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モノクロ卓「夏に逃げ水」

クトゥルフ神話TRPG「夏に逃げ水」のセッションログです。
※自由に楽しくさせていただいてます
※オリジナルゲーム要素あり
※以下ネタバレあり

https://booth.pm/ja/items/2198925


KPC:胡桃澤 影親(KP:尋)
PC:小鳥遊 日向(PL:さかかずら)
「亡失の底で、君が哭いている」のHO1とHO3です。セッションログはこちら


KP : 住民の皆様に お知らせいたします 事前の避難を お願いいたします 必要な荷物をお持ちの上 お近くのシェルターまで 避難をお願いいたします 繰り返します
住民の皆様に お知らせいたします

 KP : クトゥルフ神話TRPG、さき様作「夏に逃げ水」のセッションを開始します。

導入

 KP : 8 月 7 日午前 11 時。快晴。外気、34.8 度。 うだるような暑さだ。天気予報によると、これからまだ気温が上がるらしい。 貴方は刺すような日差しと、ジメッとした空気に身を包まれながらも、待ち合わせ場所に向かっていた。

 KP : なぜなら今日は影親と出かける予定があるからだ。待ち合わせ場所は、駅前にある大きな公園。 この暑さだと言うのに、駅までくれば多くの人出があり、賑わった様子が見て取れる。

 小鳥遊 日向  : 〈今日も暑いなぁ…アイス買ってくればよかったかな…〉

KP : プールへ行くのであろう若いカップル、キャリーケースを引いた旅行客、虫取り網を手に走り回る子供たち。

KP : その喧騒の中で、先に来ていた影親がスマートフォンから顔を上げ、貴方に気がつくと、小さく笑顔で手を振った。

 KP : その瞬間、遠くの地面、影親の足元で、なにかが大きく、揺らぐのを見た。 あれは......水たまりだろうか?

小鳥遊 日向  : 〈……?〉

 KP : だけど、地面に映り込んだのは、影親の衣服の色や、近くで咲き誇る夏の花の色、ではない。 鮮明でカラフルな何かが、地面でゆらぎ、影親をゆっくりと足元から飲み込んでいったのだった。

KP : 貴方は思わず声を上げようする。しかし同時に貴方の足元でも、そのカラフルな何かが、揺らいだ。 暑い。熱風が吹き抜ける。これは暑さにやられた自分の頭が見る、幻覚なのだろうか。 視界が、大きく歪み、溶ける。

逃げ水

 胡桃澤 影親  : ……ひな、起きて、ひな

胡桃澤 影親 : 起きて、ねえ。大丈夫?

 小鳥遊 日向  : ……、…ちーくん?

胡桃澤 影親 : あ、よかった…起きた

胡桃澤 影親 : 全然起きないから…心配した。

小鳥遊 日向  : 心配って……僕どうなったの?

胡桃澤 影親 : …寝てた。

 胡桃澤 影親 : わかんないけど、寝てた

小鳥遊 日向  : …いや寝てたのは多分そうだと思うけど、なんか寝転がってるし。…そうじゃなくて(起き上がる)

胡桃澤 影親 : うーん…なんで浴衣着てるんだろう。うーん

小鳥遊 日向  : ああそうだった、ちーくんなんで浴衣着てるの?

小鳥遊 日向  : …て僕も着てるし、…なんで?

KP : もちろん自分で着替えた覚えはなく、相手も同じように心当たりはないだろう。ご丁寧に、足元はしっかり下駄を履いている。

胡桃澤 影親 : …考えてもわかんないや。覚えてないし。

胡桃澤 影親 : …ん?あれ、…ひな、なんか久しぶり…な気がする?

胡桃澤 影親 : …なんでだろ?

小鳥遊 日向  : …久しぶり?……変なの。まあちーくんが変なのはいつもだけど

胡桃澤 影親 : 変か…ひなが言うならそうなのかもしれない…異論はありません。

小鳥遊 日向  : いやもう少し自分の意見は持とうねちーくん…なんでもかんでも鵜呑みにしちゃダメだよ

胡桃澤 影親 : ひなとゆきは間違ったこと言わないもん

小鳥遊 日向  : はぁ…(頭を抱え)あのね、実際は正しい人も物もないんだよ。それに近い基準があって皆それを守ってるだけ。僕たちだっていつ外れるかわかんないんだから…

小鳥遊 日向  : …ちゃんとちーくん自身の答えも考えも持たないと駄目だよ

胡桃澤 影親 : そうなのか。そうなのかもしれない。世の中は難しいのかもしれない。うん

胡桃澤 影親 : …そしてここはどこなんでしょうか。

小鳥遊 日向  : ああそうだった。話が反れちゃった、ここがどこか調べないと。…とりあえず、一緒に行こうかちーくん(手を差し出し)

胡桃澤 影親 : …(手を繋ぐ)

KP : 一体ココはどこなんだ、とあたりを見渡してみる。 夏の日差しが燦々と注ぐ、真夏の並木道に自分たちはいるようだった。立ち並んだ木々の葉が、時折風にゆすられサラサラと音を立てた。

KP : しかし、貴方が知っている街とは明らかに違うものに、つよい違和感を覚える。

KP : 遥か遠方、2km、3kmどれくらい距離があるだろうか。貴方達のまわりをぐるっと囲むように、円形で 大きな白い壁が存在していたのだった。

KP : アイディアがふれます

小鳥遊 日向  : CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 23 > 成功

KP : 壁までの距離はどこを見ても大体同じくらいなため、自分たちがこの壁の中の中心部付近にいるの だろうと察しがつく。 住宅街のようで一軒家やアパート、マンションやちょっとしたテナントが建ち並んでいるが、静まり辺りは返っておりひと気が感じられない。車が走っている様子もみられないだろう。

KP : 目星が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=70 【目星】 (1D100<=70) > 82 > 失敗

胡桃澤 影親 : CCB<=75 【目星】 (1D100<=75) > 32 > 成功

KP : 影親は、同じ広告があちらこちらに貼られているのが目に留まる。

【シェルターの広告】
おちついて! シェルターに避難を! 「自らの命は自らで守る」 事前の避難をおすすめしております。 最低限の荷物をまとめ、 最寄りのシェルターまでお越しください。 8月7日 19時最終集合

小鳥遊 日向  : …壁…?…それにやっぱり、知らない場所だね。ちーくん何か見つけた?

胡桃澤 影親 : みて、ひな。これ(広告を指差す)

小鳥遊 日向  : うん?なあに(広告を見る)

胡桃澤 影親 : …シェルター…避難?なんか、不吉。

小鳥遊 日向  : シェルター……?どういうこと…ここって?

小鳥遊 日向  : …8月7日って、僕たちが待ち合わせしてたのも確か……8月7日……

胡桃澤 影親 : …うん、日にちは一緒。でも公園にいたはず…

小鳥遊 日向  : そう、だよね…それに僕たち公園で待ってたはずなのに、そういえばちーくんあの時……(影親を見つめ)

KP : その時、ふと気がつく。地面でなにかが揺らいだのだ。 目を凝らしてよくよく見てみると、それは遠くの濡れた地面に映る、影親の姿だった。まるで地面に出来た水たまりへその人が映るように、ゆらゆらと影親の姿が地面に映し出されている。 しかしもちろんそんな遠くに影親はいない。

KP : 影親は貴方のとなりで「逃げ水......?」ぽつりとつぶやいた。

KP : 知識が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=60 【知識】 (1D100<=60) > 36 > 成功

KP : 風のない、よく晴れた暑い日、遠くの地面に水があるように見える現象のこと。 物体の下方に出現する蜃気楼の一種で、地面に映るという様から「地鏡(ちかがみ)」とも呼ばれる。 近づいて行ってもその場所に水はなく、それどころか、さらに遠い場所に水があるように見えるため、水が逃げていく=【逃げ水】と名前がついた。

KP : しかし逃げ水に映るものは地表付近に存在するものや景色であるため、目の前の現象には違和感を感じる。
見知らぬ街に来たこと、そして不可解に感じられる眼の前の現象に《SANc0/1》

小鳥遊 日向  : 1d100<=70 【SAN値チェック】 (1D100<=70) > 16 > 成功

胡桃澤 影親 : 1d100<=70 【SAN値チェック】 (1D100<=70) > 1 > 成功

KP : ゆらめく逃げ水は、貴方達に向けて、手をこまねいているように感じられた。

小鳥遊 日向  : ……なんで、…?水たまりにちーくんが……(水たまりに近づく)

KP : 水たまりに近づこうと歩みを進めるも、全く距離が縮まらない。わざと遠のいている様子もないが、近づく事はできないだろう。

胡桃澤 影親 : …夏の幻覚。…何で俺?

小鳥遊 日向  : …蜃気楼的な…?なんでだろうね

胡桃澤 影親 : ついてきてって言ってるのかな。

小鳥遊 日向  : …ついていくの?ちょっと怖くない?

胡桃澤 影親 : …俺なのに?ひな、俺のこと怖いの…?

小鳥遊 日向  : いや、まあ正直たまにちーくんは怖いけど…(小声)ちょっとまって、そういえば持ち物は…(探す)

胡桃澤 影親 : …え?怖いの?俺…がーん。

KP : 持ち物は常に身につけているアクセサリー類や眼鏡、タバコなどは持っているが、スマートフォンと財布はない。

小鳥遊 日向  : …やっぱり無い、服が違う時点でそうかとは思ったけど…はぁ…(頭を掻き)

小鳥遊 日向  : …しょうがないや。ごめん、ちーくんやっぱり行ってみようか(水たまりの方向を指し)

胡桃澤 影親 : うん、何もわからないしね。

小鳥遊 日向  : (影親と手を繋いで道を歩いていく)

KP : 大きな車道の両脇に、アスファルトの歩道が作られている。やはりそのどこにも人影は見当たらない。 どこまでも続いていそうに感じるほど、長い道だ。

KP : 途中起伏があり、貴方達はその穏やかな坂道を、登ったり下りたりしながら進んだ。 時折、青々と茂ったケヤキの葉が、ざーっと揺れて音を立てる。

KP : 貴方達の追っていく逃げ水は、道の真ん中で静かに揺らめきながら、付かず離れず逃げていく。 そこに映し出された影親がどのような表情をしているのか、ここからでは確かめることもできそうにな い。

小鳥遊 日向  : なんだか、水たまり追いかけてるのって変な感じだね

胡桃澤 影親 : うん…もう歩くの疲れたなぁ

小鳥遊 日向  : そんなこと言わないの、ほら…行こ?(影親の手を引き)

胡桃澤 影親 : ひながいるから頑張れるけど……はあ…ゆきどうしてるかな。

小鳥遊 日向  : …うん、早く帰る方法探さないとね。ゆーくんが心配しちゃうし、…僕らは、帰らないと……ダメだから

胡桃澤 影親 : うん、ゆきには俺達がいないとだめだからね。

小鳥遊 日向  : そうだね…僕たちがいないと、ね(先へ進む)

KP : やがて、貴方達は木陰でうずくまる一人の、若い女性を見つける。 初めて見かける自分たち以外の人間だ。近づいていくと、なぜか彼女が、ハンカチで目元を抑え、泣いていることが分かる。

小鳥遊 日向  : …あ、えっと。…大丈夫ですか?(女性に近づいて声かける)

女性 : …!ごめんなさい!

KP : 彼女はそう言って、勢いよく貴方達へ向けて頭を下げる。

小鳥遊 日向  : え?いえ、あの…お気になさらず?体調とか悪かったりとかしませんか、この天気ですし熱中症の危険もあるかもですから…

女性 : …わ、私の事…恨んでます…よね

女性 : ごめんなさい!ごめんなさい!でも私、あの人を愛してるの!奪われたくなかったの......失いたく... ...なかったの......ごめんなさい......

KP : 女性の声はどんどんと弱々しく、そしてまるで懺悔するように頭を垂れていく。

小鳥遊 日向  : えぇ…あの……何のことだかさっぱり……

胡桃澤 影親 : …ひな、知ってる人なの?

小鳥遊 日向  : いや…知らない人だけど。…どうしちゃったんだろうこの人

胡桃澤 影親 : ……あの、

KP : そんなとき、若い女性の声を聞きつけたのか、中年の女性が民家の中から慌てて飛び出してくる。貴方達の顔を見ると、たちまち表情を強張らせた。

中年の女性 : あの…うちの娘に何か御用でしょうか?

