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自分の詩が誰かの心に届きますように! 料理の話が多い小説、エッセイ、コーヒー、良い感じ…

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自分の詩が誰かの心に届きますように! 料理の話が多い小説、エッセイ、コーヒー、良い感じの喫茶店、パン、ホームベーカリーによるパン作りが好きです。 https://lit.link/walnut1000

記事一覧

明日もここで (詩)

大きな宇宙の 小さな星に 息づく奇跡 一心にその命を燃やし 眠りにつく 屋根の上には 無数の星が私たちを包む 争う時間などない 私たちは 奪う権利などない 私たちの 宇…

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3か月前
15

消えた片方の靴下 (エッセイ)

 もう一週間になるだろうか。子供の靴下の片方を探すともなく探しているのは。寒いから長めの靴下を、と思って買った、パオパトロールのスカイのイラストが描いてある、薄…

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3か月前
12

君のいない春(詩)

路傍に咲いた オオイヌノフグリ 春が近い 君はもういない 君と歩いたこの道は 今日も続いているのに 君はもういない そよ風に目を細める 君の顔は見えているのに 君はも…

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3か月前
7

待合 (詩)

左右に伸びる木の廊下 ガラス扉の向こうの木々が 鈍く光る廊下に緑を落としている 前に伸びる短い廊下 待合に座る人々 背中を丸めて中空を見つめている せねばならないこ…

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3か月前
9

風車 (詩)

あの子は行った この雪道を 轍を歩いて真っ直ぐに まわれ回れ風車 あの子の旅立ちに 手を振って あの子はいつもここにいた 昨日までここにいた 陽だまりのように温かく …

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4か月前
13

この季節に思い出す歌

 年の瀬ですね。  天気予報では、明日大寒波がやってくるとのこと。ここ長野県にはどんな大寒波がやってくるのでしょう。  今朝、台所で食事を作っている時ふと、ある…

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5か月前
6

「当たり前」と電線と口髭について(エッセイ)

 今朝、ゴミ出しに行こうとすると、頭上の電線に、ムクドリの大群がとまって、ピーチクパーチクと盛り上がっていた。糞に降られないよう、遠回りして歩く。  しかし電線…

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5か月前
11

シュトーレンを作ってみた(エッセイ)

 シュトーレンに憧れて数年。  熟成させて、クリスマス前に少しづつ食べるという、伝統的な雰囲気に魅力を感じていた。それと同時に、これは美味しいのだろうか?とも思…

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5か月前
19

迷い道(詩)

トンネルの 上の道はあの街へ 華やかで眩しいあの街へ ビルが高くて高過ぎて ただそこにいるだけで 僕がパズルのピースだって そう思えるあの街へ トンネルの 下の道はあ…

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5か月前
7

無色無音 (詩)

朽ちた漁船 打ち捨てられた漁網 ブイにとまるカモメ 体を丸め 切れた私の糸 風に舞う その先の水平線に消え 流れるバッハのピアノの旋律 音もなく 日にきらめく水…

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6か月前
12

幸せって (エッセイ)

昨夜、布団で娘と一緒に眠りにつく時のこと。 まどろんだ娘が、「ママ」と、甘えた優しい声で私を呼んだ。 「ん?」と答えて娘を見ると、まぶたが閉じかけていた。 私に…

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7か月前
11
+4

ママを探すパパと娘(イラスト)

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7か月前
4

言葉のある場所 (詩)

大切な言葉はきっと 時間の余白に 言葉と言葉の間の沈黙に 葉に落ちる光の粒の隙間に 静かに佇んでる 大切な言葉はきっと 風が吹いたとき 大空を羽ばたいている 自…

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7か月前
12

秋のひだまり[詩]

母が手を振った気がして 振り返る 畳の上に ハナスオウの葉の影が揺れていた 母が通り過ぎた気がして 振り返る 窓の外に キンモクセイの蕾が膨らんだ 母が私を呼んだ気…

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7か月前
3

秋が近づく庭 (詩)

