2023年8月13日の日記

 最近は俳優のオタクもしていないので、山下達郎のライブに行きまくり、全国各地のホールの音響を比較しながらライブを聴くという、人生における一大ドリームを叶えているのだが、ホール比較していて面白いのはやはり山下達郎のライブ恒例の「アカペラコーナー」である。
 山下達郎は言わずもがな、元々音楽業界でコーラスボーイをやっていた人間であり、一人多重録音によるアカペラは「クリスマス・イブ」でも使われていて非常に有名なのだが、山下達郎は毎年ライブで必ず「アカペラコーナー」をやる。
 今年はクリスマスアルバム「Season's Greetings」30周年ということもあり、アカペラのクリスマスソングメドレーをやっていて、真夏にクリスマスソングを聴く謎の人生になっているのだが、しかしこれがまたホールによって聞こえ方が全然違うので面白い。
 前に「ミュージカル刀剣乱舞 静かの海のパライソ」で北九州ソレイユホールというところに行ったときも、あそこはクラシック向けに作られたホールなので、逆に音の返りがすごくクラシックっぽくてテクノの音は気持ち悪く聞こえたりして、ウーンなんだかなと思った記憶もあるのだが……そういうクラシックっぽい箱ではちゃんと音の伸びを活かした曲をやると綺麗なんだろうなとも思っていて、というのも、やっぱり山下達郎のライブを見ていても、ホールによって「今日のこの曲のこの音は綺麗だ!」というポイントは全然違うように思えるからなのである。
 フェニーチェ堺というホールに行ったとき、はっきり言ってバンド曲はなんだか音のカドが全部取れてしまって、丸くなったように聞こえたのだが、やはりコーラス隊のパートなんかを聴くとものすごく綺麗に響いているし、クリスマスメドレーも音の伸びがこれ以上ないほど良く、感動したのである。どのホールにも長所と短所はあるのだが、山下達郎のライブはその長所と短所も込みで楽しめるように出来ているのですごい。

 ロームシアターでは2階左側のバルコニーに入ったのだけど、バルコニーの床にさえぎられて左側スピーカーの音がいまいち明瞭にすべて聞こえてこなかったのが残念。とはいえ、それを加味してもすごくいい音だったので、今度はセンターの席に入ってきちんと音を聞いてみたいな。
 ロームシアターもフェニーチェ堺も似たような構造で、どっちも比較的新しい劇場だと思うので、ああいうのが流行ってるんだろうか? バルコニーにもいいところはあって、例えば下手キーボードの柴田さんのプレイを心ゆくまで凝視できたりとか……そういう利点もあるので嫌いというわけでもないのだけど、全部が全部ああいうつくりになってしまうとちょっと困るかも。演劇ならいいんだけど、ライブだとねえ。

 さて、世間はお盆だが、実は私はお盆というものに対してあまり思い入れがない。「帰省」というものを人生で1〜2回しか経験していないし、父方の祖父母に至っては顔も名前も知らない。うちは無宗教なので、キュウリだのナスだのを飾るみたいなこともないし、お墓参りも人生で一度もしたことがない。
 というわけで、お盆というものにいまいちピンときておらず、世間の人々が移動をするタイミング、という認識をしている。

 箱に来ていたこれに、若干補足。
 ホス狂いがなぜホストにハマれるか、そしてホストに貢ぐためにお金を稼げるかというと、「感情労働をして、感情労働にお金を使えるから」なんですよ。
 私が夜職の仕事がなぜ「苦痛じゃないけど、才能もなかったか」というと、共感性が致命的に欠落しているので、感情労働に向いていなかったんですね。お客さんが何考えてるかとか、感情的な部分で何を求めているかというのが本当に理解できず、「こういう私を面白がってくれる」お客さんに支えられて仕事はできていたけれども、店に要求される「もっと恋人みたいに」「疑似恋愛をして」というリクエストに一切答えられなかった。逆に言うと、お客さんの気持ちが一切わからないし、興味もないから、苦痛もないわけです。興味があること(たとえば、趣味の分野でうまくいかないこと)には多大なる苦痛が生じるんだけど、興味がないとそもそも意識が向かないので苦でもない。逆に言えば、苦痛である、くらいの方が夜職の才能ってあると思います。(意識が向いているということだからね)
 疑似恋愛を信奉してホストにお金を使えるということは、疑似恋愛のからくりを無意識下のうちに体験しているということなので、同じように錬金の場で疑似恋愛をやる才能もあるんじゃないかな。
 で、ホス狂いになる/ならないという、この投稿者さんが言っているようなレールの上でふるいにかけられて、疑似恋愛の才能がある人が残るんじゃないかなという説を私は提唱しています。
 まあ、夢を見られる人、ということでもあるよね。冷静にならない人。冷静になっていたら、ホスト狂いはつらいよね。
<おわり>


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