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ふぃくしょんいまむかし

 音楽遍歴のフィクション作品版です。多少ノンフィクション作品も含みます。創作に影響を受けたもの、その時に行った創作記録も少し。やや音楽遍歴と重なっている情報もあります。かなり簡潔。胸を張って記事にできるほど観たり読んだりしていません。音楽でもそうですが自己形成過程に関して列挙するのもおこがましいくらいです。ただ、折に触れて記録するというのは重要な行為だと思います。わたしが忘れても記録が思い出させてくれる。わたしは忘却を恐れ、記録に期待している。というわけで、自己満足のざっくりフィクション遍歴、順不同・敬称略です。

 ※また、個人制作をされている方、文藝同人サークルによる書物も記録しています。名前を出されるのはちょっと…という方はお手数ですがお声かけいただければすぐに記載箇所を削除いたします。現在音信不通、もしくは鍵アカウントの方の作品は記載しておりません。

(プラネタリウムのような可愛らしい画像をお借りしました! ありがとうございます。)

1990年代後半

【幼少期】 朧げな記憶。アニメや教育テレビ、絵本。クレイアニメ『ピングー』。「ピングー狂い」と言われるほど好きだった。今もピングー・ピンガ・ロビの小さなぬいぐるみが枕元にある。無いと落ち着かない。『ニャッキ!』も大好きだった。とにかくクレイアニメや砂絵のアニメが好き。NHKのプチプチアニメ『ロボットパルタ』も好き。ぬいぐるみのごっこ遊びが好きだった。大人に「ねえ、ピングーいまなんて言ってる?」と執拗に訊きノイローゼにさせた(らしい)。多少盛っている話だとは思うが他人をうんざりさせるほど夢中だったのは確か。

 絵本の記憶があまりない、と思ったが本棚を見たら記憶が蘇った。児童誌『おひさま』の『へんてこライオン』『なんぎなたんけんたい』、アーノルド・ローベル『ふたりはともだち』シリーズ、作・吉田浩/絵・ムラタユキトシ『キルトさんのくも』、おのきがく『かたあしだちょうのエルフ』、『ぐりとぐら』シリーズ、『わかったさん』シリーズ、絵本王さまシリーズ(『ぼくは王さま』)、安野光雅『旅の絵本』『さかさま』、五味太郎『みどりのほん』他。

【小学生】 両働き家庭のため学校から帰ると近くの祖父母の家で本やテレビを観たり祖父母や曽祖母に遊んでもらった。祖父母宅にあった、身内すずえ『ガラスの仮面』、水島新司『ドカベン』などを読む。ある程度複雑な物語が理解できるようになると、『夢のクレヨン王国』をはじめとして『不思議の国のアリス』『アルプスの少女ハイジ』『あらいぐまラスカル』『母をたずねて三千里』のVHSなどを観たり読んでもらったり。サンリオのリトルツインスターズ(キキ&ララ)のアニメもファンタジックで好きであった。セル画アニメの『不思議の国のアリス』は中毒性がある。近所の同級生の家に引っ張りこまれて『妖怪人間ベム(1968年)』の再放送や『花子さんがきた(1994)』シリーズ、『地獄先生ぬ〜べ〜』『ゲゲゲの鬼太郎』などをわざわざ部屋を暗くして見せられる(虐められていたわけではない)。その子のお姉さん(当時中学生くらい?)に抱っこされながら観てビービー泣く。本当に怖かった。ところがどっこい、しっかり妖怪・怪奇・怪異好き人間に育った。ありがとう。相変わらず怖がり。矛盾を抱えている。

2000年代

 景山民夫『遠い海から来たCOO』を読んだ。アニメ?も観た気がする。『ふしぎの海のナディア』も非常に好きだった。海で思い出したが『ポケットモンスター』の初代アニメも観た(ゲームは新旧一切やったことがない)。ミニリュウとかシャワーズ、ヒトデマンやメノクラゲといった水属性が好きだった。お風呂のタイル壁に貼れるスポンジシール?みたいので延々と遊んでいた。現在創作で描いている水竜に対する好感はたぶんこの辺りから。とにかく水というものはよいものだ。

