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何清漣★ビルマ政局はすでに東西の代理戦争 2021年4月1日


 ビルマの政治対立は、3月31日に連邦議会の代表委員らによる軍事クーデターに対抗する新政府が発表されたことで、いよいよ長期的対立段階に入りました。同日、国連安全保障理事会はミャンマーに関する非公開の会合を開き、ミャンマー特使は安保理に対し、日をおって悪化する同国の危機に対応する行動をとるよう訴えました。また、軍事政権が民主化デモを暴力的に弾圧していることから、内戦や「ジェノサイド」の危険性を警告しました。しかし、中国は制裁に反対し、「軍政下の民主化」を望んでいます。

 東西の間でビルマでは軍事クーデターが怒ると、国際社会の様々なプレーヤーが必然的に登場することになります。米国など西側国家からすればアウンサンスーチーの政権掌握は西側のアジアカラー革命での成果がまだ残っているということを意味しますし、それはまだ影響力を維持していることにもなります。

 しかし、中国にとってみれば、政治的、経済的、地政学的な三重の利益があります。ロシアにとってはアジアにおける米・中対決でどっちを選ぶかという話ですし、ASEAN諸国には、自国の安全保障の問題であり、そのうち4カ国はミャンマーへの外国投資者のトップ10に入っており、経済的利益からASEANが仲介を望んでいます。

 ★西側国家の関心は民主と人権

 ビルマの政治エリートの多くは親西派です。1988年から2010年までビルマ軍政府はアメリカと長い間、関係が悪化し、ビルマはかって西側と数十年にわたって隔絶した関係にありました。

 しかし、2011年3月、軍事政権が解体され、ミャンマーで初めて民主的に選出されたテイン・セイン政権の主要な政治エリートは、親欧米派で、その政治理念と政府のグランドデザインはすべて西側の立法、司法、行政の三権分立制度に倣い、外交上も西側との関係改善に重点がおかれて、西側の支持を得ようとしました。

 6年以上の長きにわたって、ビルマの政治、経済、社会などの分野での改革では、たくさんの西側の顧問を招き、長年、西欧に亡命していたビルマのエリートたちも続々と帰国し、ビルマの大統領など高官の顧問やシンクタンク、メディア、NGO、実業界、教育などの分野の指導者となりました。

 2016年3月、西側が支持してきたアウンサンスーチー女史が始動する国民民主連盟(NLD)政権が誕生し、欧米との関係が 束の間の "ハネムーン "期間が生まれ、ビルマの対西側の好感度も最高になりましたが、2年あまりのち、ロヒンギャ問題でぎくしゃくして、再び悪化しました。

 アウンサンスーチーが政権時代、ミャンマーは「欧米からの投資の流入」を期待していましたが、現実は期待はずれでした。 ロヒンギャ問題以降、欧米企業のミャンマーへの投資はさらに減り、欧米人観光客も大幅に減少しました。

 ビルマは経済協力分野で、西側に大変失望しました。例えば、ミャンマー投資会社庁によると、2019年11月時点(1988年から数えて)で、ミャンマーは829億ドルの外国投資を集めてましたが、欧米全体ではミャンマーへの投資額は少なく、米国が合計5億3千万ドル、英国(かつてミャンマーの植民地宗主国)が45億5千万ドル、フランスが5億5千万ドル、オランダが15億6千万ドルなど、で他の欧米諸国からの投資はさらに少額です。原因は欧米諸国がミャンマーの民主的な人権状況や投資環境などに不満を持っているからです。

 欧米の投資額が少ないからこそ、欧米諸国は経済制裁の発表を遅らせているのです。 米国通商代表部は3月29日、民主的に選出された政府が政権に復帰するまで、米国は「2013年貿易・投資枠組み協定に基づくビルマとのすべての貿易関与」を停止すると発表しました。

 この協定は、ビルマ軍がミャンマーの民主化を認めたことに対する米国のお返しでした。しかし、米国とミャンマー間の貿易は多くなく、2020年の米国のビルマへの商品輸出額はわずか3億3800万ドル、ビルマからの輸入額は10億ドルにとどまっています。これに対し、ミャンマーの最大の貿易相手国である中国との貿易額は、2019-2020年度に120億ドルに達します。