小鳥遊 日向  : その、すみません…体調が優れないようでしたので声をかけさせていただいたのですが。

中年の女性 : 大丈夫です、あなた達が話しかけた方が…いえ、何でも。

中年の女性 : 用がないなら帰らせていただきます

KP : 中年の女性は若い女性に肩を貸すと、連れ立って家の中に入っていってしまう。

KP : アイディアまたは心理学が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 5 > 決定的成功/スペシャル

KP : 中年の女性は貴方達の顔を見て、あきらかになにか警戒したように思えた。

胡桃澤 影親 : ……

小鳥遊 日向  : …えーと、はい…すみませんなんか…それではお大事に(お辞儀する)

胡桃澤 影親 : (家を指差し)…失礼な人

小鳥遊 日向  : こらちーくん、そんなこと言わないの。それに指差しちゃダメ(指を掴んで下ろす)

胡桃澤 影親 : だって、会ったことないんでしょ?

小鳥遊 日向  : …確かに人として良くない態度だったとは言えるけど、それでも何か事情があったのかもしれないし。気にしないでおこう、ね

胡桃澤 影親 : …こころひろーい。

小鳥遊 日向  : はは、ほら?…もう行こうちーくん(手を繋ぐ)

胡桃澤 影親 : …うん。(手を握り返す)

七夕祭り

KP : 貴方達は物言わぬ逃げ水を追い、またしばらく道なりに歩いていく。 慣れない下駄をからころと鳴らしながら、セミの大合唱を聴きながら、そして入道雲を眺めながら。

KP : 二人の話し声すらも溶かしてしまいそうな日差しは、一層気温を押し上げ、じりじりと肌を焼く。 まわりは住宅街のはずなのに、やはり人の住んでいる気配は感じられない。 ところどころ、窓には薄いベニヤ板が打ち付けられており、より一層退廃的な雰囲気を醸し出していた。

KP : やがて貴方達は商店街の入り口らしき場所にたどり着く。立派なアーケードを持った、大きな商店街だ。

KP : そしてそこで揺れていたのは、あの時足元で見た、カラフルな色だった。

KP : はためく短冊や、風に揺られる笹の枝、そしてなにより大きな吹き流しが目を引く。

KP : 意識を失う前に見たカラフルな色は、この吹き流しの色と同じだった様に感じられる。 看板には大きく【七夕祭り】と書かれているだろう。

KP : 知識が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=60 【知識】 (1D100<=60) > 48 > 成功

KP : 七夕といえば7月7日を連想するが、地域によっては月遅れにあたる8月7日に七夕行事を行う事を知っている。
これは旧暦の7月7日がおおよそ現代の8月下旬頃にあたることに由来している。 新歴の7月7日はまだ梅雨の間なため雨である可能性が高く、より本来の七夕の日と近い8月7日の方が晴れやすいので、月遅れのその日に七夕を祝うのだ。

小鳥遊 日向  : …ここでは七夕祭りは8月にするんだね(きょろきょろ)

胡桃澤 影親 : …へー

小鳥遊 日向  : …ふふ、そう…説明してあげようと思ったけど、ちーくんが興味なさそうだからやーめた

胡桃澤 影親 : え、興味あるよ。…七夕。

小鳥遊 日向  : ふふ、単純だなぁ…軽く説明すると旧暦だと今日8月7日が7月7日にあたるんだよ、だから地域によっては今日が七夕たっだりするの

胡桃澤 影親 : …ほー、ひなは物知りだ。

小鳥遊 日向  : そんなんでもないよ、知ってる事しか知らない

胡桃澤 影親 : …でも俺より物知りだ。メガネなだけある

小鳥遊 日向  : …馬鹿にしてるの?

胡桃澤 影親 : …?わかんないけど尊敬してる

小鳥遊 日向  : はぁ…いいですよもう……〈ちーくんもっと勉強させないとな…〉

KP : 商店街を進むと、何より貴方達の目を引いたのは、祭りを楽しむ、数多くの人々の姿だった。 子どもたちや若い男女は浴衣を身にまとっており、楽しげな声があちこちから聞こえてくる。 遠方に見える例の白い壁さえなければ、貴方もどこかで見たことのあるような、ありふれた風景だと感じられるかもしれない。

KP : 商店街を構成する店舗の前には、様々な出店が並べられている。

KP : 目星が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=70 【目星】 (1D100<=70) > 54 > 成功

KP : スマートフォンを使っている人がいないことに気がつく。

KP : アイディアが振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 51 > 成功

KP : そうして意識してみてみると、ここで使われている器具は昭和の終期~平成初期ごろに使われていたような物に近しいと感じる。

小鳥遊 日向  : …なんだろう、なんか…古い、ね

胡桃澤 影親 : …あ、そういえば、そうだね。

胡桃澤 影親 : …タイムスリップしたのかな。漫画で見たことある。

小鳥遊 日向  : タイムスリップするにしても流石に平成初期にこんな壁は無かったと思うけど……

おばちゃん : あぁ、日向くん、影親くんいらっしゃい!

小鳥遊 日向  : …え?

おばちゃん : 暑かったでしょ?ラムネ飲んでく?

小鳥遊 日向  : えっと、僕らの事知ってるんですか?…すみません、僕たちこの辺には見覚えが無いんですけど(おばちゃん)

おばちゃん : 何言ってるの!みんな知ってるわよ!(日向の肩をばしっと叩く)

おばちゃん : 覚えがない訳ないでしょ、祭りの準備も手伝ってくれたじゃない!

小鳥遊 日向  : え、えぇ…誰の話…?…

胡桃澤 影親 : ……全く覚えがありませんが

小鳥遊 日向  : ………

小鳥遊 日向  : ……とりあえず、お聞きしたいことがあって、今って西暦何年ですか…?

おばちゃん : ん?西暦 2021 年の 8 月 7 日よ。

小鳥遊 日向  : …え、二年前…?じゃあやっぱり、ちーくんの言ってたタイムスリップ?…それにしたって文化が古い感じが、壁もなかったし……どういうこと? (首を傾げ)

胡桃澤 影親 : …まじでタイムスリップしたんだ。すげぇ

小鳥遊 日向  : (影親を放っておいて)…あの、ちょっと色々聞きたくて。……まずあの壁って何か知ってます?

おばちゃん : 何言ってるの!祭りで頭やられちゃったのかい?

おばちゃん : 今日は忘れて楽しめばいいじゃないか、ね

小鳥遊 日向  : ……シェルターの事とかも教えてくれないです?

おばちゃん : …ど、どうしたんだい、地下シェルターのこと?教えてくれないって......

おばちゃん : …あんまり悪い冗談はよしとくれよ…

小鳥遊 日向  : 〈あんまり口に出さない方が良さそうな話だとは思ったけど…〉

小鳥遊 日向  : ………あと、皆知ってるって…どういうことです

小鳥遊 日向  : …さっき民家で若い女性とそのお母さんに会ったんですけど、妙な態度を取られてしまったんです。彼女たちも僕たちを知ってたって事ですか?あ、あの辺に住んでる人たちです(指を指し)

おばちゃん : まあ、私もここのみんなを知ってる訳じゃないけどね…あんまり責めないでって言うのも違うのかもね。

小鳥遊 日向  : ……

おばちゃん : あんた達は、みんなによくしてくれるからねぇ。その分、顔が広いのは当たり前だろう?

おばちゃん : ………ごめんね。今日ばかりは明るい気持ちでいたいのさ

おばちゃん : ほら、ラムネ飲みな!!

小鳥遊 日向  : わわ、ありがとう…ございます…(ラムネを受け取って飲む)

小鳥遊 日向  : ……ちーくんもどう?

胡桃澤 影親 : …飲む。けど、俺たちお金ないですよ。

おばちゃん : お金なんていらないよ!気にしたってしょうがないからね!

胡桃澤 影親 : ……無銭飲食であとで捕まらないかな

小鳥遊 日向  : …怖い事言わないでよ、勢いに負けて受け取っちゃったじゃん……(影親を叩いて小声で言う)

おばちゃん : はは、今日の祭りは金なんていらないさ。屋台のみんなもそう思ってるよ

小鳥遊 日向  : …皆随分浮かれてるけど、今日ってそんなに重要な日なんですか?

おばちゃん : 当たり前じゃないか、七夕祭りだからね!

胡桃澤 影親 : ……?七夕ってそんなに特別なのかな

小鳥遊 日向  : …うーん、僕たちの知ってる七夕祭りとは違うのかも。…もしかしてパラレルワールド?

胡桃澤 影親 : …わかんないけど、そうなのかも。何か…違和感しかないし

小鳥遊 日向  : うん、なにもかもがおかしいというか。…変な感じ

KP : ふと、日向の袖がつん、と引かれる。影親が立ち止まって屋台を見ているようだ。

胡桃澤 影親 : ……お腹が減りました

小鳥遊 日向  : ……もう、しょうがないな。…お金いらないって言われてるし他の人たちも払ってる感じもないし、屋台の物とか何か食べる?

胡桃澤 影親 : やった、この際遊ぼう。考えてもわかんないもんはわかんないよ

小鳥遊 日向  : 呑気だなぁ、はいはい……(影親についていく)

KP : 七夕祭りでは自由に遊ぶことが出来る。

胡桃澤 影親 : ひな、たこ焼き。たこ焼き食べよう。

小鳥遊 日向  : たこ焼きね、わかった。…おじさんたこ焼きを…一つで良いかな、一緒に食べようちーくん

たこ焼きニキ : お!日向に影親じゃないか!

たこ焼きニキ : おいおい、俺のたこ焼きが欲しいって?俺のたこ焼きは当たりがあるんだよ…ま、楽しみはあった方がいいだろ?

小鳥遊 日向  : たこ焼きに当たり…?まあ、まあいいか。そうですね楽しみにしておきます…〈なんかこの人濃いなぁ〉

たこ焼きニキ : おう、食ったら感想聞かせてくれよな!今後の参考にするからよ!

KP : ロシアンたこ焼きです。たこ焼きは8個あります。この中に一つ、当たりという名のはずれがあります。

KP : s1d3 (1D3) > 1

KP : s1d8 (1D8) > 5

小鳥遊 日向  : choice[1,2,3,4,5,6,7,8] (choice[1,2,3,4,5,6,7,8]) > 4

小鳥遊 日向  : …はい、ちーくんちゃんと食べてねほらあーん(冷ましてから影親の口に運ぶ)

胡桃澤 影親 : …なんかはずれ?あたり?あるらしいけど大丈夫だよね

小鳥遊 日向  : 当たりって言ってたし大丈夫なんじゃないかな?

胡桃澤 影親 : …まあ…食べますけど

胡桃澤 影親 : ……

胡桃澤 影親 : おいしい

小鳥遊 日向  : ふふ、よかった。よく噛んで食べなよ(自分も一つ食べる)

小鳥遊 日向  : choice[1,2,3,5,6,7,8] (choice[1,2,3,5,6,7,8]) > 1

KP : ………!

KP :……… 普通のたこ焼きである

小鳥遊 日向  : うん、おいしい…!当たりはどんな味がするんだろうねぇ(もう一つ影親に食べさせ)

胡桃澤 影親 : ま、まって。俺選ぶ。

小鳥遊 日向  : そう…?いいよ、どれが良い?

胡桃澤 影親 : choice[2,3,5,6,7,8] (choice[2,3,5,6,7,8]) > 7

胡桃澤 影親 : …じゃあ、これ

小鳥遊 日向  : ん、どうぞ(影親の口に運ぶ)

胡桃澤 影親 : …もぐ

胡桃澤 影親 : ……おいしい。

小鳥遊 日向  : ふふ、小鳥にご飯あげてるみたいで可愛い(自分ももう一つ食べる)

小鳥遊 日向  : choice[2,3,5,6,8] (choice[2,3,5,6,8]) > 3

KP : ………!

KP : ………普通のたこ焼きである

小鳥遊 日向  : おいしい、けどさっきと変わんないね。これも当たりじゃないのかなぁ…ハイ、次ちーくん

胡桃澤 影親 : …うん、このままはずれなくなればいいのに

胡桃澤 影親 : choice[2,5,6,8] (choice[2,5,6,8]) > 5

胡桃澤 影親 : ………

胡桃澤 影親 : ……おえ

小鳥遊 日向  : …ちょ、ちーくん!?

KP : はずれという名の激甘チョコソース入りたこ焼きである!!

