勇者もな薄い本のネタ帳(2)

[表紙]
モナコインを買ったら大損したのでヤケクソで勇者になった件

[目次]

[テキスト]
Page 4-5

むかし、むかし、モナコインを買えば君も大金持ち!という話を信じて、まんまと大損した「もな」おりました。呆然として毎日スマホばかり見ていたある日のことです。モナッピーというサイトで怪しげな募集チラシを見つけました。勇者をやるとモナコインが貰えるらしいのです。暇だった「もな」は、少しでも損を取り返そうかなと考え、運営に連絡して転職しました。仲間には似たような理由で「魔導士(まどうし)」「忍者(にんじゃ)「武闘家(ぶとうか)」「解体屋(ラッコ)」が集まりました。みなモナコインが貰えると聞いて群がってきたのです。

Page 6-7

さぁ、今日から出勤です!
運営から言われた指定場所にみんな集まりました。砂漠が近い港町です。仲間たちは、ここに「エスポワールの船が来るんだ」とか、わいわい冗談を言っていました。そんな勇者たちの前に、いつのまにやら運び屋さんが現れました。運び屋さんはニコニコ笑顔で「運営からお届け物です!」と言って、手紙を勇者たちに渡しました。手紙には、町の中にある「もな問屋」へ行き冒険の準備を整えなさい、と書かれてありました。少しばかりのモナコインも同封されていたのです。

Page 8-9

さっそく「もな問屋」を目指す勇者御一行、お店はアラビアンなお姉さんがウロウロしている区画を抜けた商店街の端っこのほうにありました。お爺さんがリヤカーで営業しているようで、「フォフォフォ!今日も良いもの揃えたぞ。」とか言いながら、勇者たちに武器と防具を勧めてくれました。あまり質は良くない気がしましたが、これでようやく冒険者っぽい服装になりました。次はお仕事の依頼を受けないといけません。手紙に書いてあった商人さんのところへ行くことにしました。

Page 10-11

最初の依頼は空飛ぶ姫様を探してほしいというものでした。どこへ飛んで行ったのやら・・・と困り顔の商人さん、探してくれれば船を貸してくれると言うではありませんか。「ははぁ、これはゲームで言うところのフラグだな。」と思った勇者たち、したり顔で依頼を受けました。丘の上にあがって探してみると、たしかに飛んでますね。

Page 12-13

商人さんに「居たよ、あっちに居たよ」と伝えると、喜んですっ飛んでいきました。これで船を貸してもらえるわけですね。さっそく港へ行って、船に乗り込む事にしました。運営からは特に何の指示もなかったのですが、とりあえず目の前に見える島を目指すことにしました。この付近は海賊さんもいるようですが・・・・

Page 14-15

船から陸を見ると、「モナ上がれ~」とお祈りしている集団をみかけました。モナコインがどんどん下がってるので、何とかしてほしいと他の冒険者が祈っているようです。初心者歓迎ののぼりも作って勧誘しているみたいですが、あんまり集まっているように見えませんでした。他人事ではなかった勇者たちも、遠くから祈りを捧げました。

Page 16-17

対岸の島にたどりつくと、ワンワンと犬たちがやってきました。さらにラッコたちもゾロゾロと出てくるではありませんか。ラッコたちの話によれば、この島はネムの島といい、なんと恐ろしいクマが山に居座ってよく襲い掛かってくるというのです。正義感に駆られた勇者たち、犬たちと一緒にクマをやっつけることにしました。

Page 18-19

犬たちと一緒にクマを探していた勇者たちですが、クマは見つからず、迷子になり、あたりが暗くなってきた山奥で、お腹がすいて途方に暮れていました。そのとき、不思議な視線を感じてふと振り返ると、一軒の立派な西洋風作りの家があったのです。看板を見ると、

「レストラン 西洋料理店 赤カブト軒」
「どなたもどうかお入りください 決してご遠慮はいりません」
「当店は注文の多い料理店です どうかご了承ください」

と書いてあるではありませんか。
お腹がペコペコのラッコは、それはもう大喜び!勇者や魔導士は戸惑ってましたが、結局みんなでお店に入ってしまいました。はたして勇者たちの運命は・・・・

Page 20-21

勇者たちは、山奥の西洋料理店で散々な目にあって武器や道具を全部無くしてしまいました。魔導士に「もうお金ないよ」とボソッといわれる始末です。そこで、勇者たちは最初の町に戻ってバイトする事にしました。もな問屋に働き口の情報を聞き込みすると、「いまは冷凍うどんがの在庫が山積になっとる。コレを売らんか?フォフォフォ。」と言われました。冷凍庫の扉を開けると、たしかに在庫がありました。

いかうどん・・・(あやしすぎる)

でも、お金がない勇者たち、半信半疑ながらも、この冷凍うどんに賭けるしかありません。うどん屋台を出し、なんとしても稼いで武器を買いましょう!