 ゲームは周りの子らが64〜PS、ゲームボーイカラー〜アドバンスあたりを持っていて、自分が欲しがると、本や音楽に比べて大人の顔が渋くなった。ゲームに理解がなかったわけではなく、単に家計が火の車で、音楽に本に服に、ゲームもか…という顔である。が、なんだかんだ中古で買ってもらい、ゲームボーイのワリオのゲームはやった(マリオじゃなくなぜかワリオを選んだ)。全体的にBGMも演出も毒々しくて好みだった。アドバンスも、たしか星のカービィではなく『伝説のスタフィー』をプレイした。瑞々しくて海とはなんと良いものだろうと思った。スタフィーはかなりやりこんだと思う。それ以外はプレイしていない。せっかく本体を購入したのに勿体ないことだ。引っ越しを何度かするときに処分してしまったと思う。自分はゲーム体質(?)(ゲームのプレイに適した性質、ゲームに選ばれる人間)ではないらしい、と悟る。

 家にあるのではなく、初めて自分で選んで買った児童書はマロリー・ブラックマン『ハッカー』。メアリー・ポープ・オズボーン『マジック・ツリーハウス』シリーズも夢中で読む。実家の埃を被った物置部屋の本棚から発掘した立原えりか童話集『まぼろしの祭り』に衝撃を受ける。

 学校の帰り道、同級生に借りて人生初少女漫画を読む。藤田まぐろ『ケロケロちゃいむ』、別の子からは藤井みほな『GALS!』、両方ハマる。

 実家の本棚から萩尾望都『百億の昼と千億の夜』『11人いる!』『銀の三角』『感謝知らずの男』他諸作品、山下和美『不思議な少年』、山岸凉子『日出処の天子』、大島弓子『綿の国星』、吉田秋生『読み切り集』、佐々木倫子『おたんこナース』『動物のお医者さん』(テレビドラマも観た)などを取り出して読む。レイ・ブラッドベリ原作・萩尾望都作画の『ウは宇宙船のウ -ブラッドベリSF傑作選』でスリルとミステリーとSFの快感を知る。

 もう一人のひとの趣味で揃っていた、かわぐちかいじ『ジパング』、大友克洋『AKIRA』、手塚治虫『ブラック・ジャック』『アドルフに告ぐ』、『リボンの騎士』、学校の図書館で『火の鳥』シリーズを貪り読む。

 宮沢賢治作品集、ますむらひろしの絵で『猫の事務所/どんぐりと山猫』・『銀河鉄道の夜』を読む。

 小説では恩田陸作品・司馬遼太郎作品が揃っていたので読む。当時は絵がない本はずいぶん難しいなと思った(漫画も理解していたかというと怪しいが)。流行りにのって『ハリー・ポッター』シリーズの3巻まで読む。その後は分からない(映画も同様)。第1巻は単行本の装丁がボロボロになって表紙が取れてしまうまで読み込んだ。(時期はその後になるがハリポタの後発ファンタジーといわれたゴードン&ウィリアムズの『トンネル』も読んだ)。

 ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』。序文の引用から興味を持ち、プラトン『国家』『饗宴』を町の図書館で読む。だいぶ難しくて(しかも言い回しがまわりくどくて)読了はできなかった。

【中学生】 ポップカルチャーへの敏感さとシェア行為を知的好奇心や空想遊びより優先せねばならない学校生活。ほかのひとがおそらくそうだったように、自分も「そうしているほうが良い」のだと考えた。これは高校へ進んだ時にも一段と顕著な同調圧力だったが、結局自分には無理だと諦める。

 これだけは即答できる「自分の10代」を象徴する漫画家・作品TOP3を挙げるとすれば 荒川弘『鋼の錬金術師』、漆原友紀『蟲師』『フィラメント』、こうの史代『街角花だより』『夕凪の街 桜の国』。好きな漫画家さんを挙げる際は高確率でこの御三方になる。『この世界の片隅に』は勿論指折りの名作なのだけど、10代の頃読んだ作品ということで。ぼおるぺんシリーズも好き。

 アニメ『鋼の錬金術師』を観る。ポルノグラフィティの「メリッサ」のシングルをドキドキしながらCD屋さんで初めて買う。CDプレイヤーも特別に買ってもらい「機械だからね」と言われ落とさないよう抱きしめながら帰宅する。アルバムとシングルの意味はその時点では理解していない。「メリッサ」が聴きたいから買った。CDケースのビニール包装を破り、型から取り出し、プレイヤーにセットして再生するまでに1時間くらいかかる。あの再生の瞬間が最高だった。カップリング曲の「月飼い」がとても良く、ポルノグラフィティにハマってゆくのだった。

