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2019/11/26 LAMP IN TERREN ワンマンツアー「Blood」@渋谷Star lounge

毎月のように定期公演で来ているこの場所で、定期公演と同じく26日に行われたテレンのワンマンライブ。だったけど、お客さんの雰囲気がいつもとちょっと違ったり、スタッフさんがいつもの人じゃなかったり、ああ今日は定期公演じゃないんだ、って実感する。
このStar lounge公演のチケットを私は全然当てることができなくて、最終先行辺りで兄がようやく当ててくれた。だから過去に参加してきた定期公演でも見たことないような、決して良いとは言えない整番だった(A214番)。

セトリが全く覚えられないことは初日の下北で学んだので、この日はこっそり掌に油性ペンでメモすることにした。1曲目は始まる前から書いておいた"ほむらの果て"。

3曲くらい演奏したところで、「他公演と違って今日はオラついていく」と宣言する大さん。Star loungeならではのホーム感が嬉しい。この箱でテレンのツアーを観られることにこそ意味があるのだ。本当に来られてよかった。整番なんてどうでもいい、この空間に居られるだけで幸せだ。ありがとう、兄。

"I aroused"と"花と詩人"の繋ぎが下北の時と変わっていて、本当こういうことされちゃうと全公演見届けられないのが悔しくなる。同じツアーの中でもどんどん変化していく彼らを、本当は一つだって見逃したくないんだ。

「今日ツアー初めて来たよって人✋」「あ〜じゃあ君たちはこれから新しい曲を3曲聴けるんだね」って満足げな大さんは、何かを企む悪戯っ子みたいだ。ツアー初日で初めて聴いた時の衝撃、ちゃんと覚えてる。今手を挙げた人たちは、この曲を聴いて何を思うかな、私みたいに衝撃にぶん殴られるかも、って自分も仕掛け人になったような気分でニヤリとした。この時点ではタイトル未発表だった"Is Everything All Right"。渋谷ハロウィンにクソ喰らえな気持ちで書いたって話を知ってから聴くと、なるほど、と思う。頭おかしくなれる感じの曲で好き。
続く"凡人ダグ"の真ちゃんのギターソロがマジでキマってて、今までもライブで幾度となく観てきたのに、かっこよすぎてリアルに頭抱えた。語彙力の死。

"オーバーフロー"の時に大さんが「歌うことでこそ価値が生まれる」的な話をしていたのを覚えておきたくてその言葉だけをメモしておいたら、そこに至るまでの流れとか全部ぶっ飛んだ。けど、その中でも覚えているところを。

「辛かったこととか悲しかったこととか、歌うことでここに置いていけると思ってる」

この言葉を聞いた時、ああ私は明日からも生きていけるな。って本気で思ったんだ。ライブが始まる前から「明日も仕事か〜嫌すぎる〜」ってみんなで騒いでたけど、この曲の時には明日のことも忘れて、なりふり構わず思いっきり歌って、そしたら生まれ変わったみたいに明日からをまた生きていける。こういう時間のために日常があるし、こういう時間があるから日常を生き抜いていけるんだよな。歌いながら思わず泣いてしまった。

曲間の静寂が訪れた瞬間、上なのか下なのか、別のフロアからバスドラの刻むビートが聞こえてきて、ここでMCするつもりなかったけどこれはスルーできん!とばかりに話し始める大さん。
「そのまま行っちゃおうかな〜とも思ったけど無理だった。何故ならここはStar lounge。」
静寂が意味を成さないのがStar loungeならではなのだ。定期公演常連組としてはもう慣れつつある。
「ここのMCよりもこの後のMCを覚えて帰ってほしいから」と何を話そうか考えを巡らせて、ちょっとだけ昔話。
「最初の頃はスカして『俺らはワンマンしかやらない!』って言ってた時期もあった」
対バンに呼ばれ、イベントに呼ばれ、全国各地飛び回っていた2019年の忙しなさからは、想像もつかない昔のテレンのこと。
「(そういう態度は)ライブに対する自信の無さの表れだったのかもしれない。今は曲もライブもめっちゃ良いって自信持って言える」
自分らで自分らのことかっこいいって言える今のテレンが、きっと一番かっこいい。ナルシストなんかじゃなくて、過信なんかじゃなくて、やることやってきて確かな手応えを掴んできたからこそ言える言葉。月並みな表現だけど、もっと世間から評価されていいバンドだと思っているんだよ、本当に。なあ、LAMP IN TERRENは最高なんだぜ。

「この曲から、今日も何かを始めるよ」

「僕が僕を好きになった瞬間から世界は変わる」と歌う"BABY STEP"は、テレンの、大さんの変化の象徴みたいな曲。

曲が終わっても、相変わらず他フロアからは別のライブの歌声が聞こえている。
「今日もみんな思い思いの丈を歌ってるよ。良いこと。」
大さんがキーボードの前に座りながら何気なく言ったような言葉が、ジンと沁みた。知名度がどうとか技術がどうとか関係なく、みんな音楽に人生を、命をかけてんだ。同じなんだな。

大さんがこの日みんなに持ち帰ってほしかったMCは、日々感じている生きづらさについて。
「自分の考えていることを上手く伝えられないことがある。それはメンバーに対しても同じで、何回も何回も話してやっと伝わった時に、伝わって嬉しいことだけ覚えていればいいのに、それまでの伝わらなかった悔しさばっかり残る」
「生まれたことは業だと思う。でも、生きていこうな。笑ってやろうな。幸せになってやろうな。幸せになってやることが、この世界に対する、唯一の、"反逆"。」

