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【学生編】授業のオープニング!?

私が通っていたT高校には、個性豊かな先生方が多くいた。誤解を恐れずにいうならば、変わっている先生方が多かった、といって良いだろう。

特に、歴史担当の先生は群を抜いていた。なんと人生で初めて、私は授業のオープニングに立ち会ったのだ!!

決して、歴史の幕開け(オープニング)とかいう、高尚な会話を始めるわけではない。言葉のとおり、授業始まりにオープニングソングを流しやがったのだ。

何食わぬ顔でラジカセをもってきた先生は、スイッチオン。

(ぽちっとな)

そして、国民的アニメ「プリキュア」のオープニングソングが流れるのであった。

先に述べておくが、T高校は進学校だ。受験成績などが悪ければ、保護者から当然の非難を受ける。それにもかかわらず、限られた授業時間50分のうち、貴重な5分を費やすのだ。

喜んでいる生徒がいる一方で、「あの先生で大丈夫か?」というまっとうな疑問を持つ生徒もいた。しかし、今思えば、あの先生は意図して注目を集めていたのだと思う。

主要科目の英語、数学、国語などは、読解力や思考力を問われる頻度が多く、自然と集中するタイミングがやってくる。それに比べて、暗記要素の多い歴史だと、年号、人物、事件などの話題はあるものの、授業中にあえて集中力を高める必要までは迫られない。そのため、授業の一部始終、なんとなく授業を受けていただけ、という生徒が一定数現れるのは仕方ない。しかも、歴史が苦手教科だとなおさらだ。

そう、ここで授業のオープニングソングである。さすが国民的アニメというべきだろう。オープニングソングがワクワクさせてくる。アニメを観る一個人としても、オープニングソングはアニメ鑑賞モードに心を切り替える、まさにスイッチだ。

いま、心の切り替えで、効率があがるとしよう。オープニングを聞く前は1分あたり1の学習を得られるとする。一方で、オープニングを聞いた後ならば、1分あたり1.2の学習を得られるとする。この場合、授業あたりの学習可能量は、オープニングソングを流した方が優位になる。

〇オープニングを流さない場合
 1(学習量)×50(分)=50

〇オープニングを流す場合
 0(学習量)×5(分)+1.2(学習量)×45(分)=54

そう、オープニングを流すという、一見理解しがたい行動にも意味があったのだ。

話は変わるが、「一見理解しがたい」というのは企業競争でも重要だ。他社との競争では、様々な情報戦が繰り広げられている。たとえ新商品として売り出しても、コピー商品を速やかにライバル企業に販売されうる。価格競争もそうだ。値下げをしたら上回る値下げをもってこられうる。つまり、この情報社会において、秘匿は困難だ。真似されない技術もあるが、非常に稀有だ。

だからこその「一見理解しがたい」である。そもそもあの企業は何をやっているのか、と思わせれば、真似したいと思われない。結果、ビジネスを優位に進めるチャンスを得られる。

オリジナリティがあり、面白く、それでいて一見理解しがたい。そんなビジネスモデルを用意できれば、「向かうところ敵なし」である。



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