 流れで他のアニメも見ていた…と思う。『ONE PIECE』『焼きたて!!ジャぱん』などを夕食を食べながら観た記憶がある。ワンピは空島編くらいまでしかわからない。ジャンプ作品は『遊戯王』『BLEACH』『魔人探偵脳噛ネウロ』『ジョジョの奇妙な冒険』『ギャグ漫画日和』などを読んでいた。家業の関係で週刊少年誌・青年誌・雑誌・新聞各種は毎回家にあり、わりと読んでいたと思う。そのわりに覚えていない。

 ハガレンを読んでいた関係で、ガンガン・Gファンタジー系の漫画を手に取る。堀田きいち『君と僕。』、金田一蓮十郎『ジャングルはいつもハレのちグゥ』(漫画を読む以前にアニメも観ていた)、原作・城平京/作画・水野英多『スパイラル〜推理の絆〜』など。

 だいぶさまざまな文脈を理解できるようになる。ライトノベルでは時雨沢恵一『キノの旅』、浅井ラボ『されど罪人は竜と踊る』を読む。

 詩集では家にあった銀色夏生作品を読む。ふと本屋で手に取った短歌集、山吹明日香『夜音の遠音』で、小説よりずっと短い物語形態として、こんな世界があるのかと知る。

 『少し変わった子あります』をきっかけに森博嗣作品に傾倒。『すべてがFになる』『スカイ・クロラ』などは何度も読み、森博嗣の言葉遊び集みたいな書物もいくつか読み漁った。探したが他の書物やビデオなども含めて、引っ越しを繰り返した際に処分してしまったのか、見当たらないものが多い。フィクション世界に対して研究者の視点、研究所から観察するという視座を得る。モロに現在のペンネームである「Lab/ラボ」はこういった先人のスタンスを踏襲している。恐れ多い。

 中学生のころにパソコン(四角くて分厚くて重たい)が家に鎮座する。インターネットという世界に「接続」する。知らない他人の心の声が溢れていた。夜を徹してネットサーフィンをする。遊び放題もしたが、他人の心の声に引き寄せられて辿り着いたのが南条あやのホームページ(日記のアーカイブ)。書籍になっていることを知り、南条あや『卒業式まで死にません』。二階堂奥歯『八本脚の蝶』も読む。本文中に登場する本や音楽などをメモしながら読んだ。

【高校生】 アルバイト代でノートパソコンを買う。共用でなくなったのをいいことにフリーゲーム・ヴィジュアルサウンドノベルゲームをプレイしまくる。『ゆめにっき』『フリークス・ラウンジ』。他にもフリーゲーム、サウンドノベルはたくさんプレイしたが、今もコンテンツとして追っているのは上記の2タイトル。

 夏休み、初期のニコニコ動画でDTMを知る。まだ大草原のようななんにもないデスクトップにバーチャルシンガーが立っていて、なにか喋ったり歌うだけで興奮していた。初期の名曲『万感吟遊』を今でも聴く。無許可で投稿された音楽もたくさんあったが、ここに書ける範囲では無料配信されているLAP FOX TRAXの音楽やニコニコインディーズタグを辿っていろいろ聴いた。

 豊島ミホ『檸檬のころ』『リリィの籠』などを読む。等身大の学生ものの物語は豊島ミホや恩田陸作品以外ほとんど読んでいない。綿矢りさ『インストール』は読んだ。すごく好きだった。

 乱読時代。現代文学。よしもとばなな、小川洋子、伊坂幸太郎、川上弘美、川上未映子、本谷有希子、三崎亜記、森見登美彦、奥田英朗、椎名誠、嶽本野ばら、中島らも、林望、米澤穂信、佐藤亜紀、桜庭一樹、三浦しをん、伊藤計劃、夢枕獏、乙一、寺山修司、谷川俊太郎など。(〜2011年頃)

