日記
山とはいったいどこからが山なのだろう
海とはいったいどこからが海なのだろう
空とはいったいどこからが空なのだろう
人とはいったいどこからが人なのだろう
右手が机に 左手が梢に 頭が鷲に
深く光の粒を吸い、汎く心の燦く塵を吐き出した。
空はとめどなく 雲はゆとりを楽しみ
木々はくすくす秘密の会話を交わしている
私は深い井戸から染み出して、もっとも内のものともっとも外のものとが円環の端で抱きしめあった。
私はここに立ち、尽くした。すべてが一挙に転回され、展開され、天海された。
指の運びが雲の揺蕩いとなり、めぐらす視線は虫たちへの目配せとなり、魂のシンフォニーが鳥の鳴き声と森のさざめきと川のせせらぎとなった。
花がさいた。蜂が蜜をはこんだ。人がそれをたべる。ただあり、しかもあり、なんとあるのだ。
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