胡桃澤 影親 : あ、あま…なんか想像してたのと違った…

小鳥遊 日向  : え、甘いの…?なんか、それならちょっと食べて見たかったかも……

胡桃澤 影親 : …そうだった、これならひなの方が得意だった…おえ

胡桃澤 影親 : はあ…辛いのがくるかと思った…どっちも嫌だけど…

小鳥遊 日向  : 辛いか甘いかで言ったら甘い方が良いけどなぁ、ちょっと羨ましい…とりあえず、これ飲んで(残った自分のラムネ瓶渡す)

胡桃澤 影親 : え…これも甘い…甘いけど…う、うん

小鳥遊 日向  : 口直しも済んだね?じゃあはい(影親の口にたこ焼き突っ込む)

胡桃澤 影親 : むぐ…まって、口の中で戦争起きそう…

小鳥遊 日向  : いろんな味が混ざって楽しそうだね。…ふふ、美味しい(もぐもぐ)

胡桃澤 影親 : …楽しい…楽しいのかな…ちょっとよくわかんなくなってきた…

小鳥遊 日向  : たこ焼きが美味しいから楽しいでしょ、はい最後(最後のたこ焼き口に突っ込み)

胡桃澤 影親 : うう…ちょっと待ってひな、…ゆき、助けて…

小鳥遊 日向  : ゆーくんにも食べさせてあげたかったなぁ…よし、それじゃあご馳走様。…じゃあ次は何食べる?焼きトウモロコシ?あ、チョコバナナもいいかも

胡桃澤 影親 : あの、チョコバナナ以外でお願いします

小鳥遊 日向  : え、そっかぁ…そうだね、ならフランクフルト食べたいかも。行こ、ちーくん(影親の手を引き)

胡桃澤 影親 : おお…ノンストップひな…

小鳥遊 日向  : (フランクフルトの屋台行き)おじさん、二つください

フランクお兄様 : おや、ひなちゃんちかちゃんじゃないか

フランクお兄様 : おじさんなんて失礼な、まだ40歳だよ

小鳥遊 日向  : ふふ、ごめんなさいお兄さん。

胡桃澤 影親 : …おじさんでは…?

小鳥遊 日向  : (肘で影親を突く)

フランクお兄様 : 聞こえてるぞ?二人ともおじさんなんて失礼な!ただで渡す訳にはいかなくなっちゃったな…さ、僕とじゃんけんしなさい。勝ったらあげるよ。

小鳥遊 日向  : え~そう来たかぁ…しょうがないですね。なら、勝負します(腕を捲り)

フランクお兄様 : よし、いい顔つきだね!じゃあ…最初はぐー、じゃんけん…

フランクお兄様 : choice[ぐー,ちょき,ぱー] (choice[ぐー,ちょき,ぱー]) > ちょき

小鳥遊 日向  : choice[ぐー,ちょき,ぱー] (choice[ぐー,ちょき,ぱー]) > ぱー

小鳥遊 日向  : あ…負けちゃった

フランクお兄様 : ふふ、まだまだだったね!さ、ちかちゃん、君とも勝負だよ

フランクお兄様 : 最初はぐー!じゃんけん…

フランクお兄様 : choice[ぐー,ちょき,ぱー] (choice[ぐー,ちょき,ぱー]) > ぱー

胡桃澤 影親 : choice[ぐー,ちょき,ぱー] (choice[ぐー,ちょき,ぱー]) > ぐー

胡桃澤 影親 : …

小鳥遊 日向  : ……

フランクお兄様 : ははは!そんな顔しても負けは負けだぞ?

小鳥遊 日向  : …どうしても、ダメですか?お願いしても……?

胡桃澤 影親 : ………

フランクお兄様 : ま、冗談だよ。ほら、2本あげるからちゃんと味わって食べるんだよ

小鳥遊 日向  : わーい、ありがとうございます!(受け取り)

胡桃澤 影親 : …ひながお願いしてるのに、もらえない訳ないよね、うん

小鳥遊 日向  : ほら、ちーくんちゃんともらえたでしょう。はい(影親に渡し)ありがとうお兄さん!!(手を振って先に進む)

フランクお兄様 : 二人仲良く食べるんだよ〜!(手を振る)

小鳥遊 日向  : …ふふ、面白い人だったねちーくん

胡桃澤 影親 : 無駄にじゃんけんが強い。

小鳥遊 日向  : 無駄とか言わないの。うん、おいしいよちーくん

胡桃澤 影親 : ……確かに、おいしい

小鳥遊 日向  : 屋台のフランクフルトって定期的に食べたくなるよね、にしても歩きながら食べるの大変だな…

胡桃澤 影親 : わかる。がぶっといけたらいいんだろうけど。

小鳥遊 日向  : ゆーくんみたいに一口が大きければ、もっと早く食べれるんだろうけど……だめだ、やってみようと思ったけど折れる

胡桃澤 影親 : …ゆっくりたべよう……なんか…ゆきが恋しくなってきた

小鳥遊 日向  : そうだね…ゆーくんに会いたい…なんて、弱音は言ってられないよね。…帰る方法を見つければいいよ

胡桃澤 影親 : …そうだね、どうにかしないとね。

小鳥遊 日向  : うん…あ、スーパーボールすくいある。…ちょっとだけ遊んでかない?

胡桃澤 影親 : うん、やってみたい。

スーパーニキ : おや…日向、影親

スーパーニキ : …やってくかな?

小鳥遊 日向  : はい、やってみていいですか…!

スーパーニキ : …いいよ。ただし、スーパーボールは君たちに微笑むかな?

KP : 幸運を振ってください

小鳥遊 日向  : CCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 35 > 成功

胡桃澤 影親 : CCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 56 > 成功

KP : 1d6を振ってください

小鳥遊 日向  : 1d6 (1D6) > 4

胡桃澤 影親 : 1d6 (1D6) > 1

スーパーニキ : ………ふ

スーパーニキ : 日向、君は才能がある…影親は…もう少し鍛錬が必要だな

スーパーニキ : さあ、持っていくがいいさ!

小鳥遊 日向  : ありがとうございます、これからも精進していきますね。はは、お祭りのスーパーボールって綺麗だよね

胡桃澤 影親 : …スーパーボールすくうのに鍛錬っているの…?意味わかんないんだけど…

小鳥遊 日向  : まあほら、次はもっとうまく救えるよ。一緒に頑張ろう?

胡桃澤 影親 : …いや、なんか…あれ、俺がおかしいのか…何だこの空間。ゆきが恋しい…

スーパーニキ : 日向!影親!

スーパーニキ : ………アデュー…!

小鳥遊 日向  : はい、ありがとうございます師匠。それじゃあ行こうかちーくん(スーパーニキに手を振って進む)

胡桃澤 影親 : …うん…なんか疲れたな…

小鳥遊 日向  : これはゆーくんのお土産にしよっか、スーパーボール久しぶりだし楽しんでくれるかな

胡桃澤 影親 : うん、喜んでくれるよ。たぶん。

KP : その時、日向の足元にトン、となにかがぶつかった。

KP : 視線を下げると、小学校低学年くらいの男の子が顔を小さな手で覆っている。 よそ見をしていたのか、貴方とぶつかってしまったようだ。

泉 真都 : いてて…ごめんなさい…

小鳥遊 日向  : あ、ごめんね…大丈夫?(しゃがんで視線を合わせる)

泉 真都 : うん…あ!日向お兄ちゃんだ!久しぶり!

小鳥遊 日向  : う、うん…?…そういえばそうだったな……えと、ごめん…君は?

泉 真都 : えっ日向お兄ちゃん、僕の名前忘れちゃったの!?影親お兄ちゃんは覚えてるよね!?

胡桃澤 影親 : ……………

胡桃澤 影親 : …………太郎

泉 真都 : 違うよ!えぇ…そんなに久しぶりだったっけ?まなとだよ!

小鳥遊 日向  : …ええと、まなとくん。…ごめんね痛くなかった?

泉 真都 : 全然へーき!

泉 真都 : ……あれ?でもなんか…ううん

小鳥遊 日向  : ……大丈夫…?

泉 真都 : 日向お兄ちゃん、そんな喋り方だったっけ?

泉 真都 : なんか…性格も違う気がする!

小鳥遊 日向  : ……?…どういう、こと…それじゃあちーくん…影親お兄ちゃんはどう、かな…?

泉 真都 : 影親お兄ちゃんもなんか違う…気がする!

胡桃澤 影親 : …………

小鳥遊 日向  : そっか、じゃあまなとくんの知ってる僕たちはどんな人たちだったのかな?わからない?

泉 真都 : ええ?お兄ちゃん達どうしたの?うーん…よくわかんないけど…なんか、ちょっと違うなって思ったの!

小鳥遊 日向  : …うーん…うん、わかったありがとう。…ぶつかってごめんね(まなとの頭を撫でて立ち上がる)

泉 真都 : …あ、ねぇねぇ、お兄ちゃん達!

KP : そう言って、まなとは二人の袖を引っ張る。しゃがんで欲しいのだろう。

小鳥遊 日向  : ふふ…うん、なあに(再びしゃがむ)

胡桃澤 影親 : ……(しゃがむ)

泉 真都 : (小声で)壁の切れ目、どうだった?

小鳥遊 日向  : …壁の、切れ目……

泉 真都 : そうそう!お兄ちゃんが言ってたじゃん、日向お兄ちゃんの家の裏手をずっと行った所に、壁の穴があるって!竹やぶの向こうなんでしょ?

小鳥遊 日向  : そう、…なんだね、ねえまなとくんは僕たちの家に来たことって、あったっけ?

泉 真都 : あるよ〜!何でそんなにぼんやりなの!?

泉 真都 : あ、壁のことは誰にも言ってないよ、お母さんにも言ってない!

小鳥遊 日向  : ふふ、ちゃんとナイショにできて偉いね。(頭を撫で)ねえ、僕たち実は最近物忘れがひどくて、ここから帰る道もわからないんだ。まなとくんは僕たちお家の場所ってわかる?

泉 真都 : うん、わかるよ!あっち!

KP : そう言って、まなとは商店街の先を指さす。

泉 真都 : あーあ、本当は僕も壁まで探検に行きたかったんだけど…またすぐシェルターに戻らないといけないんだって

泉 真都 : 今夜はお兄ちゃん達もシェルターにくるんでしょ?

小鳥遊 日向  : …う、うん……そうだねちゃんと行くから。親御さんの言う事ちゃんと聞くんだよ?

胡桃澤 影親 : …シェルターはどこにあるの?

泉 真都 : えっとね…

まなとの母 : まなとー?みんなが学校に寄って行こうって言ってるわよー!

泉 真都 : あ、お母さんだ!

KP : 男の子は人混みの中で見つけた女性に向かって、大きく手を振った。

小鳥遊 日向  : …あ、えっと……

KP : 息子を見つけた女性は安心したようにそちらへ近づいて行き、そしてあなたたちの顔を見ると、どこかぎこちなく笑ってみせた。

[メイン] まなとの母 : あら......小鳥遊さん、胡桃澤さん、こんにちは。お祭り、楽しんでる?

小鳥遊 日向  : ええと、はい…?それなりに

小鳥遊 日向  : ……ところで、この後シェルターに向かわれるんですか?

まなとの母 : …あ、…え、ええ。

泉 真都 : おかあさん、お兄ちゃん達、シェルターの場所忘れちゃったんだって。一緒に連れてってあげよう?

KP : すると女性は血相を変え、男の子をたしなめるように叱りつける。

まなとの母 : 、こらまなと!あの、ごめんなさい小鳥遊さん......子供には、その......

小鳥遊 日向  : ………

まなとの母 : …まなと、行きましょう

KP : まなとはそれを聞いて、困惑し悲しげな表情で貴方達を見やる。

泉 真都 : え?でも......シェルター行かないと......死んじゃうんでしょ?

まなとの母 : いいの、いいのよ。小鳥遊さんは平気なの。胡桃澤さんはまたあとで、シェルターで、待ってるからね...

KP : 今にも泣き出しそうな悲しげな表情で、貴方たちを交互に見ると、彼女は深く頭を下げた。 そして男の子の背を押して立ち去っていく。

KP : ちらりと振り返った男の子は、不安げにあなた達の顔を見た。 そんな彼らもやがて人混みに紛れていき、貴方達は祭りの喧騒の中、ぽつんと二人、取り残されてしまうだろう。

胡桃澤 影親 : ………

小鳥遊 日向  : ……、…きっと、「僕たち」の事は指してないよ。…行こう、ちーくん(手を握り)

胡桃澤 影親 : ……ひな…

胡桃澤 影親 : ………ほんとに死なない…?

小鳥遊 日向  : ……死なない。…死にたく、ないよ…まだ

胡桃澤 影親 : ……うん、わかった。じゃあ、俺のそばから離れないで。

胡桃澤 影親 : …絶対だよ

小鳥遊 日向  : …うん、離れないから、離さないでね(手を強く握る)

・・・・・・・・・・・・・・

KP : アーケードから出ると、左右そして前方へ向けて、長く並木道の伸びる十字路が現れる。 そして前方の方、遠くの地面でまた影親の姿を映した逃げ水が揺らめいていた。相変わらず貴方達
へ手をこまねいているように感じられるだろう。 と、不意に、背後から女性の声が聞こえてくる。

女性 : …これは、小鳥遊さん

小鳥遊 日向  : …はい?(振り返る)

KP : 振り返ると、そこには見知らぬスーツ姿の女性が立っていた。女性は貴方達を交互に見ると、にっこりと微笑みながら言うだろう。

女性 : お祭りに行かれていたんですね。......どうでしょう、そろそろ役場に向かわれますか?

