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【記録】或阿呆の日常

□2024.04.15 書籍購入

精神病質人格 / クルト・シュナイデル
(みすず書房 1954年8月30日第1刷)

特別少年院収容中に医療刑務所で実施の精神鑑定で診断された「行為障害(素行障害や素行症とも)」について、また「犯罪傾向の進んだ者」を専門的に収容する特別少年院に多い「精神病質人格者」について根本から調べていく。
精神科医的に「反社会性人格障害(反社会性パーソナリティ障害)」、心理学者的に「サイコパス」や「ソシオパス」についても未だ解明されていない領域に踏み込むため、本書ではシュナイダーの提唱する「精神病質人格」の概念やその分類をなぞりながら自身の精神鑑定に照合して考えてみたい。いずれ個別記事にする候補となる分野でしょうか。

ちなみに著者のシュナイダー(シュナイデル)は、常々購入を予定していた「精神病理学原論」の著者カール・ヤスパースとも親交があったらしい。

関東医療少年院の元院長で精神科医でもある杉本研士が著書「頭上の異界」(講談社2006)の中でも触れていたが、当時の少年事件では「行為障害」という診断が濫発していると嘆いていた。
確かに私が事件を起こす5年前後の間だけでも、酒鬼薔薇、西鉄バスジャック、大分一家6人殺傷犯など「行為障害」が相次いでいた。
それだけ「行為障害」は便利なレッテルだった側面も感じていて、現在においては「サイコパス」がその手のレッテルに置き換わりながら各方面で多用されがちだと感じている。


□2024.04.15 【雑記】浜崎あゆみ

この手の本は信憑性について慎重にはなるものの、過去の浜崎発言などが纏められていたりして、事実だと仮定して読み進めると中々面白い。
いくつか抜粋してみたい。

浜崎あゆみの生い立ちを読んでいると、学童保育(本書では「放課後留守家庭」)の経験者だったり、鍵っ子だったり、親の離婚など自分と被る部分も沢山見つかり共感できた。

その反面、自分と食い違う部分も面白い。
まず、一時期の浜崎は植物が好きではなかったらしく「花は大嫌いだった。お水あげないと枯れちゃうから。他力本願だなって」と発言があり、なるほどなと思った。

また、浜崎の話になると数々の素晴らしい歌詞を本当に本人が綴ったのか、ゴーストなのかと時折話題となる。俺は正直どうでも良くて、誰が綴っていようとその歌詞を浜崎が歌って聴いた人の心に響いているのであればそれまでだと思ってる。
そんな中、本書では生い立ちや過去の発言から浜崎自身の抱えてきた孤独についても触れられていて、歌詞を本人が想起するには十分過ぎるほどの感受性が育つ環境だったと感じた。
好きな本に「相田みつを」の詩集を挙げていたのも考えさせられた。
noteで何度か触れたが、私が特別少年院にいた頃に担任のH先生から相田みつを詩集を読ませて頂いたものの、正直、なにが良いのか全く分からなかった。
どの頁も普通の事がただ綴られているだけだと感じ、返却時にH先生に感想を求められるも、「僕はあまり好きじゃないかも知れません。普通の事が書かれているだけじゃないですかね?」と率直に述べ、少し残念そうにされた事がある。
父親代わりにもなってくれた大好きな先生だったから申し訳ない気持ちもあったが、だからこそ却って取り繕いたくなかった。
そんな「相田みつを」の詩集を数年前にまた購入して読んでみた。特別少年院にいた頃の自分はまだ荒んでいたから、何も響かなかったのではないか。大人になった今、改めて読めば感じ方が違うのではないか。そう興味が湧いたのだが、一緒だった。
そんな「相田みつを」の詩集を浜崎は好み、その浜崎の歌詞を私が好んでいるのだから面白い。おそらく自分は「相田みつを」の詩がどうというよりも、相田みつをという人間について知らなさすぎて、そんな知らない人間の言う事に興味を感じられなかった事が関係していたのではないかと考えさせられた。
今日の自分は何故かBLUE BIRDが心地よく聴こえる。浜崎の曲は暗い歌が好きなのに。


□2024.04.15 【雑記】岡庭など
去年末から今年に書くと宣言していた「殺人犯の前後状況」はまだかかりそうです。
個別記事は気分が乗った時に進めるようにはしているけど、本が面白すぎてそっちばっかりで娯楽に耽ってしまっています。

あと岡庭への手紙はそろそろで、公判が始まる前にあと2回ほど送っておきたい。
現状、証拠に乏しい中での起訴だからどう進展があるかは不明瞭だが、境町の一家惨殺が本当に黒であるなら2殺で死刑の可能性も大いにある。そうなると最高裁まで視野に入れても双方が手紙の内容により気を遣うので一審の段階で尋ねておきたい。

また、過去に「医療少年院」を経験している殺人の被疑者被告人にも拡大して尋ねてみたい事が出てきたが、まだ保留。
候補に⑥君と関東医療少年院の同期だったN.K(現在38歳)がいる。Nは2001年に実の父に対する殺人で中等少年院送致となり、その後に持病の治療のため関東医療少年院へ移送された。仮退院後の2008年に今度は実の母を殺害し無期懲役が確定し、現在も服役中。
二度目の殺人で無期が確定したとき、⑥君が興奮気味に錯乱しかけるほど衝撃的で落ち着かせるのに大変だったのだが無理もない。
ただでさえ中で一緒だった者が再犯して報道されると、多少なりとも不安要素など芽生える時があるし、それが殺人なら尚更だろう。
ましてや⑥君も殺人なので、同じ殺人の前歴を持つ者が社会で全うに生きられなかったという事実を突きつけられた訳だから。
他に医療経験者ではないが、寝屋川コンビニ強盗殺人の主犯少年、明石ラーメン店主殺害の少年。


□2024.04.15 【裁判】死刑囚への当日告知訴訟など3件が本日判決

①死刑囚に対する当日告知は違憲であるのか[刑事訴訟法475条2項、憲法13条/人格権、同法31条/適正手続の保障、国際人権規約/自由権規約(B規約)]
②残虐な刑罰を禁止とした絞首刑の執行は違憲であるのか[憲法36条/残虐な刑罰の禁止]
③再審請求中の執行は違憲であるのか[※原告側は1951年の見合わせ通達を根拠か?]

