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お前らアニオタは黙って「ゾンビランドサガ」と「ゾンビランドサガリベンジ」を見やがれ

いいかテメーら、黙って見るんだ。

「ゾンビランドサガ」は、株式会社MAPPA、エイベックス・ピクチャーズ、Cygamesが共同で制作したテレビアニメシリーズである。
佐賀県を舞台に、ゾンビとして蘇った少女たちがアイドルとしてサガを復興する物語だ。

なんでこんなゲームばっか語ってるアカウントで「ゾンビランドサガ」を今更語っているかって?
お前、何も知らないみたいだな。
こんな暴力を食らって何も書けないなんて、愚かにもほどがあるんだよ。
そのぐらい、このアニメは暴力的なんだ。

それを説明させてくれ。


1.圧倒的なまでの「力」

このアニメ、一言で表すなら「力」だ。
とにかく力が半端じゃない。

まず制作陣を見てくれ。
原作があるわけでもない、アニメ発の作品で、「呪術廻戦」や「チェンソーマン」なんかを作ってるバケモンアニメ制作会社のMAPPA、天下のゲーム制作会社Cygames、音楽の申し子Avex。
どうなってる?
どこを見ても隙のない布陣だろ。
これを見て力がないアニメができるわけがない。
実際とんでもないアニメができている。

何がやばいかって、このアニメの熱すぎる「力」だ。
特に「ゾンビランドサガリベンジ」4話の「激昂サバイブ」という曲は、本作の力を象徴する一曲といえよう。
まずはPVを見てほしい。

これ、ほんとにアイドルのライブかよ!?
とんでもないドラムパフォーマンスはともかくとして、この力強すぎるサビのボーカルは気持ちがいいほどに完成されている。
デスメタルというジャギーでシビれる曲で、アイドルなら力負けしてしまうようなメロディーをしてるのに、センターを務める紺野純子の歌声は恐ろしいほどまでに力強く、音楽をものにしている。
そして、最後にはギターを破壊して自分の殻を思いっきり破る。
これがさ、アイドルなんだぜ?
わけわかんねぇよ。

しかもこの曲でメインボーカルを張っている純子というキャラ、俺の推しなんだが、生前は60年代のアイドルなんだ。
60年代のアイドルらしい、女の子としてのお淑やかさを前面に出したようなキャラをしている。
実際、生前はソロでフォークソングなんか歌ってるやつだったんだ。
それがさ、エレキギターかき鳴らしてとんでもない力強さの歌声出してるんだぜ?

ギャップ萌えも良いところだろ!結婚しろ!
こんな痺れるような一撃を発射してくるこのアニメ、パワーに溢れすぎている。
こんな力のあるアニメ、見たことがない。
今どきのアニメの原作ウケなんて関係ない、とてつもない力で作られたアニメだ。

じゃあこんなギャップばっか出してんの?と思われるかもしれないが、全くそんなことはない。
リベンジ第7話の「ぶっちゃけてフォーユー」を聞いてくれ。

なんだこの超ド級アイドル曲は!?
ハイテンポな曲がマジで気持ちよく吹き抜けていく。
ダンスも思いっきり学祭風に仕上がっており、あまりにも気持ちいい。
歌詞まで思いっきりハイスクールライフで、青春が過ぎる。
アイドルすぎるだろ…。
この回では7号という新キャラが登場し、新メンバーとして歌って踊っているのだが、それを祝福するかのようにザ・アイドルな曲を出してくるのだからサイコーだ。
在りし(ないけど)青春の高校時代を思い出してしまった。最高のアニメすぎるだろ。

とにかく、このアニメは力がありすぎる。
どんなアニオタも力で黙らせるようなパワーに満ち溢れたアニメだ。

これに触れていないのはもったいない。
アイドルアニメだからって舐めちゃいけない。
その圧倒的なまでの力に恐れおののいてくれ。

2.佐賀×ゾンビ×アイドル

このアニメ、まだまだヤバいところがある。
というか普通に考えてほしいんだが、何食ったら「佐賀×ゾンビ×アイドル」なんて方程式思いつくんだ?

