「アジア版NATO」の現実問題
「アジア版NATO」とは、アジア地域において北大西洋条約機構(NATO)のような集団的自衛体制を構築し、加盟国間で相互防衛義務を持つ安全保障の枠組みを指す構想です。この概念は、特に中国、ロシア、北朝鮮などの脅威に対抗するための連携強化を目的としています。
2024年9月、石破茂首相は米国のシンクタンク「ハドソン研究所」に寄稿し、アジア版NATOの創設を提唱しました。彼は、中国の核戦力強化やロシアと北朝鮮の連携を懸念し、これらに対する抑止力としてアジア版NATOの必要性を訴えています。
しかし、この構想には以下の課題や懸念が指摘されています。
日本は、アジア版NATOを推進する主要国として、独自の安全保障政策を見直す必要が出てきます。特に集団的自衛権の行使に関する法的制約をどう解消するかが重要な課題です。朝鮮半島有事の際の対応が限定的であれば、他国から信頼を得るのが難しくなる可能性があります。
インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相は、アジア版NATOの構想を共有していないと明言しています。また、フィリピンのギルバート・テオドロ国防相も、東南アジアにおけるNATO型の安全保障グループは現時点で実現不可能であると述べています。
中国は、アジア版NATOの動きを地域の安定を損なうものとして強く反対しています。特に、NATOのアジア太平洋地域への拡大に対して警戒感を示しています。
これらの要因から、アジア版NATOの実現には多くの課題があり、各国の協力や調整が必要とされています。
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