2023/07/13 「薬価改定による薬価引き下げの是非」

【記事内容】
薬価とは国(厚生労働省)が一律に定めた医療用医薬品の価格であり、薬価改定とは1年に薬価の見直しを行う制度を指す。薬局や病院、診療所などは医師の診療に基づき医療用医薬品を用いた場合は、薬価に基づいて薬の費用を国および患者に請求するが、薬の卸業者から医療機関に仕入れる際の価格は、当事者間で自由に設定できる。薬局や病院、診療所などにとって、薬価と医薬品の仕入れ価格の差額は直接の利益(薬価差益)となるため、なるべく安い価格で医薬品が仕入れられるように卸業者と交渉を行うのが一般的である。その一方で厚生労働省は定期的に、医療機関が卸業者から仕入れている薬の価格を調査する。この価格を「市場実勢価格」と呼び、市場実勢価格と薬価との間に一定以上の差がある場合に薬価を引き下げて差を少なくするのである。2023年厚生労働省はおよそ1万9400ある薬の品目の48%であるおよそ9300品目を引き下げるとした。この改定で削減される薬剤費は3100億円になる。薬価引き下げにより、国民医療費が下がり国民にはメリットのある一方で、製薬業界においては毎年自社の商品が下がり続けるというデメリットがある。以上を踏まえて、薬価改定による薬価引き下げの是非について議論したいと思う。
私は薬価改定による薬価引き下げに反対の立場(薬価を引き下げるべきでない)から立論するので、皆さまは賛成の立場(薬価を引き下げるべき)から立論をお願いします。
(補足)
医薬品は医療用医薬品とOTC医薬品の2つに大別される。医療用医薬品とは医療機関などで医者から処方される薬であり、OTC医薬品とは処方を必要とせず、ドラッグストアなどで購入できる商品である。薬価改定に適応されるのは医療用医薬品であり、今回の議題は医療用医薬品のみが対象である。OTC医薬品の価格は製薬会社が決めることができる。

Q立場は?
A立場は問わない

Q引き下げた分を他の分野に回せるので、引き下げるべき。
A他の分野に回した分がどこにいくのかわからない。それなら新薬開発などの医療費に回すべき。


【意見・論点】
1.薬局への影響
薬局の薬剤費利益は薬価 - 仕入れ価格で利益を得ている。薬局における売上の7割以上を薬剤費が占めており、薬価の引き下げが行われると薬局の収益が下がり、薬局自体の存続が危ぶまれる。 

・調剤薬局はドラッグストアとは異なり、医療保険から出ている。国などから補填できるのでは?
→国が補填、では根本的な解決にはなっていない。
 →国が補填する必要がある制度自体が根本的な解決になっていないのでは?
  →国の負担額が増額するといったスパイラル

・薬局ごとに工夫する。
→そもそも薬局がやることなのか。薬局は薬のことに注力すべき。
 →薬のおける品目が下がることで必要なものが薬局にない状態が発生


2.製薬会社への影響
物価高騰、円安の影響により、医薬品業界は影響を受けている。(原材料費、海外での治験等の高騰)一般製造業であれば、価格の引き上げを行うことができるが、医薬品業界においては薬価は公的価格であり、政府が決めているために販売価格を変えることができない。

・以前に政府による薬価引き上げが行なわれているため、企業に利益がでるならいいんじゃない。
→国が管理っできていない状況が現在の不採算品がある
 →一時的ではあるが理想的な状況ではある 


3.後発医薬品(ジェネリック医薬品)への影響
後発医薬品とは新薬の特許が切れた医薬品であり、その効果は新薬とは変わらず、値段が新薬よりも安価である。過去5回の薬価改定による薬価引き下げにより、赤字品目が120品だったのが、倍増し、約220品となった。今後も続くと医薬品を安定供給することが難しくなっていくと予想される。

・220中の種類は?同じ種類が多く含まれるのであれば問題はない。

・そもそもジェネリック医薬品が増えている。古いものが売れなくなっているのは当然。(新しい薬品と赤字品目の数がほぼ同じことから)
→薬価引き下げによって赤字が増えているため


【予想される反論・再反論】
1. 薬価引き下げが国の医療費抑制や国民医療費の負担の軽減につながる。
→その側面はあるが、薬価が下がることで製薬会社は利益が下がる。その結果新薬の開発が遅れる可能性が生じる。

・すべての政党が薬価引き下げはせざるを得ないと述べている。これに対しては
→再反論に同じ


2. 「急激な物価高騰等により不採算となっている全品目(1100品目)については、不採算品再算定を実施して薬価を引き上げる。」となっており、一定の配慮はある。
→特例的配慮であり、効果は一時的なものである。今後も薬価改定による薬価引き下げは行わることを考えると、根本的な解決とはなっていない。


【参考文献・URL】
1.NHK 「加藤厚労相「薬価 来年度改定で48%の品目を引き下げに」」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221216/k10013925191000.html

2.日経メディカル「23年度薬価改定、約48%の品目が引き下げへ」https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202212/577850.html

3.厚生労働省「令和4年薬価調査結果」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/157-1_R04.pdf

4.厚生労働省「ジェネリック医薬品業界の現状と課題及び流通・薬価制度に関する提案」
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/000992273.pdf

5.メディコム「2023年度薬価改定のポイントと薬局経営への影響を解説https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/medicalfees-2023

以上は2023年7月11日が最終閲覧日である。


【先生からのコメント】
そもそもロン。物価が上がれば薬価も上がるが、日本が経済成長していないことが薬価引き下げを起こす要因。政府は理由として国民の要望をあげているが、実際は国に金がないだけ。開発研究に金が回らないのは問題。薬価引き下げは明るくない!国民の利益といえば一見見栄えがいいが、経済成長していない証拠。


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