Page 22-23

勇者たちがうどん屋でバイトしていた時のことです。いつも空にプカプカ浮いて昼寝してる姫さまが、わざわざうどんを食べに来てくれました。美味しいうどんが気に入ったお姫様、勇者たちとも話が弾みました。

「ちょっと聞いてよ、わたしの友達が女王になるんだって!大変よね。でも町ではお祝いセールやってるのよ。私はこの閉店セールに行きたいの!」

と言って、チラシを見せてくれました。お祝いセールはオアシスの近くにある城下町でやっているようです。ここの城下町はオシャレな武器と防具がそろうと有名で、今なら即位祝賀セールで5割引き、7割引きが当たり前だそうです。バイト代を貰ったばかりの勇者御一行、どんなものが売っているのか、さっそく行ってみる事にしました。

Page 24-25

勇者たちが砂漠の女王さまに謁見したときのことです。

わたくしの飼い猫が1匹、王家の墓へ行ってしまいました。あそこは危ないところなので、勇者さん、探してくれませんか?この「みちびきコンパス」を使えば場所はわかると思いますよ。

と頼まれました。さっそく、王家の墓へ旅立ちます。お墓は町の郊外北側にあるのですが、三角の形をしたとても大きな石の施設です。町の人の話では、墓荒らし対策に罠がたくさんあり、噂ではミイラが徘徊しているそうです。できるだけミイラに見つからないように、罠にひっかからないように、こっそりネコちゃんを探しましょう。

Page 26-27

ネコちゃんを探して王家の墓に入った勇者たち、なんとか無事に階段の上にいるネコちゃんを発見しました。「よかったぁ~」と喜んだのも束の間、なんと、ネコちゃんの体から煙がムクムクと湧き出て、だんだん大きくなったのです!やがて姿を現したそれは、

ケケケ おれさまは魔王さまの使い魔よ
魔王さまに たてつこうなどと おろかなやつ
だがひとつ チャンスを やろう・・・

などと意味不明な事を言いはじめました。

この使い魔の話も変ですが、仲間たちも変なことを言っています。みんな使い魔の見える姿が違うというのです。さて、どの姿が使い魔の正体なのでしょうか。

Page 28-29

女王さまの依頼で迷子のネコちゃんを探しに出向いた勇者たち、散々苦労してようやく捕まえることができました!イタズラ好きで色々なものに化ける変なネコちゃんだったのですが、勇者はあまりの可愛さに惚れこんでしまい、女王さまにお願いしてネコを譲ってもらえないかお願いしました。女王さまからは、遠方調査のお仕事を受けてくれるなら譲っていいと言われました。あと、動物を飼うのだから、ちゃんを家を用意しなさいとも。馬車用の道具は町で売ってくれそうですが、馬は自分たちで調達しないといけません。

Page 30-31

女王さまからの依頼を受けて、転職ができるという神殿へ向かう事になった勇者たちですが、神殿は遠く、さらにネコ馬車買って散財したので路銀が足らないという話になりました。そこで、町の片隅にある冒険者ギルドの門を叩いたのです。掲示板に張り出された依頼伝票をみると、いろんな依頼がありましたが、神殿近くまで護衛するお仕事があったので引き受けることにしました。名産のイクラを運ぶので、その護衛をして欲しいという内容です。諸費用は支給しますと書いてます。

つまり、タダで旅ができ、報酬まで貰える!

なんてお得なお仕事でしょうか。勇者たちは会心の笑みを浮かべました。さっそく依頼主の所へ行く事にします。町の郊外でイクラの荷済みをしているから、そこで待ち合わせです。

Page 32-33

護衛バイトも無事に終わり、目的地近くの町にたどり着いた勇者たち、とりあえず喫茶で休憩することにしました。コーヒーを飲みつつ、ふと外を見ると、「ビーチバレー大会 参加者募集!」と書かれたのぼりがたくさん出ているではありませんか。

・・・面白そう!!

という事でさっそく会場へ足を運びました。参加受付をすると、着ぐるみセットが配られます。どうやら、この姿でビーチバレーをやるみたいですね。なお、参加チームには主催のモナー神殿より転職ご優待券が授与されるとのこと。

Page 34-35

勇者たちはついに目的地のモナー神殿へたどり着きました。ここはどんな人でも転職ができ、人生をやり直せると評判です。若者の救済を目指すモナー神殿司祭はまさに世の救世主と言われています。

さて、女王さまの依頼では、この地で転職を繰り返し、ぐーたら生活を送る妹君が滞在しているので探してほしいとの事でした。たくさん人がいるので大変そうですが、とりあえず勇者たちは受付で手続きを済ませ中に入りました。モナー神殿の司祭さん、側付きのシスターさんが奥で何かの説明をしています。あと、大きなコンテナがありますが、これは何でしょう・・・まぁいいです。女王さまの妹さんを探しましょう!

