見出し画像

君と僕と洗濯物干しと


几帳面な女性と交際したならば、
きっと言い争いは避けられないだろう。
そこでどう折り合いをつけていくか。
感情的になってはいけないのが肝だろう。

洗濯物を干す機械があったなら
どれだけ楽だろう。
僕は間違いなく飛び付く、歓喜しながら。

干す手間、

否、

面倒くさい。

もう無理です、勘弁してください。
タイムイズマネー、
否!!
面倒くさい。

きっと誰しもタオルはやパンツは、
二つの洗濯バサミを使って干すだろう。
その方が陽に当たって良く干せる。

だが断る。

一つで充分だ。
いや、わかってるよ、わかってる。
けど違うんだタオルとパンツ。
そもそもね、
僕にそんな高望みをする事が間違ってる。

なあタオル、吊るされたいんだろ。
それなら一つでも良いよね。
パンツには聞くまでもない、吊る。

カットソーなんかもそう。

超ハイクラス最高に気に入ってるものは、
ちゃんとしたハンガーで干す。
そりゃそうです、型崩れは嫌だもの。

じゃあ中堅上位クラスは?

洗濯バサミで両肩辺りをつまんで干せば、
おおまかそれでオッケーだ。

じゃあ中クラス、
タグの辺りつまんで完了。

たまに着るくらいの下位層、
これはどっかしらつまんで、
はい。

本当にダメなんだ。
洗濯物を干すのばっかりはダメ、
無理だ、嫌だ、面倒くさいんだ。

さてこんな僕が
几帳面な女性と交際したとする。

今より前に進むためには、
争いを避けて通れない
そんなtomorrow never knows

はあ?マジで意味わかんないんだけど。
信じられない、よく平気ね。
どう見てもどう考えてもおかしいでしょ?
干せてないから、これ。
干せて、ない。
ありえない、馬鹿なの?
え、なんで?そんな人だったっけ?
もういい、私が干すから、
あ、洗濯も私がします。

え!マジで!!

じゃあ二人で干そう。

そう、二人で干す分には構わない。

共同作業という有益な時間、
触れ合い、
風になびく君の髪、
陽に輝く横顔、
他愛もない会話、
笑う君、その笑顔、
柔軟剤の匂い、
君の香り。

ねえ、

と君が呼ぶ。

お昼は何食べよっか。

微笑みながら。

とりあえず、ビールかな。

そんな生活の一幕、
どこか掛け替えのない時間にさえ思える。


けど本当に無理。
吊るせばオッケーでしょう。

なあ洗濯物、
僕にそんな高望みをする事が
そもそも間違いなんだ。

わかってくれとは言わない。

だって面倒くさいんだもん。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?