女性 : ご案内いたしますよ。心残りはございませんね?

小鳥遊 日向  : 役場…?えと、何の事でしょうか……

胡桃澤 影親 : ………

女性 : 貴方は知っているはずですよ?お気持ちはわかりますが…今更何が変わるとも思えません。

小鳥遊 日向  : ……えっと、…(影親を見る)

胡桃澤 影親 : ……何のことかわかりません。役場には行きません

女性 : ……

小鳥遊 日向  : ……あの、せめて説明をお願いします。…申し訳ありませんが僕は事態がどうなってるのかわかっていなくて

女性 : 説明を聞いて悲しむのは、貴方では?

小鳥遊 日向  : どういう、ことですか…僕だって何も知らぬまま同行なんてできませんよ

女性 : わかりました。大切なお役目ですからね。お待ちしております。

KP : 同行を拒否すると、そのまま通してもらえる。女性はにこにこ笑顔が貼り付いたまま、貴方達たちを見送るだろう。

小鳥遊 日向  : ……なんなんだ、本当に。早く行こ、ちーくん

胡桃澤 影親 : …うん。

公園

KP : 貴方達は女性から逃げるように、そして逃げ水を追い、再び夏の日差しの降 り注ぐ、並木道を進んでいく。

KP : ちらりと振り返ると、遠くの方でゆらゆらと吹き流しが名残惜しげに揺れているのが見えた。

KP : ひとけの無い道をしばらく歩いていくと、やがて小さな公園が見えてくる。 覗いてみれば、色とりどりの遊具たちの端っこで女の子が一人、ブランコにすわり絵本を読んでいるようだ。

KP : 女の子は小学校・中学年程度で、おそらく 8、9 才ほどだろう。水筒を斜めに下げ、麦わら帽子をかぶっているのが分かる。

KP : 少女はその絵本を非常に真剣な様子で読んでいる。貴方たちがしばらくその様子を眺めるのなら、時 折りにこにこと微笑んだり、緊張で唇をキュッと噛みしめたり、あるいはぽたぽた涙を落としたりしている 様子が見て取れるほどだ。

小鳥遊 日向  : …ふふ、可愛いね。

胡桃澤 影親 : うん…あの子、一人なのかな…みんなお祭り行ってるのに

小鳥遊 日向  : そうだね、親御さんとかお友達とか、いないのかな。一人じゃ危ないだろうし、声をかけて見ようか(少女に近づく)

胡桃澤 影親 : (日向についていき)……もしもしお嬢さん、お一人ですか

小鳥遊 日向  : ちーくんったら…どうしたの君?大丈夫親御さんとかはいないの? (かがんで目線を合わせる)

KP : 貴方達が声をかけると、少女はぱっと顔を上げ、嬉しそうな笑顔を見せる。

飯岡 ゆりな : あ!ひなお兄ちゃんとちかお兄ちゃん!

飯岡 ゆりな : どうしたの?お祭りいかないの?お兄ちゃん達、浴衣とっても似合うのね!

小鳥遊 日向  : あ、そうか…君も知ってるのか…うん、お祭りは楽しんだから、ちょっと休憩しようと思ってね。…ごめんね、君の名前は?

飯岡 ゆりな : ゆりなだよ、飯岡ゆりな!そっかあ、楽しかったんだぁ…

小鳥遊 日向  : …ゆりなちゃんは、お祭り行かないの?

 飯岡 ゆりな : ゆりなはこの公園が好きだから。お花がたくさん咲くし、遊ぶものだってたくさんある。みんなで遊んだ思い出もたくさん......なのに、みんなはお祭りに行ってしまって......もうっ(ほっぺぷくー)

小鳥遊 日向  : ふふ、そっかぁ…ここが大好きなんだね。…でも、お祭りなんてめったにやらないから。皆も行きたくなっちゃったんだよ、きっと

小鳥遊 日向  : でも、変わらず公園の事は大好きだと思うから、心配しないで。また、ここで沢山遊ぼう?(ゆりなの頭を撫で)

飯岡 ゆりな : うん!やっとシェルターから出れたんだもん、またみんなで遊びたい!その時はみんな一緒、ね?

小鳥遊 日向  : …そう、あんまり外には出られなかったんだね…でもよかった。今はこうやって出れたんだし、また皆で一緒に遊べるよ

小鳥遊 日向  : ……シェルターからは出ちゃダメだって大人の人に言われてたの?

飯岡 ゆりな : うん、危ないからって言ってたけど、子どもにはあまり教えてくれないのよ

小鳥遊 日向  : そうなんだ、危ないって…どういう事なんだろうね

胡桃澤 影親 : うん…壁があるのも、きっと何かから守ってるんだろうけど

小鳥遊 日向  : そうなるよね、やっぱり何かが来る?って事なのかな

胡桃澤 影親 : 子どもからは聞けない、けど、大人もはぐらかされて教えてくれない

小鳥遊 日向  : …本当になんで教えてくれないんだろうね。…それに何かが来るとしてもあれだけ大きな壁で守ってるってことは相当……なんか怖くなってきたな

飯岡 ゆりな : お兄ちゃん達、怖い顔してどうしたの?

小鳥遊 日向  : ……ううん、大丈夫だよ。気にしないで(ゆりなの頭を撫で)

飯岡 ゆりな : お母さんも、お父さんもそうやって教えてくれないの

飯岡 ゆりな : ゆりな、もう大人なのにー

小鳥遊 日向  : ふふ、そうだねゆりなちゃんは大きいもんね。でも、女の子なんだから

飯岡 ゆりな : わかった。でもね、私もお兄ちゃん達の力になりたいな!大きくなったら、私にも手伝わせてね?

小鳥遊 日向  : ありがとう、ゆりなちゃん。そう言ってくれて嬉しい。それじゃあ、君がもっと大きくなって僕たちが困ったら助けてくれると嬉しいな

小鳥遊 日向  : …そういえば熱心に読んでいたけど、何を読んでるの?

飯岡 ゆりな : いまは、絵本を読んでたのよ。ほら、今日は七夕でしょ?だから七夕の絵本!

小鳥遊 日向  : そうなんだ。面白そうだし、見ても良いかな?

胡桃澤 影親 : …絵本であんなに表情ころころ変えてたんだ

飯岡 ゆりな : うん!ゆりな、この絵本が大好きなの!ふふ、読み聞かせてあげる

小鳥遊 日向  : ありがとう、お願いしようかな

KP : そう言って、ゆりなは絵本の内容を話し出す。

【七夕伝説の絵本】
むかしむかしあるところに、 牛飼いの男と機織りの女がおりました。 働き者の二人は村の人達からも評判で、 どちらもとても信頼されていました。
ある日牛飼いの男と機織りの女は、 親の決め事で結婚することとなりました。 二人はすぐに夫婦となりましたが、 二人の仲が良いようには、 誰の目にも移りませんでした。
結婚しても二人はよく働きました。 男と女は喧嘩こそしませんでしたが、 お互いをどう思っているのか、 ずっとずっと、分からないままでした。
しかしそんな時、事件が起こったのです。 人間は神様を怒らせてしまいました。 そしてその怒りを鎮めるための生贄に、 機織りの女が選ばれました。
女は村の決定を受け入れ、 自ら進んで生贄になるつもりでいました。 しかし夫婦二人で過ごす最後の夜に、 牛飼いの男は言いました。
「君の気持ちを、素直に聞かせてくれないか」 女は、大層おどろきました。
「僕はずっと、君にそばにいてほしい」
「でも、それじゃあ村は......」
「村の人たちには悪いと思っている。だが」

「僕は君を失いたくない」
二人は不器用ながらも、 お互いにお互いのことを、愛し合っていたのです。 二人は初めて、お互いの気持ちを素直に話しました。 「はい、私も......貴方を失いたくないです」 二人は手を取り合い、家を飛び出していきました。

村の人達に追われながら、 たどり着いた先は大きな海でした。 二人はお互いの気持を確かめ合うと、 抱きしめあったまま海に身を投げました。
そんな二人の行動に、 神様は怒りましたが、同時に感心もしました。 罰として二人を星にして永遠に引き離し、 間に大きな天の川を掛けましたが、 以降同じ様に二人で海へ身を投げた恋人たちのことを、 次の輪廻でより深い絆で結ぶ事を約束しました。
こうして二人は身分の違いや、 悲しい境遇で思い合う二人にとっての、 恋の手本となったのでした。
めでたし、めでたし。

飯岡 ゆりな : ロマンチックだよね!

小鳥遊 日向  : …うん、確かに……ロマンチック、だけど…

小鳥遊 日向  : なんだろ…これ、完全なハッピーエンドとは言い難いよね。…これが好きなゆりなちゃんって、結構大人なんだね……

飯岡 ゆりな : そうでしょ、ゆりなもう大人だもん。ゆりなにもいるかなぁ?深い縁を結んだ運命のひと。んふふ〜

飯岡 ゆりな : 今日はせっかくシェルターから出れたし、本当は海にも行ってみたかったんだけど、壁の向こうは危ないからダメってお母さんが......

小鳥遊 日向  : …海は壁の向こうにあるの?

飯岡 ゆりな : あるんでしょ?ちかお兄ちゃん、ゆりなに貝殻見せてくれたじゃない。ほら、あのきれいなやつ!

胡桃澤 影親 : …?記憶にございませんが…

小鳥遊 日向  : ……こっちの「ちーくん」は壁の外に出たって事なのかな

胡桃澤 影親 : ……

飯岡 ゆりな : ゆりな、海を絵本でしか見た事がないの。でもこの壁の外は砂と海ばっかりなんだって!いつか、本物の海を見てみたいなぁ

小鳥遊 日向  : …うん、そうだね。……でもきっといつか、見れるよ。

飯岡 ゆりな : ふふ、ありがとう!

KP : 話をし終わると、ゆりなは日向と影親の顔を交互に見ながら口を開いた。

 飯岡 ゆりな : それにしても、お兄ちゃんたち、仲直りしたんだね!

小鳥遊 日向  : 仲直り…?

小鳥遊 日向  : …僕たち、喧嘩してたの?

飯岡 ゆりな : だって、なんかギクシャクしてたでしょ?ゆりなたちがシェルターに行くちょっと前の話よ。ゆりな、恋に憧れる女の子だからさ、そういうの分かっちゃうんだよね (ドヤ顔)

小鳥遊 日向  : そう、なんだ……うん、仲直りしたんだ、ね?ちーくん(影親を見る)

胡桃澤 影親 : …ひなと喧嘩するなんて、よっぽどだと思うけど。お兄ちゃん達とっても仲良しだから(ひなにくっつく)

飯岡 ゆりな : そうなの?喧嘩してたんじゃないの?.....でも、なんだか様子が変だったのよ

小鳥遊 日向  : ……なんか、心配させてたらごめんね。…でも、あの時喧嘩しててわかんなかったら気になるんだけど、ゆりなちゃんには僕たちがどんな感じだった?

飯岡 ゆりな : うーん、何だか、二人とも目合わさないようにしてたり、ちょっと離れてたりとかしてたよ?ゆりながそう見えてただけなのかなあ

小鳥遊 日向  : そう、なんだ…うん、教えてくれえてありがとう。もう喧嘩なんてしないように…気を付けるね

KP : 日向と影親に笑顔を向けたあと、女の子はぴょんとブランコを飛び降りる。

飯岡 ゆりな : 日が暮れる前に、商店街に行こうかな。お母さんが心配するし

小鳥遊 日向  : うん、お母さんに心配させちゃ駄目だしそろそろ行ったほうがいい。気を付けて…絵本読んでくれてありがとうね

胡桃澤 影親 : …気をつけて。

飯岡 ゆりな : お兄ちゃんたちも、シェルターでね!じゃあね、ばいばーい!

KP : 少女は貴方達へ大きく手を振り、商店街の方へ駆け去って行くだろう。

小鳥遊 日向  : (ゆりなに手を振り)…この世界の「僕たち」…どこにいるんだろうね

胡桃澤 影親 : ……家で寝てたりして。

胡桃澤 影親 : 普通に会ったらどうしよう…ドッペルゲンガー?

小鳥遊 日向  : …いやそんなことは、怖い事言わないでよ

小鳥遊 日向  : とりあえず…壁の切れ目、行ってみる?

胡桃澤 影親 : …いい、けど…逃げ水とは別の方向になるよ

小鳥遊 日向  : あ、そうだよねうん……じゃあ逃げ水追っかけよう。…ちーくんだし…

胡桃澤 影親 : 俺がここにいるのに俺がいる…今更だけど不思議ですね

小鳥遊 日向  : そうだね…ふふ、どっちが本物のちーくんだろうね?

胡桃澤 影親 : あんなゆらゆらしたちーくん嫌だよ

小鳥遊 日向  : そうかな、クラゲみたいで可愛いかも?って僕は思うけど…

胡桃澤 影親 : え、クラゲに負けたの…?

