見出し画像

2020/3/23 爆弾ジョニー×LAMP IN TERREN 「Birthday's」@新代田FEVER

仕事をそっと早上がりして、日暮れの時間に私はライブハウスに居た。

新代田FEVERはやっぱり大好きな箱だ。優しい空気が漂っている。開場前、アルコール消毒スプレーをするために受付まで大さんが出てきて、お客さんに会釈してすぐに戻っていった。
みっちーさんとお話しながら、自分の整番が呼ばれるのを待つ。こんな世の中だけれども、大喜さんのお誕生日をお祝いできるのはやっぱり嬉しいねって。
2月のSEARCHの時に大喜さんがよく見えたのが嬉しかったので、この日もほぼ同じ位置を取った。上手側の一番端っこ、バーカウンターのすぐそば。

先に登場した爆弾ジョニー。勉強不足故にタイトルも曲順も全くわからない("キミハキミドリ"だけわかる)のですが、何卒ご容赦いただきたい…(本当にすみません)。覚えている会話の部分だけ書き起こしておきます。

り「去年はさっきやった"アクセル"って曲の時に、俺がここから落ちて腰の骨折った。テレンのマネージャーさんに『コロナのことがあるので今日は客席の方には絶対に行かないで!(ヒソヒソ)』って言われたけどそれは建前で、怪我しないように大人しくしてろってことなんじゃないかと」
「怪我人出ちゃってるから打ち上げの空気とか微妙だったもんね」
り「去年のリベンジをするために、出演順も去年と同じで先にしてもらった」

り「キョウスケの今の髪色大くんに似てる」
(袖から大さんが出てきてキョウスケさんとチューチュートレインして捌ける)
「大くんすぐ出てくるw」

中盤で「せっかくだからテレンの曲を1曲やりたい」と"キャラバン"を演奏してくれた。袖から大さんが出てきて、ステージ上で一緒に歌っているのを微笑ましく眺めつつ、ふと隣を見たらバーカウンターを挟んだところに健仁さんと真ちゃんと幸山さんがいて、「おっとォ……?(動揺)」となる私。マスクをした健仁さんが拳を掲げていたのと、真ちゃんがニコニコしていたことは、横目で確認した。同じ方から一緒にステージを観るなんて、何だか新鮮で不思議な気持ち。

爆弾ジョニー、ライブを観るのは初めてだったけど、コーレスしたり腕上げたりできて楽しかった。ライブパフォーマンスからも会話の端々からも人懐っこさが溢れていて、初めて観る時の心構えとか緊張とか何も気にせずに楽しめた。事態が収束したら、もっと彼らのライブにも足を運びたいと思いました。これからよろしくお願いします。

爆弾ジョニーのステージが終わって転換。上手袖からエフェクターボードを持って出てきた革ジャン短髪の健仁さん、かっこよすぎてとても心臓に悪かった。真ちゃんの髪の長さと柄シャツもとっても似合っていて素敵だった。大さんはこの日だけの限定販売コラボTシャツを着ていた。
自分の立ち位置からセッティング中の大喜さんのお顔がしっかり見えることを確認して、準備は整った。

テレンのステージは"ほむらの果て"から始まった。お誕生日お祝いライブなのに、初っ端からお祝い感ゼロのバッチバチなやつ。久しぶりのライブでギラギラしてた。
"heartbeat"とか"ボイド"とか、やや長尺だからこそ聴けるような曲もやってくれて嬉しかった。"innocence"の時は、こっそり爽さんのことを思い出していた。少し前に「最近ライブで聴いてない気がする」ってツイートしていたのを覚えていたので。

そんな中でもこの日一番良かったなあと思ったのは"Is Everything All Right"。私にとっては、抱えている鬱憤を晴らすのにぴったりすぎる曲だった。

誰もが幸せになりたい

メンバーと一緒に「なりたいなりたい!」と絶叫しながら、ああ、ただ幸せになりたいだけなのになあ、と思った。みんな幸せになりたいだけ。私はそれがライブに行くことで達成されるからライブに行く。手段が違うだけでみんな同じはずなのに。
今の世の中で、音楽は必要の無いものとして淘汰されがちな立場にある。「生きるのに必要無いんだから我慢するのは当たり前」だの、「こんなことで廃れるコンテンツなら初めからその程度」だの、心無い外野の声が煩くって仕方ない。幸せになる権利は誰にだってあるでしょう。みんなが幸せになろうとするのを私は止めないから、私が幸せになろうとするのを誰も止めないでくれよ。自分には必要が無いからという理由で、「そんなもん要らない」とか想像力の無い言葉を吐くのをやめてほしいだけ。救う気が無いなら、ただ放っておいてくれればいい。

大「よく来たね」
大「やる方もやる方なら、来る方も来る方だよな(苦笑)」
そうだね、私もそう思うよ。
大「マスクしてることなんて気にしなくていいのよ。いつも通りで」
閉じこもっていたつもりはなかったけど、そう見えてしまっていたかな。

大「今日でLAMP IN TERRENのメンバー全員が27歳になりました」
\おめでとー!!!/
大「ライブの話の時は『あーうんうん』みたいな感じなのに、大喜の誕生日の話になるとガーーッて来るのね(笑)ライブ中もそのくらい来てほしいんですけど?」

