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日本一の注目度

四球団の競合の末
埼玉西武ライオンズが交渉権を獲得。
ガッツポーズを見せる辻監督、満面の笑みで興奮した様子は、くじを引き当てた飯田常務。

プロ野球の関係者が、大の大人が、
一人の選手を獲得することでこんなに喜ぶことに、
すごくロマンを感じた。

もし選ばれたのが、自分だったら。

全国の野球ファンが同じように妄想したことだろう。

私も当日、西日本工業大学の記者会見場でその様子をみて、同じように妄想していた。
指名球団が一つずつ重なっていくときの場内のざわめき、野球部の仲間の驚きの声、一つ一つの瞬間は、
一人の学生の人生が変わっていく過程をドラマティックに彩っていた。

隅田知一郎(ちひろ)投手 大学No. 1左腕

プレーしている様子は当然何度も映像でみた。
すごく完成度が高い、それでいて細身の体には伸び代を感じる。
コントロールの良さと変化球の多さは、
キャッチャーがリードしていて、楽しそうなくらいだ。

話してみると、凄く

柔らかい。

ドラフト会議の前後に生中継に出演して頂いた。

こんなケースなかなかない。
稀な構成を、大学側も引き受けてくれて本人も快諾。
結果も結果だけに、改めてその貴重さを感じる。

“いつも見ているテレビに、ぼく、これから映るんですか??
えぇ〜、すげぇー。”

いい意味で自分の凄さを理解していない純真な雰囲気、物腰は最近の第一線のアマチュアスポーツ選手では
珍しいのではないだろうか。

メディア対応もお手の物。それとは違う、ベタっと地に足がついた雰囲気。
地方リーグから日本一取ってやる!
そんな環境にいてこそのことかもしれない。

ひたむきに好きな野球に取り組んで、
自分のペースで積み上げてきた人なんだなと思った。


慣れないスーツを着て、ついているボタン全て止めて登場した時には、思わず一つボタンを外してあげたが…

あげた、というか余計なお世話だったか。
上着の下のボタンを。

それについても

“あ、そうなんですね。ありがとうございます。ニコリ”

というやりとりだった。

西武ライオンズの交渉権確定後、
何パターンポーズを取るのだろうか、というくらい
新聞社さんの要求に応じて様々な角度とポーズで撮影し。

何度も同じことを聞かれる各社インタビューを、
5.6社対応し。


最後の最後
生中継で同じような質問をする我々。
若干変化はつけたつもり、だが…。大差ないはず。


メディア対応という部分で、プロ野球選手の一歩目を既にスタートさせた彼は、それでも

“また生中継ですか?うわぁ”

とはにかんだ。

無事に中継も終わり一段落の隅田投手。

マイクを外して彼が向かったのは指名の瞬間を共に過ごした仲間のもと。
3時間ほど経ってようやく、一番分かち合いたい仲間のもとで笑顔をみせた。

我々が思う存分時間もらったものだから、
申し訳なさ六割、“でも、すごいことだから騒がせて”が四割。そんな気持ちで眺めた。


アマチュア時代の彼の一番の出来事は何だったのだろう。
やっぱり神宮大会に出たことなのか。
仲間と出会えたこと自体、なのか。

色々と想像する。

鋭いマウンドの表情と、学生らしさのある無垢な表情。

どちらも素敵。
その人間らしさがカッコいい。

ライオンズの隅田知一郎投手。
僕は応援していきたい。

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