小鳥遊 日向  : ふふふ、ちーくんって苛めがいあるよね。冗談だよ、さあ…追いかけようか

釣り堀

KP : 地面に揺らめく逃げ水は、相変わらず貴方達から遠ざかる。 いくら追っても捕まえられないそれは、見失わない程度に距離を取り、ゆっくりと二人を導いていく。

KP : ゆらり、ゆらり、どこに向かっているのだろう。そもそも本当に貴方達を手招きしているのだろうか。それ とも陽炎がただ揺れているだけなのだろうか。判別もつかないそんなことに、今更少しの不安を覚える。あれは、一体何なのだろうか。

KP : そんな不安をよそに、やがて目の前には大きな釣り堀が見えてきた。そしてぽつんと、男性が釣りをしている様子が目につくのだった。

小鳥遊 日向  : ……ここは、釣り堀?

胡桃澤 影親 : みたいだね。男の人が釣り、してるみたい

胡桃澤 影親 : …声かけてみる?

小鳥遊 日向  : そうだね、かけてみようか

胡桃澤 影親 : …もしもし、おじさま…

小鳥遊 日向  : …おじさまて……

KP : 男性に声をかけると、彼はハッとしたように顔を上げた。そして貴方達のことを見るや否や、動揺したようにガタリと立ち上がる。

小鳥遊 日向  : …あの、どうかしました?〈またか…〉

男性 : き、君たちは......!なんの用だろうか

小鳥遊 日向  : いえ、用事という事もないのですが……できればあのシェルターや壁って何から守るためなんですか?

男性 : 何を言ってるんだ?俺に恨みがあるのは分かるが、おちょくらないでくれ…

胡桃澤 影親 : …恨み、なんてないけど

小鳥遊 日向  : ……なんのことですか、…貴方は何か僕たちにしたんですか?…お願いです、教えてください

男性 : …お前たちが一番よく分かってるだろ?俺は、拒絶したんだ

小鳥遊 日向  : ……だからなにを、…(男に詰め寄る)

男性 : 何をって?はは、日向は意地悪なことを言うなぁ

胡桃澤 影親 : …またそればっかり

小鳥遊 日向  : ……はぁ、もううんざりしそう…一体何が起こってるの……

男性 : ......悪い、お前たちが本当に知らないんだとしても、俺の口からは言いたくない

KP : 貴方たちと会話をし、男はどかりと椅子へ腰を下ろした。 そして平静を取り繕うようにタバコへ火を付ける。

男性 : ……どうだ、こんな日だが......釣りでもしていくか?

男性 : 七夕の日だろ、今日は。みんな祭りに行っている

小鳥遊 日向  : …どうする?ちーくん(影親を見つめる)

胡桃澤 影親 : (男性に近づき)ねえねえおじさんここって何が釣れるの?

小鳥遊 日向  : …はぁ、…わかりました。せっかくだしお付き合いさせて頂きます(男の横に腰掛ける)

男性 : 色々釣れるさ、ニジマスやらアユやら…ああ、たまにはこうして男3人、語り合うのも…いいだろ。

男性 : 釣りは楽しいぞ。お前らも、もしかしたら大物が釣れるかもしれん。系を垂らして、タイミングよく引っ張り上げるんだ。

KP : タイミング良く引けるかどうかを、DEX×5で判定します。

小鳥遊 日向  : CCB<=13*5 【DEX × 5】 (1D100<=65) > 36 > 成功

胡桃澤 影親 : CCB<=13*5 【DEX × 5】 (1D100<=65) > 29 > 成功

KP : 貴方達は、男性から教えられた通り、上手にルアーを巻いていく。

胡桃澤 影親 : …!魚…釣れた。(ひなに見せる)

小鳥遊 日向  : …わ、ほんとだ…良かったねちーくん

小鳥遊 日向  : 僕も釣れた!…ふふ、やっぱり釣れると嬉しいね

男性 : お、何が釣れたんだ?見せてみな

KP : 1d100を振ってください

小鳥遊 日向  : 1d100 (1D100) > 57

胡桃澤 影親 : 1d100 (1D100) > 23

男性 : どれどれ…日向のは…ブリだな

小鳥遊 日向  : …大きいの釣れたなって思ったら、成程

男性 : ブリは栄養価が高く、学習・記憶能力の向上や、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病など生活習慣病の予防効果があるとされるEPA、DHAが豊富だ。

小鳥遊 日向  : は、はぁ…〈詳しいな…〉

男性 : 刺身、寿司ネタで、昆布〆やカルパッチョも美味い。焼くなら塩焼き、照り焼き、香草焼きなど和洋に応用できるぞ。

男性 : なかなかいいものを引いたじゃないか。

小鳥遊 日向  : ええっと……はい…良かったです…〈ものすごく喋るなこの人〉

男性(お魚博士) : 影親のは…!真鯛か!

男性(お魚博士) : 真鯛は刺身、塩焼き、煮つけと、どれをとってもうまい。身は甘みがあって、骨も良質なダシが出るからな…捨てるところが無いといわれるほど万能な魚だ。

胡桃澤 影親 : ……うまそう

小鳥遊 日向  : お腹すきそうだね…

男性(お魚博士) : ちなみにそこのコンロで塩焼きならできるぞ。

小鳥遊 日向  : …せっかくだし、食べようかちーくん。お腹空いたし

胡桃澤 影親 : うん、なんか話聞いてたら…体がすごく魚を欲しがってる気がする。

KP : 塩焼きをするなら、料理技能またはDEX×3を振ってください

小鳥遊 日向  : CCB<=13*3 【DEX × 5】 (1D100<=39) > 81 > 失敗

胡桃澤 影親 : CCB<=13*3 (1D100<=39) > 40 > 失敗

KP : 影親の魚を気にしていたら、日向の魚は焦げてしまったようだ。

小鳥遊 日向  : …あ、焦げちゃった…

胡桃澤 影親 : …ひなが見てくれてたから、俺の魚の方がましみたい。交換しよ

小鳥遊 日向  : ふふ、いいよ大丈夫。せっかく上手く焼けたんだからちーくんが食べて。…僕のも食べれないことはないし、ほら?

胡桃澤 影親 : だめ、魚の焦げは体に悪いから。俺そんなに食べないもん。大丈夫。

小鳥遊 日向  : 焦げたとこ剥がせば大丈夫だから。…そうだね、じゃあ少なくなっちゃったからちーくんの少し分けてくれる?

胡桃澤 影親 : うん、もちろんどうぞ

男性(お魚博士) : お前ら、魚の事で困ってるなら俺に頼れよ。ほら。

KP : そう言って、男性は上手に焼けた魚の塩焼きを渡してくれるだろう。

小鳥遊 日向  : あ…ありがとうございます…(受け取り)

男性(お魚博士) : 適度な塩をまんべんなく振って、水気をとってからじっくり焼く…それが塩焼きのコツだ

胡桃澤 影親 : …おいしい

小鳥遊 日向  : うん、美味しいね、こういうのは久しぶりに食べるなぁ…

男性(お魚博士) : 魚を食べると頭がよくなる…ってそんな常識、今更語ってもしょうがねぇか…

小鳥遊 日向  : 美味しかったね、ふふ…ちーくんついてるよ

胡桃澤 影親 : …ありがと。ゆきにも食べさせてあげたかったね。

小鳥遊 日向  : いいよ、むしろちーくんはもっと食べなよ。……よし、ごちそうさま

男性(お魚博士) : ま、こうして魚が人との縁を深めるってことだ…

小鳥遊 日向  : ありがとうございました、美味しかったです

男性(お魚博士) : ああ、楽しめたなら…よかったよ。

胡桃澤 影親 : …ずっとなんか喋ってたね。ひな聞いてた?

小鳥遊 日向  : いや、ほとんど聞いてない。魚が美味しかったことしか

男性(お魚博士) : …魚に夢中になれてるなら良かったぜ

小鳥遊 日向  : う、うーん…でも楽しかったです。ありがとうございました。…さっきはすみませんね

男性(お魚博士) : ………

胡桃澤 影親 : …行こう、ひな

小鳥遊 日向  : うん。行こうか、ちーくん。…それでは、ありがとうございました。お魚美味しかったです(男にお辞儀する)

KP : 貴方たちが立ち去ろうとする間際、男性は俯いたまま口を開く。

男性 : すまない......お前たちには、本当に......酷いことをしたと思っている......

男性 : でも、失いたくなかったんだ…

男性 : …大切な人を、置いていきたくなかった。

男性 : 俺…ガキができるんだ。その顔も見ずに…言われるがままなんて

男性 : ごめんな……本当に…!ただ、失いたく、なかったんだ…

KP : その時、同時に世界が強い光に照らされ瞬いた。
ぴしゃり、がしゃん、ごろごろ。雷鳴が轟く。

小鳥遊 日向  : ……!?…何、

胡桃澤 影親 : …雷…なんか、曇ってるなって思った。

KP : ふと、貴方達の視界の端で、逃げ水が揺らめくのが見えた。 しかしその逃げ水も、降り始めた雨に打たれ、かき消されるように薄れていく。

KP : ぽつり、ぽつり、次第に強まっていき、あっというまに豪雨へと変わってしまった。 男は降りしきる雨に濡れるのも厭わず、ずぶ濡れのまま、貴方達に向けて深々と頭を下げた。

小鳥遊 日向  : ……それでは僕たちはこれで…お風邪を引かないように(立ち去る)

胡桃澤 影親 : ……

古民家

KP : 貴方たちは逃げ水がいた方向を頼りに、雷雨の中を駆け出す。雨を吸った浴衣がびしゃりと肌にま とわりつき、不快感を催した。履き慣れない下駄は重たく、濡れた足元がただ冷たい。

KP : 走って、走って。

KP : たどりついた先にあったのは、少し古ぼけた印象の家屋だった。表札には 小鳥遊、胡桃澤の名字が並べて書かれている。

小鳥遊 日向  : 名字が並んでる、この世界の僕たちは一緒に住んでるんだね

胡桃澤 影親 : ……うん…

胡桃澤 影親 : …やっぱりゆきはいないんだ。この世界に。

小鳥遊 日向  : …あんまり考えないようにしてたけど、恐らくそうなんだろうね。…とりあえず、雨宿りしたいから入れるか試してみようか(入り口に手をかける)

KP : 玄関の引き戸は少し開いたままで、網戸が引かれている。

胡桃澤 影親 : 開いてる…中にいるのかな?

小鳥遊 日向  : どうなんだろ、えっと…ちょっと気が引けるけど……すいませーん(引き戸を開けて声をかける)

KP : 聞き耳を振ってください

小鳥遊 日向  : CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 90 > 失敗

胡桃澤 影親 : CCB<=70 【聞き耳】 (1D100<=70) > 55 > 成功

KP : どこからかキィキィと、何かが軋む様な音が聞こえるのに気づく。

胡桃澤 影親 : ……声は返ってこないけど、音がする。中、入ってみる?

小鳥遊 日向  : ……うん、入って…みようか…気になるし

KP : 玄関に入り、まず気がつくことがある。貴方達2人分の靴が置かれていたのだった。 それも複数。どれも見覚えのあるものだろう。既に捨てた様なものも含まれているかもしれない。

小鳥遊 日向  : …靴、二人分ちゃんと置いてあるって事は、いるのかな?(進んでいく)

胡桃澤 影親 : ……(ついていく)

KP : 音がするのは、どうやら居間からの方だ。

小鳥遊 日向  : 本当だ、聞こえる。…場所的にこっち…居間から、かな?(居間に向かう)

KP : 居間に入り、貴方たちは思わずはっと息を飲む。隣にいる影親は小さく悲鳴を上げるかもしれない。 ぎし、ぎし、きぃ、きぃ。庭へと続く開きっぱなしの大きな窓から、強く吹き込む雨風に揺られ、人間の足が右に左に踊った。

KP : あなたは視線を奪われる様にして、無意識にその上の方をみやる。すると、見開かれたままの目と、じろり、視線が合うのだった。

KP : ロープで首をくくり、天井から吊られたそれは、明らかに死んでいた。
その顔は、日向、貴方の顔だ。

KP : 貴方の顔が、いや、貴方の遺体が、この世界に失望し、失意のどん底で自ら命をたった時の表情をそのままに、ロープで吊るされ貴方たちを迎えたのだった。 SANc1d3/1d4

小鳥遊 日向  : 1d100<=70 【SAN値チェック】 (1D100<=70) > 70 > 成功

胡桃澤 影親 : 1d100<=70 【SAN値チェック】 (1D100<=70) > 98 > 失敗

小鳥遊 日向  : 1d3 (1D3) > 2

胡桃澤 影親 : 1d4 (1D4) > 1

system : [ 小鳥遊 日向 ] SAN : 70 → 68

system : [ 胡桃澤 影親 ] SAN : 70 → 69

小鳥遊 日向  : ……、……うそ、

胡桃澤 影親 : …………っ、

小鳥遊 日向  : …死んでたん、だね…こっちの僕は

胡桃澤 影親 : ………………

KP : 影親の姿を見れば目の前の光景に釘付けになったまま、身体をがくがくと震わせていた。わななく口元からは、ひゅーひゅーと息の抜ける音が雨音に紛れ微かに漏れ出ている。

KP : それが絶望感からなのか、あるいは強い恐怖心からなのか、雨に打たれた体が冷えるのか、貴方には理解できなかった。

KP : 呆然としたまま、自分の遺体を見て今にも崩れ落ちそうな影親を、どうしたらいいのか、判断が追いつかない。

小鳥遊 日向  : …ちーくん…ちーくん…!(影親の肩を強めに掴む)

KP : 影親は遺体に釘付けになり、貴方の声も聞こえていないようだ。

KP : そのとき稲光が部屋全体をまばゆく照らす。ほんの少し遅れて、雷鳴が古いこの家屋をがたがたと音を立てて揺らした。

KP : 光が収まると貴方は気がつくだろう。なぜか貴方の遺体は床へと降ろされ、手を組んだ状態で寝かされていた。

胡桃澤 影親 : ………っひな!!

