論破されると渡り鳥になってしまう友達

A 論破されると渡り鳥になって南半球に渡ってしまう

B 思ったことをそのまま言葉を選ばずに言ってしまうため友達がAしかいない




A「ねえねえ、私さあ、これ全然意味ないじゃんっていうのに気付いたものがあるんだけど」


B「そうなんだ、なに?」


A「マジで、これ聞いたらすぐ『それ』捨てたくなると思う!」


B「うん」


A「じゃあ言うよ、...…トイレットペーパーホルダーの、下に予備くっつけるてるやつ!あの、布の輪っかみたいな!」


B「ああ、あれね。……なんで?」


A「あ、わかんない!?じゃあ説明するけど、あれさあ、便利グッズみたいな顔してるけど実際全っ然意味ないのよ!結局あれってさ、家にあるペーパーの在庫のうち一個を別の場所に置いてるだけじゃん。こないだ紙がなくなったときにあそこから取ってホルダーに入れて、またすぐ在庫から1個取ってあそこに入れて.…..っていう作業してるときにふと『あれ、これ全然意味なくない!?』って思っちゃって!在庫から取って直接ホルダーに入れるのと一緒じゃない?何このワンクッション!これトイレットペーパー飾ってるだけじゃん!みたいな!」


B「いや、あれはね、あそこに常に1個ストックされている状態を保つようにしておけば、ペーパーの在庫が無くなってることに『残り2個』の状態で気付けるんだよ。最後の一個を使い切ってから換えがないのを思い出したら焦るよね?あそこに1個残してあることで、買いに行く期間にも余裕ができるよね。わかる?ああ、そういえばあなた実家暮らしだったね。家の人がいつも買い足してくれてるから、そんなこと考えたこともなかったのかな。そもそも、あなたがそう思ったのって、多分あなたの家のトイレでは座ったまま手が届く場所にペーパーの在庫をしまう収納があるからじゃない?立ち上がらないと取れない位置にしか収納がなかったり、トイレの外にしか在庫を置けない家だってあるはずだし、そういう人にとっては普通に便利なものだと思うけど。あとお客さんが使ったときに紙が切れちゃったら?ひとの家のトイレでどこに替えの紙がしまってあるか、普通はすぐわからないよね?勝手に漁るのも気が引けるだろうし。『紙がなくなっちゃったんですけど...』とか、トイレの中からお客さんに言わせるの申し訳無くない?少し考えたらわからないかな..….まあ、わからないから今そんなに意気揚々と私に話しかけてきたんだろうね。ともかく、あなたが想像出来なかっただけであれが有効に働く場面なんていくらでもあるんだよ。そうやって自分から見えてる景色だけが全てだと思ってそこから溢れたものをまるで鬼の首でも取ったかのようにあげつらうの、やめたほうがいいよ。今からそういう思考力を身につけるのは難しいかもしれないけど、『世の中には自分の想像が及ばない物事が存在する』っていうことだけでも日頃から意識したほうがいいんじゃない?あなたみたいな人間は」


■けたたましい鳥の鳴き声と羽音


B「あっ.…..行っちゃった。



また来年...…」


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