古文単語練習 #2
問、次の例文の太字の語句の意味を、A~Eのうちから、選べ。
海はなほいとゆゆしと思ふに、まいて海女(あま)のかづきしに入るは憂きわざなり。『枕草子』
A すばらしい
B 心ひかれる
C 不吉で忌まわしい
D 気にくわない
E 危険だ
解説
海はやはりとても不吉で忌まわしいと思うのに、まして、海女が海に潜るのは、つらいことである。
「ゆゆし」=形容詞・シク活用。(忌々し)
①不吉だ・忌まわしい ②たいへん・はなはだしい ③すばらしい・立派だ
ポイントは、
語感を「不吉」と覚えることです!!
漢字で「忌々し」と表すように、もともとは、不吉なことが起こりそうだから慎む気持ちを表す言葉です。「忌」という言葉は、親族が亡くなったときの「忌引き」などでで使う漢字ですよね。古文では、穢れを避けるため一定期間家の中に籠る「物忌み」なんて言葉も出てきますよ。
さて、「ゆゆし」は、基本的には①の意味ですが、不吉に思われるほど、特質で貴重なもの(普段の生活ではあまり見られない特別な存在)→「すばらしい・立派だ」ということから③の意味もあります。また、②の意味は、①のマイナスと、③のプラスの、程度のはなはだしさを表す意味になっています。
☆形容動詞の「ゆゆしげなり」[忌々しげなり]も同じ意味です。
☆形容詞の「いまいまし」[忌々し]→不吉だ・縁起が悪い
ということで正解はCでした。
問題文の「憂きわざなり」の「憂き=つらい」に注目すると、マイナスの「不吉だ」の意味になることがわかります。
では少し練習してみましょう!!
なんとなくそれぞれの「ゆゆし」の意味を入れてみてください。
ニュアンスがあっていれば〇です。
文の意味が正確にわからなくても大丈夫です。
① 各(おのおの)拝みて、ゆゆしく信おこしたり。『徒然草』
それぞれ参拝して、「 」信仰心をおこした。
② ゆゆしき身侍れば、かくておはしますも、いまいましうかたじけなく、など宣(のたま)ふ。『源氏物語』
(私は)「 」身でございますから、こうして(若宮が)いらっしゃるのも、「 」がおそれ多いことで、などとおっしゃる。
③ ただ人も、舎人(とねり)など賜はるきははゆゆしと見ゆ。『徒然草』
ただの貴族の人も(朝廷からの警護のための)舎人などをいただく身分の人は「 」と思われる。
①たいへん ②不吉な・縁起が悪く ③すばらしい
おまけ
『枕草子』と同じジャンルの文学作品を選べ
A 発心集
B 平家物語
C 御伽草子
D 方丈記
E 大鏡
正解はDでした。『枕草子』は、清少納言が書いた平安時代中期の随筆です。『方丈記』は、鴨長明が書いた鎌倉時代初期の随筆です。そして、鎌倉末期に兼好法師によって書かれた随筆である『徒然草』をあわせて、三大随筆と呼ばれています。
おしまい。
画像は、院政期の絵巻『鳥獣戯画』です。