見出し画像

しゃべる画像

東京で一人暮らしをするという娘に「喋る見守り画像」を渡した。
「これに毎日声をかけると離れた場所からでも安否が確認出来るのだよ」
最初、等身大の私の画像を娘は嫌がっていたが、うるさく連絡されたり急に訪ねて来られるよりはと思ったのだろう。部屋に飾ってくれた。
「おはよう」娘は毎日私の画像に挨拶をする。「おはよう」私は挨拶を返す。

そう!喋る見守り画像など真っ赤な嘘!私は娘が心配な余り画像のふりをして娘の部屋に潜伏し見守ることにしたのだ!食事やシャワーは娘が昼間大学に行っているうち済ませる。仕事はテレワークにした。万事上手くいっていた。


しかし、昨夜娘が誰かに電話で「最近誰か部屋にいて見られてるような気がするんだよね」と話しているのを聞いてしまった。
そして今日、娘が部屋に彼氏らしい男を連れてきた。
「僕が部屋に隠れて見張ってるよ」
かくして私の真向かいに等身大の奴の画像が飾られた。戦いの火蓋が今切られたのだ!

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