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vol.14 偽手紙と大阪までの旅路

 小倉までの道中マジで大変やった。

わしみたいな得体の知れへん若造を泊めてくれる宿屋もないし。

とにかく歩いたんやけど、道中で惣兵衛の偽手紙を書いてん。ほら、惣兵衛と別れる時に、下関の行きつけの宿屋の話を聞いてたやん?

だからその宿屋宛に、惣兵衛からの偽手紙を作ってさ、いわゆる保証状みたいなもんやわ。

で、下関ついてから、この宿屋に行って、その手紙渡したら、宿屋も信頼して、めっちゃよくしてくれたわ。

で、お金は今、手持ちがないから大阪の中津の蔵屋敷についたら、そこで払うわって言うたら、これも承諾してくれた。いわゆる保証状効果やで。偽物やけど(笑)

■大阪までの船旅
 下関から乗った船には観光目的なのか、いろんな奴が乗ってた。

アホそうな若旦那、ハゲたジジイ、娼婦、寺の坊主に百姓まで狭い船に乗って、みんなで酒飲んで博打しとる。しょーもないことで大声出したり、ほんましょうもない話で盛り上がってる。わし一人だけブスっとしてたわ。

 ほんで船が安芸の宮島に着いたんやけど、とりあえず島を見にわしも降りた。他のやつらは皆友達同士で来てるから、地元のもん食って、酒飲んで盛り上がっとる。

わしもめっちゃ飲みたかったけど、なんせ金がないから我慢して、船にもどって一人で船の飯を食ってた。

 それから讃岐にも行った。港から金毘羅まで十キロくらいやったけど、なんせ金がないから我慢して一人で船に残ったんや。

そしたら晩になって、他の奴らが帰ってきたんやけど、全員ベロベロや。

めちゃむかつくけど、しゃあないわな。

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