 ★中国、シンガポール、タイは投資の安全に注目

 2019年12月31日時点で、ミャンマーに投資している上位3カ国は、順に中国(中国:209.3億ドル、香港:91.56億ドル)、シンガポール(223億ドル)、タイ(113.4億ドル)です。これはASEAN10カ国の中で最多です。このほか、ベトナム、マレーシアがそれぞれ21億6500万ドル、19億6300万ドルを投資しています。

 北京の目には、アウンサンスーチーは中国に友好的ではあるが、軍事政権ほどの信頼性はないと映っているようです。ミャンマーは、36カ国を含む中国の「一帯一路」計画の重要な位置を占めています。 中国は、中国・昆明から「皎漂港」(英語名;Kyaukpyu)を経て「ヤンゴン」(ミャンマーの旧首都)までのジグザグの「中国・ミャンマー経済回廊」を構想しています。

 中国はこの回廊計画に計38のプロジェクトを提案していますが、アウンサン政権はそのうち9つしか同意しておらず、審査も以前よりはるかに厳しくなっており、中国との本格的な大規模協力に明確な懸念を抱いているようです。
 
 このうち、北京が中国の安全にとって非常に重要だと考えている「皎漂港」プロジェクトは米国が支配するマラッカ海峡を迂回して、米国の対中海上石油輸送の生命線支配を突破して、中東の石油を「皎漂港」に上陸させ、ビルマから中国へのパイプラインで直接輸入できます。

  当初の計画では73億ドルを投資することになっていたが、アウンサンが政権を取った後、西側からの圧力を受けて京急港の建設を大幅に縮小し、第1期の投資額をわずか13億ドルに抑え、中国が建設を予定していた10基の大型港バースを2基に減らし、石油やガスの輸送能力に大きな影響を与えました。

  また、中国とミャンマーが協力して建設する7つの水力発電所のうちの1つである「ミトソン水力発電所」があり、発電量の90%が中国向けでした。工場の建設は2009年12月に開始されましたが、すぐに英国を拠点とするカチン民族機構による大規模な抗議活動が行われました。 2011年になると、ミャンマー政府軍とカチン独立軍(KIA)の軍事衝突により、工場の建設は中断されました。

 アウンサンスーチーが政権を取った後、中国はミトソン水力発電所をめぐって交渉を繰り返し、ビルマ側は発電所の建設を進めたくないことを明らかにしたが、中国・ミャンマー協定の条件である8億ドルの補償金を支払うことも望みませんでした。 中国にとっては、アウンサンスーチーの多国間バランス外交は、軍事政権の親中外交よりも不都合なのです。

 ★ASEAN諸国はミャンマー問題の内部解決を望んでいる

 世界銀行によると、2020年にミャンマーに承認された外国投資の最大の投資元はシンガポールで、同国の投資額は34%、2位は中国と香港で26%となっています。

 リー・シェンロン・シンガポール首相(リー・クアンユーの息子)の方針は前からはっきりしていて、米・中のどちらかに就くのではなく、実際は米国とは距離を置いた外交路線を取っています。

 要するに「現在、シンガポール人は中国系の華人を主体としており、多民族国家として(華人の比率は3割)で、主要な政治・経済文化である英国式の政治体制と自由市場を肯定し、米国の戦略的保護と中国の経済的支援の両方に依存つつ、米・中間でバランスをとっています。タイとマレーシアの中国に対する考え方も似たようなものです。安全保障は米国に、経済発展は中国に依存するという路線をとっています。 

 ですから、3月2日のBBCの報道によると、アメリカのバイデン政権がミャンマーに新たな制裁を加えると言ったとき、外国からの投資の大部分がアジアから来ているミャンマーにとって、アメリカの制裁の影響は限定的であると話していました。匿名のヤンゴンのビジネスマンは、「心理的なショックはあるだろうが、実際のドルの額で言えば、これまで欧米の投資に依存していたことはない」と語りました。

 東南アジアの政府関連業務を専門とするコンサルティング会社であるVriens & Partners社は、ミャンマーに投資する外国のクライアントのために、エネルギー、インフラ、通信などの分野を中心に30億ドルから40億ドルのプロジェクトを扱っています。

 同社のマネージング・パートナーであるハンス・ヴリエンスは「ビルマは、すでに新型インフルエンザや投資意欲の減退などの問題を抱えているが、政治的な混乱の影響も大きくなっている」と言います。