百歩譲って「佐賀×アイドル」、これはわかる。
佐賀を救うためのご当地アイドル物語、なんて、結構ありがちなやり方だもんな。
実際ご当地アイドルからまちおこしをしよう、なんて考える地方自治体がいてもなんらおかしくない。
アニメとしてどう展開するかはともかくとして、佐賀からアニメを作れ!なんて言われたら出てきそうなアイデアだよな。
実際「おちこぼれフルーツタルト」とかは小金井のご当地アイドルみたいになってるし(まぁあのアニメはご当地ってより下ネタアニメなんだが…)。

だけどよ、お前「ゾンビ」ってどこから出てきたんだよ!?
意味が分からん。
ゾンビ×アイドルも繋がらないし、ゾンビ×佐賀も繋がらない。
そんなものがねじ込まれている。
だから、普通だったら意味わからんアニメになる。
というか、少なからずどこかで辻褄が合わなくなってくるから、3つのうちの要素を薄くして、アイドルアニメかゾンビアニメにするのが無難だと思う。

だけど、このアニメはそれを絶妙なバランスでやってのけた。
職業として、人の目に映る存在としてアイドルアニメの側面が若干強いけど、このアニメは「生前のエピソード」や「昔の人との出会い、別れ」、「時代を超えたギャップ」を通じて、ゾンビアニメとしての価値を如実に提供している。
佐賀の主張も(これは後程詳しく話すが)しっかりしていて、バランスが崩れることがほとんどない。
矛盾しているとは言わないけど相性が悪いコンテンツ同士を、ここまで見事にくっつけているのはすごいを通り越してありえない。
シナリオライター、ヤバすぎるだろ…。

しかも、本作は主人公側がゾンビになっていることで、パニックホラーとは違う側面からゾンビアニメの価値を高めている。
これによってアイドルアニメと矛盾しやすいパニックホラーの側面を抑え、ゾンビ×アイドルの形を見事に演出した。
また、死というテーマをゾンビの側面に与えることで、ヒューマンドラマの演出にも成功している。
さらに、ゾンビが蘇生された過去の人間であることを利用して、時代を超えたアイドル像への葛藤も描ききっている。
そう、本作は、絶対に噛み合わないジャンルを絶妙な設定をつけることでかみ合わせ、「主人公側をアイドルかつゾンビにしてしまう」という大胆な発想で全部まとめこんでしまったのだ。
ヤバすぎる。

なお、この「ゾンビ」という対象にも研究があるらしく、近畿大学の岡本先生らが中心となって「ゾンビ学」という学問が立ち上がっているらしい。
自分の解釈では、ゾンビっていうのは抜け殻で、自我を持たない存在として描写されるから、そこに人々が「感情やストレスを持たないことへのあこがれ」を感じて、ゾンビに興味を持つらしい。
「ゾンビランドサガ」には、自我が回復しないゾンビ「たえ」がいるけど、彼女もそういった羨望を持たれるのかな…?
ともかく、世の中ってスゲーよな!

3.佐賀をディスる癖してお前大好きなんだよな

このアニメ、舞台は佐賀県だ。
佐賀県について、皆さんはどんなイメージをお持ちだろうか。

  • 佐賀県?どこだよ!

  • はなわの歌ってた場所じゃんw

  • パッとしない県だよね~。

こういった印象だろう。
もっとも、俺自身もこのアニメを見る前は佐賀に興味なんてなくて、はなわぐらいのイメージしかなかった。
後々調べてみると、住んでみたい県で最下位になるほど人気がないらしい。

しかし、本作は佐賀が舞台になっている。
言っちゃアレだが、なんでここにした?ぐらいのド田舎だ。
Cygames本社があるという裏の事情があるにしても、あまりにも意味不明な舞台設定である。
だから、「ゾンビランドサガ」も、ご当地アニメとして佐賀を盛り上げるべきだし、佐賀の魅力をちゃんと伝えてくれる…。

…わけではない。
実はこのアニメ、開幕から「佐賀は人気ねぇ!」とか言っちゃう。
作中では宣伝のために地元のお店に行くのだが、あまりにもボロい見た目からアイドルに「掘っ立て小屋」「ローカルな感じ」とディスられる。
というかゾンビという題材がご当地を魅力的に映すわけがない。
そもそもの前提から間違っている。
ご当地アニメのくせして、アニメ側がご当地をディスっているのだ。
ご当地アニメの風上にも置けない。