 なかでも桜庭一樹『私の男』、米澤穂信『さよなら妖精』『儚い羊たちの祝宴』、伊坂幸太郎『死神の精度』『魔王』、川上弘美『竜宮』、小川洋子『博士の愛した数式』(後年になるが『ことり』)、佐藤亜紀『天使』『バルタザールの遍歴』、伊藤計劃『虐殺器官』『ハーモニー』には小説なのにも関わらず忘れられない視覚的イメージを植え付けられる。

 たしか有栖川有栖作品のなにかを読んで、うっすらとしか覚えていないが、同じ登場人物が作家(作者)の自分ともうひとつの世界線との自分を相互記述するメタ視点を面白いと思った。解釈が違うかもしれない。ニワカなのでこれ以上は分かりません。申し訳ない。

 近代〜現代文学。『ちくま日本文学 萩原朔太郎』。森鴎外『高瀬舟』。谷崎潤一郎『春琴抄』『陰翳礼讃』、太宰治『斜陽』『人間失格』。梶井基次郎『檸檬』。三島由紀夫『花ざかりの森・憂国』『金閣寺』。川端康成『雪国』。澁澤龍彦『高丘親王航海記』、メタ描写が好き。中勘助『銀の匙』に関しては、こんな美しい小説は他にないと思った。永井荷風『物語』シリーズ。夏目漱石、芥川龍之介、井伏鱒二、中島敦、有島武郎、中原中也、佐藤春夫、森茉莉。ちくま文庫シリーズの作品集を中心に読んだ。

 海外文学。ヤンソン『ムーミン』シリーズ。ワインスタイン&アルブレヒト『にわとりのジョナサン』。エンデ『はてしない物語』『モモ』。ハインライン『夏への扉』。ほとんど読んでいない。

 古典文学。ドラマ『里見八犬伝』を観た影響で曲亭馬琴/白井喬二『現代語訳 南総里見八犬伝』を読む。ハイヤーム『ルバイヤート』。さらに読んでいない。

 アニメ『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズ、『イノセンス』は衝撃的だった。以降、攻殻はイノセンスでもGITSでもS.A.C.シリーズでも2045シリーズでも何でもいいので定期的に摂取しないとダメな体質になっている。

 『オーシャンズ11』を観る。ブラッド・ピットが始終とにかく食べてるな〜と思う。食事をする登場人物を見たい欲求がある。後述の『刑務所の中』も同様。

 魚喃キリコ『キャンディーの色は赤。』『ハルチン』をきっかけにほぼ全作網羅する。岡崎京子『ヘルタースケルター』、久米田康治『さよなら絶望先生』、豊田徹也『珈琲時間』などを読む。

 黒田硫黄『大日本天狗党絵詞』『茄子』『セクシーボイスアンドロボ』『アップルシードα』を不登校の生徒が集まる学習室?のような部屋で読み、いたく気に入る。

2010〜2011年

 時期が漠然としているが『serial  experiments lain』を観る(観てしまう)。架空の人物のキャラクター性、自我について考える。画面越しにこちらを凝視する登場人物が「誰」を見ているのかを考える。作品をもってして世界を実験するという観点をもつ。

 社会心理学・認知心理学を専攻する。認知能力、集団心理、精神病理、哲学などに関心をもつ(『アルジャーノン〜』を読んだ頃から興味はあったのかもしれない)。フロイトから始め、主にユングを読む。創作的視点からも楽しく読んだのが『赤の書』『黄金の華の秘密』。荒巻義雄のメタSF小説に出会いドはまりする。「大いなる正午」からニーチェをはじめ哲学、空間詩学、土木建築学に傾倒する。統計レポートをほったらかしてハイデッガー、メルロ=ポンティ、レヴィナス、フッサール、ショーペンハウアー、シュルツ、九鬼周造などばかり読んでいたため、完全に専攻先を間違えたのではないかと思う。ハイデッガー『存在と時間』の内容は初期から創作に援用している。他、参考文献はすべて自主制作書物にクレジットを記載している。

 第N次乱読時代。アゴタ・クリストフ『悪童日記』(三部作)、シャーリー・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』、ゲーテ詩集、ホルヘ・ルイス・ボルヘス『砂の本』、ドストエフスキー『地下室の手記』『カラマーゾフの兄弟』、アラン『定義集』、サド『悪徳の栄え』『美徳の不幸』、ウニカ・チュルン『ジャスミンおとこ』。夢野久作『ドグラマグラ』を途中で放り投げる。

