研究進捗「日本の情報公開制度」

公文書管理法の成立
2006「文書管理法制定のための提言」
国の保有する文書は国民の共有財産であり、管理体制の確立が急務である。
組織活動の透明性は、適正な文書管理により担保される。
文書管理の目的は説明責任を果たすことにある。
文書管理の国際標準 ISO15489(JIS X0902)の理念、考え方を取り入れる。
国の電子政府構想(IT 新改革戦略)と電子文書管理との連動をはかる。
文書管理制度を管轄する専門機関を明確化する。
文書管理を推進する専門職体制を確立する。
文書管理に関する教育研修を充実する。
文書管理の適正な運用を妨げる行為に対しては、罰則を設ける。
地方公共団体の文書管理について、国の法律を準用する旨を明記する。

2009 「公文書管理法」成立
行政の適正かつ効率的な運営、国民への説明責任を全うする目的に作成され、公文書等の作成、管理、保存、公開、移管及び廃棄段階について、行政機関が行うべきことを規定した法律。

公文書管理法に抵触する問題
2017.2 自衛隊日報問題
南スーダン国連PKOの自衛隊の日報を防衛省は「廃棄」と発表。翌年、存在を認めた。

2018.2 森友学園問題
近畿財務局職員が財務省の指示で国有地売却の土地取引の書類を改ざんしたことを告白、自死した。

2018.5 加計学園問題
獣医学部新設を目指す学園理事長が官邸で首相と面会した疑惑が判明。入邸記録は「廃棄」

2019.11 桜を見る会
桜を見る会に首相招待枠で多数の参加。招待者名簿は資料請求の直後に廃棄された。

これらを受けての変化
「公文書管理の適正の確保のための取組について」
・人事制度面:悪質な事案は、免職を含む重い懲戒処分が行われることを明示
罰則の設定
・体制面:第三者的な立場からチェックを行うための体制を整備
     各府省においては自ら適正な管理を行うための体制を整備
認証アーキビスト
・作成から保存、廃棄・国立公文書館等への移管まで一貫して電子的に管理する仕組みの構築
電子公文書化
・決裁が終了後の決裁文書に関する規則
厳密な保存期間の設定

仮説
・電子公文書化:時間の問題
・文書管理を推進する専門職体制の確立
→アーキビスト:非現用文書の管理 そうじゃない!
 
→レコードマネージャー:現用文書の作成・管理
・文書管理の適正な運用を妨げる行為に対する罰則の設定
→公用文書等毀損罪(刑法258条), 国家公務員法82条等が存するが効力が低い。
 米国の連邦記録法では法制度が整っている。

諸外国の情報公開制度
アメリカ
・電子文書:全政府機関共通の管理基準は存在しないが、作成~永久保存される電子文書の保存等が実施されている。

フランス
・専門職:レコードマネージャーを担うミショネールを長とする各省ミションの実施

イタリア
・電子文書:紙9:電子1、現用文書の電子化はあまり進んでいない。
・専門職:文書の選別・破棄の方法、アーカイブズシステムの運用方法等日本と異なる最新事情が豊富

イギリス
・電子文書:デジタルエキスパートの部署による電子文書の管理が支援されている。
・専門職:アーキビスト育成の大学→一般人への認知度が高い
                 日本は学習院、九州大学/700校
     レコードスケジュールの明確化
     専門職の充実
     歴史的見地からの文書管理の重要性

ドイツ
・電子文書:現時点で電子化されている連邦政府記録は少ない 。
 「電子中間書庫」:現用から非現用段階までの電子文書をカバーする。
          永久保存すべき記録は連邦公文書館のサーバに移管され、
          そうでない場合は破棄の許可について、中間書庫のサーバー
          に通知し破棄。
・州においては、各地域の独自性や歴史を反映しつつ、州政府機関や国民が文書にアクセスできるための最低ラインを確保
・総じて、ドイツでは軍隊や裁判所の機密文書も公文書館に移管されることから分かるように、公文書管理制度に対する社会的信頼は強い。

展望
模倣する制度
 電子文書→アメリカ、ドイツを参考に
 専門職→フランス(レコードマネージャー)、イギリス(アーキビスト)

・公文書管理法に抵触する問題が起こることへの問題点、公文書管理法を改善する意義を今一度具体的に調査する。

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