と言いたいところなのだが、実際は佐賀の風景が映るように工夫がされている。
例えば、作中でキャラクターが葛藤するシーンでは、唐津市の海岸や夕暮れの公園などが扱われているし、ゾンビたちの住処はこれまた唐津市の「歴史民俗資料館」だ。
ゾンビたちが初めてライブを行ったライブハウスも実在するし、ロケで行った「ドライブイン鳥」も実在する。
そこで劇的なドラマが起こることで、視聴者の脳裏に背景が残るようになっている。
さらに、アイキャッチでは佐賀の店舗や郷土料理、観光地など様々なロケーションやアイテムが映ることで、佐賀の名物を自然に覚えられるようになっている。

じゃあなんでディスなんてシーンがあるのか。
わかりやすい話なのだが、俺はこれを佐賀県を自虐的に見せるコメディ的要素と捉えている。
自虐的に佐賀県をアピールすることで、一般的に「ここが魅力だよね」とか「ここが特徴だよね」みたいな感じで地元視聴者の共感を得るアニメとは明確な違いを見せつけている。
だから、視聴者としては「ご当地アニメなんて地元民以外ごめんみたいなアニメでしょ?」といった偏見を持つことなく、自然と佐賀が舞台であることを理解し、のめり込めるようになっている。
そう、「ゾンビランドサガ」はご当地要素を常に自然に見せているのだ。

だから、このアニメって佐賀嫌いに見せてめっちゃ好きなんだよね。
見てわかるぐらい簡単なことなんだけどさ。
「それに気づかない」っていう自然さが、このアニメのヤバいところだと思う。

4.佐賀・性・サーガ

さて、こんなにも佐賀が大好きなアニメ。
凄いのはオタクがこのアニメを見て、自然と佐賀が好きになっていくさまだと思う。

このアニメは最初に言った通り、「アイドルアニメ」だ。
だから、あくまで視聴者はアイドルの姿を見ることを目的としている。
ゾンビであることでの生前の諸々や、アイドルとしてのアイデンティティで葛藤するフランシュシュの皆は、少なくとも佐賀に縛られる存在ではない。
だから、テレビの前のオタクは佐賀に対してのイメージ像の変化はあれど、目的となるアイドルアニメとしての供給以上のものは求めていない。

しかし、「ゾンビランドサガ」は自然に背景に佐賀各地の名所を取り込むことで、オタクに佐賀の魅力を暗に示すようにしている。
これができるのは「佐賀を自然に見せる演出のすごさ」と「背景を忠実に、そして綺麗に再現するすごさ」だ。
先ほど述べたように自然に見せることで無意識にオタクに背景を染み込ませるだけでなく、高い技術力によって風景を完全再現することで、より顕著に印象深いシーンと背景を連想できるようにしてある。
こうして、オタクは佐賀の景色を無意識に脳裏に焼き付けられていく。

そうしたオタクにとって、佐賀はどのような存在になっていくのか。
俺は「第二の故郷」になる、と思っている。
佐賀を訪れたオタクだとよりその思いは顕著になっていく。
佐賀の風景にシーンの思いをはせ、観光しながら佐賀の料理や街並みを堪能していくうちに、だんだんと佐賀への愛着が増していくのだ。
そして「また来よう」と思うようになる。
佐賀を昔から愛した土地のように、身近な存在として感じるようになる。
正直、俺はアニメを見終わった後「佐賀に住みたい」と思ったぐらいだ。
それぐらい、本作には佐賀の魅力が詰まっている。

ちなみに、このオタクの愛着は、地域社会学の用語における「関係人口」の変遷にかなり近い。
関係人口とは、自分の居住地とは違うまちを訪れ、地域社会の発展のために行動する外部からの来訪者のことを指す。
親戚の移住などもこれに含まれるが、いわゆる「風の人型」と呼ばれる人々は、あまり関係がないけど地域社会を訪れて貢献する人材だ。
オタクはこの「風の人型」にかなり近く、地域社会内での活動貢献を見込むこともできるのではないだろうか。

