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カナダ・ハリファックス   〜人生を変えた15歳の旅〜

高校一年生の夏、僕はカナダのハリファックスにいた。
1ヶ月の短期留学で、ホームステイをしながら世界各国から集まった仲間達と語学学校へ通いながら、様々な交流をするというものだった。

元々は自分から強く願った旅ではなかった。
中高一貫校で中学一年生の時から入っているバスケ部の顧問は怖かったし、夏休みの練習を1ヶ月も休むことを顧問に伝えることを考えるだけで、短期留学に行きたい気持ちは萎えていた。

しかし、同じ短期留学に行ったことのある姉は言った。

『絶対行った方がいいよ、人生変わるから!!!』

家族に説得され、励まされ、顧問の先生からも快く送り出され、僕はハリファックスにやってきた。

実は、短期留学先がハリファックスに決まるまで、僕はハリファックスという地名を知らなかった。事前にやりとりしていたホストファミリーは親切な年配の夫婦だった。そしてハチワレ猫のcocoがいた。僕はcocoと仲良くなりたかったが夜、暗闇の中にいたcocoの尻尾を誤って踏んでしまってから僕の顔を見るといつもシャーシャー言って怒っていた。しかし、僕はハリファックスでの新しい出会いを前に高揚感が高まるばかりだった。

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(写真上・ホストマザーと僕、写真左下・僕のために用意してくれた部屋、写真右下・猫のcoco)

ハリファックスは広々として緑が多く、美しい港町だ。
但し、世界的に有名な観光地があるわけではない。恐らく、日本人なら誰もが知っている有名観光スポットは無い。でも、そんなことは僕にとってはどうでもいいことだった。

ウォーターフロント・ボードウォーク

学校の側にあり、ハリファックス観光の中心になる場所。屋台やレストランなどがあり、とても開放的でワクワクした気持ちになれる海辺の公園だ。ハリファックス名物のプーティーンを何度も食べに行った。今でもその味が懐かしくなる。

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ハリファックス・シタデル

ウォーターフロントから坂を上がり歩いて行ける。フランスとイギリスの間での領土争いで造られた歴史的建造物である要塞。絵本や世界史の教科書でしか見たことのなかった『兵隊さん』と記念撮影。海を見下ろす景色が気持ちいい。

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ペギーズコーブ

頭が赤い白い灯台。チャーターバスで中心部から40分ほど。足元の大きな花崗岩が壮大で、暫し旅情に浸る。大西洋を眺めながら、将来は世界を行き来する仕事に就きたいとの思いが湧き上がる。

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チョコレートレイク・ビーチ

海水浴ならぬ湖水浴をする人々が集う小さなリゾート地。日本の海水浴場をイメージしていると、いきなり深くなるので焦る。のどかなイメージだが何より湖の名前が印象的。

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短期留学仲間とあちこちに観光や食事、買い物に出かけた。男子校で過ごしてきた僕は女の子と自然に話すことに慣れていなくて、一緒に会話したり笑ったりすることにいちいち感動していた。世界中から集まった留学生仲間とも話せるようになってきたが、特にヨーロッパ系の仲間は同年代とはいえ身体も大きく大人びていて、あまりにも開放的な恋愛事情からも男子校育ちの僕は少々気後れしていた。

そんな時、ホストマザーが教えてくれた家の近くの公園へバスケットボールを持って出かけていくと、小学生くらいの子供達がバスケコートで遊んでいた。年下の子供達なら気後れすることなく話をすることができた。彼らは気軽に話しかけてくれるし、時にはバスケのプレイを『すげぇ!』と称賛してくれた。

僕は時間があるとそのバスケコートにいつも行った。すると自然にそのコートに来ているバスケ好きな少年達と友達になり、自然に会話をして、気がつくと小さな子供だけではなく、同年代や年上と思われる友達もできた。現地の人々と英語でコミニケーションを取ることをこの旅の目的の一つにしていたので、僕はとても満足だった。帰国が近づいてきた日はTシャツの交換もした。留学プログラム以外の時間に手に入れた愉快な仲間たち。いつか彼らとの再会を願っている。

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帰国してから僕はバスケ部の後輩たちにこの経験を伝えたいと思った。『顧問に言い出すのが怖くても、勇気を出して海外へ行った方がいい!』と。残念ながら、新型コロナウイルスのパンデミックのせいで僕が参加した短期留学は中止されたままだ。

僕に『人生変わるから』と言って短期留学を強く勧めてくれた姉は、海外に関わる仕事をするという目標をぶち立て、実現した。とても充実して幸せそうだということが僕にも伝わってくる。弟としては負けてられない。ハリファックスの旅の途中から、自分も海外に関わる仕事をしたいと考え始め、今は具体的な仕事もイメージして大学受験勉強に励んでいるところだ。

自分史上最高の旅は、人生の目標を見つけることができたハリファックスの旅であることは間違いない。
『人生変わるから』の言葉通り、人生変わると信じてひたすら努力していこう。

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