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あるアパレルベンチャーの失敗と、それから。

どうも、10YCです。

今年もなんとか、全員無事で年越しを迎える事ができそうで良かったです。

今年は、10YCにとって、本当に濃厚な1年間で、酸いも甘いも、喜怒哀楽も、たくさん知ることができた1年間でした。

手探りで考えながら、走りながら、壁に当たって、倒れて、助けられ、踏ん張って、なんとか駆け抜けることができました。

走っている途中では、夢中過ぎて気付きませんでしたが、振り返ってみると、ほんの少しではありますが、去年の自分たちよりも、「前進している」という実感を持つ事ができました。大変おこがましくはありますが、自分たちにとっての「歴史」を作る事ができたのではないかな、という印象です。

年末ということもあり、我々の今まで歩んできた道を内省という意味も込めて、少しさらけ出していきたいと思います。

* そもそも10YCを知らない方も多いと思います。
10YCを知らない方のために、少しだけ自己紹介をすると、我々10YCは「着る人も作る人も豊かに」というコンセプトの、創業2年目のヒヨッコ、アパレルブランドです。

他のブランドと違うポイントは、ざっくりいうと2点あり、1つ目が「 “見る” ことで変わるかもしれない」、2つ目が「 “着る” ことで変わるかもしれない」、と本気で思っていることです。

「 “見る” ことで変わるかもしれない」というのは、服作りに隠れている生産者・生産工程・価格の内訳など、普段は見えないコトを可視化して、みんなが考えるきっかけになってほしいと考えている、ということです。

そして、「 “着る” ことで変わるかもしれない」というのは、服は毎日着るものだからこそ、その人が着る意味をもたせたくなるような、少しでもその人の気持ち・生活を豊かにできる服作りができるんじゃないかと考えている、ということです。

少し長くなってしまいましたが、もしもっと知りたいと思ってくださる方がいたら、是非下記のページからサイト見てみてください。

10YCウェブサイト:「私達について」

ざっくりと分けると、10YCは下記の図の通り、4つの期間を経験してきたのかな、と考えています。

1. 準備期(〜2017年11月)

そもそも、10YCは「真剣な遊び」から始まったブランドです。そのため、実は10YCの前身の活動は、2016年ごろから始まってます。
もし10YCの始まりが気になる方は、下記の記事で代表の下田がインタビューに答えておりますので、是非見てみてください。

NEUT Magazine(ニュートマガジン):
「ゴミを作っている感覚だった」。大量生産・大量消費の服作りに疑問を抱いた男が立ち上げたアパレルブランド

自分たちが求める服はどこにあるのか?どうすれば作れるのか?を全国の工場を回り、自分たちの目で見て、生産者の方々の想いを聞いて、そうした中で、自分たちが見聞きした内容を、形にして、みんなに伝えなければ!と感じるようになりました。

その過程で、クラウドファンディングを実施しました。結果として、思ったよりも反響が多く、たくさんの方々からの共感を得られ、本当にワクワクしました。

だから、もっと多くの人にどうすれば伝えられるだろう?と考え始め、会社を起業し、サイトを作り、ECサイトを作り、といったように10YCが形となってゆきました。

(* ECサイトで販売した最初のTシャツ達)

2. 創業期(2017年12月〜2018年6月)

そして、ECサイトができてからは、どのようにみんなに知ってもらうか?ということに躍起となった期間でした。

振り返ってみると、とても運がよかったのですが、11月23日にサイトをオープンし、12月の11日に、有名なアパレルメディアに取り上げられていただくことができました。

開始から12月11日までは、1日にサイトに30人ほどしか来ない、という状況であったのですが、この日は、Google Analyticsを見ると、サイトに4,000人も人が来ていました。

当時、僕はまだ他の会社で働いていたので、休憩時間にGoogle Analyticsを見て、リアルタイムで1,000人ほどサイトに来訪者がおり、状況をよく理解出来ないとともに、心臓がバクバクするようなとても興奮したワクワク感を感じた事を覚えております。

その記事が、下記の記事となります。

Fashionsnap.com
「原価や工場を公開、"10年着続けられる服"を作る日本発アパレル「10YC」デビュー」

その翌日もたくさんの方がサイトに来てくれ、SNSをフォローしてくれ、商品を購入してくれたり、とても嬉しかったです。

ただ、沢山の人に知られる事ができたと同時に、予想以上に否定的なコメントが多かった事を知った時には、えも言われぬ不思議な感覚になったことを覚えています。コメントの賛否を比率化すると、賛2:否8くらいだったかと思います(笑)。