まず①は法的な違反ではなく、飽くまで死刑囚に対する人道的配慮が争点となる訴訟なのでおそらく大阪地裁は「合憲」と判断すると思うのだけどいかがでしょうね。
違憲状態とするには死刑囚ら原告側の提出した70年テープが主張として弱すぎるように思う。事前告知を辞めた背景に暴れたり、自殺されるなど実際に起きたことで、管理上の問題や執行の円滑化を阻害されるという前例あっての事なので尚更難しそう。

②の絞首刑の残虐性に関しては、これまでにも何度か訴訟となっていたが覆せず合憲と判断されているため、よっぽどの理由を持ってくるしかない。
個人的に、至って客観的な立場として言及するなら絞首刑は即刻廃止して薬物投与に変えたほうがいいと思っている。
理由として刑務官による精神的負担の軽減、執行までの円滑化、死刑の目的が苦しめる加虐に非ず「死」を以て処す事にある大前提からして殺す手段は時代と共に変容されて然るべきという点にある。
その上で②も「反対意見ありの合憲」ではないだろうかと予想。

③に至っては再審請求中の執行はすべきではないに大賛成なのだけど、現実として執行逃れを目的とした再審請求が行われる事も危惧すると慎重となってしまう。
よって「再審請求中の執行命令に関してはより慎重となるべきであるが、死刑制度の運用上は合憲」が私の考え方。
③も合憲と判断されそうだと予想するが、判決理由の付け方には最も興味のある部分。


□2024.04.15 菜園観察

大阪22℃ 湿度51% ☀
全植物に水やり○
いちご

□2024.04.15 カーニバル

黒が一匹
心此処に非ずでソワソワしていた
もう一匹がいない時の黒は不安そう
バーピー
ジムロープ縄跳び
暑くなったので発汗量が凄まじい

□2024.04.15 【裁判】死刑囚訴訟3件すべて合憲と判断(大阪地裁)

判決は読んでいないが反対意見も出なかった様子。
結果は凡そ見立て通りで「合憲」についても支持しているが、大阪地裁は論拠に乏しいというのか逃げ腰だった印象が拭えない。
特に②の「絞首刑が残虐な刑罰を禁止する憲法に違反しているか」について、「(執行方法を含め)刑事裁判で争うべき」と判断した点。
このような言い回しになってしまう背景には、原告が「絞首刑の違憲性」を「(原告の死刑囚ら)個別の刑事裁判による死刑判決の無効」に絡めて争ったことによるものだと感じている。
③の「再審請求中の執行」に関しても退けたようだが、判断理由が分からないので判決を読んでみる。
いずれにせよ原告は控訴、場合によって上告と貫徹して上級審の判断も仰いで然るべき。
徹底的に裁判所の見解を引き出してほしい。


□2024.04.16 菜園観察

大阪22℃ 湿度49% ☁
水やりせず
結局、発芽したのはハツカダイコンが2株のみ
種が1年以上前で小瓶に入れて机の上に置きっぱなしという「観賞用」の種で発芽を試みたようなもの。
思い出すのは平成14年頃、大阪のミナミで観賞用の大麻種子が売られている店があった。
「これ蒔いたら芽が出ますか?」と単刀直入に店員に聞くと吹き出され、「そ、それ言っちゃうとうちも営業出来なくなっちゃう」と困られたという話を何度かnoteでした事がある。
その店では規制前のマジックマッシュルームを購入したのと、長い特殊警棒を2本買いに行った。
結局、すぐに摘発されて店が潰れてしまった。
他にも特少事件の舞台となる兵庫県某所では一見して個人のビデオ店だが、レジの兄ちゃんに「ありますか」と尋ねるとラッシュやら売ってくれる店があった。例えるなら龍が如くのDVD屋みたいな怪しさがあり当時は大好きな店だった。
水耕栽培のアボカド
土耕栽培との比較で1つずつ実験で育ててみたところ、先に水耕栽培したアボカドより後で土耕栽培したアボカドの方がよく育つという結果だった。
そろそろ土耕に植え替えようかなと考え中。
発芽しなかった鉢に植えてもいい。

□2024.04.16 【事件】栃木県山中河川敷の焼死体

かなり気になる事件。

ブライアン・レーンの死体処理法という本がある。
死体焼却について読んでいると「歯」から身元特定されているケースも多く、歯の治療跡やインプラントからバレる話はよく聞く。
他に2000年に愛知県で発生したドラム缶焼却事件みたく、共犯が喋ってバレる事も多い。
一時期、死体損壊罪に係る過去判例をかなり読み漁ったのだが、大体バレている者は「歯」などの痕跡で被害者の身元が特定されて辿られるか、別件による共犯の自供、良心の呵責や被害者が夢に出てくるなどといった精神的不安から開放されたくて本人の自供が多かった。
死体損壊を伴う未解決事件を集めていくと、指紋除去(指の切断など)や粉砕して海にばらまくなどが主流となっており、焼却の場合には燃えカスをさらにかき集めて念入りに処理している事がわかる。

唯雅のトランクケース遺棄事件みたく、あんなに杜撰な処理で発覚しても中々捕まらなかったりするし、運と管轄署の手腕に関係する部分も少なからずあるんだろうなと感じられてしまう。