2012〜2015年

 SFではフィリップ・K・ディック『偶然世界(太陽クイズ)』『時は乱れて』『高い城の男』『アルファ系衛星の氏族たち』『シミュラクラ』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『ユービック』『ヴァリス』(ヴァリス三部作)など。ディックはユング、ハイデッガー、プルースト、ボルヘス、ドストエフスキーなどのルーツをもち馴染みのある読み味だった。ギブスン『ニューロマンサー』(本当は電脳三部作が読みたい)、スティーヴンスン『クリプトノミコン』、ル=グウィン『闇の左手』、アシモフ『我はロボット』、オーウェル『一九八四年』、ブラッドベリ『華氏451度』など。

 ギブスンが作詞朗読したと知ってYMO『テクノドン』を聴く。『ブレードランナー』を観る。

 国内SFはまずアンソロジーから入る。星新一作品で掌編の楽しさを知る。ほか、円城塔『Self-Reference ENGINE』など。

 文体では、特に『悪童日記』の平易簡潔な一文、主観や感情を描かない文章の美しさと内に込められた言葉にしない悲しみに打ちのめされる。自らも平易簡潔な文章を心掛ける。学問方面でそういった書き方を徹底したのもある。

 そのためか、Twitterのキャラクターbotを制作した2013年当時の自作語句群にはやたら冷たい印象がある。

 ロキノン界隈に住んでいた同期に借りた、浅野いにお『おやすみプンプン』『おざなり君』を読む。ロックとはなんなのだ。わたしには答えがわかりません。

 講義で観たのがきっかけで、個人的にも『ビューティフル・マインド』、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、『グラン・トリノ』、『しわ』、『プライベート・ライアン』を再視聴する。

 二階堂奥歯が『八本脚の蝶』で言及していた書物も今なら読んで理解できるかもしれない、とまずは士郎正宗『攻殻機動隊』を読む。アニメでは徹底して主要キャラクターが低血圧でクールだったため、原作のやんちゃでコミカルな感じには驚いた。

(いま『八本脚の蝶』と自分の読書・視聴遍歴を照らしあわせ中ですが、澁澤龍彦や森茉莉や荒巻義雄、恩田陸など知らずのうちに同期しているものがあって嬉しい)

 ↑↓の時期に重なり、西島大介『ディエンビエンフー』『すべてがちょっとずつ優しい世界』、市原春子『宝石の国』、つくみず『少女終末旅行』などを読む。自創作の絵柄に関しては、今も模索しているものの、この御三方から多大な影響を受けている。『キノの旅』の表紙を描いていた頃の黒星紅白や、堀田きいち、久米田康治が原点のようにも思われる。ルーツとして挙げることさえ恐れ多い方々である。

 パウロ・コエーリョ『アルケミスト』『ベロニカは死ぬことにした』。アンネ・フランク『アンネの日記』。サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』、『大工よ、屋根の梁を高く上げよ(シーモア序章)』など。

 ネットで知り、ゼミの先輩に『さよならを教えて』をPCで見せてもらう。制作陣や主題歌の作詞家の言語プロセッサはどうなっているんだと覗いてみたくなった。

 独特な言語プロセッサといえば、平沢進を聴いたきっかけで今敏監督作品を観るようになる。『パーフェクトブルー』に衝撃を受ける。『パプリカ』、『千年女優』など。

 ゼミ生繋がりの同期や先輩の寮を行き来し、広江礼威『BLACK LAGOON』、三浦健太郎『ベルセルク』、沙村広明『無限の住人』『ハルシオン・ランチ』『ブラッドハーレーの馬車』『シスタージェネレーター 沙村広明短編集』を読む。『おひっこし』の影響でブラック・サバスを求めるようになったことがある。

 また、同様に格闘ゲーム『ギルティギア』シリーズにハマる。格ゲー自体はオフライン&レバガチャで適当にやっていただけで、ハマったのはストーリーと音楽のほう。それまでテクノ・アンビエントやヒップホップを中心に聴いていたが、HR/HMは就活生にパワーをくれた。 力(ちから) is パワー。

 コンシューマゲームでは『PORTAL』も好きになる。よくしゃべるAIは良い。

 『シャイニング』『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』『時計じかけのオレンジ』『ロリータ』、『アメリカン・サイコ』を観る。