たくさんの方々のコメントは、下記のページから見れます。

NewsPicks:
https://newspicks.com/news/2683184/

たくさんの方々が、僕たちのデビュー記事に対して、コメント・意見を書いてくれていて、嬉しい!一方で、否定的なコメントがとても多い!なんで理解されないのか?どうしたらもっと理解されるのか?自分たちは間違っているのか?etc…..

コメントを読んでいて、悔しくて寝れなくなったり、絶対に見返してやる!と思ったり、「このコメントは確かにそうだよな」と感心したり、、、今思い返すと、とても良い経験だったと思います。

今振り返ってみると、この時期に、「自分たちが描く世界觀は、間違っていない」と信じる気持ちを養えた気がします。沢山の人に注目して、意見を言ってもらえるほど、自分たちがやっていることは、賛否両論のある世界なんだ。この世界を自分たちが良いと思える方向へ変えられたら、自分たちの存在価値があるんじゃないか、と考えるキッカケをくれた出来事でした。

この出来事で、少し凹みはしましたが、結果的には、より強固になって、このあとは駆け抜けました。ラジオ出演・メディア掲載・新聞掲載・POPUPの開催などなど、たくさんの場に出て話す機会をもらえ、露出を増やして多くの方々と対話する。そうして、自分たちの想いを伝えてゆく。この時期の後半は、前しか見ておらず、ただただ前に進む、ということしか考えられていなかったように思います。
その結果、自分たちの甘さが、際立ち、このあとの混沌期を自ら招いてしまうこととなりました。

(* 自分たちの事務所がオープンした時)

3.混沌期(2018年7月〜2018年9月)

この時期は、本当に辛い時期でした。

商品の幅を増やし、よりたくさんの方々に知ってもらう事ができ、たくさんのお客様と関係を築くことができてきたと同時に、商品を安定的に供給することができなくなってしまったからです。

その原因は、10YCの服を作ってくれている製造現場にあるのではなく、僕らの仕組みづくりが不十分だった点にあります。
一つの商品の中でのバリエーションが増え、数量も大きく増えて、製造工程が複雑になったにも関わらず、ろくな仕組みも整えず、工場の方々に大きな負担を掛けてしまいました。

その結果、安定的に商品を供給する体制を構築できず、商品の欠品が相次ぎ、お客様からの問い合わせにも、「再販の見込みは立っていないです。」と伝えることしかできない、という状況になりました。

10YCに関わってくれている工場の方々にも、せっかく10YCに興味を持ってくれたお客様にも応えられない、まさに、「八方塞がり」という状況でした。

関係者の方々に沢山のご迷惑をおかけしてしまい、本当に自分たちが情けなかったです。この場を借りて、改めてご迷惑をおかけした皆様に謝罪をさせていただきます。申し訳ございませんでした。

ただ、ご迷惑をおかけしてしまって、それで終わりでは本当に迷惑な奴で終わってしまう。そんな気持ちも同時にありました。そのため、もう一回、自分たちを見つめ直す必要があると感じ、10YCの全員である決断をしました。それが、サービスの一時停止です。

サービスの一時停止を発表し、その間に、体制を立て直すプランを考え、もう一度皆様に少しでも価値を感じてもらう。そのために、10YCを片っ端からもう一度見直す。自分たちの目指す世界観・存在意義・提供価値、商品作りのポリシーから生産のシステム・目指すお客様との関係値からサイトの設計など、全てを見直す。それを発表したのが、下記のPR TIMESの記事です。

PR TIMES
アパレルブランド「10YC」サービス一時休止のお知らせ

10YC全員で、創業前のように、一から全てを考える。みんなで対話して、ぶつかって、納得できる地点に到達するまで妥協しない。創業前にみんなでやっていた事を、もう一度みんなでやり直しました。

この時期は、答えがない中で辛いと同時に、みんな本気で考えて、結果として、10YCを強くすることができた良い期間でした。そして、本当に楽しく、最初の頃のように、ワクワクが止まらなかったです。

