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打ち合わせのゴールを明確にすることはなぜ大切なのか

最近、打ち合わせの進行をさせてもらうことが以前よりも増えて、アジェンダを自分で作る機会も増えた。先輩1人1人が、いつも大切なことを教えてくれる。「言いたいことは、アジェンダに全部書いておく」とか、「打ち合わせに使う資料は、参加する人も手元でも見られるようにしておく」とか、いろいろある。

そんなアドバイスのうちの1つに、「打ち合わせのゴールを明確にする」というものがある。あたり前のように聞こえるし、言葉としては理解しているつもりだった。

けれど、分かったつもりになっていただけだったかもしれない。最近、その言葉の意味をちゃんと感じられたような、そんな瞬間があった。

 

僕は、打ち合わせの進行をするとき、毎回アジェンダに沿って話を進めて、合間を見てクライアントに意見を求める。

それに対して、自分の考えを返そうとするのだけれど、スッとは出てこなかったり、話の出口が見えていないときがたくさんある。

1つ1つの議論に何らかの結論があるはず。一方で、僕は「それではこれでいきましょう」と、結論までの話し合いをリードしたり、自信を持って決めていくことが、その場でなかなかできていない。最近、いつも同じところで躓いている感覚がある。(課題は全然これだけじゃないけれど、特に大きな課題の1つだと思っている)

自分の地頭というか、頭の回転というか、そういうのが悪いからだとずっと思っていた。でもそうではないと思った。平たくいえば、「これまで何となく打ち合わせをしていたからではないか」と思った。

そう思ったのは、アジェンダを作っていたときだった。僕は、その日の打ち合わせで話したいことを箇条書きにして、そのプロジェクトのPMのアバさんに共有した。

すると「このミーティングで何を議論したいのか、何を合意したいのか
何を先方に教えてほしいのかが分かりにくい。これらがはっきりしていなかったら、ファシリテーションの難易度がグッと上がる。なぜなら、話し合いで寄りかかる基準がないことと同じで、議論に対してどう返したり、止めたり、流したりしたら良いかが見えなくなるから。」というすごく具体的な表現でフィードバックをいただいた。(実際はもっともっと長い長文でものすごく丁寧なフィードバックをいただいた)

そこで僕は、「今日の打ち合わせのゴール」という項目をアジェンダの1番上に追加して、いつも以上に力を入れて考えようとしていた。アバさんのフィードバックがあったからというのもあるけれど、それだけじゃない。

最近いただくアドバイスは、「プロジェクトのマイルストンを意識しよう」とか、「打ち合わせでリーダーシップを発揮しよう」とか、「やり切るとはどういう状態であるかをよく考えよう」とか、そういうのが多い。

アバさんのフィードバックも含めて、いろんな人に教えてもらっていることは、全て根っこは同じ話だと感じていて、「早くできるようになりたい」という自分に対する呆れと焦りの入り混じる強い気持ちがあった。

僕は、打ち合わせが始まる直前に「今日の打ち合わせのゴール」を書き足しながらハッとした。もし、あともう少しだけ準備する時間があったなら、そこに書く文章は、「〇〇について意見をいただく」ではなく、「〇〇について合意する」って書いただろうと思った。

これは、耳が痛くなるくらい聞いてきたはずの「全ての行動はゴールからの逆算である」という話に繋がる話だ。

打ち合わせのゴールを「意見をいただく」ではなく、「合意する」と、最初に考えて設定できていれば、準備が全然十分ではないことにもっと早くに気づいて行動したはずだ、そう思った。

「次の打ち合わせで〇〇について話そう」と漠然と意識していることは、そもそも「ゴールから逆算する」という行為のスタートラインに立ってすらいないと思った。ゴールは見えている気がしていただけだった。

   

加えてアバさんは、打ち合わせをゴールへ進めるためには、プロジェクトを前に推し進める意志と、自分なりの仮説を持つことが何より大切だという。何かを確認するにしても、意見をもらうにしても、議論をするにしても、結局、明確で正確なゴールがないと、結論へ向かって導いていくことは難しい。

解像度の高いゴールをちゃんと設定して、「やるんだ」とまず心に決めて言葉にすること。それができて初めて、アバさんのいう「プロジェクトを前に推し進める意志」というものも、自分の内側から湧き上がってくるのだろうと感じた。

そんな身体的な経験をたくさん積ませてくれている、そして、失敗してもこれでもかというくらい背中を押してくれているアバさんにすごく感謝している。プロジェクトを一緒にやるのは今回が初めてだけれど、アバさんから学びたいことがまだまだたくさんある。

アバさんは、自分がどれだけ素晴らしいものを作るかよりも、プロジェクトに関わる1人1人の成長や、喜びを、まず1番に願いながら前に進めている。そういう姿勢や行動が、すごく素敵に映るPMだ。サーバントリーダーシップってこういうことなのかと、一緒にやっていて初めて知った気がする。

人の背中を押すことによって何かを生み出したり、残していけるものがあるってかっこいいなと思う。僕もそんなPMができるようになりたい。



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