小鳥遊 日向  : ……え?…どうして…

KP : 影親は弾かれたように遺体へ駆け寄り、その体を強く揺さぶった。

胡桃澤 影親 : …ひな、ひな…どうして、なんで…やだ、やだよ…!

胡桃澤 影親 : お願い…置いていかないで…お願い…お願い…!

胡桃澤 影親 : ねぇ......ねぇ......うっ、ひぐっ......ひな......

小鳥遊 日向  : …ちーくん……(傍に寄り添う)

小鳥遊 日向  : 泣かないで、悲しい…けど…この子は違う僕だから。……君の僕はこっちだよ(影親の肩を寄せ)

胡桃澤 影親 : …ひな、ひな…やだ……こんなの…見たくなかった…!

小鳥遊 日向  : ……そう、だよね…君は一番見たくない光景だよね。ごめん、ちーくん(抱きしめて後頭部を撫でる)

胡桃澤 影親 : ひな…ひなは…ちゃんといるよね…?ここに、いるよね…?(日向の肩に顔を埋める)

小鳥遊 日向  : うん、いるよ。…大丈夫僕はここにいるから、ほら……(撫で続ける)

胡桃澤 影親 : ぐす……ひな……(強く抱きしめる)

小鳥遊 日向  : …うん、大丈夫……とりあえず、後で布か何か…かけてあげないとね

胡桃澤 影親 : ……………俺、持ってくる。

KP : そう言って、遺体から顔を背けながら、影親は部屋を出ていく。

KP : 遺体に医学が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=80 【医学】 (1D100<=80) > 76 > 成功

KP : 死因は窒息死で間違いない。食い込んだ縄の跡と、血の気の失せた顔色が生々しい。 そして自分と瓜二つの人間であると強く感じる。小さな傷の位置やほくろのある箇所などを見ると、他人の空似というには、あまりに似すぎている。

小鳥遊 日向  : ………

KP : 目星が振れます

小鳥遊 日向  : CCB<=70 【目星】 (1D100<=70) > 71 > 失敗

KP : クリティカルチケットで成功

KP : 衣服のポケットに短冊を一枚しまっているのを見つける。
日向によく似た筆跡で、『神様、僕の命を僕たちのために使うことをお許しください』と書かれていた。

小鳥遊 日向  : …「僕の命を僕たちのために」……それは僕たちの事?それとも、本人たちの事…どっちなのかな

KP : 調べていれば、影親がシーツを引きずりながら戻ってくるだろう。

胡桃澤 影親 : ………

小鳥遊 日向  : …おかえり、ちーくん。…ありがとう

胡桃澤 影親 : …うん、ごめん。

小鳥遊 日向  : ううん、いいんだよ。仕方ないよ

KP : 影親はシーツを広げ、日向の遺体に掛けると、隣にしゃがみ込み、目を閉じ手を合わせる。今にもまた泣き出しそうな表情だ。

KP : と同時に、貴方は日向の遺体が吊るされていた足元辺り、横倒しになった椅子の影に革製の手帳が一 つ、落ちていることに気がついた。シンプルな作りながらも、丈夫そうな手帳だ。

KP : 開いて読む場合、アイディアが振れます

小鳥遊 日向  : …(軽く影親の頭を撫でて手帳の方に向かう)

小鳥遊 日向  : CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 42 > 成功

KP : 影親の筆跡と似ている。しかし似てはいるものの、若干の違和感を覚える。

小鳥遊 日向  : …〈ちーくんの筆跡に似てる、けど何かおかしい?〉

小鳥遊 日向  : (手帳を開いて読む)

 ▼影親の日記 : 《およそ3年前の日付》
ひなと二人で、家を借りることになった。
俺たちが壁の中に来てよかったのか、今でも分からない。
俺が悩んでいるのを見ると、ひなは「せめてこの中で出来ることをしよう」と励ましてくれた。確かにそのとおりかもしれない。
壁の外に置いてきてしまった人たちを思っても、俺たちじゃどうしようもない。 だけど、だからといって忘れられるはずもない。
みんな、どうか、無事でいて。
苦しんで死んだりしないように、祈ることしかできない。
「元気出して」と笑ってくれたひなも、眼鏡の下でひっそりと涙を流してた。 気持ちの整理やものごとの記録のために、日記を付けてみることにする。
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それ以降、この壁の内側での生活について綴られている。 その日の食事、子供と遊んだこと、仕事の話し、など。
中でも特に目を引くのは、日向に対して言えなかったことを吐露するようなメモだ。 内容は他愛のないものから、くだらないこと、喧嘩のあとでのこと、日向をいかに大切に思っているかといったことなど、様々だ。
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《7月6日》
洗車雨というらしい。最近妙に雨が続く。 この調子じゃ明日も雨は続くだろう。新暦の7月7日は雨ばかりだ。

《7月7日》
村の議会が行われた。壁の外からの報告では、人類の勝利はほぼ絶望的で、世界政府は打開策として、ロケットを飛ばし敵の本拠地を叩くつもりらしい。
なんでも、生命が死ぬときに出る青い光が奴らには有効とのこと。その光を無尽蔵に増幅させ、エネルギーとして打ち込むのだそう。まるで核が臨界した時に見えるという、チェレンコフ光みたいだ。
各壁の中から一人ずつ、生贄を出すことになったと聞いた。
そんなもので勝てるんだろうか。
ひなは「やるしかないんじゃないかな」と言っていた。 村では子どもたちには秘密にする方針になった。遊びに来る子どもたちにばれないようにしなくては。雨で冷えたので、味噌汁を作る事にした。

《7月8日》
議会の決定で揉めているようだ。 何人か候補が出るもよう。 今日は急に晴れて暑くなった。そうめんでも茹でよう。

《7月11日》
ひなと喧嘩した。 わからずや。

《  月  日》
わからずやはどっちだ。 意地を張らず、言えばよかった。

《7月15日》
ひなに「嫌だ」といった。素直に。
彼は「そんなこと言っても」と俯きながら笑った。 なにそれ。なんで仕方ないって、受け入れてるの。俺がどんな気持ちだと思ってるんだ。 俺は、ひなに生きてほしい。
ぼうっとしてたら、カレーが焦げた。

《7月16日》
シェルターへの先行避難が始まった。 壁の中は光学迷彩で保護されてはいるが、もはやそれでも安全が保証されない状態まで来ているようだ。
壁の外の人たちはどうなったのだろう。
一緒にこれなかったみんなは、俺たちを恨んでいるだろうか。 シェルターへ向かう子どもたちは、遠足にでも行くみたく、楽しそうに手を振った。

《7月19日》
正式にひなが生贄に決まった。
どうして、誰も助けてくれなかったんだろう。 どうして俺達ばかり、見捨てられるんだ

《  月  日 》
もうしらない。

《7月30日》
役人が来てすごい剣幕で怒鳴られたが、不思議とあまり内容を思い出せない。
「小鳥遊さんの気が変わってしまったらどうするんですか」みたいなことを言っていた気がする。ここしばらく会話してない事を伝えると、「喧嘩するくらいなら、これからもそうするように」と残し、帰っていった。
冷やし中華、美味しいねとひなは笑った。いつもみたく 俺は今日も、何も言う気になれなかった。

《  月  日 》
ひなは俺が何も喋らないって言って怒るけど、向こうだって本音なんか言わないんだからおあいこ。

《8月5日》
役場に行って、俺が代わりになりたいと言った。こんなギリギリのタイミングなのに、拍子抜けするほど簡単に申請は通った。
本当に、ただの数合わせなんだ。
馬鹿みたい。そんなもののために、ひなは殺されそうになっていたんだ。 頼み込んで、手続きはこっそりしてもらうことになった。
知られたくない。

《8月6日》
初めて見る男が来た。 生贄は、最期に一つ、自分のための願いを叶えてもらえるんだそうだ。 思いつかないと答えたら、いつでも名前を読んでくれと残し、立ち去っていった。 今更叶う願いなんていらない。 俺の居なくなった後の世界で叶う願いなんて、考えたくもない。

《  月  日 》
ひなが死んだ。 役場で聞いたのか、俺が彼の代わりになったことを知ったみたいだった。役人を怒鳴り散らして帰っていったらしい。
役人からそれを聞いて、急いで帰ってきたらこのざまだった。 これを書きながらいやに冷静なのは、受け入れたくないからかな。
ひなを降ろして、手を組み、目を閉じさせた。
えっ、ひな、死ん
大切な人を失いたくなかった。どうしても、ひなが犠牲になるのは嫌で。 だから代わりになろうって。
ねぇ、ひなはどうおもったの。
俺が生贄になるって知って、どう思った?
だめだよひな。 ひなだって、俺が死ぬことを、嫌だと思ったんじゃないの?悲しいって思ったんじゃないの?何も言わないで、どこかへいっちゃうなんて、ずるいよ。 でも、ごめん、そうしようとしたのは、俺も同じだ。
言いたいことはちゃんと言わないと、永遠に伝えられなくなってしまうなんて、そんな当然のこと、分かってる気になってたみたいだ。
ねぇ、どうしようひな、怖いよ。
今更、思っちゃったんだ。
ほかの誰かを悲しませてでも、他の誰かを犠牲にしてでも、自分たちのためだけに、自分たちの命を使うべきだったのかな。ひながそうしたように。 あなたの居ない世界のためにだって、死ぬ意味はきっと、あるはずなのに。他の誰かのためになんて、 死にたくない。ひなと一緒に、死にたい。

死ぬの、怖い。

七夕の夜に心中した二人は、神様の加護により強い絆に結ばれ、来世で幸せになれるのだと そんなお伽噺みたいなおまじないを、ふたりで試してみたかった。

小鳥遊 日向  : ………

小鳥遊 日向  : ……(影親に見えないように手帳をしまう)

小鳥遊 日向  : …ちーくん、

胡桃澤 影親 : …………

胡桃澤 影親 : …ひな………俺、…

小鳥遊 日向  : うん、どうしたの…?ちーくん

胡桃澤 影親 : ……………

KP : その時、どこからか、嫌な音が聞こえ始める。 サイレンだ。雷雨の音とまじってより一層不安を煽られるような、嫌な音。 やがて、淡々とした口調のアナウンスが流れ始める。

「住民の皆様に お知らせいたします
まもなく ロケットの 発射予定時刻を 迎えます
事前の避難を お願いいたします 必要な荷物をお持ちの上 お近くのシェルターまで 避難をお願いいたします 繰り返します
住民の皆様に お知らせいたします まもなく ロケットの......」

小鳥遊 日向  : ……!、…とりあえず、ここにいるわけにもいかない。ちーくん行こう(影親の手を引く)

胡桃澤 影親 : …、…うん…

 KP : 外から、エンジン音が聞こえる。 なにごとかと窓の向こうを見やれば、いつのまにか大きな車が、数台家の前に止まっていた。
中から黒いスーツを着込んだ男たちが、素早い動作で降りてくる。 そして土足のままドタドタとこの家に上がり込み、あっというまに貴方達を取り囲んでしまった。 その中の一人が貴方達に歩み出ると、うやうやしく頭を下げる。

スーツの男達 : 失礼します。お迎えに伺いました。

スーツの男達 : あぁなんだ。日向さんがいるじゃないですか。なるほど、お別れをしていらっしゃったのですね

小鳥遊 日向  : ………(影親の手を強く握る)

 胡桃澤 影親 : …ひな、(強く握り返す)

スーツの男達 : それで......お別れはすみましたかな?悔いのないように、言いたいことは今のうちに言っておいたほうがよろしいですよ?

