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地味な控え捕手が覚醒!ジョシュ・フェグリー

今シーズンのA'sにおける最大のサプライズは捕手 ジョシュ・フェグリーのブレイクアウトではないでしょうか。

元々、強肩が持ち味の堅実な控え捕手としてキャリアを送ってきた31歳が大きな衝撃を与えているのは、打撃面での向上でしょう。

.295の打率は100打席以上打った捕手の中では3位、打点も同3位の好成績で、MLBの並み居る好捕手の中でもトップランクに位置する成績を収めています。

なぜ、地味な控え捕手止まりだった選手はブレイクアウトに至ったのか?
今回の記事ではそこを考えてみました


PTBNL 地味だったキャリア

フェグリーは2009年ドラフト1巡目(全体38位)というそこそこの高順位で指名され、CWSでプロデビューを果たします。

2013、2014年とAAAで好成績を残し、メジャーデビューを果たすと2015年にジェフ・サマージャとのトレードでマーカス・セミエン、クリス・バシットと共にOAK入りします。

加入当初の2015年は73試合に出場したものの、その後に2年は故障で出場機会の少ない年が続きました。

注目に値しない、と言ってしまえばそれだけの選手でしたが、恐らくこの時期のフェグリーが最も注目を浴びたのは皮肉にもプレーではなく、彼の自虐ネタでした。


2017年に始まった”プレイヤーズウィークエンド”という企画(選手は普段とは違うビビットな色合いのユニフォームを着て、自分で考えて、あだ名などを背ネームにできる)で、フェグリーはPTBNLという背ネームを背負います。

PTBNLとはMLB用語でトレードの後日指名選手を意味する言葉で、フェグリー自身はその経験がありませんが「地味な控え捕手だから」との理由で選んだとのこと。少しむなしい.......

2019シーズン キャリアの転機

そんなフェグリーにもキャリアの転機が訪れます。

2018‐2019オフ、正捕手ルクロイを失ったA'sはニック・ハンドリー、クリス・ハーマンらを補強したものの、フェグリーにも正捕手奪取のチャンスを与えたのです。

「もうプラトーンプレイヤーにはなりたくない。俺は正捕手になれると思う。」と意気込んでいたフェグリーは、自身の好調とハーマンの怪我も相まって開幕ロスターの座を手にします。

開幕から好調を維持し、プラトーンの相方だったニック・ハンドリーをベンチに追いやり、ついにフェグリーは正捕手の座を手にします。

その後も好調で、5/4のPIT戦では球団記録となる1試合8打点も記録しました。その他にも9番に座ることがほとんどなのにも関わらず、稼いだ打点26はALの捕手ではナンバーワンの数字で、勝負強さを見せています。

覚醒の要因

この突如とした覚醒の要因としてフェグリーは打席数の増加をあげています。

「打席数をたくさんもらえないと、打つのは難しいよ。」「打てるように感じていても、タイミングとテンポをキープするのは難しいことなんだ」とフェグリー。

ある程度の出場機会が確保されたことに加え、フェグリーはキャンプの間にいくつかのメカニクスの調整を施しています。

「俺にとって大きなことだったのは、回転しすぎて空振りをすることだった。今はより直線的に、ダイレクトにバットを出すように心がけている。ハンド-アイコーディネーションには自信がある。いつでも当てることができるよ。」
「ここ数年、自分のヒッティングポジションから離れてソフトヒットを沢山してしまった。今年はただ自分のポジションで、強く振るだけさ。」

フェグリー自身が語るように、今年は打撃のアプローチを変えたことで今年は速球系に対する指標の向上と、三振の減少が顕著に見られます。

wFAは昨年の-0.9から5.6へ、三振は26.5%から17.6%に改善しています。


まとめ

今季のここまでの活躍をメルビン監督は「オールスターに値する」とまで評価しています。

現実的なことを言えばそれは少し難しいかもしれません。
なぜなら、今季のMLBでは”打てる捕手”が急増しているからです。

攻撃型捕手というのはそれまでJ.T.リアルミュート(PHI)の専売特許のようなものでしたが、今年はMINのミッチ・ガーバー、HOUのロビンソン・チリーノス、SEAのオマー・ナルバエスなどの台頭があり、”打てる捕手”の時代が来つつあるといえます。

その要因にあるものは何なのか。これは今後とも探っていこうと思います。


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