半袖の腕に吹く風 放課後の校庭 黄色がかった空の薄暗さ 私の記憶を呼び起こす 子供たちの遊ぶ声 次第に暮れてゆく空 校庭の砂の色 私を迎える家の灯り 校庭の主役は私…

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8か月前
9

雨の後 (詩)

わたしなんて 何もない わたしなんて つまらない わたしなんて 息してて 生み出すものは 二酸化炭素だけ 逃げ出したくて 走り出す 非難するように 降り注ぐ 雨の中を…

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8か月前
10
明日もここで (詩)

明日もここで (詩)

大きな宇宙の
小さな星に
息づく奇跡
一心にその命を燃やし

眠りにつく
屋根の上には
無数の星が私たちを包む

争う時間などない
私たちは
奪う権利などない
私たちの
宇宙に儚く光る命を

美味しいパンを仕込んだよ
ドライフルーツと胡桃を混ぜ込んだ
朝には焼きあがるから
明け方には小麦の香りが廊下をやってくる
コーヒーで乾杯しよう

明日も同じテーブルで会おう
明日もずっとこの先も
君の命に会っ

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消えた片方の靴下 (エッセイ)

消えた片方の靴下 (エッセイ)

 もう一週間になるだろうか。子供の靴下の片方を探すともなく探しているのは。寒いから長めの靴下を、と思って買った、パオパトロールのスカイのイラストが描いてある、薄紫色の靴下。子供が好きなキャラクターだ。子供の一番のお気に入りであった。

なぜ靴下はいつも片方無くなるのだろう

 NHKの「おかあさんといっしょ」に「かたっぽちゃん」という可愛い歌があった。「かたっぽちゃん」がいなくなって、もう「かたっ

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君のいない春(詩)

君のいない春(詩)

路傍に咲いた
オオイヌノフグリ
春が近い

君はもういない
君と歩いたこの道は
今日も続いているのに

君はもういない
そよ風に目を細める
君の顔は見えているのに

君はもういない
このとても単純で
でもとても難解な事実に

僕は立ち止まる
世界に暗幕が落ち
全ての照明が消えたかのように

君は もう いない

待合 (詩)

待合 (詩)

左右に伸びる木の廊下
ガラス扉の向こうの木々が
鈍く光る廊下に緑を落としている

前に伸びる短い廊下
待合に座る人々
背中を丸めて中空を見つめている

せねばならないことを
しないことを許された待合

名前呼ばれるのを待つ顔して
いつまでも呼ばれないことを祈り

まるで人生の役に立たない
小さな宝石のような
詩集の頁を繰る
生き急ぐように

廊下と廊下が交差する
宇宙にぽっかりと浮遊する待合に

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風車 (詩)

風車 (詩)

あの子は行った
この雪道を
轍を歩いて真っ直ぐに

まわれ回れ風車
あの子の旅立ちに
手を振って

あの子はいつもここにいた
昨日までここにいた
陽だまりのように温かく

まわれ回れ風車
あの子の生命
引き継いで

あの子はいつも佇んだ
赤子のように無垢な目で
ただ一心に生きていた

まわれ回れ風車
私の胸の苦しみを
動力にしていつまでも

****
年始に実家の14歳のフレンチブルドッグが旅立ち

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この季節に思い出す歌

この季節に思い出す歌

 年の瀬ですね。

 天気予報では、明日大寒波がやってくるとのこと。ここ長野県にはどんな大寒波がやってくるのでしょう。

 今朝、台所で食事を作っている時ふと、ある曲が聴きたくなりました。さっそく台所に置いてあるAlexaに再生するようお願いすると、その曲がゆっくりと流れ始めました。

ユニコーン 「雪が降る町」 (作詞・作曲:奥田民生) 

 この曲お好きな方いらっしゃいますか?

