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アンビグラムの可読性を高めるには

この記事は、アンビグラム Advent Calendar 2023に参加しています!

こんにちは、133と申します。
アンビグラムや作字をしたり、動画を作ったりして日々を過ごしています。アンビグラムの推し型は180度回転型です。

今回はアンビグラムの可読性についてつらつらと書き連ねて行ければと思います。当たり前と思われることも多々あると思いますが、ご笑覧いただけると幸いです。

自分自身のこと

正直なところ、わたくし自身のアンビグラムを読み解く能力は非常に低いと思っています。全然自信がありません。
ですので、自作としては可読性を上げていく方向に努力をする必要があります(自分が読めない作品を出しても読んでもらえるかわからないため)。
ただし、自分で作成しているものはすでにわかっているため、頭の中で勝手に解釈して読んでしまう部分もあるということを常に意識していないと、自分で思うほど可読性は高まっていないということになりかねません。そこの葛藤と日々戦っております。

さて、アンビグラムを作るに当たって、文字を複数の形に読ませることが目的となります。ということで、どこまでなら読めるかということを意識しながら形を調整していく作業を続けることになると思いますが、併せて、どこまでなら別の文字に見えないか、というのも意識していかないといけません。
そのギリギリのラインを探りながら作品を仕上げていくことになります。

では、どうやってそのラインを攻めて行くのか。自分なりに参考としているものや可読性を上げるために試行錯誤するやり方を挙げていきます。

参考にするもの

振動型のアンビグラム:振動型のアンビグラム作品は非常に勉強になると思っています。2つの文字の中間を意識することになるので、どこまでなら寄せられるのか、意識を振動させることができるのか、というちょうどいい塩梅の参考にすることができます。
拙作の「長崎/壱岐」に関しても共通する部分と異なる部分をなるべく共有できるように調整して作成しました。他の方の作成した振動型の作品を見ると、なるほどここの対応はこういう見せ方が……というような気づきが得られます。

長崎/壱岐 振動型

崩し書きや草書体:文字を書いた際に、乱筆でも意外と読める。といった経験は皆さんもあると思います。また、草書体についても結構崩しているのにわかるな。というのもたくさんあると思います。
これにはいくつか要因があると思っていまして、それをアンビグラムに参考として使うことができると考えています。
例えば、
筆順を意識して文字をつなげたり崩したりすることで、文字が理解できる→ある程度線がつながっていたり省略されていても良い。
シルエットで文字が意識できる→線を間引いたり、構造を簡略化しても良い。
というような形です。

それを踏まえての試行錯誤の方法

参考にした攻めるラインを意識しながら文字の特徴的な部分を捉えた上で、以下のようなやり方で可読性を高めていきます(あくまで筆者の方法ですので、別のやり方ももちろんあると思います)。拙作での意識と併せて見ていきましょう。

線の強弱

線の強弱をつけることでつながっているように読ませたり、線が切れているように読ませたりということができます。
拙作の「勉強」のように「力」と「弓」の対応で横線が多い……縦線が途中で切れている……というときや、草書的に線をつなげたりする際に線の強弱でうまく調整すると良いように感じます。
もっと激しく強弱をつけることで読ませたい方向に意識を持っていけるように工夫をすることもあります。

勉強 180度回転型

線の密度

ある程度線が固まっていると、それを一体として認識したり、逆に分離して認識したりという意識の振動を起こすことがあります。
拙作の「可読性」では「読」で言偏の上の点を太さの異なる三本の線の組み合わせとすることでつくりの下部との対応を見せられるようにしています。
また、「可」の口部分でも右上を少し独立させることで、回転させたときに線が切れているように読めるようにしています。
こういった形で線の密度を工夫することで可読性を高めることができるのではないかと考えています。

可読性 180度回転型

線の方向

線の方向を、揃えたり、微妙にずらしたりすることで、線のつながりの意識をずらすことができると思っています。
拙作「軽薄」では草冠の右側の縦線と専の縦線を微妙に方向を変えてつなげるようにしています。これにより、「薄」側では線が分かれて認識できるが、「軽」側では線がつながっているように認識できるように感じます。
また、多少線が離れていても同じ方向を向いていれば一体の線として認識することもできると思います。

軽薄 180度回転型

思い切って省略

時には思い切って省略することも必要です。
拙作「写生」ではシルエットで文字の雰囲気が取れているので「写」の横線を一本省略したままにしています。(「生」の横線が一本増えることによる読みにくさを回避したかった)
シルエットや、他の線の要素が強い等の理由で対応が取れているのであれば、無理に線を付け足さずに思い切って省略してしまうこともありだと思います。「目」が「日」になっていても意外と読めてしまいます。

写生 180度回転型

記号化

「口」と「十」を対応させたいときなどに、記号化する。という方法も考えられます。
例えば◆やキラキラマークのような記号を用いてどちらとも取れるようにするという対応付けです。
拙作「警鐘」では「句」の口部分と「里」の十部分で◆を使うことでカバーしています。その他にも、片方の文字では読ませたいが、もう片方の文字では読ませたくない点のかわりに◯やハートなどを使用して意識から外れるようにする。といったこともうまく使うと効果的です。
その他にも、草書でよくある形ですが、「灬(れっか)」の点や言偏の横線をつなげて波線やジグザグのように書くこともあります。つなげて書くことで、しんにょう等別のものに対応させることが可能になります。

警鐘 180度回転型

まとめ

ここまで可読性を高めるために意識するところや試行錯誤の方法について書いて来ました。
しかしながら、最終的に言いたいことは

こまけえこたあいいんだよ!!

です。自分は可読性を意識してやっていますが、好きなようにやって好きなように作品を作るのが一番だと思います!!
気軽にアンビグラム作品、作ってみてください!!

皆さんの作品に出会えることを楽しみにして、締めたいと思います。
ありがとうございました。

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