『論語と算盤』感想④

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(なぜかリンク埋め込みがうまくいかない。論語と算盤 (角川ソフィア文庫)です)
『論語と算盤』を読了できました。
渋沢はロマンチストだな…と思いつつも、実績があまりにもデカすぎてそこを誇らないのは恐ろしいところでもあります。
そんな内容から最後の感想です。

成功よりも生き方

現代の人の多くは、ただ成功とか失敗とか言うことのみを眼中に置いて、それよりもモット大切な天地間の道理を見ていない。彼らは実質を生命とすることができていないで、糟粕に等しい金銭財宝を主としているのである。人はただ人たるの務めを完うすることを心掛け、自己の責務を果たし行いて、もって安んずることに心掛けねばならぬ。

「成敗は身に残る糟粕」

「アンタほどの人が言うなら…」となるセクション。人生における成功か失敗かの結果なんて、しょせんは体についたカスみたいなもので、そこに主眼を置いているようじゃダメというわけだ。

また運命のみが人生を支配するのではなく、その状況に智恵をもって努めることで運命を開拓できるともしている。とにかく渋沢は奇跡を否定しているので、まず前提としてその人の努力を推奨していて、「逆境」という立場を考えるにしてもその人の生い立ちを問うている。また、その努力ができない状況…教育環境や女性の待遇について検討している。
「真面目に頑張れば報われるよ」とまとめると、あまりにも単純だし「そうはいっても」と感じる。
しかしながら、では「単純」ではなくどこが「複雑」なのか?環境なのか?待遇や身分格差なのか?渋沢はそれを少しずつ分解して改善を見出しているようにも見える。人々に「努力」を求めているのも、その複雑さについて、学んで解決策を見出すところまでを期待しているのではないだろうか。

渋沢は欧米諸国を追い越さなければならない当時の日本で使命を感じて努力していたが、現代ではそのような明確な目標は持つことは難しい。個人主義と(渋沢が確立させた)資本主義が台頭していてもなお、成功とかいうものはあくまで客観的な評価で、真に自身が考えるべきなのはその生き方にあるというわけだ。
いま自分が行っている読書活動も、行く先の成功失敗はあまり考えずにやっている。それはいいとして、その活動のあり方、目標などは改めて見つめ直さなければならないと感じる。ただひとつ感じるのは、その求めるべき成果はお金や知名度では無いな、とボンヤリ思っていたことは間違っていなさそうだということだ。

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