 高島雄哉『ランドスケープと夏の定理』を読む。

【卒論・就活】 現実逃避で、Twitterで一次創作を始める。キャラクターbotを作成し、かれらの自律性とその観測について模索する。

【就職】 怒涛の夜勤連勤と残業と研修でほとんどクリエイティブなものには触れなかったが、最もクリエイティブな活動(Twitter連載など)をしていた謎の時期。(数年後、インプット備蓄が枯渇して循環不良、メンタルの不調に陥る。音楽も小説も漫画もアニメもなにも摂取できなくなった。若さでリカバリできたが、今後この失敗を繰り返すべきではない。)

2016年〜2018年

 怪奇系集団創作サイト『SCP』を知る。実験記録的な創作手法や、メタSF的なオブジェクトがクリーンヒットする。SCP-990の非公式botを作成する(現在も稼働中)。

 オースター『ガラスの街』を読む。夢野久作『ドグラマグラ』に再挑戦してなんとか読了する。堀江敏幸『その姿の消し方』読む。

 弐瓶勉『BLAME!』衝撃的な出会い。

 アニメ化をうけて池波正太郎『鬼平犯科帳 決定版』を読む。アニメも良かった。

 劇団四季ミュージカル『ジキルとハイド』名古屋公演を観劇する。単独初ミュージカルであった。舞台に興味関心をもつ。

 その後、同じく名古屋公演のシルクドゥソレイユ『KURIOS』を観る。サーカスはさすがに一人だと寂しいので友人を誘って行く。

 PS4とセット売りになっていた『デトロイト・ビカム・ヒューマン』をプレイするが未だクリアに至っていない。同じく『Undertale』もプレイ途中。もうどっちも内容を覚えていない。全部初めからやり直したい。

 個人制作・文藝サークル同人誌に初めて触れる。識島果『アイオライトの心臓』、津川智宏 漫画短編集『ダルタニャンの馬』、暁茜さん『白詰草を一面に』『しろつめ住人録』、こいどりらくさん『眼球工房』、橘楓『たびねずみ』、オカワダアキナ『金継ぎ 修復と再生のアンソロジー』、千種創一『砂丘律』、未明編集室『未明 ポエジィとアートを連絡する叢書01』同『02』を読む。

 TwitterなどSNSやウェブ連載漫画が単行本出版されることが増えてきて、気になった作品をつまみ食いする(とても全部は追えない)。ユペチカ『サトコとナダ』など。

 『ニキータ』『女囚さそり』『ゼロ・グラビティ』『コーヒー&シガレッツ』『パルプ・フィクション』『2001年宇宙の旅』『ひそひそ星』などを観る。

 ……と、いろいろ栄養摂取をしたが時が遅かったのか、枯渇する。その前に、セルフファンフィクションの自主制作書物を複数作る。メタフィクションとファンタジーを取り扱っているが、現在とは方向性が異なる。

2019〜2020年

 虚無の二年。なにもない。人の形を取り戻そうとただただ生活をする。少しずつ文化を摂取できるようになる。

 復活のきっかけはたしか、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』を電子書籍版で読んでから。花輪和一『刑務所の中』原作と映画版を観る。ひとがご飯を美味しそうに食べるようすは見ていて心の営養になる。

 五十嵐大介『海獣の子供』、山口つばさ『ブルーピリオド』、篠原健太『彼方のアストラ』などを読む。何度か読了を試みている、宮内悠介『スペース金融道』は「沼に落ちる」という危機感で、途中から読み進められない。

 野﨑まど『バビロン』アニメになるというので原作をあたってみたが、あまりに残酷な内容に一か月単位で体調を崩す。恐る恐るアニメも一話だけ観たが駄目だった。作品を読んで作家を嫌いになることは滅多にないのだが、これには作者を憎んだし恨んだ。

 アニメ『ゆるキャン△』、香山哲『心のクウェート』『ベルリンうわの空』で癒しを得る。観る&読む精神安定剤。

 友人に引っ張り出してもらい、映画館で『プロメア』を観た(3回観た)。回復したかも? と調子に乗って自宅で『インターステラー』も観たがちょっとしんどかった。藤井みほな『GALS!』の続編発表に感動したがまだ読めていない。

