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【CROBI Yeon-Ho Tanning skin Limited】もう貴方は貴方以外の何者にもならなくていい

焦げ肌よんほをお迎えしました…いや、帰って来ました、という話。

彼は、昔【蘇摩(そうま)】という名前で我が家に在籍していた子です。
他の家の子になるはずだったのが、迎えに来る人がいなくなってしまい我が家にそのまま居残る事になり、その後全く別のオーナーさんの元に里子に出され、そして数年の時を経て再び我が家に戻って来た。
そんな感じで、私が散々振り回してしまった子。

これはただの昔話。

何年前だったかなぁ。
当時付き合いのあったオーナーさんの代理購入を引き受けたことがあった。
もう本家からのお迎えなんて慣れたもので(今はなんか忘れてしまって勝手がよく分からなくなってるんだけど)お迎えしたいという方の話を聞いて、悪く言えば安請け合い。自分の子と一緒にお迎えした。

でもいつしかその人とは連絡が取れなくなった。
何ヶ月も待ち続け、ようやく連絡が取れ少しだけ安心して、改めて迎えに来てくれるのを待っていたが。
結論を言えば、破談。
与えた名前だけを残して、本来オーナーになるはずだった人はとうとう彼を迎えに来る事はなかった。

私は私で代理購入を受けた時は
「何かあったら自分で責任を持って面倒をみよう」
そう思ってはいたものの。
実際に公式サイトから頼んで、家に到着し、一時的に預かり、突然の音信不通から再び連絡が取れるようになるまでと、取れるようになってからもズルズルとやりとりを続け破談が確定的になるまで…かなりの時間が経ってしまって。
体調等私生活における状況や私自身のこの趣味に対する心境にも変化が起こってしまった、というのが正直な話で。
事の顛末を聞いた方が代わりにお迎えしたいと言ってくれたので、そのまま送り出してしまった。
何かあれば自分で可愛がろうと思ってたはずなのになぁ、無責任さに本当に嫌になる。
それが数年前。

そうして今。
その方も趣味を縮小されるとの事で、彼がまた次の家を探している事を知った。

もうめちゃくちゃ悩んだんですよね。

これはただの罪悪感から来る物なんですけど。
生まれてから今まで、本当に散々振り回してしまった子だったと思っているから。
私の所になんかもう帰って来たくないんじゃないかなって思ってしまって。
もっと可愛がって貰えるオーナーに出会えるんじゃないかって。

だからお譲りツイートRTしてみたり、この子はこういう可愛い子なんですと余計なツイートしたりしたんですけど。

でもツイートしてるうちに気付いちゃったんですよね。
ああ、私この子の事好きなんだなとか。
本当は帰って来て欲しいんだなとか。
全くもって身勝手極まりなくて、どうしようもなく情けない話。

だから悩んで悩んで悩んだ後に、もしまた彼が縁を繋ぐチャンスをくれるなら…と手を挙げてみた。
でも結果、他の方が既に声を掛けていたようで。
縁は一度ブッツリと切れてしまった。

結構周りから反応もあったので既に声がかかってる可能性は十分予想はしていたのに。
ああ、やっぱりうちにはもう帰って来ないのか…とびっくりするくらい落ち込んじゃったりしてね。
その辺も本当に勝手な奴だなって自分で思う。

でもその後わりとすぐ、お取引がなくなってしまったので…と再度お話を頂いて。
もう一回びっくりしちゃった。
こんな事あるんだな〜って。

ただの偶然だなんてわかってるけど。
切れたはずの縁をもう一度繋ぐ選択をしてくれたのがもしキミならとても嬉しいなと思った。

その後はもう迷わなかったよ。
彼に最後のチャンスを貰った気になって、今すぐ私の元に帰って来て!とラブコール。
そしてトントン拍子で話が進んで、今に至る。

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これは蘇摩くんだった時の写真。

この名前に由来は、ない。
少なくとも私にとっては。
何故ならオーナーになるはずだった人が、好きなキャラの名前を付けたらしいものだったから。

昔、ブログをやっていた時に見ていてくれた人は知っているかもしれないが、私は名付けに関しては自分なりにものすごく拘るタイプのオーナーです。
どんな印象の子か、どんな子になって欲しいか、どう在って欲しいか。
そういう物を全部ひっくるめて名前に託す。
それを受け取って貰うのが、我が家の子になる一つの儀式のようなものになっているのだけれど。

