憂鬱を僕の中に残して
僕は海沿いにある小さな街に住んでいた。だから、小さな町のことしか知らなかった。見えている世界のことしか分からなかった。目の前で起こる出来事だけが世界の全てだった。戦争なんて映画の中だけでのフィクションだと思っていた。物語の最後は決まってみんな笑っていた。神様は居ると思っていた。だから。僕は幸せだった。”公正世界仮説” 努力すれば報われる思っていた。いい事をすれば相応の対価が享受される思っていた。不条理って言葉さえ知らなかった。自殺なんて言葉だけだと思っていた。世界は公平で、人