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【週刊少年マガジン原作大賞応募作品】君は怪人、僕は凡人 第2話

※ヘッダー画像は舞台イメージです。

朝、文化祭で賑わう学校。その様子を見た通りすがりの少女2人が立ち寄ってみようかと会話する。
「見てよ、ちょうど文化祭だって」
「文化祭なんてどこもやってるだろ」
「それもそうね」
少女たちが立ち去ろうとする矢先、片割れのゴスロリ服の少女が足を止める。
「ねぇ、この学校さ。あいつらがいるみたいだよ」

場面は変わり、前回の最後からの続き。
ジャージ姿に着替えた真理花は東司から注意され、「何がダメだったの?」と聞くと「全部だ!」と返された。
「もしバレたらどうなるか考えてないのか」と言うが、「考えてなかった」と言われ呆れる東司。
受付の交代時間が来た二人は東司の提案で香莉守のクラスの出し物であるメルヘン喫茶店(コンセプトカフェ)を訪れる。
香莉守は二人に「さっきのアレ、スーツ? 凄く本格的だった」と言い、東司はバレないもんだなと胸中で思う。
しかし来るなりクラスの人がお腹壊したとかで保健室送りになり人手不足の話が出て、それを聞いた真理花は「じゃあ私が代わりにやったげよーか?」と安請け合い。
香莉守がデザインした可愛い制服に着替え、周りから似合ってるよと評される。
香莉守は「仲直り出来たんだね、よかった」と笑顔で応える。
「まぁ、色々あったんだ。詳しく言うと凄く長くなるから言わないけど」
その中で、入店したゴスロリ姿の少女に目を引かれる一行。
憂いを帯びた端正な顔と物静かな雰囲気、華やかな服装は店にいる人々を魅了する。
続けて、眼鏡に白衣の女性が入店。妙に高いテンションでミルクティーを注文する。
ゴスロリ少女はコーヒーを頼んだあと、東司へ「貴方、学校の人でしょ。ちょうど良いから案内してよ」と頼んでくる。
「別に構いませんけど、なんで俺なんですか」
「貴方ここの制服着てるじゃない」
ゴスロリ少女は東司を無理やり連れていった。
それを見た香莉守は声をかける。
「とうく〜ん、案内はしっかりやってよね〜」
真理花は置いてけぼりにされたことでふくれっ面に。

東司はゴスロリの少女と共に解説しつつ、他のクラスや部活動の出し物を巡っていく。
少女も出し物を満喫。東司は「なんかデートみたいだな…」と思い、少し恥ずかしくなり赤くなった。
少女は「うん、文化祭って感じだね。みんな外とかこれからの事とか何にも知らなくて、バカ騒ぎに浮かれてるってのが」と言う。
不穏なものを感じる東司。

その頃、真理花はふくれっ面のまま接客していた。
白衣の女性は「そんな顔で接客しちゃダメよ、マリちゃん」と言い、
「だってさ、なんかつまんないもの…というか、なんでここに来たのシノちゃん。いつも部屋ン中にいるのにさ」
女性は真理花の知り合いで鈴村の仲間である学者―ティコ・市ノ上(しのがみ)であった。
「はいはい、好きな男の子に可愛い恰好思いっきり見せられなくて残念だったね~私のプライベート用に写真はたくさん撮っておいたけど」
「じゃあそれ印刷しておいて!橘くんに見せるから」
なお、店員の注意も聞かずに撮りまくっていた様子。
程なくして店員から休憩入っていいよと言われたので早速、「橘くん探してきていい?」と言う。
香莉守は「折角だし宣伝にもなるからその格好のまま学校中歩いてきてね」と言い、真理花は橘を探しに行った。
市ノ上は「ここ、ほうじ茶ラテある?」と尋ねる。
「無いよ」
香莉守のクラスの委員長が冷淡に告げた。

真理花が廊下を歩いていると、突然声をかけられる。
目の前には浮浪者のような薄汚い格好の少女がいた。
二人は互いの正体を察する。
「あー…うん…せっかく楽しい事してたのに…」
「残念ながら、あたしはこれから楽しむんだよ…でもそうだ、うん」
少女は提案をする。
「今日くらいは平和的にやりあおう!」
真理花と少女は各クラスの出し物を巡っていった。
金魚すくい、射的、ダーツ、カタヌキ遊び、激辛料理一気食いと良い勝負を繰り広げていく。

一方で東司とゴスロリの少女は二人の騒ぎを偶然見て
「あのバカ、今度は何やってんだ…」と頭を抱える。
ゴスロリは「あんなに楽しそうなの久々に見たな…」と思う。

やがて、本格的にストリートファイトに突入。
戦いながら移動する二人。
そして真理花が薄汚い少女を追いかけた先は…校庭で行われている演劇部と現代視覚文化研究会による合同ヒーローショーだった。
舞台に飛び入りする形になってしまい、困惑する真理花だが、部活側がフォローしたおかげで、そういう演出だと誤魔化される。
「アドリブやってアドリブ!」と言われたので、半ばヤケクソ気味に
「皆さん!見てください!私の…変身!!」
と、真理花は変身。
「今だBGMかけろ!ドライアイスも使え!!皆で言うぞ!!! せーの、『チェンジ!エクソジェネレイトォ!!』」
現代視覚文化研究会の面々が即興かつノリノリで用意した結果、変身した真理花の姿はそういうクリーチャー系ヒーローなのだと観客たちに思われるなど、上手い具合に誤魔化され、大いに盛り上がった。
「おいおいおい!? あいつ、あたしらとは比べ物にならないくらいの化物じゃねーか!?」
薄汚い少女はその姿を見て猛ダッシュで逃げていき、真理花は直ぐに後を追って行った。
「惜しいなぁ、バイクがあれば…」研究会の一人がそう愚痴った。

その頃、東司とゴスロリは真理花を探して学校を回り続けていた。
突如、ゴスロリが何かに勘付き、東司を引っ張っていく。
そして薄汚い少女を追っていた真理花は屋上へと来ていた。
「ここなら誰の迷惑にもならないな…じゃあ、今度は真面目にやろうか!」
少女の髪と両腕が『鷹』を思わせる羽の生えた姿へと変わっていった。
『鷹』の腕から繰り出される斬撃は鋭利であり、変身した真理花の硬い身体に傷を付けていく。
かすっても傷が付いていく事で、真理花は何か無いかと思い咄嗟にひらめいた。
右手を左手で握り、硬く鋭く尖らせ、腕の関節を瞬時に外して長く伸ばし、『鷹』目掛けて振り下ろした。
「いっだぁぁぁぁ……これ、あんまりやらない方がいい……首のコレ(マフラー)の方がいい……」
痛さで怯む真理花。
寸前で避けるも、右腕を切断された『鷹』も怯む。
「まずい…こりゃ本当にまずい…」
『鷹』の顔から絶望が漏れ出る。
その途端。


「いやああああああああああリウウウウウウ!!!???」

屋上入口の扉が開き、ゴスロリ少女が叫んだ。

「殺す殺す殺す殺すぅ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その途端、真理花の右腕は大きく膨らみ破裂する。
辺りに血しぶきが飛ぶ中、表情を強ばらせたゴスロリ彼女の額からは二対の角が生え、顔には血管が浮き出ていった。
それを見た東司は驚く。
「君はまさか…怪人なのか…」

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