 服部独美『教皇庁の使者 幻想小説(フィクション)』、須永朝彦『須永朝彦小説全集』、山尾悠子『山尾悠子作品集成』、高原絵里『エイリア奇譚集』『歌人紫宮透の短くはるかな生涯』を読む。『歌人紫宮透の〜』には、架空の存在を実在する(した)者として書いて発表してもいいんだ! という喜びと感動で胸が熱くなる。「架空は架空として実在する」というテーマで進めてきた創作を続けていいのだと勇気づけられる。

 劉慈欣『三体』、小川一水『天冥の標I』、八島游舷『天駆せよ法勝寺』、時里二郎『名井島』を読む。おおいに感化を受ける。元々読むのは遅いが、かなり読了に時間がかかる。

2021年

 自発的にアニメや映画が観られるようになる。↓2022年を横断しつつ『Vivy-FluoriteEye'sSong-』、『オッドタクシー』、『Sonny Boy』、『ましろのおと』、『ゴールデンカムイ』、『Dr.STONE』、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』、『京騒戯画』などを観る。攻殻シリーズや昔観た映画を観返して栄養補給する。

 別アカウントのフォロワーさんのおすすめで丹羽庭『特撮ガガガ』、原作・萩本創八/作画・森田蓮次『アスペル・カノジョ』。むつき潤『バジーノイズ』を読む。

 Vivyといいましろのおとといいバジーノイズといい、意図せず音楽関連の物語に触れていて良かったなあと今は思っています。

 柞刈湯葉『人間たちの話』、現代中国SFアンソロジー『折りたたみ北京』、アンナ・カヴァン『氷』、ペソア『不穏の書、断章』、『フェルナンド・ペソア短編集 アナーキストの銀行家』。

 『映像の世紀』シリーズ(ノンフィクション・ドキュメンタリー)をNHKプラスで配信時間ギリギリまで観る。書きつけたメモは50枚のレポート冊子三冊分に及んだ。そういうのは学生のうちにやれ。

 フォロワーさん情報で、舞台・ミュージカル・音楽劇『TRUMP』シリーズ8夜連続配信をメモ(演劇や舞台演出について気になったこと、人間の動きなど)をとりながら夢中で観る。

 おかげさまで元気に架空のカウントダウンフェスで年を越す。さまざまなアーティストやアイドルの配信ライブなどを観る。

 フォロワーさんの制作された書籍、SF文藝同人アンソロジーを複数読んでいる(22.4.10現在)。ねじれ双角錐群『来たるべき因習』、『無花果の断面』、『紙魚はまだ死なない』。襟草庭さん『襟草庭短編集 幻想・SF・文学篇』。From:P.physalis『夢路に結び目』。シーサイドブックス『Cipher』『連ねたり想う Vol.1 イギリス・アイルランド』。とわなみさん『神託』『不眠症』。個別に感想をお送りしたいです。気長にお待ちください。感想をお伝えしたくて、自分のなかにこうだと思える言葉を探しています。

2022年

 『[新版]スノウ・クラッシュ』、ル=グウィン『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』を読む。

 『動物のお医者さん』『里見八犬伝』以降ずっと観ることのなかったテレビドラマだが、『鎌倉殿の13人』、『恋せぬふたり』などを楽しく視聴する。

 『TRUMP』シリーズが良かったならSound HorizonのミュージカルDVDもどうだ、とまた別の人に勧められる。なんと弟が全コンプリートしており(!?)借りてみる。

 『新・映像の世紀』(ノンフィクション・ドキュメンタリー)を観る。

 『鬼滅の刃』遊郭編まで観終える。

 Audibleのおかげで難解な文学作品も「聴く」という選択肢ができて気が楽になった。

 これから読みたいのはフォロワーさんにおすすめいただいた瀬尾まい子『戸村飯店 青春100連発』。

 1か月ほどストレス性の何かだとかで声が出なくなった時期があり、打ち合わせも何もできないため本を読んだり音楽を聴いたりした。友人にリモート発話練習をコーチしてもらい、4月現在、すっかり元通りになった。

 自分にとって、いろんなガタガタを調律するにはフィクションと、フィクションの現界性が欠かせません。これからもますますお世話になります。ここまでご覧いただきありがとうございました。