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COVID-19のあれこれ。

画像は、うちの医院のある市の PCR陽性者を発症日でグラフにしたもの。確実に増えてますね。田舎町でも。

保健所の方々、行政の方々、本当に大変そうでどう労ったいいかわかりません。医療崩壊とか騒いでいるけど、多分、それよりも大変な状況に置かれていると思います。医療従事者にありがとうキャンペーンやられても、なんだかね、と思いつつ、ご苦労様です、感謝いたします。てか、医療逼迫よりもこっちが先に取り上げられるべきだと思うが、、、、、

さて、北海道は新規感染者は減ってきたらしい。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/singatakoronahaien.htm

こりゃやばい、となった後で、行動を制限し、有症状者に積極的に検査し、隔離をはかるとことで感染をコントロールできる、というのが、沖縄と北海道で再現されたというのは心強い。田舎の開業医としては、沖縄、北海道の皆さんのご活躍に敬意を払うとともに、うちの地域でどうしたら真似できるのか教えて欲しい。

さて、医療逼迫の話。

とりあえず、日本のにおいて人口一人あたりのベット数は世界で有数。

https://honkawa2.sakura.ne.jp/1927.html

なら、逼迫するのおかしいじゃんと思われても仕方なし。

だけど、人口あたりの医師と看護師の数はそこそこというか少ない。その結果として、ベットあたりの医師数はめっちゃ少ない。
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/backdata/01-03-02-06.html

とりあえず受診できるし、入院できる病院は多いけど、いざとなっと時に人を大量に注ぎ込める病院の数は少ないということ。

この問題は4月の時点でビジネス誌にものっていて認識されている。

https://diamond.jp/articles/-/233783?page=2

脱線:
ちなみに、一人当たりの医療費は安く、さらに外来受診一度当たりの費用なんて海外に比べればびっくりするほど安くなってます。
脱線終わり:

時間があったんだから準備しとけよ。わかります、その意見。でもね、

医師の働き方改革について - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000516867.pdf

時間外労働規制のあり方について③ - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000467710.pdf

をみてもわかるように平時でも医師の働き方は

まさに昭和生まれのおじさんには懐かしいリゲインの宣伝

https://www.youtube.com/watch?v=746v_877dzI

みたいなもんです。この状況で働いている人たちに、業務以外の研修をあらかじめ受けておけってのはかなり困難だというのはわかってください。

また、医師を集中させるというのもなかなか問題もあってですね。

私は産婦人科医なんで分娩施設を例にあげます。医者が労働基準法を順守しようとすると産婦人科医が一施設当たり20人必要で、医者の少ない県では分娩ができないレベルの集約化が必要です。重症肺炎に対して常時余裕を持って、人工呼吸器や ECMOを使えるレベルの救急医、感染症医、呼吸器内科医、熟練の看護師、臨床工学士、薬剤師などを揃えるとすると、まあ、推して知るべし。

同じ医者の数の場合、超重症な人が大量にでてもいつでもみれる体制をとる=救急車ですぐにみてもらえる距離に医者がいるということは両立しないんです。

あと、行動制限なく、医療にがんばれというのはかなり困難なんじゃないですかね。経済悪いのは、開業医やってるとわかります。飲食業の自営のお母さんたちの声、若い女の子で職を失って大変な思いをしている人がいるのも、厄介な STDが増えていているのも、なんとかならんかなと。

でも、 5類作戦に近い作戦をとっていたスウェーデンが今やばいことになってるし、アメリカなんか現時点で死者数310000人ですもんね。新型インフルエンザの時は 12000人です。

(ちなみに、新型インフルエンザの対応については、
https://www.cas.go.jp/jp/influenza/backnumber/kako_03.html
に詳しく、この時にもうちょっと日本が痛い目をみて、改善するとこは改善しておけば、今回もうちょっと楽に戦えたかも。)


日本の現在の医療体制で、 COVID-19と戦う方向性は、受診のしやすさを利用することで、感染者数の増加を防ぎ、重症者の数を絞っていくしかないんだと思います。

要は、症状がでたらすぐに受診し、検査をし、感染の拡大を防ぐ、クラスターの発生を防ぐ。この地道な繰り返し。クラスターを追跡しやすくするためには行動のある程度の制限は必要。

それができなくり、熟練の医者が重症となった人をみれるキャバを超えたら加速度的に死者が増えそうな予感。特に COVID-19はガイドラインみたいなものがなくて、手探りでの治療が必要なわけで、個々の医者の経験と能力が治療成績にもろに響きそうだし。

若者は重症化しないんだから、制御しなくていいんじゃね、という人もいるのもわかるんですけど、海外の報告では、妊婦さんは 100人に1人ぐらい亡くなります。日本での報告でも、妊娠中に感染すると 10%の人が酸素投与となり、妊娠後半に感染するとそれが 30%と跳ね上がります。胎児死亡もそれなりに多いです。それでも制御しなくて良い普通の風邪というんですかね。こっちは、毎日、2万人に一人以下の妊婦死亡率にしようと日々奮闘してるわけですが、そんなことどうでもよくなるレベルだと思いませんか。真面目に産科診療やるより、感染症管理をしっかりやることの方が、貢献度高い世界にはなってほしくないんですけど。

あとね、これは病気になったことない人にはわかりにくい感覚なんでしょうが、病気になると、生きる、死ぬ、の他に、後遺症と付き合っていく、というのもあるんです。HPVVのときも思いましたが、感染しない方法があるのならばとるべきです。

予防接種がでるまでは、Go To がどうのこうの、というわけではなく、他人の唾液の飛沫をなるべく吸い込まないようにがんばりましょうや。

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