スーツの男達 : さぁ、どちらでもいいです。私達と一緒に、来ていただきましょう

スーツの男達 : 君がこないなら君の代わりが捕まることになる。

スーツの男達 : その誰かや、誰かを大切に思う人たちが、君たちの代わりに悲しむのです。

スーツの男達 : それどころか君がこないと、君のお父さんもお母さんも、大事なお友達も、影親さんも、壁の外でやつらと戦争をしている人間たちも、みんな助からないかもしれない。

スーツの男達 : 逆に言えば、君ひとりの命でたくさんの人の命を救うことが出来る。光栄に思いなさい。来てくれるね?

小鳥遊 日向  : …、……

小鳥遊 日向  : …すいません……(影親の手を引いて逃げようとする)

スーツの男達 : 今更逃げよう、なんて考えませんよね?

KP : そう言って、貴方達の前に立ちはだかる。簡単に逃げさせてはくれないようだ。

胡桃澤 影親 : ……ひな

小鳥遊 日向  : …やっぱり、そう簡単には。いかないよね

胡桃澤 影親 : 大丈夫…俺が隙を作るから、その間に一緒に逃げよう

小鳥遊 日向  : ……大丈夫?ちーくん

胡桃澤 影親 : ……ごめんね、こっちのひな。

KP : そう言って、影親は遺体にかぶせていたシーツを男達に投げる。男達は日向の遺体を見て狼狽えるだろう。

胡桃澤 影親 : …逃して、お願いします。

KP : 影親は勢いよく男を突き飛ばす。突き飛ばされたスーツの男は転がるように尻もちを付き、その場に倒れる。すぐにあちこちから「何しやがる!」「捕まえろ!」と怒号が飛び交うだろう。

KP : 先制して DEX 対抗に挑戦できる。男たちのDEXはまとめて12。

小鳥遊 日向  : CCB<=55 (1D100<=55) > 84 > 失敗

胡桃澤 影親 : CCB<=55 (1D100<=55) > 44 > 成功

KP : 影親は日向の手を引き、その場から逃げていく。

胡桃澤 影親 : ひな、こっち

小鳥遊 日向  : …うん…!(ついていく)

小鳥遊 日向  : …この後は、…そうだ壁の切れ目…!探してみよう…!

胡桃澤 影親 : …わかった!走れるだけ走る…!

KP : 貴方達は男たちの間をかいくぐり、足先に下駄を引っ掛けると、そのまま家の外に飛び出した。 背後からはこのような会話が聞こえてくる。

KP : 「おい逃げたぞ!」
「仕方ない。時間がないんだ!」
「彼ら以外の人間を乗せて、ロケットの打ち上げを行うように連絡しろ」
「すぐだ。技術者でもその辺にいる一般人でも、すぐに乗せて、打ち上げろ!」

KP : いつの間にか、激しい雨は止み、雷雨が洗い流していったかの様に、夜の空には雲のひとつもない。 ぴかぴかつやつやと輝く磨きたての星々が、夜空一杯に広がっていた。だけどそんなものには目もくれず、貴方達はただひたすらに走る。

KP : 家の裏手、竹やぶの中を縫うように進む。走って、走って。細く薄い笹の葉が、時折頬や浴衣から出た 腕、足、そんなあちこちを切り裂いて、じんじんと痛みを感じる。流れる何かが、雨粒なのか、滲んだ血液なのか、それとも誰かが流した涙なのか、そんなことを考える余裕もなく、二人は必死に走り続けた。

KP : やがて目の前に白い壁が現れる。貴方たちは一部、壁の崩れた箇所を見つけるだろう。屈んで身を低くすれば、くぐって通れるかも知れない。

胡桃澤 影親 : …っあった!

小鳥遊 日向  : よし…!潜れそうだし…このまま外に行こう…!!

KP : 這うようにしてその隙間を抜けていく。そして穴を抜け立ち上がると、二人は連れ立ってまた走り出した。 一体どれくらいそうしていただろう。貴方達を追い立てる喧騒はすでに遠く、視界を常に遮っていた巨大な壁は遥か後方に。

KP : 砂を踏みしめ、息を切らしたどり着いた先は暗く静かな、夜の海だった。

夜の海


KP : ぽっかりと穴があいたかのように、まっくらで深い、夜の海。 雨の降り注いだであろうそこには、たぷたぷと水が満ち満ちていた。

小鳥遊 日向  : …はぁ、…ここまで来たら……大丈夫、かな…

胡桃澤 影親 : …はあ…

KP : 対象的に、ビー玉や宝石をばらまいたかのような、美しい星々が夜空を飾っている。 青白く流れるように浮かぶのは、きっと天の川だ。しかしそれはとても、二人を別つための悲しいものだ なんて思えなかった。それほど穏やかで、優しい光をたたえている。

KP : 海面には、ゆらゆらと月の光が落ちていて、水平線のむこう側まで光の道が続いているように思えた。 あるいは二人でずっと追ってきた、揺らめく逃げ水のようだ。

KP : 影親はへたり込むように砂浜へ腰をおろす。上がりきった息を必死に整えようと、肩でめいいっぱいに呼吸をする。

KP : 貴方もきっとそうだろう。がくがくと震える膝、そして吸っても吸っても足りないように感じる呼吸。 なんだか妙に、自分が生きているんだということを実感する。

小鳥遊 日向  : …はぁ、疲れた……痛、……今気づいたけど色々擦り剝いてるね、ちーくんも(影親の隣に座る)

胡桃澤 影親 : …必死だったからね…

胡桃澤 影親 : …こんなに全速力で走ったの…久しぶり…運動会も全力で走らないのに…

小鳥遊 日向  : …ふふ、そうだね。…ゆーくんと違って僕たちは運動苦手だからね

胡桃澤 影親 : ゆき、よう逃げれたなーって、褒めてくれそうじゃない?

小鳥遊 日向  : 確かに、すぐに脳内再生できそう

胡桃澤 影親 : …あはは、なんか……今までのが、夢みたい。いつも通りすぎて。

小鳥遊 日向  : そう、だね…ほんとに。…夢だったらいいのに、起きたらいつも通りでゆーくんもいてさ…

胡桃澤 影親 : …………うん。

胡桃澤 影親 : ………………

小鳥遊 日向  : ……どうしたの、ちーくん…

胡桃澤 影親 : その手帳、見せて。

小鳥遊 日向  : …はは、バレてたか。…いいよ、はい(手帳を渡す)

胡桃澤 影親 : …俺のだね。こっちの。

小鳥遊 日向  : うん、…ちーくん、あの時は辛そうだったから、黙ってた。ごめんね。ごめんね

胡桃澤 影親 : ……ひなはいつも、優しいから。(手帳を開く)

胡桃澤 影親 : ………

胡桃澤 影親 : ………(手帳を閉じる)

小鳥遊 日向  : ……大丈夫?

胡桃澤 影親 : …………だいじょうぶ

小鳥遊 日向  : 何だろう、なんだかとっても不器用だったんだねそっちの僕たちは

胡桃澤 影親 : ひなの選択も、俺の選択も、この世界も、全部おかしいよ

胡桃澤 影親 : ……おかしいよ。

小鳥遊 日向  : …仕方ない事、だと思うよ。…大事な人を守りたいのも、優劣をつけるのも…みんなおんなじ

小鳥遊 日向  : 全を取るために個を犠牲にするのも、その犠牲にならないように必死になるのもね

胡桃澤 影親 : ………

胡桃澤 影親 : ……やだ。こっちのひなみたいな事言うの、やだ。

小鳥遊 日向  : ……ごめんね

胡桃澤 影親 : …………

KP : どこからか、低くくぐもった音が聞こえてくる。 地響きのようだ。やがて振動が感じられ、遠くの方で小さく強い明かりが現れた。 それはちっぽけな、三角形をしたロケットだった。

KP : 尾を引く様なエンジンの火が、夜空の闇を引き裂いていく。 その時、パラパラとロケットから、何かがばらまかれ落ちてきた

KP : 縦に伸びたそれが、紙テープだということにはすぐ気がつくだろう。 星と月の輝く空に、紙テープが舞い落ち、きらきらと、あるいは鈍く月明かりを反射し、海へ地上へと降っていく。

 KP : その情景が美しく、すこし物寂しく、貴方達には感じられた。 お別れなのだ。あのロケットとは。きっと、もう永遠に。

胡桃澤 影親 : ……あ

小鳥遊 日向  : …僕たちの代わりになった誰か、だね

胡桃澤 影親 : ………ううん、たぶん…

胡桃澤 影親 : ………何でもない

小鳥遊 日向  : …なあに、急に切られても気になるよ

胡桃澤 影親 : …………乗ってるの、俺なんじゃないかな

小鳥遊 日向  : …………

小鳥遊 日向  : …そういえば、この世界のちーくんはどこにいるかわからなかったね……

小鳥遊 日向  : …ごめん、あのさ……ちょっとだけ聞いてくれる?

胡桃澤 影親 : ……うん

小鳥遊 日向  : ごめんね…仕方ないっていったけど。やっぱり嫌、かも

小鳥遊 日向  : 逃げたのは僕たちなのに、この世界の君が…犠牲になるのも嫌だなって

胡桃澤 影親 : …………

胡桃澤 影親 : ……嬉しいよ。

胡桃澤 影親 : ……ひながそう言ってくれるの、嬉しくて、…嬉しくて、泣きそう

小鳥遊 日向  : …嬉しく、ならないでよ…僕は嬉しくない

胡桃澤 影親 : …ふふ、ごめん。なんかこの紙テープ、涙みたい。

胡桃澤 影親 : 宇宙船に乗った人の、涙。降ってくるんだ、もう帰れない場所に

小鳥遊 日向  : 余計悲しくなること言わないでよ……はぁ、もう…あまり考えないようにしてたのに。…この世界のこと、嫌いになっちゃいそう…

胡桃澤 影親 : ……俺はとっくに嫌いだもん

胡桃澤 影親 : …俺の選択は間違ってたのかな?乗ってるのが、俺でも、他人でも…

胡桃澤 影親 : 殺したのは、間違い無くて。

胡桃澤 影親 : だけど、あのお姉さんはさ、愛してるから、失いたくなかったって、言ってたでしょ

小鳥遊 日向  : ……

胡桃澤 影親 : 俺も、ひなのこと......失いたくなかった.....

胡桃澤 影親 : ……これは、だめな事なの?

小鳥遊 日向  : …だめじゃないよ

小鳥遊 日向  : …僕も、君も…皆と同じように選ぶ権利がある筈だから。

胡桃澤 影親 : ……でも、こっちのひなは…自殺を選んだんだ

胡桃澤 影親 : …ね、俺のさ、憶測。聞いてくれる?

小鳥遊 日向  : …うん、聞かせて…

胡桃澤 影親 : …この世界の「一人の命」は、みんなが助かるでしょ?

小鳥遊 日向  : うん…

胡桃澤 影親 : …それを、ひなは、自殺して、…「一人の命」を…自分たちのために使ったんだ。

胡桃澤 影親 : …こんなの、無駄死にでしょ?褒められた事でも、何でもない。俺だって、間違ってるって思ってる。

 胡桃澤 影親 : でもね、…これは…こっちのひなが、こっちの俺のための愛情表現なんじゃないかって…思って

小鳥遊 日向  : …愛情、表現……?

胡桃澤 影親 : …うん。この世界における、最後の愛情。ひなは、みんなのためじゃなくて、俺のために命を使った…結局、それは誰も救えてないけど

小鳥遊 日向  : ………

胡桃澤 影親 : でも、たぶん、こっちの俺は…辛かったけど、その選択も受けて、ロケットに乗ったんじゃないかな。ひなの気持ちも、一緒に。

 胡桃澤 影親 : …なんて、綺麗事。

小鳥遊 日向  : ……そう。…僕だったら、そんなこと。しないけどな。…やっぱり環境も生まれも違うから

 胡桃澤 影親 : まずさせないけどね。

小鳥遊 日向  : ふふ、ありがとう。…でも、もし僕がこんなことになったら自分たちの為に一人で死なないよ

小鳥遊 日向  : …こんな世界で、僕たちの為に死ぬのなら君を殺してから…僕も死ぬよ

胡桃澤 影親 : ………本望

胡桃澤 影親 : …そんな世界、壊すよ。俺が。

小鳥遊 日向  : ……そっか、心強いね。…ちーくんならそうしてくれるって信じてるよ

胡桃澤 影親 : ……うん

胡桃澤 影親 : これから…どうしよう。

小鳥遊 日向  : そういえば、帰る方法…わからなかったね…どうしようか

胡桃澤 影親 : ……海の中で心中する二人は、結ばれる…

胡桃澤 影親 : …絵本に、あった。

小鳥遊 日向  : ……あの七夕の御話?