□2024.04.16 【続報】大阪美人局転落死事件

14歳少女が13歳だった当時に別の類似事件に関与していたとして児童相談所に通告。
当時13歳だった少年も同様に児童相談所に通告。
別の14歳少年は強盗未遂容疑で書類送検。
記事からだと別件では金品は奪っていて、罪を認めている二人に関して「強盗罪」が成立、金品を奪う目的ではなかったと供述している14歳少年に対しては「強盗未遂罪」を適用の上で書類送検したという事だろうか。※1
いずれにせよ少女が監禁致死事件を含めて逆送される見込みはほぼないと見ていて、一種少年院送致が言い渡されると見ている。
[※1追記]
別の報道では他に2件(強盗と恐喝)と出ていた。


□2024.04.16 カーニバル

黒がまたウロウロしていた
またもう一匹を探しているのか
寂しがりやの黒
バーピー
ジムロープ縄跳び
今日はオムライス
購入翌日に届いた

□2024.04.17 「精神病質人格」を読みながら
 さすが精神病理学の古典的名著。
1923(大正12)年の初版から発展と共に版を重ね、自分のは1954(昭和29)年発行の第九版となる。第何版まで出ているのかはまだ分からないが、行為障害や反社会性人格障害いわゆるサイコパスやソシオパスについても未だに研究段階にある中、本書は「精神病質人格」として定義された病理の特徴や類型とその変遷を覗える興味深い内容となっている。
旧字体が多く時代を感じさせるものの、その内容は現在の行為障害、反社会性パーソナリティ障害、心理学者的にサイコパスやソシオパスの解説にも重なる部分が多く、本書が如何にこれらのベースとして形成されているかについても知れる。

まず精神病質人格について本書ではこう説明されていた。

精神病質人格とは、その人格の異常性を悩みとし、またはその異常性によって利益社会が悩むような異常人格である。

精神病質人格 7頁より

次に私が特別少年院に在院中に行った医療刑務所での精神鑑定で出された診断内容と照合すると、『情性欠如型精神病質人』の類型に分類される。

情性の鈍麻を特徴とする異常人格であり、同情、羞恥心、名誉感情、後悔、良心というものをもたない人々である。

精神病質人格 182頁より

その本領は往々にして陰険、冷酷で、よく不平をいい、その非社会的行動は残忍である。
この人々は、また、クレペリン(Kraeplin,E.はドイツの精神科医)の「社会の敵」および「反社会人」の核心をなしてもいる。※1

同182頁より

※1 クレペリンは犯罪を変質による社会病と捉え、「社会敵対者(反社会人)」という概念を提唱し、共同体にとって危険な人間を社会から隔離する必要性を説いた。
特別少年院に入院した日、法務教官M田先生から少年院の役割について「教育」と「隔離」であると説明を受けた。理には適っている。

他にも雑記していくと、F・ショルツ(Scholz,F.はドイツの精神科医)の「道徳的無感覚」という命名で、これも感情異常性を同じように高調している。
すなわち「道徳的無感覚の人は、道徳律をまったくよく知っているし、よく分かっている。しかしそれを情感しない。それ故、それに従って行動しないのである」とあり、ここはよく私を言い表していると感心する。常々、道徳を弁えない旨を述べていた私だが、それは道徳に対する無知から成るものではなく、道徳が共存の上でどれほど重要な共通認識として安全を担保されるかを知りながらも固執しないという点において、ショルツの道徳的無感覚は非常に的を射ている。

続いてガウプ(Gaupp,R.はドイツの精神科医)はF・ショルツとまったく同じように「同情の欠如」に最大の重要性をおいている。
すなわち「生来的に同情を感ずる能力がなく、感じないでいる人は病的な人である」と。

他にもこの人々に対して、「道徳精神病」、「人倫的痴呆」=(ベールが提唱)、「道徳痴愚および白痴」、「道徳精神薄弱」(ブロイレル)、「人倫的盲目」(リープマン)、「非倫理的症候群」(アルプレヒト)などの表現がある。

端的に言って、私や梅川昭美みたいなタイプは道徳や倫理観に大きく欠けている事は頷ける。故に、少年期の私に対して道徳を説く大人は馬鹿に映っていた。何故、そのような無駄な事を骨を折ってまでして私に分からせようと必死になるのかと。
幸い、現在の私は道徳や倫理などどうでも良いものだと考えているまでは同じだが、社会では他人と歩調を合わせる術を知っていて、言い方を変えれば他人を欺きながら溶け込んでいるようなものでしかない。
それでも犯罪をせずに共存出来ている分には、私が内心にて道徳や倫理について何を思おうと自由である筈だ。梅川はこの点にうまく折り合いが付けられなかったのだと感じている。道徳や倫理などいくら軽視しようと問題ではなかった。そもそも道徳的無感覚に陥った者に対して、道徳をいくら強いても意味を持たない。それよりも逸脱した行動、つまり犯罪に至らぬ術を自分なりに構築してしまえば良かったのだ。


□2024.04.17 菜園観察

大阪25℃ 湿度34% ☀
水やりせず
ハツカダイコン
1年以上放置した種からよくぞ育ってくれた

□2024.04.17 【事件】栃木県山中河川敷焼死体

栃木・那須2人焼死体事件で20代の男を警察が任意聴取 何らかの事情を知っている

私の放火殺人の有料記事を読んでいただいた方は分かりやすいと思うのですが、この”何らかの事情を知っている”として任意聴取される状態についても重要参考人聴取に当たります。多くの場合、被疑者へと身分が切り替わりやすい立場にあるため、重要参考人=犯人と誤認されがちですが、必ずしも黒ばかりではないです。
さて、本件は思っていたよりも早く解決するだろうか。
[続報]20代男は自ら出頭してきたとのこと。


□2024.04.17 カーニバル

今日は早めに黒に会いに来たがいなかった
おーい黒どこ行ったんだあ
バーピー
ジムロープ縄跳び
帰りに寄ると黒が水を飲みに来ていた
黒行こうか
2日ぶりの黒散歩
黒がおると楽しいわ
エロスだ、エロチシズムだ
途中でおっちゃんが来て警戒する黒
ゲプ
もう一匹の黒がいない時は落ち着きがない
名残惜しいから見送ることにした
黒の帰り道に思い当たる植物を発見
急いで俺も降りた
こ、これは!!まさか!
やっぱりケシだ!
合法のナガミヒナゲシ
ナガミヒナゲシについては過去日記に詳細している
警察や環境省の外来生物対策室とも連絡を取り合って調べた思い出の植物である
2024年4月17日現在ではまだ特定外来生物に指定されていない

