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38の分岐点

たなかともこ@みかんせい人の
こちらの企画に乗っからせてもらいました

人生での選択、おしえてください *個人企画*|たなかともこ@みかんせい人 @tomoko_kana #note https://note.com/moimoko/n/nbf24e0ef764c


上⬆の記事読んで思い出してみた。

結婚して子供生まれて引っ越して誰も知り合いがいなくて実家は県外でそう頻繁に帰る事もできなくて
働きたいけど預ける場所もなくて求人に募集しても片っ端から不採用。産後1キロも痩せなくてさらに自己嫌悪。逆に体重はみるみる膨れ上がり着る服もなくなり、ストレスなのかなにかわかんないけどある日5円ハゲができてるのを発見。終わってる。毎日育児して家事の繰り返しの時にそれはやってきた。

10年前に通っていたマナースクールの新しい講座のお知らせ。実家に郵便が届いたらしい。

母から電話がかかってきた。
行けば?外に出なさい。学校のときは子供預かるわ。家に籠もってたらダメ。どんどんブスになる。せっかく可愛く産んだのに何なの今のそれ。せっかくスクール通っていたのに目も当てられない位になっちゃって。そんなになるまでいろいろ我慢して。あんた悔しくないの?

10年前に教わっていたのは衣食住にかかわる全てと立ち居振る舞いと西洋のマナーエチケットと和の作法。それに美の哲学と外見をよく魅せるためのテクニック
女子力が爆上がりするしかない授業。会社帰りに一年位ベーシックコースに行っていた。

…なのに今この有様。

講師養成講座。一年ちょっとくらいのコースで月に2回朝から晩まで授業がある。わたしは外に出たかった。ほんの束の間でもいいから一人の時間が欲しかった。深く考えずに母に行くって即答した。

講座に申込みするために10年ぶりにマナースクールに電話した。電話に出たのは10年前の担当の先生だった。年が一つしか違うのに次元が違う美しい人だった。講座申込みしたいのですが、というと先生は私を覚えていた。それにも驚くけどわたしが教わった当時先生は講師になりたてだったらしい。電話口で明るく笑いながら教えてくれた。微塵も感じさせなかったのはやっぱりプロだからなんだろう。

一生勉強することになるけどそれでもいいのね?と聞かれた。

あのレベルになるまでどれだけ努力したんだろう?

初めての授業の日。ほんとに着れるサイズが合う服がなくてぎりぎりかろうじて入る服を着ていった。それがその時の精一杯だった。他の服は入らなかった。スーツもあったが当然入らなく、そして新しい洋服を見る気力も時間もなかった。

最初の授業はオリエンテーション。教室に入ってすぐにしまった!と思った。他の人は皆スーツにハイヒール。しかもクラス感がちがう。漂う空気感にああ、この人達は元からそういう教育を受けてきた人達なんだとわかった。わたしは完全に浮いてた。講座の先生が自己紹介をしてくれた。彼女も次元の違う美しさだった。先生が私を見た。neigeさん。着てる服が似合わない。メイクもそう、髪はいつ切ったの?その髪型もカラーリングもあなたには似合わない。好きと似合うは違うの。あなたはそれで満足?どうしたいの?この講座はただ座って話を聞いてたらそれでいいってわけじゃない。自分を管理しなさい。次回からはジャケット着用、ヒールの靴じゃないと教室にははいらせない。

恥ずかしいのと事実を淡々と言われてぐうの音もでなくて下を向きっぱなしでオリエンテーションの間中顔をあげられなかった。

その後の授業も惨憺たるものであなた達テキスト読んでも自分でその書かれてることに対して疑問も質問もないの?あなたならこういうときにどうするの?
基礎をしっかりと身に着けないと臨機応変に動けない。本よんだからとしってるわかったつもりにならないで。忙しいとか家事とか育児とか理由にならない。ここは勉強する場所であなたたちは講座代金を払った。それに責任を持ち、自分で時間作り予習復習すること。当然課題も出すしレポートも提出してもらう。

テキストを全て暗記して何も無い状態であなたたちは登壇して授業や講座をしていくことになるのよ。わかってる?話を聞いて終わりじゃない。自分で関連する事柄全部洗い出して補足していくの。それが勉強するということ。だからマナーエチケットを勉強するということは歴史、古典、語学、ビジネス、衣食住、美あらゆる事を勉強しないといけなくなる。終わりはない。言われたことだけ指示されたことだけやってたらいいなんて適当な事しないでね。自分にプライドを持ちなさい。

朝10時から17時まで。はじめての授業でそういう話をされ、そこにいた全員黙り込んで冷水をかけられた気分だった。


オリエンテーションが終わり、自宅に帰って悔しいのと恥ずかしいのと情けないのとで泣きながら着ていた服を脱いでクローゼットを開けてバッグ、靴、クローゼットにかかっていた服、チェストに入れてる服もほとんどすべてゴミ袋に突っ込んだ。ゴミ袋6個くらいになった。美容室に予約を入れた。言われたことは全部やる。言い訳しない。と決めた。

あれが、分岐点だった。

課題は大量でレポートもあり、月に10冊本を読むこと
それを次回の授業で自分なりの見解を話してシェアすること歴史の勉強からなにから全部することになり
レポート出したら考察が甘いとバツをつけられる
時間管理が必須になり泣き言をいってる場合じゃなかった。やるしかなくて、体型管理も必要で食事管理もはじめ、子供が寝てるときにワークアウトのDVD見ながら運動。泣いて起きては中断されての日々。子どもは2歳か3歳になったばかりで一番手がかかる時だった
課題と予習と自己管理と家事育児でテレビなんて見る時間なくてあれからテレビ見なくなった。


毎回授業でこってり絞られ毎回外見の注意がはいり所作も話し方も全てががさつと毎回言われ、やり直しやり直しの連続。動作一つ、話し方に満足にできない悔しさ。

ヒールも履きなれていなくてはじめて履いて授業に出た帰り道、なれないヒールで転んで階段踏み外して落ちた。靴ずれが痛くて靴を適当に選んだ罰だと思った。

講座だけ受けても追いつかずスクールの別の単発講座も受けていた。美しく立つことすらままならずそこから必要だった。ハイヒールウォーキング、着付け、心理学、ボイストレーニング。テーブルマナー。
やればやるほど自分がいかに知らないできてないかを思い知らされ悲しい位自分を思い知ることになった。わたしだけずっと絞られまくっていた。みんなできていた。ついていくだけで精一杯だった。あんなに注意されたのわたしだけじゃなかろうか?要するに落ちこぼれの劣等生だった。

あれだけ痩せないと悶々としていたのにとにかくすることがいっぱいで忙しいのと焦りとプレッシャーに押し潰されそうで勝手に痩せていった。

そんな一年半ちょっとの日々を終え、
かろうじてベーシック、アドバンス、マスターコースまで修了することができた。

最後の最後の個人面談ではじめて先生から褒めてもらった。頑張ったね。わたしは見てました。

最初の授業に10人いた。みんないろんな事情や理由で抜けていった。マスターコース修了まで残っていたのは私を含めて3人だった。

先生はすごく厳しかったけど授業が終わるとすごくチャーミングでいろんな話をしてくれた。
やることやってる人は違う。わたしたちの倍努力してた。生活をきちんとしてるというのが端々でわかる。素敵な先生だった。


こうやって書いてみると結構頑張ったんだなとか
あれが活かせてないとかたくさん課題がでてくる。
初心に帰れた。


あれから6年まだまだ全然満足行く結果だせてない。
また入り直していちから学び直したいくらい。

道は続く。






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