大さんからパスを受けて、話し始めるバースデーボーイ。
喜「『誕生日なんてただの日でしょ』って思ってたけど、俺考えたんすよ。誕生日って『生まれてきてくれてありがとう』って伝え合ってるんだって。バンド始めて、Twitterだったり手紙だったり直接だったり、すげーいろんな人から『おめでとう』って言ってもらえるようになって、『俺ってそんなに生まれてきてくれてありがとうって思われとるんや』って思った」
喜「大とかすごいよ。『え?今日誕生日なの?(ニヤニヤ)おめでとう(ニヤニヤ)」とかすげー言ってくる(笑)『お前そんなに俺が生まれてきてくれて嬉しいんか!?』みたいな(笑)」
大「プレゼント魔だからね。人が喜ぶ顔っていいよねっていう」
健「今日大喜の誕生日なのにお前が好感度上げるなよ(笑)」

喜「中学、高校くらいの『ただの日でしょ』って言ってた自分をぶっ飛ばしたい。バンドやってなかったらそんなつまんないことしか考えられない人間になってたと思う」
大「じゃあ27歳の大喜は誕生日を重んじる人間に生まれ変わったの?」
喜「そうだね。…新しい服着たね」
というやや強引な運びで"New Clothes"へ。2月のSEARCHの"BABY STEP"への流れをちょっと思い出した(前回記事参照)。

この日革ジャンだった健仁さんは終始汗ビッチャビチャで、袖でしきりに汗を拭っていたけれど、素材が素材だから多分全く吸収されていなかったのではなかろうか。"オーバーフロー"で叫ぶように歌った後、本当にしんどそうだったのでちょっと心配になったけど、その危うさすらもかっこいいと思ってしまった。手加減無しで向き合ってくれる人は本当にかっこいい。

本編最後の曲の前に、大さんがぽつりぽつりと話し始める。
「今日はいろいろ対策をした上でこうして開催したわけだけど、やってみたらよくわかんなくなっちゃった。やってよかったのかどうか」
「全部自己責任だと思ってる。俺らもみんなも自己責任。一人一人の選択の重さみたいなものを改めて感じた」
「でも何も考えないで自分の気持ちを正直に言ってもいいのなら、今日聴いてもらえてよかった。来てくれてありがとう」
「これからは心配な日々が始まる。今日ここに居る人の中から体調悪くなる人が出ないかなって。でも、こうして同じ空気を吸ってしまった仲なので」
そこまで言って、口角を片方だけ上げてフロアに笑いかける。
「最後は一緒に思いっきり盛り上がろう」

"地球儀"の同期音が聴こえて、涙がこみ上げてくる。顔は絶対に触らないという鋼の意志のもと、どうにか堪えようと天井を仰いだ。抑えきれなくて目の前がぼやけてしまう。この景色をちゃんと目に焼き付けておきたいのになあ。
途中からタイチさんとキョウスケさんがステージに乱入してきて、みんな笑顔で、ものすごい幸せ空間だった。2人がテレンの音楽を心から楽しんでいる感じがして、なんかすごくいいなあって心があったかくなった。"キャラバン"のカバーといい、爆弾ジョニーからテレンに対するリスペクトを感じて、とても嬉しい日だった。

アンコールは「今度は全員でやろう」とテレンも爆弾ジョニーも全員出てきて、もう一度"キャラバン"を。「楽器はそれぞれ話し合って分担して」と言われて、真ちゃんとキョウスケさんがソロをどうするか話し合ってたけど、結局ノリでどうにかしようみたいな結論に落ち着き、真ちゃんがお客さんに「(グダグタでも)許して」って言ってた。許そう。ドラムはどう頑張っても1つしか出せないから、大さんから「タイチは踊ってて」って言われてたの笑ってしまった。
サッと帰るために、アンコールの時はフロアの真ん中くらいまで下がって観ていたんだけど、健仁さんの立ち位置の延長線上に立って、真正面からあの満点の笑顔を眺めていたら、心が幸せで満たされていく感じがした。自分に笑いかけられていると錯覚しそうな、とっても良い眺めだった。曲の終盤で健仁さんが両手で煽っていた時があったのだけれど、その煽り方がサトマさんそっくりでびっくりしました。

メンバーが捌けて、幸せの余韻が残るフロアを名残惜しく思いつつ、落とし物のピアスをスタッフさんに渡して、すぐに会場を後にした。ドリンクチケットは換えないまま。


ずっとぐるぐると考えていた。行っていいのだろうか、と。仕事を早上がりして職場から出たその瞬間にも、最寄り駅近くのパーキングに車を停めた瞬間にも、まだ迷っていた。リスクを考えたら、そりゃあ行かない方がいいに決まってる。職場からも親からも止められている。わかってる。そう思いながら、電車に乗り込んでしまった。全然わかってないじゃないかと自分を責めた。ライブハウスに着いてからも、何かに怯えるような気持ちで縮こまっていた。本来ならば人でいっぱいだったはずのフロアは、後ろ半分がスカスカだった。
そんなことも、ライブが始まったら全部どうでもいいような気がした。ライブの間だけは、ステージの上の彼らが、この日、この時間、この場所を選んだ私を肯定してくれるような気がした。

全ては結果論。あの日から今日までを何事も無く過ごすことができたので、今更言うのはずるいよなあと思いつつ、あの日の大さんの言葉に応えるとするなら。
あの日、会いに行ってよかったです。ありがとう。また必ず、ライブハウスでお会いしましょう。

画像1