本作「ゾンビランドサガ」は、そうした愛着を出すトリガーがかなり自然に、そしてかなり有益に作られている。
恐ろしいことに、知らないうちに佐賀のことが大好きになっているのだ。
まさに佐賀ゾンビ。
しかし、そうして愛着を持って佐賀を訪れるファンを作り出せることも、このアニメの「力」だと思う。
実際自分もその一人なのだから。

5.俺は佐賀を好きになった

さて、最後に自分が佐賀を好きになった話をしようと思う。

ここまで読んでいて察した方もいるかもしれないが、俺はこの「ゾンビランドサガ」を学生時代の研究対象にしていた。
最初から「佐賀に人を集めるためにどんなアニメを作ったんだろう?」と思ってこいつを見ていたわけだ。
だから、ちょっと目線が違ったかもしれない。
普段からあまりアニメは見ない方だけど、ちょっと興味をもって、研究テーマ的側面から見ることにしてみた。

そうしたら、出てきたのは純粋なアイドルアニメだった。
正直度肝を抜かれた。
ストレートに面白いアイドルアニメが出てくるとは…。
キャラの葛藤もそうだけど、それを乗り越えて出てくる迫真のライブシーンに、俺は研究も忘れて夢中になっていた。
そして純子が推しになった。

それで、実際に佐賀に行ってみることになった。
佐賀の景色がどのように映るのか、俺自身が気になったからだ。
実際観光客として佐賀を回ってみることで、何を感じるのか知りたかった。

…実際、佐賀が諸観光地より目立っていてすごいかと言われると、俺は今でも首を横に振る。
規模で勝てるわけがないからね。
でも、佐賀には今でも「ゾンビランドサガが好きなんだ」と言わせるかのように、各地にグッズや面影が残っていた。
佐賀駅にはコラボグッズがあったし、ゆめタウンにはさくらの等身大パネルがあった。
たまたま訪れた「わいわいコンテナ」には巡礼ノートや映画決定の新聞の切り抜きが置いてあったし、佐賀市駅発のバスはラッピングまでされていた。
唐津に行っても、当時閉館していた歴史民俗資料館にはフランシュシュのぬいぐるみがあったし、レンタルサイクルはコラボの絵柄が書いてあった。
近くの公園に赴けば、マンホールにコラボした絵が記載されていた。
…とこのように、佐賀の各地に「ゾンビランドサガ」のアピールが為されていた。
そして、シーンの地へ赴けば、フランシュシュが苦労したりわちゃわちゃやっていた時のシーンが見事に思い起こされた。
そして、佐賀の街並みに「故郷のように思い出深い場所」という意識がしっかりと結びついた。

何より、佐賀で印象深かったのは「人」だ。
佐賀のバスセンターでバス券を買ったとき、受付のおばちゃんは「ゾンビランドサガ」の番組を見ていたことを教えてくれ、特番で「Snow man」のメンバーが出ていたことを教えてくれた。
各地を巡り歩いたが、そこにいる色々な人が「ゾンビランドサガ」のまちに溶け込んでいて、それでいて観光客であった自分を歓迎してくれた。
それだけで、「来てよかったな、また来たいな」と思うようになった。
超インドア気質の俺が「また来たい」なんて思ってしまうぐらいには、絶大な破壊力があった。

研究対象として行ったのに、いや、研究対象として行ったからなのか、俺は佐賀に対して「第二の故郷」ともいえるような強い愛着がある。
佐賀というまちに住んでみたい思いさえあるし、佐賀に骨をうずめることもやぶさかではない。
とにかく、今の俺は佐賀が大好きで、隙を見ては行く機会をうかがっていることだけは事実だ。
だから、そこまで人を引き付けるぐらい、このアニメはヤバいってことなんだろうな。

6.終わりに

ここまで色々言ってきたけどさ、俺が最後に伝えたいことは一つだけだ。

「いいからアニメ見ろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

よろしく頼む。

何?どうやって見るかって?
アマプラなら2期のリベンジは無料だよ!
ちょっとわからん部分もあるかもしれんけど、リベンジだけ見てもめちゃくちゃ面白いから見な!!!!!!!
1期から見たいならDアニメストアに入りな!
Dアニはアニメめっちゃ見れるから個人的に入っておいた方がいいぞ!
俺はDアニで「とらドラ!」見て号泣したからそっちも見ろ!

あと映画化待ってます 切実に


終わり!

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