Page 36-37

モナー神殿で「女王さまの妹さんは何処にいますか?」と聞き込みをしていた勇者たちですが、有力な情報を得ました。神殿のシスターが人探しの名人だというのです。さっそくシスターに聞くと、そこにある亀の形をしたコンテナに入れば不思議な声で教えてくれる・・・との事でした。勇者はさっそくコンテナへ入りました。他の仲間は待ってるあいだ暇なので、お試しで転職してみる事にしましたが、戻ってきたらコンテナが消えた落ちたと大騒ぎになってました。いつの間にか出来た真っ黒な大穴は、それはもう何とも言えぬ不気味な感じになっています。

シスターはこう言いました。
「大変なことになりました。コンテナを動かした勇者は闇の世界へ行ってしまいました。あなた方も早く追いかけなさい。この風のマントを使えば下まで行く事ができるでしょう。」

一方、コンテナに乗って落下した勇者は闇の世界へ踏み込みました。カメに乗った人が「あら?またお客さん?あなたも上の世界からやってきたのね。ここは闇の世界よ。」と言いつつ、近くにお城がある事を教えてくれました。

Page 38-39

闇の世界に踏み込んだ勇者ですが、お城の城下町へ行くと意外と活気があって拍子抜けしてしまいました。大きなカジノがあったり、レース場があります。広場では住民たちがコインを雪合戦のように投げて遊んでいました。が、勇者はそこから暗黒の力を察知したのです。町の隅のほうにあるボロいコンクリート棟から、怪しげな気配がするではありませんか。物陰から建物を見た勇者は直感しました。「ここはヤバイ・・!」しかし、あのカーテンの向こうに見えるであろう風景をどうしても見たくなったのです。入口にいる小さい子に入っても良い?と聞くと、ニヤァ~と笑って、「ドーゾ、ドーゾ」と言うではありませんか。勇者は恐る恐る、カーテンから覗き込みました・・・

Page 40-41

ボロいコンクリート棟の怪しい部屋を勇者がのぞくと、薄暗い部屋の中から髪がとんがった目つきの悪いやつが出てきました。そして「ほれ!」と封筒を押し付けてきたのです。封筒を開けてみると、「チラシ仕様書」と「写真」が入っていました。仕様書は依頼主からのもので、いま作成中だと言っています。写真のほうはピンボケして判りにくいですが、探してる女王様の妹さんによく似ているので、勇者はびっくりしてしまいました。

で、この目つきの悪い絵描きが言うには、「写真がボケて役に立たたん。おまえ魔王のお姉さんモナカード持ってるだろ?これやるから寄こせ」と言ってミミズクの形をしたバッジを投げてきました。ふと見たバッジがカワイイ!と思ってしまった勇者、仕方なく手持ちのモナカード(砂漠の女王さまとネコ)を渡し、目つきの悪い絵描きはニヤリとして奥の部屋へ戻っていきました。

Page 42-43

ボロいコンクリート棟から広場に戻ってきた勇者は、さっき貰ったミミズクのバッチを胸に付けてみました。なかなかカワイイバッチです。するとどうでしょう...!あんなに平和そうだった町が、まるでお化けの町に見えるではありませんか。広場にいるぴちぴちのバニーちゃんは、なんとガイコツ戦士に!バッチを外すと元どおりに見えるのですが、勇者は顔が真っ青になってしまいました。勇者を追ってきた仲間たちも広場に到着していました。でも、仲間たちは口々にこう言い始めたのです。

武闘家「私は自分が恥ずかしい!あの魔王様を倒そうなどと思っていたとは・・」
ラッコ「わっはは!魔王様は実に気持ちのいい人じゃないか。ボクも部下にしてもらったよ。」
魔導士「私の踊りは天下一品ですのよ。魔王様にも気に入っていただけるんじゃありません?おほほほほっ」

勇者は頭を抱えてしまいました。ミミズクのバッチの効果は、勇者本人にしか効果がないようなのです。町の中がガイコツ戦士だらけだと、どう言ったら信じてもらえるでしょうか。

Page 44-45

立派に見えた建物はまぼろしで本当は廃墟、町の人々はがいこつ戦士、、、と知ってしまった勇者に近づく影がありました。魔王です。気が付くとすぐ前にいたのです。魔王は 静かに ゆっくり ささやきました。

