逃げ恥スペシャル(妊娠前期)

産婦人科医として面白かったので、日々に診療だったらどのようなアドバイスをするか。
医学生や看護学生、妊婦さんを対象に。
ジェンダー問題については、いろいろな意見があるのは承知しておりますが、あくまで外来で妊婦さんとそのパートナーにどのように答えるか、を念頭においており、その点はそんな感じで読んで欲しい。
あと、私、このドラマをみながら、
奥さんと娘に ”お前は、ちがやのようだ” と、奥さん、娘に責められてなので、その点もご配慮を。

さて、妊娠初期。
妊娠反応がでるのが、月経予定日ぐらい。子作りしよう、という人は月経がくるのがちょっとでも遅れると妊娠反応をするもの。みくりさんの場合は、いろいろ自覚症状(ねむいとか)がでてからなので、おそらく妊娠の5−6週で検査をしたのだと思われ。みくりさんと平匡さんの性格や生活状況を考えるに、直近の二人の休みがあう土曜日か日曜(=妊娠7週)で産婦人科の診察を受けたと考える(ちなみにドラマの超音波は 8週から9週ぐらいだと思われます)。

ここで問題となったのは、平匡さんの妊娠に対する塩対応なのだが、なんせ平匡さんは前世では、産婦人科医(=コウノドリの四宮先生)なので慎重な態度をとったのだろう。妊娠反応陽性になっても、流産になってしまうことは実はかなり多く、全体の 20% 程度はある。それに加えて、異所性妊娠(=いわゆる子宮外妊娠)の可能性も 0.5%ぐらいあるので、胎児の心拍がきちんと確認できるまでは安心できないというのも医者の反応としては納得なのだ。ただ、自分の奥さんの場合は別な反応をしておいた方がいいのは実体験からの感想。 ”私はお前の患者さんではない、妻なのじゃ。妻としての扱え” という言葉をいただいておる。

つわり。これは個人差がものすごく大きく、また、個人の間にもそれぞれの妊娠で大きく異なったりするので、どのぐらいの症状がでるかは予測不能。全然ありませんという人から、水分すら取れなくなる人まで本当にいろいろ。時期がくれば大抵はよくなるので、なんとか時間がすぎるのを待つしかない。そこまでは、水分もとれない場合には、点滴で補充。ビタミンB6 は妊娠悪阻を軽減するので飲んでもいいかもしれない。
仕事がしんどかったら休み、ここで、母性健康管理指導事項連絡カードってのもあるので、有効に活用すべし。あと、リンク先のページは妊娠中のお仕事について、企業のあるべき対応と、お母さんへのアドバイスがあるので熟読をおすすめ。

この時期は、赤ちゃんのために食べなくちゃ、という気持ちはありがたいのだが、産婦人科医としては、食べたいもの、吐かずに済むものを、吐かないだけ食べていただければそれでよく、もししんどかったら点滴に来て欲しい。また、パートナーは、ちゃんと支えて(<<ここ大事)。船酔いの物凄いやつが永遠に続く感じ、とか、陣痛よりもむしろつわりが怖くて次の妊娠を躊躇する、という人がいるぐらい大変な時期だから。あなたの子供を妊娠して体調が悪くなってるんだから、せめて自分のことは自分でする、家事ができないんだったら、家庭の共同経営者として、自分がやるなりして欲しい。

つわりは突然、霧がはれたようによくなる人もいるし、その後もずっと調子がわるい人もいるが、大体は15週ぐらいまでに治る。この時期を過ぎてもつわりのような症状がある場合は、念の為、つわり以外の疾患もあることを考慮して診察する。

そういえば、私、牛乳プリンのオーダーで、イチゴ牛乳プリンを買ってきて怒られた。。。。。

 


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