「Winning Alone(ウィニング・アローン)」第1章感想

「ことば、身体、学び」がよかったので、為末さんの本をまた読んでみることにしました。まずは第1章の感想です。

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対戦相手がおらず団体戦でもない陸上競技は孤独とよく言われる。その中で、何かを達成しようと高い目標を立てたときに、実践することがあまりにも漠然としがちだ。
これはトップレベルの競技の話に限らず、個々人の趣味だって同じことがいえると思う。学生時代に打ち込んでいたものと何か別のことを始める際、わからないこと(何がわからないかすら…)を解消する仕組みが無いと進歩ができない。そのためにコミュニティを形成する必要がある。ひとりですべてを進めるのはあまりにも難しいのだ。

集団(コミュニティ)の形成

上述の話はありふれたものだが、本書が面白いのはやはりその集団が高いレベルにある陸上選手の視点だ。
「当たり前」のレベルが高いことを特徴にあげている。

視座が高い集団は、「当たり前」のレベルが高い。目標が勇ましかったり、ビジョンが美しかったりするとつい人は惹かれてしまうが、目標の高さよりも言葉にもされていない「当たり前のレベル」の方がよほど競技力に影響していた。たとえば「足腰」ではなく「大腿四頭筋」「ハムストリングス」「中臀筋」などと分けて会話する集団では、これらの役割を分けて説明することが当たり前になっている。その結果、細かい筋の動きや役割を次第に正確に理解するようになる。
また、世界一になることを目指している集団では、いちいち日本での順位などの話が出ないので、そこにいると自分もだんだんそうなっていく。自分が所属する組織を選ぶときは、そこで当たり前にやっていることをよく観察することをお勧めする。

「集団について」

凡百な人間からしたら「暗黙知」も多くあるのだろう。が、そんなこと(暗黙知の解消などという球拾い)にかまけている暇はない。より高いレベルを目指すなら環境はどうしても必要になってくるというわけだ。学校…特に私立中学も近い話なのかもしれない。

自分の人生に集中する

加えて面白かったのは「親について」の結論。

私なりの結論は、子供が才能を持っていると思った時点で一番のいい親の態度は「自分の人生に集中すること」だ。目標を持てと子供に言っている親自身に目標がなければ、子供はすぐにそれを察知する。

「親について」

「結婚は人生の墓場」から延長して、子供に捧げるようなビジョンしか考えていなかったので、この指針は驚きとともに納得もできる。
親もまた子供にとっての先生である。親という人間でも、子供ができたら人生ゴールになるわけではない。異常独身男性の身としても頭に入れておきたい内容だ。

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