  バイデン政権が対ミャンマー制裁の復活を予告していることから、欧米や日本の企業は今後ミャンマーへの投資を躊躇し、関連ビジネスが中国にシフトする可能性があります。

 今のところ、ミャンマーではどちらも一歩も引かない激しい対立が続いています。 NLD側には多くの支持者がいて、30近くの欧米諸国や国連が明確に支持を表明しており、民主主義を守るという道徳的なカードには人々を奮い立たせはするものの、実際に有効な切り札はあまりありません。今、できるのは NLD側の新政府に資金を提供することぐらいです。

 一方、軍事政権は背後に中国を持ち、銃の力に頼っています。さらにロシアに加えて、中国とASEAN諸国の一部が主張する「ビルマ憲法に基づいた解決」です。双方が道義上の優位と武力の優位で対決するなか、手中のカードは「NLDの総選挙での不正行為」です。

 現在、このミャンマーの国内選挙に端を発した今回の軍事クーデターでは、表舞台で格闘している両者がさらしているのは表向きのカードに過ぎず、本当に決定的な作用を持つのは両者の後ろ盾次第でしょう。(終わり)

何清涟:缅甸政局已成东西方代理人之战
2021-04-01
3月31日,缅甸联邦议会代表委员会宣布成立新政府对抗军事政变,缅甸的政治对抗终于走向长期对抗阶段。联合国安理会亦于同一天召开了缅甸问题闭门会议, 秘书长缅甸事务特使恳求安全理事会采取行动,因应缅甸日渐恶化的危机。她还警告说,军政府暴力镇压民主示威,缅甸面临爆发内战与 “大屠杀” 的危险。但中国则依旧反对采取制裁手段,希望军事统治的缅甸“民主转型”。

身处东西方角力的缅甸发生军事政变,国际社会的各路角色最后都必然站到前台来。对美国等西方国家来说,昂山素季掌握政权不仅意味着西方对亚洲颜色革命的硕果仅存,还意味着控制力与影响力;对中国来说,则是政治、经济、地缘政治三重利益所在;对俄罗斯来说,更多的是美中在亚洲对峙的选边;对东盟国家来说,既是自身安全所系,其中四国还位居缅甸十大外资国,有经济利益考量,他们希望由东盟来斡旋。

西方国家在缅甸的关切集中于民主人权

缅甸的政治精英大多亲西方。1988年至2010年,缅甸军政府与美国长期交恶,缅甸曾与西方隔绝数十年。2011年3月,缅甸军政府解散,首个民选政权吴登盛政府的主体政治精英亲西方,其政治转型理念和框架设计均是仿效西方的立法、司法和行政的三权分立体制,外交上重点改善与西方关系,争取西方支持。在长达6年多的时间内,缅甸的政治、经济、社会等领域的改革聘请了很多西方顾问,流亡西方多年的缅甸部分精英纷纷回国,成为缅甸总统等高官的顾问或智库、媒体、NGO、商界、教育等行业的领军人物。2016年3月,西方鼎力支持的昂山素季主导的民盟政府上台,与西方的关系曾有一段短暂的“蜜月期”,缅甸对西方的好感度也创了历史新高,两年多以后因为罗兴亚人等问题龃龉不断,再度交恶。

昂山素季执政时,缅甸曾热盼“西方投资大量涌入”,但实际情况不如他们所想。罗兴亚人危机后,西方企业赴缅投资更少,赴缅的西方游客也大减。缅甸在经济合作方面对西方大失所望。比如,据缅甸投资与公司管理局的数据显示,截至2019年11月(从1988年开始统计),缅甸共吸引外资829亿美元,而整个西方对缅甸的投资较少:美国投资共计5.3亿美元,英国(曾是缅甸殖民宗主国)45.5亿美元,法国5.5亿美元,荷兰15.6亿美元,其他西方国家对缅甸投资更少。原因是西方不满缅甸的民主人权状况和投资环境等。

正因为西方投资太少,西方各国因此迟迟未宣布经济制裁。美国贸易代表办公室于3月29日宣布,在缅甸民选政府重新执掌政权之前,美国将暂停“根据2013年《贸易和投资框架协议》与缅甸的所有贸易接触”。这项协议是美国当年对缅甸军方决定允许缅甸回归民主的回报。不过,美缅之间的双边贸易并不多,2020年,美国对缅甸的货物出口只有3.38亿美元,从缅甸的进口为10亿美元。相比之下,在2019-2020财年,缅甸与其最大贸易伙伴中国的贸易额达到120亿美元。

