第31回まめすけ杯決勝カバレージ
tea。選手(黒赤緑アバク墓地ソ) vs か〜めん選手(青黒緑メタジャオウガ)
この日決勝へと駒を進めた両雄。
お互い熱い握手を交わし決勝戦は始まった。
まずは両プレイヤーの紹介をしたいと思う。
tea。選手は元々は遊戯王プレイヤー。
デュエマも少しプレイしており、墓地を肥やしリソースにする戦略を好む。
遊戯王でも同様の戦略を好み主にライトロード等を使用していたそうだ。
今回はかつて山口県で唯一のGPベスト8プレイヤーを輩出したチーム「環境覇会」のメンバーの1人であり、チーム内きってのゴールドメダルゲッター・AKIHISA氏に師事を仰ぎこの大会へとやってきた。
デュエマこそ歴は短いがこれだけは断言出来る。
今日この会場においては間違いなく最強のセメタリーマイスターと言えるだろう。
そして一方のか〜めん選手。
彼を言葉で表現するなら
“報われない秀才”
今年3度目となる決勝戦。
だが、過去2度の大会は彼の優勝を拒んだ。
“あと一歩が届かない”
私から見た彼に足りないあと一歩は“運”だと見えている。
安定した予選通過、ブレないプレイング・ゲームメイキング。
どれをとっても彼は申し分ない実力を有している。
それでも彼は肝心な時に低確率の引いてはいけない下ブレを引いてしまうのだ。
決勝戦というその日最も実力の拮抗しやすい対戦、勝負が拮抗する時最後に命運を分けるのは「純粋な運」である。
と筆者は考えている。
ここで言う「純粋な運」とはプレイングやゲームメイキング、メタ読み等の事前に培える力の全てを排除した後に残る「どうしようもない運」を指している。
三度目の正直となるか、二度あることは三度あるとなるのか…
それでは決勝の軌跡を書き綴っていこう。
ファーストゲーム先攻は予選順位4位のtea。選手。
《ブラキオ龍樹》をチャージしターンを終了。
か〜めん選手は少し首を傾げた。
存在こそ知っていたものの完全にノーマークだった“強化を貰ったアバク墓地ソ”
構築の細部も分からなければ相手のプレイスタイルも分からない。
両者お互いのアーキタイプこそ知っているものの圧倒的にデータの少ないアバク墓地ソを操るtea。選手が情報的には有利だと言えるだろう。
その事を加味した上で慎重に考え《同期の妖精/ド浮きの動悸》をマナチャージしターン終了。
tea。選手にターンが移り《ハニー=マーガニー/「こっちは甘いぞー」》を唱え山上3枚をオープン。
開示された3枚は《暴走龍5000GT》が2枚と《一なる武隊イワシン》
イワシンは言わずもがな殿堂カードである。
間違いなくtea。選手はノっている。
5000GTを手札に加え続いてイワシンの能力を解決。
墓地に捨てられたのは《流星のガイアッシュカイザー》。
2ターン目にして墓地は4枚も溜まり手札には5000GTも構えられている。
相当なプレッシャーがかーめん選手にのしかかる。
だが彼は冷静に《天体妖精エスメル/お茶はいかがですか?》を召喚しシールドを1枚マナに置きターンエンド。
tea。選手は更に「こっちは甘いぞー」を唱え墓地を増やしながら《超新星DOOM・ドラゲリオン》をキャッチ。
残った1マナで《メルゲ否男/「今も我らの願いはただひとつ」》を唱え更に墓地を増やす。
墓地の枚数は一気に9枚にまで増えた。
これで次ターン5000GTとDOOMドラゲリオンどちらでも着地が確実な範囲に入った。
か〜めん選手は先程見せられた5000GTとDOOMドラゲリオンのケアを考え《キャディ・ビートル》を召喚。
そしてターンが戻りtea。選手はキャディの能力を確認しDOOMドラゲリオンを宣言。
張り詰めた空気のせいか完全に頭から抜けていたプランが展開され頭を抱えるか〜めん選手。
5000GTとDOOMを出させないように動くであろうという思考に気を引き相手のキャディを逆手に取ったtea。選手は墓地の全てのカードを進化元に選択しこのターンに10マナも加速し13マナへと達した。
もはやキャディビートルなど意に介さないマナの枚数だ。
