之一,其合作意愿与合作程度相当重要。


(下篇将分析《新冠病毒为中国造成的时与势》)

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