したたかに生きる

2年前に回転寿司屋のアルバイトを「目が回る」という理由で辞めてから、ろくに働いていない。それなのに、旅行に行ったりパーマをあてたりしている。当然のようにお金がない。でもそろそろ働いてもいいかな、なんて言っていたら、おしゃれな喫茶店が求人を出しているのを見つけたので、応募した。

面接の日を迎え、私は店に10分前に到着した。それは、絶対に受かりたい!という強い気持ちの表れであった。しかし約束の時間になっても店の扉は開かなかった。待てど暮らせど開かないのである。しばらくしたら電話がかかってきて「大変申し訳ありません。」と謝罪された。忘れてました、という旨であった。面接は別日に変更となった。

私の人生すぎる、と思った。アルバイトの面接をすっぽかされたことは初めての経験だが、こういう、自分は悪くないのになぜかみじめな気分になることが私の人生には多い。なんて私は鈍臭いんだろう、と思う。たとえば、教室でボールみたいなものを投げあっている人達がいたら、そのボールは高確率で私の頭に直撃する。そしてその後すごく謝られて、なぜか私が恐縮する羽目になるのである。そんな中高時代を送った。

要するに舐められやすいのかもしれない。それでも、私はみんなのことを許してあげたい。あなたにそんなつもりはないのだと信じたい。愛したい。あえていわゆる強い女的ファッションをすることもしたくない。なぜならば、かわいくて軽やかな言葉で誠実に生きること、それが最もしたたかに生きるということだと思うからである。

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