中国/新加坡/泰国关注投资安全

截至2019年12月31日,在缅甸投资最多的三个国家依次为中国(中国209.3亿美元,香港为91.56亿美元)、新加坡(223亿美元)、泰国(113.4亿美元)。这也是东盟十国中对缅甸投资最多的国家,此外还有越南、马来西亚两个东盟国家分别在缅甸投资21.65亿美元、19.63亿美元。
在北京眼中,昂山素季对中国友好,但远不如军政府那般可靠。中国囊括36个国家在内的“一带一路”计划,缅甸是其蓝图中重要的一环。中国构想了一个人字型“中缅经济走廊”,从中国昆明出发,一路到“皎漂港”,一路到“仰光。

中方就人字型经济走廊一共提出了38个项目,但是昂山政府只同意了里面的9个,并且对于中国提议的项目审核相比起过去严格得多,显示出昂山政府对和中国展开全面、更大规模的合作有明显顾虑。

其中,北京认为对中国安全非常重要的皎漂港项目可以绕开美国控制的马六甲海峡,突破美国对中国“海上油汽生命线”的控制,未来从中东来的油气就能从皎漂港上岸,走中缅油气管道直接运入中国境内。原计划是73亿美元的投资,但昂山上台后受到西方压力,大幅缩减皎漂港的建设计划,第一期投资缩减到只有13亿美元,让中国本来想建设的10个大型港口停泊位缩减到只剩2个,大大影响该港的油气输送能力。另外还有一座“密松水电站”,本是中缅合作的七座水电站之一,该水电站90%的发电量将运往中国。水电站2009年12月开工,但很快被总部设在英国的“克钦民族组织”发起大规模抗议。到了2011年,缅甸政府军和克钦独立军爆发军事冲突,水电站建设被迫叫停。昂山上台后,中国多次就密松水电站问题展开交涉,昂山挑明了不愿再搞密松水电站,但也不愿意按中缅协议条款规定的那样赔偿8亿美元。因此对于中国来说,昂山走的多边平衡外交路线,远不如军政府的亲中外交方便。

东盟国家希望缅甸问题内部解决

根据世界银行的数据,2020年缅甸最大的国外投资来源地是新加坡,该国对缅投资占核定投资总额的34%,中国、香港排第二,占26%。

李显龙的态度早就挑明,在美国与中国之间不选边站,其实就是走不亲美的外交路线。如果要概括这国的政治状态,那就是:目前新加坡人接受国家的主体民族是华人、认同国家作为多民族国家(保持约30%的非华人比例)、肯定主体政治经济文化——英式政治制度和自由市场、既依靠美国的战略保护也依靠中国的经济支持,在中美之间走平衡。

泰国与马来西亚对中国的态度也差不多,走的都是国家安全靠美国、经济发展靠中国路线。因此,当美国拜登政府说要对缅甸实施新的制裁之后,据BBC在3月2日的一篇报道中谈到,对缅甸来说,外国投资的大头来自亚洲,美国制裁影响有限。一名不愿透露姓名的仰光商人表示:“这会有心理冲击,但从实际的美元数字来看,我们从未依赖西方投资。”

专注于东南亚政府事务的咨询公司Vriens & Partners为在缅甸投资的外国客户处理价值30亿至40亿美元的项目,这些项目主要集中在能源、基础设施和通讯等领域。公司管理合伙人汉斯·弗里恩斯(Hans Vriens)表示,缅甸已经受到新冠疫情和投资意愿下降的双重打击,现在比这两者更严重的就是政局动荡。拜登政府威胁恢复对缅制裁,西方和日本公司今后在投资缅甸时都会犹豫再三,这会使得相关业务转向中国。

目前,缅甸的双方对峙仍然激烈,双方都无退让意愿。民盟一方,支持者多,近30个西方国家与联合国都明确表态支持,更有捍卫民主这张道义牌激励人心,但实际上可打的王牌并不多,目前可选项是给民盟新成立的政府提供资金;军政府一方,依仗枪杆子,背后有中国,现在还加上俄罗斯,还加上中国与东盟几国主张按照《缅甸宪法》解决纷争。双方成了道义优势对武力优势之局,手中的牌是民盟在大选中舞弊。现在,这场由缅甸国内大选引发的军事政变,在舞台上角力的双方只是明牌,真正起决定作用的是双方的后台。

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