ケシの観察に夢中になっていると黒がミャウーンと一鳴きして去っていった。
その先に黒の友達らしい三毛猫がいた。

今日はポトフ
食後にスーパーへアイスを買いに向かう
ラミーアイスが激ウマで速攻買い占めに向かった
残ってたやつ根こそぎ買ってきた

□2024.04.18 菜園観察

大阪19℃ 湿度46% ☁
水やりせず
葉牡丹が開花中
朝からガッツリいく

□2024.04.18 【続報】栃木県山中河川敷焼死体

20代男性は一度帰宅を許されたみたいですね。
「事件に関与しているかもしれない」という曖昧な言い方で思い出す事がある。
十代の頃、身内が関与していたある事件で全く無関係な者を目撃者として偽らせ、警察に話を聞きに行かせた事があった。
その際、参考人という扱いで取り調べられたAは「もしかしたら事件現場を通ったかも知れない」という言い方をしていた。この言い方であれば違った場合でも誤魔化しが効くためである。

参考人聴取を終えて帰ってきたAに警察に何を聴かれたのかと尋ねると興味深かったのは、応対にあたった刑事から「週刊誌や新聞の記者から金を渡されて話を聞きに来ているのではないよな?」という発言を2、3回されたらしく、気になったAが「何でそんなこと思うんですか?」と問い返すと、「たまにそういう事があるから聞いとるんや」と言われたとの事だった。
実際に全く無関係な人物が事件について探りを入れに来るというのはあり、その無関係な人物は関係者と遠い関係という立場以外に、情報を報道機関に持ち込むためだけの全くの第三者もいるらしいというのは実に興味深いことだった。
本件の20代男性の曖昧な供述を読んだ時もその事を思い出していたが、この男性は実際にトラブルがあったことも含めて供述しているため、事情は異なるようである。

話は変わるが昨日、本件について知人と話していたところ、知人が「それにしても死体の目撃者は冷静によく覚えてるな。テープの巻き方だとか。自分なら怖くて気が動転しそう」と言っていた。
この知人は実際に自殺者のご遺体を目撃した事があり、その際に生きていた人間が冷たくなっている事にとても怖くなったらしい。

「死体か」

思い返していたのは、私の最後事件の発端となった殺人事件の犯行現場である。
何度かnoteにも記してきたが、逮捕から数日間は全く協力的姿勢を見せなかった私に対し、ある日の取り調べに痺れを切らせた刑事が数枚の写真を持ってきて机に置いた。
最初は裏返しにされていたその写真だったが、これまでの取り調べ経験から「共犯者」の顔の確認でもさせるのだろうと考えていた。
「お前、いつまでもそんな態度取れる思っとんなよ」
刑事はそう言うと、「これ見てみい」と写真を裏返した。

当時、大阪府警泉北警察署(現在:南堺警察署)内の留置場で勾留中に便箋につけていた日記。
13日に殺害後の写真を見せられている。
「精神不安定に陥る」とあるのは弁護士に持ち出せば多少なりとも有利に働くための証拠記載だが、少なからず動揺したのは事実。
当所、刑事が殺害現場の写真を見せてきた事は一種の拷問に当たると感じて使えると思った。古い事件なんかで被疑者の顔に強いライトを当てたり、踏み絵をさせたりに準じた心理的な加虐に繋がると感じたので。

いまだにこの時の写真は鮮明に脳裏にこびりついており、写真から死臭さえ感じ取れるような錯覚を覚えるものだった。
私はこの時に「人間の血液は赤だけではない」と理解した。
壁に飛散した肉片から垂れ落ちた血液の筋は途中まで汁のように透明であり、次第に薄っすらと赤を帯びていくと、垂れた先端はどす黒い。思うに、先端にかけて垂れ落ちた血液が集まるため色が濃くなるからだろう。

坂本龍馬が暗殺された近江屋には、当時に飛散したとされる血飛沫が掛け軸に残っており、テレビ番組で殺害状況の検証が行われているのを見たことがあった。
血飛沫の形から凶器の当て方などがよく分かるという事実に理解を示せたのも、取り調べで目にした犯行現場の写真にて、飛散した肉片と血痕が付着した壁には筆で払ったような筋を認めたためである。
つまり、一度壁に当たって擦るようにして付着するため、飛び散った血痕がどの方角から飛んできたのかがよく分かり、そこから凶器の角度なども分かってくる。

イスラム国が問題になっていた折、自分なりに分析してみたくなった私は、IS広報が出す処刑動画などを約3年分は欠かさず見ていた時期がある。他にも⑥君や少年犯罪者がグロ動画をよく見ていたため、どういう感覚となるのか興味を抱き、POSOや外国の少年らによるホームレス殺しの動画なども見た。

正直、見ていて興奮もしなければ気持ち悪いとも感じず、至って冷静にそれらを見ることが出来ていたように自分自身思う。
人間もいわゆる動物である以上、牛や豚のようにバラせば肉塊で内蔵や骨がそこにあって当然だと感じられてくる訳で、人間は何故か自分たち人間に対して他の獣よりも崇高であるかのように錯覚してしまうのか、人間の死体をどこかタブー視するような気がしてならない。自分も思い返せば、そんな錯覚を抱いていた時期があったのかも知れないが、それは遥か幼少期まで遡れると思う。
そんな自分でさえ、取り調べで目にした殺害現場の写真を見たときは動揺を覚えたのだから興味深い。
おそらく、社会で見た人間の生死に関する映像については自分自身が率先して閲覧している事に対し、取り調べで見せられた写真は何の前触れもなく不意に突きつけられた事による驚きだったのではないかと考える。
十数年が経過した今でもはっきりと思い出せる写真であり、自殺者を目撃した知人も断片的に鮮明な記憶として残っている訳で、栃木焼死体の目撃者も昨日今日の話なので具体的に覚えていても何ら不思議ではなくなってくる。強い衝撃を受けた出来事は何年経っても色褪せない。


