なぜYahooの社員食堂は揚げ物税を導入したのか。

Yahooが社員食堂で揚げ物税を導入する、というニュースがありました。

社員食堂で、チキン南蛮や、とんかつの定食を注文すると、揚げ物税が100円かかるそうです。一方て、焼き魚定食や煮魚定食を注文すると150円引きになります。魚料理を食べるように促し、社員の健康増進が狙いとの事です。

では、わざわざ「揚げ物税」を導入したのはなぜでしょうか。揚げ物の定食代を値上げするのと何か違うのでしょうか。

例えば、とんかつ定食700円の場合を考えてみます。
ひとつは、揚げ物税を当てはめます。とんかつ定食700円+揚げ物税100円になります。もうひとつは、とんかつ定食800円にします。どちらも、支払う金額は800円です。

金額は同じなので売上はどちらも変わらないはずです。しかし、とんかつ定食+揚げ物税の方は売上を落とすと予測できます。なぜなら、揚げ物税には、心理会計と損失回避の力が働くからです。

心理会計とは、家計が予算を評価し、管理し、処理するシステムのことです。お給料を家賃、光熱費、食費、娯楽費などを封筒に分けるイメージです。私たちのほとんどが知らず知らずのうちに行っているのが心理会計になります。

心理会計上、とんかつ定食は食費から出費されるでしょう。では、揚げ物税は何から出費されるでしょうか。揚げ物税は、税金なので、食費には含まれません。そのため、別の予算から出費することになります。一方、値上げした800円のとんかつ定食は食費から出費されるでしょう。つまり、揚げ物税の目的は、食費ではない出費を生み出すことにあります。

心理会計には、代替可能性がないという特徴があります。よって、食費に含まれていない揚げ物税を食費で肩代わりすることができないのです。ここで効力を発揮するのが、損失回避の力です。

損失の苦痛は、利益を得た時の喜びの2倍強く感じられます。つまり、揚げ物税による100円の出費は、200円分の損失による苦痛に変化し、損失回避への行動につながるのです。

このことから、揚げ物税は損失回避の行動を促すために導入した、と推測できます。
ぜひとも、揚げ物税を導入した結果を知りたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?