そうした期間を過ごし、みんなで納得できる形に10YCを作り直す事ができ、なんとか再開の目処が立ちました。そして、2018年10月3日に、下記の通り、サービスを再開しました。

PR TIMES:
アパレルブランド「10YC」サービス再開のお知らせ

ただ、今だから言えますが、サービス停止中は、再開をしたところで、沢山の方々にもう一度受け入れてもらえるのだろうか?今まで買ってくれていた方々は、もう一度10YCを信じてくれるのだろうか?などなど、本当に不安な日々が続きました。

そして、ちょっと生々しいお話ですが、10YCを存続するための資金もあとちょっとのところまで来ていました。9月は1ヶ月間ずっとサイトを閉じていたので、売上もほぼゼロ。正確に言うと、手売りで売った1枚のTシャツのみの売上で、¥5,936の売上でした(笑)。

そんな中で、サービスを再開し、いつまでにいくら売れなければ、今度は本当に会社自体潰れる。そんなギリギリの中、不安ばかりが募り、遂にサービス再開の10月3日を迎えました。

(* ECサイト休止中のTOP画面)

4. 復活期(2018年10月〜2018年12月)

サービス再開は、10月3日のお昼の12:00からでした。そのため、当日は朝からずっと12:00までソワソワしていたのを覚えています。もう二度とお昼の12:00再開などは、やめようと思います(笑)。

いざ、ECサイトがオープンすると、沢山の方々がサイトに来てくださり、たくさんの服を買ってくださいました。

本当に嬉しくて、今までの辛さが一気に吹き飛ぶほど、改めてお客様・生産者の方々の暖かさを感じられた最高の1日でした。皆様本当にありがとうございました!

そして、結果として、初めて1日の売上が100万円を超える、という過去最高記録を記録することもできました。なんとか、倒産の危機も回避することができました。

そして、10月3日からは、改めて今までよりもより早く強く駆け出しました!もちろん、今までの反省も込めて、しっかりと体制が壊れないことは意識しています(笑)。

10YCがまず第一に意識していることは、「着る人も作る人も豊かに」ということです。皆様にただ着てもらう、だけででなく、生産者の方々もただ作るだけでない。そんな未来を実現させることは、絶対にブラさない。すぐの実現は難しいかもしれないですが、これを実現するために、我々10YCは、10YCを続けます。

そして、第二に意識していることは、工場の方々との関係をより強固に、生産体制を整えること。まだ完全ではないですが、仕組みを作りそれを安定的に回し始められています。これを壊さない程度に、背伸びをしてゆくこと。今までの我々が、今の延長線上の努力を続けても、目指す世界は実現できません。壊れないように、ちょっとずつ背伸びをし続けて、望む未来を実現できるように駆け抜けます。

そして、第三に、皆様と実際に会って、対話をしてゆく事を意識してゆきます。どうしてもD2Cブランドのように、ウェブを軸にしていると10YCを来てくださっているお客様をオンライン上でしか見る機会がありません。もっとたくさんの方々に知ってもらうため、リアルな場にこだわって、たくさんの方とリアルな場でも関係値を作ってゆきたいと思っています。10YCの事務所にて、毎月1回以上実施しているOpen Dayや、北海道や大阪などに10YCが出張を実施するイベントなど、すでに実施しています。2019年は、より多くのみんなと出会って、たくさんのお話をしたい!と考えています。

少し長くなっていましましたが、10YCは創業からたくさんの事を勉強させていただきました。

服作りを知って、叩かれて、凹んで、考えて、走って、間違って、倒れて、踏ん張って、皆様に支えられて、また走り出して、

今振り返ると本当に濃厚で、たくさんの学びが合った1年間でした。ご迷惑をたくさんかけて、その度に助けてくださった方々、本当にありがとうございました。

この反省を機に、2019年は大人しく、むちゃをせず、堅実に、ゆっくりと、、、、、やりません!

2019年も今まで以上に、懲りずに、背伸びをして走り続けます!
来年は、もっともっと、たくさんの方に想いを届けられるよう、より一層走ってゆきます!

もう一度、ご迷惑をおかけしてしまうこともあるかと思いますが、今後とも、是非是非ご協力、応援のほどよろしくお願いいたします!

改めて、2018年、本当にありがとうございました!

そして、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!!!

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