□2024.04.18 カーニバル

今日も早めに黒を訪問したが不在
バーピー
ジムロープ縄跳び
対岸に黒を発見
訪ねると二匹いた
一日漬けておいた鶏チリが美味しかった

□2024.04.19 岡庭
岡庭へ4通目を書くにあたり、1、2、3通目の下書きを読み返していたが、我ながら3通目は簡潔明瞭によく纏めたと思うのだが、岡庭から聞き出す事は中々一筋縄ではいかない。
それだけ今まで出会ってきたタイプと異なるのは確かだ。以前、これまでに接した重大犯のうち、話している限りは一見して普通であり、ふとした拍子に違和感に気付くという程度だと書いてきた。
その中で唯一、変わっていると感じたのが豊中の通り魔で、キレるタイミングが非常に分かり難く、先ほどまで普通に会話していたと思えば突然キレるということがあった。
岡庭の場合、人間性の面で掴みにくく、未だ手探り状態で色んな角度から興味を引き出そうとしている。
それは内容だけではなく、"俺"や"私"は一人称の”僕”が薄ら寒くて使いたがらないのだが、岡庭に宛てた3通目は敢えて”僕”で統一し、印象を変える事で相手がその状況の変化を捉えて応答にも些細な変化が生じるのかなどを試している。

4通目を書くにあたり週刊新潮2021年5月20日号を買い求めようか迷ったが、下のオンラインで全文読めたので辞めた。
次は下手に出てみるつもりである。

ところで、岡庭が未成年時の鑑定で出された「広汎性発達障害」について、誤診だと指摘している人物がいる。
精神科医の岩波明氏だ。(下記事参照)

確かに広汎性発達障害の一つでもあるアスペルガー症候群の診断が、2000年5月1日に愛知県で発生した体験殺人から濫発している。
下記事の末尾にも主要な少年犯罪の鑑定結果を纏めておいた。

当時、広汎性発達障害が濫発した背景として、相次いで取り沙汰される少年犯罪と精神鑑定との因果関係が追いつかないままに、鑑定から結果を導かねばならなかった事が原因していたのではないかと感じている。
それだけ「不明瞭な状態」にあるものを鑑定期日内に何らかの答えを示さねばならない。
ここでも思い起こさせるのは、関東医療少年院の元院長である杉本研士が著書『頭上の異界』で「近年の行為障害の濫発」として嘆く記述だった。

すると次は流行りのサイコパス、または行為障害の後進的症状とも言える「反社会性パーソナリティ障害」に片付けられてしまうのではないかという危惧が生じてくる。

上の文春オンラインの記事で岩波明氏は「動物殺し」が反社会性パーソナリティ障害の目安の一つとして挙げていた。
私も一つの目安として有効だとは感じるものの、実際に行為障害を診断された私は動物に対する加虐や虫に対する殺傷に留まっていた事から、目安としてはあくまで慎重であるべきだと思う。


□2024.04.19 菜園観察

大阪22℃ 湿度41% ☀
全植物に水やり○
いちご
みたらし団子の豚バラ巻き
おやつに手軽に作れてめちゃ美味しかった

□2024.04.19 カーニバル
黒を尋ねると不在。

会いたくて再訪すると大人しい黒が帰宅
会いたくて会いたくて再再訪したら黒がいた
今日の黒は超ご機嫌
大人しい黒が留守番してるから安心している感じで、余裕を感じた
途中で黒がウンチをキメ始めたので先に歩いて待つことに
チラチラと後ろを振り返りながらご機嫌な黒
今日はもう一匹が待ってるから良かったな黒
久々にゆっくりと滞在
バーピー
久々に黒がいる間に跳べた
黒が去り際にミャウーンと鳴いていった
何となく"ありがとう"と言ってる気がした(笑)
今日の発汗量も尋常じゃなかった
雨が降る気配は一切ないのに蒸し暑くて夏並み
途中で来たおっちゃん曰く、明日はもっと暑いらしい
帰宅後にサラダ巻を巻く

□2024.04.20 サイコパスを調べる上で感じた疑問について
「サイコパス」という空虚で曖昧なものが一部に流行りだした原因とは何だったのだろう。
「サイコパス」について調べる上で、「人格障害」「異常性格」「精神病質人格」「行為障害/素行障害/素行症」「反社会性人格障害/反社会性パーソナリティ障害」などの文献や論文を読み漁っていると、かなり未確定で不確かなものだと再確認させられる。
厳密に「行為障害」や「反社会性パーソナリティ障害」と所謂「サイコパス」はニアリーイコールの関係に留まる。
混同されやすい背景を探るに、精神科医による「行為障害や反社会性パーソナリティ障害」についての言及と、心理学者や脳科学者やその他の諸派が言及する「サイコパスやソシオパス」の対象が著しく近似している事が原因ではないだろうか。
また、サイコパスの中にはマイルドサイコパスという反社会性傾向をもたない向社会性に分類される一群が加わる為、行為障害や反社会性パーソナリティ障害とイコールで繋ぐ事が更に正確性を欠くことになっていく。
そしてこの「サイコパス」が一部で肯定的に受け入れられている状況を覗うに、YouTuber(メンタリストDaiGoなど)や知識人(岡田斗司夫など)や専門家(中野信子など)による影響なのではないかと感じている。
特異的な事情が「一部(=厳密に公的な機関による診断や認定をされておらず未確定な人達)」からアクセサリー的に受け入れられる現象はこれまでにも見てきた覚えがあり、例えば「多重人格」「サヴァン症候群」「ADHD」「ギフテッド」「HSP」などがそうだろうか。
そこに「特別意識」「免罪符」「承認欲求」など個別の利用価値の他、単にチェックリスト診断の頒布により誰もが簡易的に確認出きることで、当てはまった際の「思い込み」として自称されやすいように思う。