か〜めん選手は何とか挽回を図りたい所だがここから入れる保険は手札には無い。
《Disメイデン》を召喚し1ドロー1ブースト。
tea。選手はマナチャージし「こっちは甘いぞー」を唱え更にリソースを稼ぎつつ5000GTを手札に加え、続け様に《鬼札アバクと鬼札王国》をプレイ。
墓地に《大樹王ギガンディダノス》《龍装鬼オブザ08号/「終焉の開闢」》×2《「必然」の頂 リュウセイ/「オレの勝利だオフコース!」》《メルゲ否男/「今も我らの願いはただひとつ」》が落とされアバク自身も墓地へ。
そして追い討ちをかけるように《流星のガイアッシュカイザー》を召喚し2ドロー。
ガイアッシュのコスト軽減と自身の軽減を使い満を持して《暴走龍5000GT》を召喚しバトルゾーンを蹂躙する。
苦虫を噛み潰したよう表情になるか〜めん選手。
《アーテル・ゴルギーニ》を召喚しガイアッシュカイザーを退ける。
だがこの程度では潤沢な手札に大量のマナを抱えるtea。選手は止められない。
《カツラデランス/「アフロ行きま〜す!!」》を唱え1ディス2ドロー。
引いた手札から更に「こっちは甘いぞー」を唱え山上3枚をオープン。
オブザ08号にアバク、そして探し続けた最後のDOOMドラゲリオンが見えそのままキャッチ。
先に5000GTを召喚しその後DOOMドラゲリオンの召喚。
5000GTにフシギバースを当て墓地から大樹王ギガンディダノスを召喚し全ての手札を刈り取る。
準備は万端と言っていいだろう。
「DOOMドラゲリオンアタック時メテオバーン。ゴルギーニを-9000し必然の頂リュウセイを蘇生。
T・ブレイク。」
「何もありません。」
「必然リュウセイで全員スピードアタッカーです。
ギガンディダノスでワールドブレイク」
「S・トリガーお茶はいかがですか?
シールド追加」
「5000GT最後のシールドブレイク」
「何もありません」
「必然の頂リュウセイでダイレクトアタック!!」
FIRST GAME WINNER tea。選手
そしてそのまま続くセカンドゲーム
今度はか〜めん選手が先攻だ。
先程の対戦は手探りの部分が多くありたどたどしいプレイが多かったが今度は違う。
tea。選手はデッキのキーカードを探す為にデッキのほぼ全ての情報を出し切っていたのだ。
見えていないカードは7枚。
考えられる範囲でデッキのカードの採用枚数を想定してもかなりデッキの内容は把握出来た。
お互い2ターン目からゲームが進み出す。
か〜めん選手はエスメルを召喚し盾をマナへと変える。
続くtea。選手は先程のゲーム同様「こっちは甘いぞー」スタート。
捲ったカードの中から流星のガイアッシュカイザーをキャッチ。
《キユリのASMラジオ》のプレイに対しての牽制だ。
か〜めん選手は迷いなく《天災デドダム》をプレイ。
淡々と自分の強いムーブを積み重ねていく。
tea。選手も淡々とカードをプレイしていく。
「終焉の開闢」を唱え山上から3枚を墓地へ。
その中には再びイワシンが絡み鬼札アバクも墓地に落とされる。
なんと言う豪運。
流石にか〜めん選手も苦笑を隠せなかった。
イワシンを拾いイワシン能力を2度使用しハニー=マーガニーを墓地へ。
これで次のターン、5000GTでもDOOMドラゲリオンでも使える範囲まで墓地は増えた。
正直ターンを返すと何をされても負けてしまうレベルの強ムーブ。
か〜めん選手はもうほぼ後が無い事と相手の見えた範囲の情報から考えこのターンに一気にゲームを決めにいった。
「マナチャージ、《若き長老アプル》を召喚。
そのまま「母なる聖域」
アプルをマナに起きCRYMAX ジャオウガを場へ。
3点!!!!」
勝負は呆気なく決着が着いてしまった。
そう、得た情報の範囲では受け札として考えられるのは必然の頂リュウセイのGSがあっても4枚。
さらに見えていない範囲にあったとしても《一王二命三眼槍》が2~3枚までは考えられる。
だが何も無かった。
SECOND GAME WINNER か〜めん選手
そして最後のゲームがスタートした。
お互い1勝1敗、この対戦に勝利した者が優勝だ。
