ガチとエンジョイが共存できないゲーム、スプラ3

2024年4月17日午前、スプラトゥーン3のアップデートが発表された。しかしその内容にユーザーのそこかしこから不満が噴出。界隈にそこそこ名の知れた人ですら運営体制への疑念の声をあげているほどである。

そうした不満をいろいろ眺めていると、自分の中にもこのゲームに対して不満や疑念があることに気づいた。今回は、その不満の1つを取り上げてみたい。
スプラトゥーン3は、”ガチ”と”エンジョイ”の共存ができないゲームである、という指摘を行っていく。

共通の内部レート

たとえ話をする。
プロ野球選手が友人とバッティングセンターを訪れた際に打ったホームランが、シーズン中のホームラン数に加算される、という話を聞いたことがあるだろうか?

ありえない話である。

しかし、その状態がこのスプラトゥーン3というゲームでは当たり前のように採用されているのである。

「バンカラマッチ(オープン)」というゲームモードがある。これはウデマエポイントの増減が小さく、またこのゲームで唯一、ガチルール4種をフレンドと遊ぶことができる特徴がある。比較的カジュアルなゲームモードといえる。
いっぽう、「Xマッチ」は、Xパワーという数字をレート指標として、1戦ごとにランダムに組まれたチームで勝敗を決するモードだ。Xパワーをもとにシーズンごとにランキングも発表される、まさに真剣勝負のモードである。

さて、温度感の全く異なるこの2つのモードにおいて、内部レートは共通のものである。
大事なことなので繰り返すが、真剣度合いのまったく異なる2つのゲームモードで、共通の内部レートが使用されているのである

問題点

この状況でユーザーが取れる選択肢はただ一つ、「どちらかを諦める」ことである。
「どちらか」とは、「エンジョイの気持ち」と「真剣な気持ち」のどちらかである。

スプラトゥーン3においては、「友人とチームを組んでガチマッチを楽しむ」ことと「自分のゲームの上手さを試すために真剣勝負の場に身を投じる」ことが両立しえない。どちらかを取れば、どちらかを諦めることになるのである。

ゲームを楽しむ時間を捨てるか、真剣勝負のマッチングに関わる内部レートを捨てるか。
僕のようにどちらも楽しみたい人間にとっては、泣いて馬謖を斬る、苦渋の決断と言わざるをえない。

ガチとエンジョイを両立させる唯一の方法

さて、バンカラオープンの代わりとなれるゲームモードが1つだけある。
それは、友人を7人集めたプライベートマッチである。これなら内部レートが動くことなく、友人とガチマッチを楽しめる。

つまりこのゲームの運営は、「ガチもエンジョイもやりたいなら友達集めてやれよ、ぼっちは知らん」というスタンスということである。仮に運営がそういう意図でなかったとしても、そうでしか説明がつかない。

ゲームを楽しみつつゲームが上手くなりたいという願いを実現することになにゆえここまで高いハードルを設けているのか、運営方針に首をかしげるばかりである。

さいごに

ただの不満だったので結論もまとめもないが、最後に運営のやり方に疑問を呈しておきたい。
こうしたシステムを採用しつづけていること、また、このシステムの問題についてこれだけ不満や指摘がある(SNS上でもかなりの数見かけるし、おそらく直接の要望としても届いているはず)にもかかわらず、なんの説明もないことには疑問符を浮かべてしまう。
改善されるべき不満、たとえば一部のチャージャーの床塗りが斜面で途切れるとか、ステージの形状がこのゲームのコアコンピタンスを殺しているとか、フェスで集めたホラガイが期間終了後お金になるわけでもなくすぐに消失してしまうこととか、パッチノートに「好ましくない体験」だの「カウント進行を止めることがとても難しく感じられる」だのとわざわざ妙な言い回しをしてこのパッチはユーザーのせいで渋々変更したとあたかも他人事のようなスタンスを崩さないこととか、不満は大小、ゲームプレイの内外に存在する。

スプラ3がクッションのための繋ぎのタイトルであって、運営としてもそこまで力を注ぎこむ気がないのは分かるが、もう少しユーザーに対して配慮あるゲーム作りをしようとする姿勢を見せてもいいのではないだろうか。
スプラ1時代からプレイを待ちわびたもののプレイできずやっとスプラ3で参戦することができたのに、そのワクワクを粉砕されたまま1500時間プレイしてきた1体のイカとしての気持ちを残してまとめとする。

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