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優しさには勝てねえなあ

いいの匂いがした。
キッチンに向かえば祖母がおでんを作っていた。
振り向きざまの第一声は、

「あんた大丈夫?」

ん?と答えれば、
「いつもより顔色が悪いわよ。」

そんな、亡くなった祖母の夢を見た。

その一言が胸に刺さって目が覚めてしまった。

僕は数年前から体調を崩してる。
けど僕の体の心配する親族はいない。
今更それを悲観はしないけれど、
心配してくれるのは祖母だけだった。

優しさが胸に刺さって起き上がれなかった。
やりたい事よりも二度寝を選んだ。
愛しくて、苦くて、やるせなくて。

双極性障害、分からない人には解らない。
患わないとわからない。
だから祖母もわからない。
けれど、僕が苦しんでいる事実だけを受け入れてくれていた。

わからなくていいんだ。
ただ顔色が悪い時に気にしてくれる。
たったそれだけで救われる。

けど世間は罹患者のその様に見飽きて、
疎む人がほとんどだ。
理解環境のある家庭は皆無に等しい。

苦しみの果てが、
統計にもあらわれている自殺大国の日本だ。

と、うだうだぐだぐだ書きましたが、

精神疾患に関係なく、身内や友人、
もし落ち込んでる、苦しんでいる人がいたら、
まずは正論で諭さず強引に励まさず、
辛いという事実に目を向け、
そっと同調してあげて下さい。

そのワンクッションで、
心は少し救われるはずだと思います。

生きてればいろいろあります。
挫折や苦境、耐え忍ぶ何かしら。

それに負けない耐久力を人は程度持っている。

けど琴線に対し最も破壊力がある、
心に響いて揺さぶられるのは優しさだ。

あたたかさ、やわらかさに包まれれば、
どうにもこうにも逆らえない。

優しさには勝てねえなあ。

嬉しかった事を思い出して欲しい。
胸いっぱい感謝せざるを得なかったはずだ。

ね、やっぱりさ、
優しさには勝てねえよ。

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