見出し画像

#28 『確定拠出年金実態調査結果』(最新版)を読み解いてみた

このような報告書を見つけました。

「確定拠出年金実態調査結果」

「企業年金連合会」という団体が毎年調査をして発表しているものになります。

「企業年金連合会」とは、1967年2月に厚生年金保険法に基づき厚生年金基金の連合体として設立され、法律改正により2005年10月に企業年金連合会に改組されました。企業年金の全国組織となります。

退職した人(中途脱退者)の年金資産を引き受け、将来的な年金給付を一元的に行う年金通算事業を実施するとともに、中途脱退者の年金資産を転職先の企業年金制度や個人型DC(iDeCo)に移換するなどの役割を果たしています。また、年金給付を行うための原資となる保有資産の安全かつ効率的な運用を行っているそうです。

この調査の最新版が2021年2月26日に発表されました。

ツッコミどころ満載のこの報告書を、主観的に読み解いていきます。
(※あくまでも一個人の見解です)

ただ、令和元年度(2019年度)の調査結果ということで、最新と言って良いのかどうか…。

※以下、グラフ・画像は調査報告書より引用

画像2

①調査の概要

・確定拠出年金制度の運営状況を統計的に把握し、制度の普及及び発展に資することを目的に実施
・2020年12月~2021年1月の期間に企業型年金の事業主684件から回答を得る

とありますね。統計結果には非常に興味がありますが、果たして「制度の普及及び発展に資する」というところに、大々的に調査結果を公表しているならばまだ分かりますが、ネットサーフィンをしていてたまたまこの調査結果を見つけたところが正直微妙ですね。もちろん個人的な見解ですので悪しからず。

②継続投資教育について

企業型確定拠出年金を実施している事業主は、継続的に加入者に投資教育を実施する必要があるそうです。

ん?

私の勤めている会社(確定拠出年金あり)でそんなことやったかな??導入するときには確かに説明会は受けましたが、当時はチンプンカンプン。「投資=危ないもの」、「資産運用=元本確保」の認識でしたよね。

画像3

継続投資教育の主な内容として、
・確定拠出年金制度の基本的な仕組み
・資産運用の基礎知識
・残高確認方法
・金融商品の仕組みと特徴
・確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計 

などなど。

「本当にやっているんですか??」とツッコミを入れたくなりますが笑

細かくはこちらのハンドブックに記載がありますのでご興味がある方は見てみてください。

さて、調査結果を読んでいくと、約75%の事業主において継続投資教育を実施していると回答とのこと。

画像1

「そうか、私の会社は25%の方なんだ」と、無理に解釈しています…σ(^_^;)

どの程度を「継続投資教育を実施した」としているのでしょう?加入者に、メール一通、またはお知らせみたいなものを配布しているとかなんでしょうかね?

クエスチョンマークが続きましたが、ちょっとこの「継続投資教育」においては腑に落ちない部分です。それも次の運用商品や利回り平均を見てみると、良く分かるのではないでしょうか。

③運用商品について

画像6

元本確保商品や投資信託の選定状況が記載されています。また各企業の「指定運用方法(=あらかじめ定められたデフォルトな運用方法)」を約4割の企業が選定し、その中の76%が「元本確保商品」を選定しているようです。

これって、本当に「継続投資教育」しているのですか??とツッコミたくなりますよね。…だから日本人は保険が好きなんですね。

画像7

加入者の掛け金ベースでは、「元本確保」対「投資信託等」はほぼ五分五分ですね。

④運用利回りについて

さあ、今回のテーマの本題。一番知りたかったのはここですよね。

画像4

★令和元年度の運用利回り平均=-1.2%

マイナス1.2パーセント」です。

コロナショックっていつだっけ?と思い返してしまいました。コロナショックは確か・・・2020年に入ってからでしたよね。どんだけ運用が下手なんだと…。

画像5

★通算運用利回り平均=0.6%

なんも言えません・・・。

さらにこのようなデータもありました。

【元本確保型商品のみで運用する加入者が8割以上存在するという企業が6.4%ある】

「継続投資教育をしているのなら、そんなことあるわけないじゃないですか!」と言いたいですよね。でもこれが現実なのです。

⑤まとめ

日本では「金融教育」が世界の中でとても遅れていると言われています。学校で「投資」なんて教わりませんでしたよね。そのような時代を過ごしてきた私たちは、「投資=危ないもの」と刷り込まれています。

この調査報告にあるように、本当のところは75%の事業主が加入者に対して投資教育をしているのかもしれません。ただ、前述の通りに刷り込まれている私たちには全く響いてこないというのも事実だと思います。

最近は「お金」に関する書籍・YouTubeなどが多く世に出て、徐々に個人の任意ではありますが「投資教育」が世間に浸透してきています。そして我が国ではついに2022年度から高校の家庭科の授業内に「金融教育」が導入されます。

↑私の妻の記事です。お時間あるときに一読くださいませ。

時代が変わってきていますね。

企業年金連合会もこの流れに乗り、積極的な「継続投資教育」を実施していただきたいと切に思います。

⑥補足

この報告書には、
・マッチング拠出の利用率
・iDeCoとの併用状況
なども調査結果として記載されています。私はマッチング拠出・iDeCoともにやっていません。ちょっと前までは、加入を本気で考えていました。

ただ、いろいろと勉強をしていく中で、「60歳まで引き出し不可」が引っかかるようになりました。

確定拠出年金・iDeCoは、老後のための資産形成として、掛け金が所得控除の対象に、運用益が非課税になるなど税制メリットは確かにあります。

でもどんなに運用成績が良く評価額がウハウハとなったとしても、60歳までは増えた資産を使うことができないのです。

この税制メリット以上の運用益がある金融商品が存在するのなら、そちらで運用したいですよね。しかも資産が拘束がされないのであれば、お金を使いたいときに使えますし。

老後2000万円問題とは言いますが、健康でなければお金があっても意味がありませんからね。

世には、日本に上陸していない前述のような金融商品は数多くあります。

私は、今更ながら確定拠出年金の拠出額を会社に減額申請し、別の運用をしていく予定です。

画像8


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?