□2024.04.20 菜園観察

大阪24℃ 湿度34% ☁
水やりせず
ハツカダイコン

□2024.04.20 カーニバル
雨が降りそうだったので早めに家を出た。
黒不在

バーピー
ジムロープ縄跳び
途中で対岸に黒を発見
また黒の奴もう一匹を探してる
黒より先に大人しい黒を見つけた
黒いんだから分かりにくくて車に轢かれるなよ

□2024.04.20 我思う故に罪あり
昨日、筋トレに出る前に夕飯の下準備中に包丁で指を切った。
筋トレ前にスーパーに立ち寄った際、入口の消毒液を手につけるとジンジンと疼いた。切創は後からジクジクと傷むんだなと感じていると、私が刃物で傷つけた被害者はこんなものではなかったのだろうと思えてきた。自分が経験した痛みは他人にも置き換えて考えやすい。だけど、他人にその痛みを強いる前に想像力を働かせて自制すべきだったのかも知れない。衝動的に人を傷つけて平然としていられる自分はやはり人としておかしかったのだと思う。
そんな自分が一度も刑務所に服役していないというのはやはり奇跡的に思えてきた。
最後の事件の共犯者は全員が再犯して刑務所に送られ、周りも殆ど刑務所に服役した。
自分は保護観察付の執行猶予が付いて刑務所に王手がかかった時、執行猶予期間を満了するまで交友関係を遮断した。
なんだかんだ16年も社会に無事いられるのだから不思議なものである。


□2024.04.21 【メモ】サイコパス研究

ASPD(註:反社会性人格障害) のうち,およそ 1/3 がいわゆるサイコパシーの基準を満たすと考えられている (Hart &Hare, 1996)。

論文『反社会性人格障害傾向者における遅延ならびに確率による報酬の価値割引』
[佐藤 徳.富山大学人間発達科学部.2008]

(サイコパスの)有病率は1.23%から3.46%となる。つまり行為障害の約4分の1である。

書籍『サイコパス -冷淡な脳-』
[著James Blair/Derek Mitchell/Karina Blair,訳福井裕輝.2009.07.11初版]p25
原著はThe Psychopath; Emotion and The Brain(2005)

さらに、犯罪者を対象にしてサイコパスの有病率を調べた疫学研究もある。それによると、合衆国の刑務所収容者の80%が反社会性人格障害の診断基準を満たしたが、PCL-R(※1)によって診断すると、サイコパスの基準を満たすのは15%から25%だけであった。
つまり、DSM-Ⅳ(※2)での反社会性人格障害の約4分の1である。これらの知見と、反社会性人格障害の有病率が3%であることから、サイコパスの割合が推定できる。
つまり、反社会性人格障害の約25%がサイコパスなので、一般社会での男性の0.75%が有病率であると推定される。

同上

※1 PCL-RとはThe Psychopathy Checklist-Revisedの略で、成人向けのサイコパス診断基準。子供や青年向けの評価尺度にAPSDやPCL-YVがある。

※2 DSM-Ⅳはアメリカ精神医学会(APA)が公開する診断指針。2000年に改訂版のDSM-Ⅳ-TRが公開され、2013年5月18日にDSM-Ⅴが公開され現在に至る。
DSM=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders / 精神障害の診断と統計の手引き

アメリカ精神医学会が公開のDSMとは別に、世界水準として公開されているICDが存在する。(2018年にICD-11が公開。30年ぶりの改訂)

特別少年院に収容中に医療刑務所で実施された精神鑑定ではDSM-Ⅳ-TRとICD-10が基準。

[補足]
"人格障害"という呼称が差別的で偏見を助長するという懸念から、"パーソナリティ障害"と呼ばれる事が多い。


□2024.04.21 夢日記
サッカーの日本代表になっていて北朝鮮で試合が決まり現地入り。北朝鮮側による競技場周辺の安全性確保や危険物の有無を確認するために待たされている間、ワインレッドのインナーカラーの髪や眉毛を整えていた。
しばらくするとゴーグルを付けた奇妙なキジトラ猫が現れ、近寄ると3歳ぐらいの女の子が「この猫、うちで迎えるの3匹目なの」と話しかけてきた。


□2024.04.21 菜園観察

大阪16℃ 湿度96% ☔
水やりせず
レモン
2年目にして急に成長し始めた
肥料食いらしいので近々また追肥する予定

□2024.04.21 【続報】死体損壊容疑で重要参考人の男を逮捕

車を貸しただけで殺害には関与していないと供述している模様。


□2024.04.21 韓国の少年院
サイコパス研究に関する論文を漁っていたところ、1994年時点の韓国の少年院に詳しい論文が見つかった。今から30年前の大韓民国における少年院事情なので、多少の食い違いがあるかも知れないが興味深いので置いておきたい。

当時の韓国の少年院法(1958年8月7日制定、1977年12月31日1次部分改正)の第4条では、次のように少年院を分類し運営している。
()内は当時に存在した少年院
①教科教育少年院(大邱テグ、春川、全州、清州)4か所
②職業訓練少年院(釜山、光州、大田)3か所
③総合少年院(ソウル、済州)2か所
④女子少年院(安養)1か所
⑤特別少年院(忠州チュンジュ)1か所

③の"総合少年院"という表記は韓国の少年院法に見られなかったが、論文に発見した。
①と②の機能を併せ持つ少年院だと推測される。

少年鑑別所は(ソウル、大邱、大田、釜山、光州)の5か所で、鑑別所がない管轄では少年院が業務を代行する。

しっかりと韓国も特別少年院が存在して分けてんだなあ。面白い。以前、中国人とロシア人に少年院事情をよく聞いていたが、中国は想像よりも少年矯正が行き届いている印象(10年ほど前)を持ち、ロシアは場所によって施設の老朽化も相まって悲惨な状態(同時期)と聞いていた。