 「奥田民生

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「当たり前」と電線と口髭について(エッセイ)

「当たり前」と電線と口髭について(エッセイ)

 今朝、ゴミ出しに行こうとすると、頭上の電線に、ムクドリの大群がとまって、ピーチクパーチクと盛り上がっていた。糞に降られないよう、遠回りして歩く。

 しかし電線って、たくさんあるものだなぁ。

 風景に溶け込んで当たり前のようになっている電線。東京では電線が地中化されているところが一部ある。

 その光景を初めて見た時、「ん?何かスッキリしている。心も落ち着く。何故なのか。。あ!電線が無いんだ!

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シュトーレンを作ってみた(エッセイ)

シュトーレンを作ってみた(エッセイ)

 シュトーレンに憧れて数年。

 熟成させて、クリスマス前に少しづつ食べるという、伝統的な雰囲気に魅力を感じていた。それと同時に、これは美味しいのだろうか?とも思っていて、なかなか手を出さずにいた。

 今年こそ作ってみようと、まずは、シュトーレンがどのようなものなのか、確かめることにした。

 東御市の、問 というカフェにて。

 ホールで販売しているシュトーレンをスライスにしたものを、お試しで

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迷い道(詩)

迷い道(詩)

トンネルの
上の道はあの街へ

華やかで眩しいあの街へ
ビルが高くて高過ぎて
ただそこにいるだけで
僕がパズルのピースだって
そう思えるあの街へ

トンネルの
下の道はあの家へ

静かで温かなあの家へ
空が広くて広過ぎて
ただそこにいるだけで
僕は何者でもない
そう思えるあの家へ

提げる袋に今夜の食材
吹く木枯らしに肩をすくめ

心の向きとすれ違う
僕のつま先どこ向かう

無色無音 (詩)

無色無音 (詩)

朽ちた漁船

打ち捨てられた漁網

ブイにとまるカモメ

体を丸め

切れた私の糸

風に舞う

その先の水平線に消え

流れるバッハのピアノの旋律

音もなく

日にきらめく水面の眩さ

色もなく

幸せって (エッセイ)

幸せって (エッセイ)

昨夜、布団で娘と一緒に眠りにつく時のこと。

まどろんだ娘が、「ママ」と、甘えた優しい声で私を呼んだ。
「ん?」と答えて娘を見ると、まぶたが閉じかけていた。

私に何か話すことがあるわけでもなく、布団とママの温かさに包まれて、幸せのあまり出たような呼びかけだった。

じーん。

こんなに幸せな瞬間ってあるだろうか。「ママ」と呼ぶ声を録音しておきたかった。脳に幸せホルモンが分泌されて、天にも昇るよう

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言葉のある場所 (詩)

言葉のある場所 (詩)

大切な言葉はきっと

時間の余白に

言葉と言葉の間の沈黙に

葉に落ちる光の粒の隙間に

静かに佇んでる

大切な言葉はきっと

風が吹いたとき

大空を羽ばたいている

自由に大らかに

僕は言葉を探してる

僕だけの言葉を探してる

秋のひだまり[詩]

秋のひだまり[詩]

母が手を振った気がして
振り返る

畳の上に
ハナスオウの葉の影が揺れていた

母が通り過ぎた気がして
振り返る

窓の外に
キンモクセイの蕾が膨らんだ

母が私を呼んだ気がして
振り返る

私の背中を
暖かな秋の日差しが照らしてた

秋が近づく庭 (詩)

秋が近づく庭 (詩)

半袖の腕に吹く風
放課後の校庭

黄色がかった空の薄暗さ
私の記憶を呼び起こす

子供たちの遊ぶ声
次第に暮れてゆく空
校庭の砂の色

私を迎える家の灯り

校庭の主役は私だった あの時の

どこに行ったの あの時の
ブランコから飛んだ 片方の靴

雨の後 (詩)

雨の後 (詩)

わたしなんて
何もない

わたしなんて
つまらない

わたしなんて
息してて

生み出すものは
二酸化炭素だけ

逃げ出したくて
走り出す

非難するように
降り注ぐ

雨の中を
ずぶ濡れで

坂を登ったら
雨が止み

夕暮れの風
わたしに吹いて

わたしなんて
空を見て

きれいだなんて
思ってる