本編最後の新曲は、まだタイトルも知らない、決まっているかもわからない。すごく神聖な空気を纏った曲で、思わず息を飲む。
「生きていればこそ」
という歌詞が頭にこびりついて離れないでいる。


アンコール(オーバーフローのシンガロング)に応えて登場した大さんが、指揮者のようにその歌唱を止め、始まったテンションの高い物販紹介コーナー。
「汗かいた人は着替え(スウェット)ありますよ!」
俺がデザインしたんだよ!ってドヤ顔のご自慢オシャレグッズたち。大丈夫、もう全部買った。
「今回のTシャツのデザインは若くないと着づらいと思う」ってめちゃめちゃ強調してたのに対して、お客さんたちが「失礼な……!(笑)」ってなっててちょっと笑った。

このツアーのアンコール1曲目は、どうやら毎公演変えているらしい。さて今日は何をやろうか、というところで(私にとっての)大事件が起きた。
健仁さん「ライブでずっとやってないから裏で音源聴いてきたら、こんなフレーズあったっけ?って思った」
…………????い ま な ん て い っ た ? ? ?
ライブで随分やっていない曲なんて、あの曲しか思い当たらない。メンバーの会話から次々に出されるヒントが、某あの曲以外の何者でもない。「何の曲かわかってないでしょ?(笑)」とか言ってるけど、わからないとでも思ってるの?わからないわけがないんだよ。
「アンコール何が聴きたい?」
このタイミングで大さんから唐突に振られた問いに、動揺して声が出せない。皆思い思いの曲を叫ぶが、違うそれじゃない、それじゃなくて

「ゴールド・ルーズ!!!」

その声が聞こえた瞬間、メンバーから「うわ…」という声が漏れた。図星だ。
会場の空気が一気に「ゴールド・ルーズ聴きたい!」に変わった。大さんは割と乗り気で「どうする?」って感じだったけど、他3人が「マジで無理だから!!ほんとにやめろお前!!」ってめちゃめちゃ焦ってるのが手に取るようにわかった。
健仁さん「(やるんだったら)お前絶対歌詞間違えんなよな!」
大丈夫だよ、歌詞飛ばしても私が歌うから。
「真ちゃんが子猫のように震えてる!(笑)」って大さんが言ったので見てみたら確かに怯えきっていた。笑顔が引き攣ってるよ…真ちゃん…
再度聴きたい曲を募ると、ある曲名に健仁さんが「俺がやりたいの出たよ」と反応して、この日はその曲に決まった。仕方ない、今日のところは見逃してやろう…

アンコール1曲目、"at (liberty)"。自分でやりたいって言ったのに、途中で盛大にミスる健仁さん。
健仁さん「(間違えたフレーズを弾き直す)こうやるとできるのにな…」
大さん「俺歌詞間違えなかったぞ!!」
「罰として1曲増やす」と大さんが勝手に始めた2曲目は"Sleep Heroism"。やっぱりStar loungeでは特別なことが起こるから楽しい。
3曲目"地球儀"で飛び跳ねて、今日が終わりに近づいていく。

客席を見渡して「男のお客さん増えたな〜」と言い、両方の性別から好かれるバンドになることを何故か「両生類になる」と言おうとして自分でツボる大さん🐸
健仁さん「哺乳類に戻ってこいよ、待ってるから」

この日最後の大さんのMC。もう記憶が朧げなんだけども、たしか「俺はダメ人間なんだよね」みたいな話から入ったんだったと思う。
「はっきり言って音楽は必要のないものなんだよね。無くても生きていける。みんながちゃんと自分の生活を成立させた上で聴いてくれるから価値が生まれてるだけ」
「曲が書けなかったら、歌が歌えなかったら、俺なんか誰にも必要とされない。そんなことないって言うでしょ?でもそうなんだよ」
私は、そんなことないよって言えなかった。だって大さんが音楽やってなかったら、私と大さんの人生はそもそも交わることもなかった。否定はできない、けど、そんな寂しいこと言わないでくれよ。切なくなるだろ。
大さんは、ステージに立ってるとか関係ない、俺とあなたたちは同じだって、いつも言ってくれる。人間臭い、等身大の松本大がいつだってそばにいてくれる。

「自分のことダメだって決めつけんな!」

私は、自分で選んできたはずの今の人生が正しいのかわからない。なんとなくやりたいことはあったけど、なんとなく諦めて、なんとなく安定した方に流れてきた。こんな人生は間違っているんじゃないか、ってふとした時に考えてしまう。こんな私にも、彼は「ダメじゃない」って言ってくれるのだろうか。このまま安定に身を任せたとしても、新しい道に進んだとしても、私はダメなんかじゃないって思ってもいいかな。
この日は最初からフルバンドの"いつものこと"。

「認めてほしいだけさ 愛してほしいだけさ」
「愛されたくて今日も生き長らえてしまった」

愛に飢えたあの人に、私の気持ちを沢山書き残して「こんなに愛してるんだよ!」って伝えたい。まだなかなか上手く言葉にできないけど、いつか本人の目に触れても恥ずかしくないような文章を書きたい。そのために、時間がかかってもちゃんと書いていくことが大事なんだ、と思っている。
とはいえ、流石にライブから1ヶ月以上経過しているのは反省します。サッと書き上げられるようになりたいもんですね…精進します。

以下セトリです。

1. ほむらの果て
2. heartbeat
3. innocence
4. Dreams
5. I aroused
6. 花と詩人
7. Water Lily
8. Is Everything All Right
9. 凡人ダグ
10. New Clothes
11. 涙星群の夜
12. ホワイトライクミー
13. オーバーフロー
14. BABY STEP
15. 新曲
en1. at (liberty)
en2. Sleep Heroism
en3. 地球儀
en4. いつものこと