何年のデータなのかは分からないが韓国内の少年院における収容者数が示されていた。
30年前のと見比べると済州少年院と清州少年院の表記がなく、代わりに金海少年院という名称がある。
大邱少年院には東村分院という施設が存在している。
서울少年院となっているのはソウル少年院。
忠州の特別少年院に550人が収容されており、ソウル少年院の1100人に次ぐ2位の収容者数を誇っている。

[追記]
2005年時点で忠州少年院(충주소년원)は業務を停止していた。


□2024.04.24 カーニバル

今日は大雨
大人しい黒が一匹で留守番
やけに今日は積極的
バーピー
ジムロープ縄跳び
帰路に黒が迎えに来た
ミャンミャンミャンミャン鳴いて今日は甘えちゃって
よっしゃ一緒に帰ろ
今日は一日雨やなあ
留守番中の黒と合流
二匹とも仲良しで良い

□2024.04.22 【続報】栃木25歳男「名前は言えないが兄貴に頼まれ車や凶器を準備しただけ」と供述

架空の人物をでっち上げて時間稼ぎ等の目的ではないなら言ってるようなものやのにな。
いざ大事になって共犯者と話し合う中、全員で出頭する話に傾いたものの、他2人は気が変わるなどして出頭を中止。平山容疑者は居ても立っても居られない心境で1人で出てきたという感じだろうか。

上の記事に基づくとサッカー少年で、サッカーを辞めてから不良化したタイプの様子。警察沙汰も少なそうで違和感のある出頭も頷けるけど、結局、共犯からバレて芋づる式のケースになりそう。


□2024.04.22 雑記
最近、公訴時効が成立して真相が気になったまま闇に消えた事件は何かという話題になり、自分は「井の頭公園バラバラ殺人」(1994年4月23日発見)だった。
ギリギリで時効が撤廃された未解決だと「北茨城市大北川バラバラ殺人」(1995年7月5日発見)で、指の先端は指紋が分からないように切断されていた。


□2024.04.22 菜園観察

大阪24℃ 湿度60% ☁
全植物に水やり○
水耕アボカドを土に植え替え
発芽しなかった鉢に移動

□2024.04.22 カーニバル

大人しい黒が留守番
バーピー
ジムロープ縄跳び
途中で黒が数十メートル先まで来た
黒!と呼んだらしばらくジッとこちらを見つめて去っていった。
老抽王ラオチュウワンを使用した黒麻婆

□2024.04.23 出頭した日

平山容疑者の出頭時の様子を見ていると自分が出頭した日を思い出す。
主犯の自分は19歳で大阪府警A署、見張り役だった共犯の少年は16歳(犯行時15歳)で兵庫県警B署に同時出頭。
時刻は確か正午頃、大阪府警A署の正面入口から入ると、すぐ目の前にある受付に3人ほど年配の警察職員が穏やかな表情で座っており、受付右端付近に初老女性が職員の一人と何やら談笑していた。
警察職員の一人が「はい、なにか?」と私に聞くので「出頭しに来た」と告げると、急に空気が変わり、横で談笑していた初老女性が驚いた表情で私を見ながら瞬きを繰り返して会話を止めたのを強烈に思い出す。
警察職員らも穏やかな表情から険しくなり、一人が「えっと、何の事件でしょう?」と尋ねるので「平成〇年にどこどこで起きた強盗致傷事件」と告げると内線で刑事課へ繋いでくれた。その間も初老女性が目のやり場に困る感じで瞬きを繰り返しながら固まっていた。
数分後、制服警官が正面入口を塞ぐようにして手を後ろに回した休めの姿勢で仁王立ちとなり、このときすぐに「逃走防止」だと分かる雰囲気が漂った。警察署一階の空気がかなり張り詰めていた。
内線を繋いだ警察職員が受話器越しに刑事と応答しながら私に問いかける。
「あなたいま何歳?」
『19』
「19歳少年です」
氏名、住所などを聴かれたあと、「またどうしてうち(大阪府警)に出頭したの」と問われ、『俺は大阪の人間やから』と伝えた。
制服警官が正面入口を塞ぐ前で、初老女性が瞬きを繰り返す真横に私が突っ立っていると、上からエレベーターで降りてきた刑事が3人ほどやって来た。
「君か?出頭してきたのは」
「ちょっと上あがってくれるか」
そのまま刑事に囲まれるようにしてエレベーターに乗り込んだところ中で「また何で出頭してきたんや?」と聴かれ、『良心の呵責から』と即答で嘘をついた。
すると数秒の間があったあと、意味深な含みのある感じで「ほんまにそれでええか?」と問われ、『はい』と答える。
刑事課に入ると取り調べ室に誘導され、見張り役の刑事に無言で監視されながらドアの外から大阪府警の刑事が兵庫県警と何やら電話で話しているらしい声が断片的に聞こえてくる。
「本人は良心の呵責や言うとりますけど…ええ、ええ、はあ、なるほど」
数分して刑事が紙と鉛筆を持ってきて「すまんけどもう一回ここに氏名、住所、電話番号と書いてくれるか」と言った。
黙々と書いている私に刑事が言う。
「おお、書きながらでええわ。もう一度聞くぞ?お前、今日なんで出頭してきた」
『だから良心の呵責です』
「ふーん、違うと思うな」
『え?なんで?』
「そんならなんで出頭まで時間がこんなに空いたんや?」
『事件起こしてからずっと悪いと思ってて、たまたま今日限界になって出頭しただけですよ』
「うん…」と数秒の間を置くと「お前の共犯も今日パクられとるやんけ」と強い語気で申し向けられた。
『へえ、そうなんですか。珍しいこともありますね』
「…まあええわ、あとは向こう(兵庫県警)の預かるところやから。今こちらに来とるからもう少し待っといてくれ」
そう告げると約30分で兵庫県警の覆面車両が大阪府警A署の駐車場に停車。
覆面車両の後部座席に私が乗り込むと両脇に護送任務の兵庫県警の署員が一人ずつ乗る。
覆面車両の前後を大阪府警のパトカーが県境まで囲む形で引導した。最初は前方に一台、後方に二台あった筈の大阪府警の車両が、県境に近づいた辺りで一台が離脱して減ったのを確認。