サードゲーム先攻はtea。選手。
2ターン目に「アフロ行きま〜す!!」を唱え手札を整える。
続くか〜めん選手は《幻緑の双月/母なる聖域》を召喚しマナ色を整える。
tea。選手へとターンが戻りメルゲ否男をチャージしレインボーカードをマナに逃がし、「今も我らの願いはただひとつ」を唱え「鬼札アバク」を捨て終了。
サードゲームにしてある程度並の動きになった。
この好機を逃すまいとか〜めん選手は「天災デドダム」を召喚しリソースを伸ばし「同期の妖精」も添えてターンを返した。
だがこのメイキングはtea。選手にとって想定の範囲内となった。
ここで再びレインボーカードをマナに逃がし
「オレの勝利だオフコース!」を唱えて盤面をリセット。
か〜めん選手は「同期の妖精」のメガラストバーストを使い1ドロー。
手札の増えたか〜めん選手は少し考えた後デドダムを召喚。
更に《Disメイデン》を召喚し再び盤面とリソースを伸ばす。
このか〜めん選手の盤面とリソースを伸ばす動きを見たtea。選手はここでゲームを決める為に大きく動く。
まずは鬼札アバクを召喚し墓地を肥やす。
そして十分に溜まった墓地に併せDOOMドラゲリオンを宣言、墓地の全てを吸収した不死鳥がバトルゾーンへと降り立つ。
その牙はプレイヤーへと向かい、雄叫びは墓地から暴走龍5000GTを呼び起こし場を蹂躙、シールド3枚を破壊した。
ここで「お茶はいかがですか?」がトリガーしたが、5000GTの追撃は止められない。
か〜めん選手を護るシールドは全て壊し尽くされた。
シールド全てを破壊されパワー5000以下のクリーチャーの召喚を封じられたか〜めん選手。
もはやまな板の上の鯉の様な状態だ。
だがか〜めん選手には一切の動揺が見られない。
ただ冷静に見えた情報の整理をし、そして静かにtea。選手に出来た“隙”を狙い的確に切り崩していくべく盤面の制圧を開始した。
まずは《アーテル・ゴルギーニ》を召喚。
墓地の同期の妖精とDisメイデンを蘇生。
さらに《ボン・キゴマイム/♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》を唱え12を宣言。
DOOMドラゲリオンと5000GTの動きに制限が掛けられた。
この行動がただの延命の為の時間稼ぎか、あるいは勝利の為の一手なのか。
今度はか〜めん選手がtea。選手を追い詰める。
ターンが帰ってきたtea。選手は一言断りを入れると深く長考した。
「ギガンディダノスをマナチャージ。「終焉の開闢」を使います。」
そうして墓地に落とされたカードは
「ブラキオ龍樹」「超新星DOOMドラゲリオン」「暴走龍5000GT」
5000GTを手札へと加えフシギバースを発動。
DOOMドラゲリオンをマナへと変えブラキオ龍樹を召喚。
CRYMAX ジャオウガの登場時能力を最低限ケアする為だ。
そして祈るようにターンを終了する。
「マナチャージ。召喚、CRYMAX ジャオウガ」
ブラキオ龍樹によりシールド焼却は阻止されてしまったがこれでも十分にオーバーキル盤面だ。
そして物語は真のCLIMAXを迎える。
「CRYMAX ジャオウガでプレイヤーアタック。
5000GTと手札2枚を破壊!!」
祈るようにシールドを確認するtea。選手。
「シールドトリガー「こっちは甘いぞー」
山札の上から3枚をオープン」
そうして見えたカードは5000GT、カツラデランス、必然の頂リュウセイ
解答はない。
か〜めん選手はアーテルゴルギーニでさらにシールドをブレイク。
tea。選手「………ありがとうございました!!」
THIRD GAME WINNER か〜めん
三度目の正直。
1年ぶりの優勝に彼は
「やっと…
やっと勝てた…永かった…」
と零した。
tea。選手は永いスランプを超え優勝した彼に賛辞の拍手、おめでとうございますと言葉を贈り、最後に熱い握手をして再び拍手で彼の優勝を称えた。
握手に始まり握手に終わるこの戦いを、1競技プレイヤーとしてとても美しく思う筆者であった。