胡桃澤 影親 : うん。俺、ひなと結ばれたい

小鳥遊 日向  : ……ふふ、もう。ちーくんったら

小鳥遊 日向  : いいよ、一緒になってあげる

胡桃澤 影親 : ……うん

小鳥遊 日向  : …それじゃあ、行こ。ちーくん(手を引いて立ち上がる)

胡桃澤 影親 : うん………ね、いっこだけ、したい事がある

小鳥遊 日向  : ふふ、なあに?

胡桃澤 影親 : …海の中で、離れないように

KP : そう言って、影親は浴衣の裾を破く。それを細い紐のようにして自分と日向の腕とを括り付けようとしている。

胡桃澤 影親 : …いやじゃない?

小鳥遊 日向  : 嫌なわけないよ。ほら、僕も手伝う(一緒に結ぶ)

KP : 日向をみて、影親は嬉しそうに微笑んだ。

胡桃澤 影親 : ......それじゃあ、行こ。俺たちも

小鳥遊 日向  : …うん、一緒に行こう……ありがとう、ちーくん

KP  : 影親はもう遠く見えなくなったロケットと、月に照らされた海とを交互に眺める。 そしてお互いの手を、ぎゅっと強く握り合う。 貴方達は下駄を脱ぐと、揃えて砂浜の上へ置き去りにする。

KP :つま先を浸した海はひどく冷たく、夏だと言うのに背筋が凍りつくようだった。 死ぬということは、そういうことなのだ。身体が冷たく、冷えていく。

KP  : 雨が降り注いだ海の波は荒く、体重を乗せた足元から、勢いよく砂が攫われていくのを感じる。気を抜けばそのまま、バランスを崩してしまいそうだ。

KP  : 一歩、また一歩、貴方達は身を寄せ合い、夜の海へと身体を沈めていく。

KP  : 足首、すね、ふくらはぎ、膝、太もも。冷たい、急激に、そして確実に、身体から熱を奪われる。
影親が貴方の身体を、紐で結んでいない方の手でギュッと掴んだ。

KP  : 不安げな彼は、それでも貴方の顔を見ると、やがて嬉しそうに表情を柔らかくするだろう。

KP  : 笹の葉で切った肌に、海水が染みる。あぁ、生きてる。そしてこれから、たしかに死ぬのだ。 がくん。波がひときわ強く、貴方たちの身体を引いた。

KP  : 崩れていく体勢。水しぶきもろくに上がらないまま、二人の体は海の中へとっぷりと引き込まれていく。 すぐさま口元まで到達した海水が、体内へ、肺の中へと入り込む。

KP  : ロマンチックな別れなど、自然の前では無価値だ。荒い波は大きくうねり、二人を乱暴に引き離そうとす る。思わず、影親は貴方の身体をぎゅっと強く抱きしめた。

KP  : 貴方たちは必死に手を握り合い、そして抱きしめ合い、離れまいとして波に飲まれていく。

KP  : 《STR*5》と《CON*5》を一人一回ずつ振ってください

小鳥遊 日向  : CCB<=9*5 【STR × 5】 (1D100<=45) > 6 > スペシャル

小鳥遊 日向  : CCB<=7*5 【CON × 5】 (1D100<=35) > 1 > 決定的成功/スペシャル

胡桃澤 影親 : CCB<=9*5 【STR × 5】 (1D100<=45) > 30 > 成功

胡桃澤 影親 : CCB<=11*5 【CON × 5】 (1D100<=55) > 21 > 成功

KP  : なんでもよかった。二人の身体が離れていかなければ。 なりふり構わず、無我夢中で、必死で、貴方達は身体を抱き寄せ合う。

KP  : そうしている間にも、二人の身体は海の奥深くへと、引きずり飲まれていく。 あぁ、もう海面がどちらかも分からない。渦に囚われ、平衡感覚までもが失われていく。

KP  : いま手を離してしまえば、もうずっと、離れ離れになってしまいそうな気すらする。

KP  : 水圧に肺が耐えられず、思わずがぽっと吐き出した空気が、二人の間に泡の壁を作る。 どこかから刺した光が、それをキラキラと輝かせ、弾ける泡は、小さな星くずのようだった。

 KP  : 不意に、その隙間から影親と目があう。まるで時間が止まったかのように、その時だけ波がゆったと感じられた。

KP  : 最後の力を、振り絞らなくては。

KP  : 影親は幸せそうに微笑むと、貴方の頬へ、そっと口づけをした。

・・・・・・・・・・・・・・・・

KP  : 弾けた泡の隙間から、なにかまばゆい光が差す。雷だろうか。いや、それよりももっと、温かいなにか。

KP  : 眩しくて、おそるおそる目を開けると、同じくおそるおそる目を開いたばかりであろう影親と、また視線を交える事となる。

KP  : そこはどうやら、駅前公園の木陰のようだ。まばゆく降り注ぐ日差しが、新緑の葉をキラキラと照らしていた。貴方達のまわりには人々の喧騒や、お祭りで買ってきたのだろうか、美味しそうにわたがしを頬張る子供の姿が見える。

KP  : そして自分たちの体に、なにか違和感を感じる。頭の先から爪の先まで、すっかりずぶ濡れだったの だ。しかしだからこそ理解するだろう。今しがたの出来事が、夢ではなさそうだということを。貴方達はどうやら、自分たちにとっての他愛もない日常に、いつのまにか帰ってきていたようだった。

 胡桃澤 影親 : ……ひな…!

小鳥遊 日向  : …ちーくん、?…

胡桃澤 影親 : ……戻って、これた…

小鳥遊 日向  : ……みたい、だね…なんかずぶ濡れだけど。………着替える為に、一旦僕の家に来る?

胡桃澤 影親 : ……(ひなをだきしめる)

小鳥遊 日向  : …わ、…ちーくん、もう……(抱きしめ返す)

胡桃澤 影親 : ……みて、これ。夢じゃなかったんだ.

KP : そう言って、影親は結んだ場所にできた痣を見せる。

小鳥遊 日向  : ……あ、これは…

胡桃澤 影親 : …………

胡桃澤 影親 : ………あ、ゆき…いるよね、ゆき…(携帯を探す)

小鳥遊 日向  : ……ああ、そういえば…(スマホを取り出し)

KP : 携帯には、「ゆーくん」の連絡先が入っている。貴方達は、本当に現実の世界に戻ってこれた事を実感するだろう。

胡桃澤 影親 : …よかった…!ゆき、ゆきに話したいこと、いっぱい…

小鳥遊 日向  : うん、そうだね…沢山話そう

小鳥遊 日向  : …………ゆーくん達の事、仲間はずれにしちゃったこと…反省しないとね

胡桃澤 影親 : …もう一生しないもん、絶対。

KP : その時、かさりと、手がなにかに触れ、あなたはそちらへ視線を向ける。そこにあったのは、ビニール製のショッピ ングバッグだった。

小鳥遊 日向  : …?これは……

KP : 中を覗いてみると、入れられていたのは丁寧に折りたたまれた2着の浴衣だ。ただの洋服屋さんの袋なはずなのに、その浴衣には見覚えがある。

KP : あの七夕祭りに二人で着ていったものと同じ色、そして柄をしていたのだ。 しかしそれは新品同然に綺麗で、濡れても破れてもない。

KP : 袋の中には、一枚の短冊と、チラシが入れられていた。

小鳥遊 日向  : …(取り出して読む)

KP : 『俺たちの想いが 君たちの縁を 育みますように』
そんな文面に影親の名前が添えられている。

小鳥遊 日向  : ……、…

胡桃澤 影親 : ………

小鳥遊 日向  : …ありがとう。「ちーくん」

KP : チラシの方はと言うと、ここから電車で数駅いったところで、8月7日、月遅れの七夕を祝う祭りが行われているという、なんともおあつらえ向きな内容だった。

胡桃澤 影親 : …着替えて…行っちゃう?

小鳥遊 日向  : ふふ、うん。…行こっか

胡桃澤 影親 : ……あっちの世界の俺は、ちゃんとしてるね。みんなのためだけじゃなくて、ここにいる俺たちの事も想ってくれてるんだもん

小鳥遊 日向  : …そうだね、あっちのちーくんは、優しいね………僕と違って、ね

胡桃澤 影親 : …おばか、ひなはずっと優しい。どこのひなでも優しい。

小鳥遊 日向  : ごめんね、君を傷つけたんだなって思ったら…ちょっと怒っちゃった

胡桃澤 影親 : …俺は、どこのひなでも好きだし、愛してる。だから、ひながひなを貶すのは嫌。

胡桃澤 影親 : …仲良くして。

鳥遊 日向  : ……ちーくんにそう言われたら、しょうがないなぁ…善処する

胡桃澤 影親 : うん。……七夕祭り……短冊、何書こうかな

胡桃澤 影親 : 俺は、向こうの俺みたいに優しくないからなぁ

小鳥遊 日向  : 僕もどっちのちーくんも好きだから安心して、君は君のままでいいよ

小鳥遊 日向  : だから、無難にいつまでも一緒にいられるようにお願いしたら?……僕もそうする

胡桃澤 影親 : …うん、じゃあ「俺たち3人の縁が、もっともっと深まりますように」だ。

小鳥遊 日向  : はは、ちーくんらしいね。僕は「皆元気で楽しく生きられますように」って書こうかなぁ

胡桃澤 影親 : なんか、死んできた俺たちには深みを感じる…

小鳥遊 日向  : …ふふ、「僕たち」は生きられるといいね?

 胡桃澤 影親 : 生きるよ、絶対。死なせないし。

小鳥遊 日向  : はいはい、信じてますよ。…(影親の肩にもたれかかる)

 胡桃澤 影親 : ……ひな、俺ね、ひなとゆきの事が好きだよ。ずっと一緒にいたい。

胡桃澤 影親 : これは、すれ違わないための、本心。

小鳥遊 日向  : …うん、大丈夫わかってるから…君がそう思ってるのは、昔から

胡桃澤 影親 : …俺は昔からそう。…でもひなは時々、俺達をかばって嘘ついてる。

胡桃澤 影親 : ひなも本音、ちゃんと言って。これからも、すれ違わないために。

小鳥遊 日向  : ……ちーくん、僕はね。僕なりに二人が大事で、大好きなんだよ。

小鳥遊 日向  : 僕なりに大切にするために僕は最善を選びたいと思ってる。…それがなんであれね、だから本心も本当の気持ちも全て伝えるかは、約束できないよ

胡桃澤 影親 : ……うん。でも、俺は大事にされるだけじゃ嫌。

胡桃澤 影親 : …だから、頑張る。ひなに頼ってもらえるように。

小鳥遊 日向  : ……そう…なら、頑張って。…………僕がいつか頼れるように

胡桃澤 影親 : うん。ちゃんと、俺のそばにいてね、ひな。

小鳥遊 日向  : ………うん、ちーくん

KP : 影親は、「着替えに行こう」と貴方の手を引く。貴方達は、ずぶ濡れの衣服を脱ぐと、その浴衣を身にまとうだろう。
連れ立って祭りの会場まで行ってみれば、はためく七夕の吹き流しが、ピンクに、緑に、あるいは金色に、はためいては輝き、貴方達を迎えるのだった。

KP : さて、貴方は逃げ水を捕まえられただろうか。 伝えたいことは伝えたいときにしか伝えられず、後悔しないように、少しずつ進むしかない。

KP : 言いにくいこと、言いたいこと、お互いの気持は、口にしないと伝わらないのだ。 その勇気をだすことで、後悔はすこしだけ、減らせるのかも知れない。 いま貴方が短冊に願いを託すとしたら、どんな願いを記したいのか、少しだけ想像してみてほしい。

KP : このお話はこれでおしまい。
貴方達の縁は、こうして深く結ばれたのだった。 その縁が良縁となるか奇縁となるか、はたまた悪縁となるか、それは逃げ水のような、ゆらぎ続ける命の果てにしか答えはない。

KP : 未来を願う短冊に、精一杯の愛を込めて。

 KP : エンド: 同じ蓮の花

 KP : SAN 報酬:1d10
AF:七夕の短冊
※貴方たちによく似た誰かが書いたかもしれない短冊。1枚のみ。 もし異世界・異空間に閉じ込められた時、カササギが橋を渡し、現実まで連れ帰ってくれる。 ただし渡れるのは一人。実際に使えるかどうかは使いたい卓の KP 判断。

[メイン] 小鳥遊 日向  : 1d10 (1D10) > 5

[メイン] 胡桃澤 影親 : 1d10 (1D10) > 10

[メイン] system : [ 小鳥遊 日向 ] SAN : 68 → 73

[メイン] system : [ 胡桃澤 影親 ] SAN : 69 → 79

縁日のミニゲームで使わせていただきました、ありがとうございます!


ブリって美味しいよな。参考にさせていただきました!
お魚博士は勝手にキャラの個性をつけました。好きにしすぎィ!


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