約30分の道のりで兵庫県警のB署に護送されるとそのまま刑事課へ連行された。
刑事課の入口をくぐった瞬間、初老の刑事が私の下の名前を呼び捨てにし「こっち来い!」と怒鳴った。
不快感を示して無視していると、再び怒鳴り出す。
「こっち来い言うとるんや!おい、ここ連れてこい」と部下の刑事に告げると、引率した刑事が「叱られてこい」と促した。
初老刑事の前に立つと「そこ座れ」と地面を指差す。正直、初老刑事は非番に飲んでいたところ、私が出頭してきたために不機嫌になっているのではないかと感じたほど顔も紅く、本当に酔っているように感じていた。後の取り調べで別の刑事との世間話から分かったのは本当に激昂していたらしい。
仕方がないので靴を履いたまま膝をつく形になると、「正座じゃ!」と再び怒鳴り散らす。
面倒くさそうに嫌悪感を示しながら何とか座るが、靴を履いているので正座がしにくい。

「お前がやったこと分かっとるんやろうの!」
『強盗致傷』

刑事は終始怒鳴っていて、私はぶっきらぼうに吐き捨てる感じで温度差が全く違う。

「ああ!?強盗致傷ぉ!?なに甘えたこと抜かしとんや」と鼻で笑われたあと
「お前、被害者に刃物つこうとるの」
『…』
「お前がしたことは強盗致傷やのうて強盗殺人未遂やろがボケぇ!」
『いや、殺意なかった』
「…なにい?殺意がないやあ?あれだけの怪我負わしといて何ぬかしとんじゃ!」
『ほんまに殺す気なんてなかった』
「そんなもん通るか。おい、こいつそこいれ」

正直、出頭前に本件は強盗致傷で立件され、逮捕後に銃刀法違反で再逮捕が来ると考えていたため、想像していたより状況が悪くなっていると感じた。
のちに供述調書の冒頭に[右の者に対する強盗殺人未遂被疑事件につき、平成〇〇年〇月〇日兵庫県△△警察署において、本職は、あらかじめ被疑者に対し自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げて取り調べたところ、任意次のとおり供述した。]とあり、「強盗殺人未遂」という部分を「強盗致傷」に訂正を申し入れている。私の付属弁護人からの申し入れもあって、罪状が強盗殺人未遂から強盗致傷に切り替わった。
ただ、のちに請求した事件記録には"強盗致傷"ではなく故意犯となる"強盗傷人"の記載があり、ここらの書類が意外と適当だと痛感した。刑法上は互いに240条前段で法定刑も同じだが、怪我の故意の有無について心象は違ってくるため、強盗傷人の方が多少は不利になる。振り返っても自分は利己的な考えが染み付いていたと実感する。

逮捕からヨンパチ(48時間勾留)が明けて数日間は「如何に自分は殺意がなかったのか」という主張の下、「本件はあくまで強盗致傷」と言い続けていた。
刑事は鬱陶しそうに「もうその話はええ」と眉を顰めながら、「凶器」の在処を必死に尋ね続けた。困ったのは本当にこの時の私は「凶器」の短刀がどこにあるのかを把握していない。最後まで重要参考人で在り続け逮捕を免れた成人Aが証拠を全て隠蔽していた。
連日、「刃物はどこにあるんや」『ほんまに知らないんです』「そんな訳なかろうが」『本当なんですって』といった不毛なやり取りが続く中、九州出身の刑事は痺れを切らすと九州弁で捲し立てていた。
ただ、2回目の勾留請求が終わった頃になると、(このまま凶器が出てこなければ『銃刀法違反』を立証できないのではないか)と感じ始めた。しかし本当に刃物の所在を知らない自分には言いようがない。刑事は私が嘘をついて隠していると疑っているため、後の少年審判を踏まえても協力姿勢は示しておきたいと感じた。結果、『そういえば(Aの後輩の)中学生らが川に何か捨てていた』などと適当なことを言い続けていた。
もちろん刑事は「どこの川や?」「もしうちの署員が潜れば見つかると思うか?」と必死で、こちらとしては刃物一本を探すためにまさか潜らないだろうと甘く考えていたし、万が一に潜られて出てこなくても「流された」で通るだろうぐらいに考えていた。
結局、満期勾留となる直前のある日、出頭日には怒鳴り散らしていた初老刑事が取り調べ室に上機嫌で現れ、「おい、とうとう出てきたぞ」と大きなジップロックに入った短刀を確認のために持ってきた。
内心は銃刀法違反で再逮捕が来ると警戒心が募り、あと20日間と少しはまだ勾留が延長されるとうんざりしていたところ、もしそうなれば少年鑑別所にいる間に二十歳を超えてしまうと焦りを覚えた。
そのため強盗致傷による残りの勾留期間はしきりに「再逮きますよね?」と尋ね続け、刑事は「だから!分からん言うとるやろ!銃刀法に関しては書類だけで送ることもあるんや」と嫌気が指す様子の中、「お前まだ他にも何かあって気にしとるんか?」と半ば冗談半ば本気の様子で返していた。
結局、再逮捕もされずに「強盗致傷罪」で家裁送致され、神戸少年鑑別所へ観護措置で入所となり、数日後には本籍地のある大阪少年鑑別所へと移送される。平成16年4月14日、少年審判で特別少年院送致の保護処分決定が下り、相当長期の処遇勧告が付いた。二十歳まで残り1ヶ月だった。

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