かわいい勇者よ わたしと一緒においで
みんなで楽しく遊ぼう 歌や踊りも みせてあげよう

そう言うと魔王は両手を組み天高く掲げ、水瓶の形を作り、恐ろしく冷たい力を勇者に放ったのです。勇者はなすすべもなく、氷に中に閉じ込められてしまいました。。。。

Page 46-47

酒場でイケメン君から言い寄られてモテモテだった魔導士ですが、店から出ると勇者が氷漬けになっていたので、開いた口が塞がらないほど驚きました。そして大きな氷の足元には小さなバッチが3つ転がっていました。そういえば勇者がバッチを持っていたのを思い出したのです。拾ってみました。すると、魔導士にも町の真実の姿が見えるようになったのです!さっそく仲間たちの所に行き、バッチを渡しました。そして魔導士たちは、このまま町にいると危ないと判断し、氷になった勇者を引きずって町から去ったのです。

魔導士たちは道中にある茶屋まで来たところで、一休みすることにしました。しかし、机に置いてあった新聞を見ると、飲んでるお茶を噴き出してしまいました。なんと、自分たちが賞金首になっていたのです!


Page 48-49

何も悪いことをしていないのに犯罪者扱いになってる状況は許せません!運営にビシッと文句を言いたいのですが、追手が迫ってくるので連絡すら出来ない状態になってしまいました。仕方なく顔を隠しながら旅を続けた魔導士たち。闇の世界から抜け出して、ついに勇者を復活させることができるという町にやってきました。この町は魔導士たちを追うモナー神殿の管轄区外、さらに町はずれにある巨大な地下迷宮を目指す冒険者たちや無法者が集まるので、お尋ね者が隠れるにはぴったりなのです。

さて、魔導士たちは寺院に行くことにしました。町の中心にある寺院は高額なお布施が必要ですが、どんな異常状態も回復させることができるというのです。なので、魔導士たちは持ってる馬車や道具やら、全部売り払ってお金を用意しました。さぁ、勇者を復活させましょう。寺院の天井にある、ステンドグラスからの光が勇者を照らし、寺院の僧たちが一斉に手を挙げて祈り始めました・・・

ささやき ー いのり - えいしょう - ねんじろ! 


Page 50-51

勇者復活の儀式が終わり、寺院の担当者が魔導士の前にやってきました。「この度はご愁傷さまでございます」と言い、なにやら丁重に台と写真を置いていくではありませんか。魔導士が「なんですか!!これは!?」と聞くと、担当者曰く「残念ながら勇者様は灰になりました」と言うのです。さらなるお布施をすれば、この灰からでも復活のチャンスがあるとのことですが、既に全財産をお布施して一文無しになった魔導士にお金はもうありません。「ふざけんな!」とブチ切れて寺院を出てしまいました。

こうなったら、魔導士自ら復活の呪文を唱えるしかありません。高度な魔法ですが、「すごい杖」があれば可能になることを魔導士は知っていました。しかし、その「すごい杖」は寺院で一番偉い人しか持ってないので、キレた魔導士はこの杖を盗むことにしました。すでに天下の悪人として立派な賞金首となってので問題ありません。そもそも詐欺みたいな復活の儀式をした寺院が悪いのです。悪に天誅を下すのです!運営にもクレームをつけないといけません!魔導士は仮面をかぶり、フードを脱ぎ捨てて、義賊の怪盗団を名乗ることにしました。悪の寺院には杖を頂く旨の予告状も出しました。

“強欲なるものよ 杖は頂きます…”
“近日参上 怪盗もな”

Page 52-53

豪華な寺院の中でジャラジャラと不快な音を立てて歩く人がいました。サイズの合ってない大きな茶色いコートを着て、手錠のようなものをグルグルと回しています。そして、寺院の偉い人に手帳を見せながら、こう言いました。

「お食事中失礼します!こくさいけーさつの者です。怪盗もなから予告状が届いたとの通報があって参りました。ぜひ、私どもに敷地内の警備をさせて下さい!」

寺院の偉い人は食事の手を止めて、薄ら笑いを浮かべました。「あぁ、あの怪盗もなを名乗るコソ泥のことですか、、我々だけでも問題ありませんが、、まぁいいでしょう。表の警備をお願いします。」

Page 54-55

怪盗もなを名乗る魔導士たちは、予告通り寺院の中に忍び込みました。すでに寺院には「こくさいけーさつ」の人たちがたくさん張り込んでいましたが、魔導士たちは警備員の目を潜り抜けて「すごい杖」があると思われる大聖堂までたどり着いたのです。

(以下、漫画コーナー)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?