彼は韓国からうちに来る前に名前が決まっていた(ような記憶がある)けれど、その後オーナー予定の方の元に行けるのか、それともお迎え取り止めで我が家の子になるのか、決まらないままずっとこの名前で呼んでいたのでなんだか名前を付ける機会を見失ってしまって。
結局、そのまま。
次のオーナーさんに里子に出すまで、他の子と同じように名前を付けてあげることも出来なかったな。

だからかもしれない。
短い間だけど確かに一度は我が家の一員になったはずなのに、彼との間にはいつも壁を感じていたように思う。

「本当はうちの子ではない」

そんな気持ちがどこかにあったのかもと思う。

それに、彼の印象だった「真面目そう、誠実そうな顔付き」「一歩引いた大人しい静かな子」「聞き分けの良さそうな素直な子」だったのは、そういう心の中にあった「壁」がそうさせていたのかもしれないなと。
帰って来た彼を見て思った。

数年ぶりに会った、ラメはすっかりなくなったけれど綺麗なメイクのままの彼を見て思ったのが

「あれ、なんか前と印象違うけどグレた???」

だったからです。

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今までも里子に一度出してから帰って来てくれた子は何人かいて、ほぼ画面越しに見てるだけだけど何年も前から知ってた子が我が家に来てくれる事もあって、長年親しんだメイクをマルっと変えた子もいて、いろんな家を渡り歩いているのを見ていた末に最終的な我が家に落ち着いた子もいて。

そんな風にいろんな子を見て来たけれど

「前に家にいた時と雰囲気が変わったな」
「前のオーナーさんの写真で見たのと印象が違うな」

って感じたのはこの子が初めてかもしれない。

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記憶の中、肉眼を通して見る彼はいつも笑ってるように見えた。
そういう造形、メイクなのかと思い込むくらいに。
それはきっと彼と過ごして本当はちゃんと楽しかった私自身が見せた無意識の幻想なんだろうけれど。
私の中で生み出した彼自身のキャラクター像みたいなものも、きっと関係あったんだと思う。

もう一人、うちの子として迎えられた焦げよんほはなんともよんほらしい、絵に描いたように不機嫌顔のわがまま坊やだったけれど。
その真逆で何を着せても何をさせても不機嫌そうな顔をしなくて、いつも優しく微笑んでいて、きっと丁寧な言葉で話す行儀の良い子、みたいな。
そんなイメージが彼にはあった。

でも今、私には笑っているように見えない。
何度見ても、どの角度から見ても。

私の中にある罪悪感がそうさせているのだろうか。
そう思わなくもないけれど。
だけど昔とイメージが変わってしまった彼に対して、不思議と悲観的な気持ちにもならない。

物怖じせず、昔よりどっしりと落ち着いた雰囲気で、周りを気にするような気の弱さはなく、どこか生意気で挑発的な目付きをする事もある。
その姿にちょっと嬉しさすら感じている。
たぶんそれは彼が

「気を遣ってお行儀良くしている他所の子」

から

「余所行きの顔をやめる事にした本来の姿」

に変わったように見えるからなんだろうなと思う。
都合の良い解釈だけれど。

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彼をもう一度、今度こそちゃんと我が家の子として迎えようと思った時から決めていた事がある。
それは、改めて一から新しい名前を考えて付けること。

他の人から付けられたものをそのまま使うのではなく、
彼の為だけにある名前を付けること。
それを渡してもう一度、後ろに戻ることは出来ないけれど同じ場所から歩いて行こうと思ったんですよね。

使いたい字や方向性を最初に決めて、候補を5個くらい考えながらこれは字面がなぁ…こっちは少しイメージと違うか…とかいろいろ悩んでたんですけど。
でもいよいよ彼が家に来るぞ〜となった時、その他の候補を吹っ飛ばして突然思い付いた名前に決まっちゃいました。

まあ、特に我の強い子にはあるパターン。
頭の中に割り込んで来て自分で決めちゃう。
私が渡すはずが逆に渡されたような気持ちだ。


そんなわけで、新しい名前は

「慈乃(じの)」


になりました。
不思議なもので、まだ呼び始めて間もないのに前の名前よりもしっくり来ている。
うちの子になったんだなという感じ。
キミもそうだったら良いな。


私の所に帰って来てくれてありがとう。
ちゃんと向き合ってあげられなくてごめんね。
ダメなオーナーだけどまた一緒にいてくれたら嬉しい。
その目でなじっても怒っても良いから。


どうか、この家がこの子にとって気を張らずにただありのままの姿で過ごせる場所になり、皆の輪の中で愛し愛される日々を送れますように。

次こそは、朽ち果てるその日まで。

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