見出し画像

オフの話

セミエンとヘンドリクスにQOを提示せず

現地11/1の17時、クオリファイングオファーの提示締め切りを迎えた。

クオリファイングオファーの提示を受けたのは、
トレバー・バウアーケビン・ゴーズマンDJ ルメイヒューJT リアルミュートジョージ・スプリンガーマーカス・ストローマン
のわずか6人のみ。

A'sからFAとなるトップ選手ではマーカス・セミエンとリアム・ヘンドリクスにQOを提示する可能性が取り沙汰されていたが、結局その2人にはQOを提示することはなかった

-残念だが当然の決断

チームの功労者であるセミエンとヘンドリクスにQOを提示せず、もし彼らが移籍した場合には何の補償も得られないという事実はショッキングではあるが、今年のオフシーズンとA'sの懐事情を考えれば受け入れるほかない。

今年のオフシーズンが厳冬になるというのは、レギュラーシーズンが始まる前からの懸念であった。

シーズンが始まる前の選手会とMLB機構側の泥沼の交渉が破綻し、オーナー側に有利な条件下でシーズンが決行されることになっても尚、MLBと球団は莫大な損失を被ることになった。

多くの球団がコストカットのためのリストラを余儀なくされ、A'sもまたその例に漏れない(あるいは最大規模のリストラを行っているのがA'sだろう)。

さらに編成面にも当然その影響は及び、QO提示のみならず、クラブオプションの更新に関しても各球団はシビアな決断を迫られている。

今季のセーブ王にしてERA2.05を記録したブラッド・ハンドは10Mのオプションを破棄され、TBのエース格 チャーリー・モートンも15Mのオプションを更新されなかった。

極め付けはミッチ・モアランドで、今年はブレイクイヤーを送り、一年の契約を残した上でトレードに出されたのだが、3.5Mのオプションを破棄されてしまった。

このシビアな状況下で不振に苦しんだセミエンに、セーブ王が10Mのオプションを破棄される状況下でヘンドリクスに、それぞれ18.9MのQOを与えるというのは考え難い。

-再契約の可能性は?

ヘンドリクスに関しては残留の可能性はほぼゼロだろう。

満を持して最優秀リリーバー賞を受賞し、ここ2年彼がMLBでトップクラスのクローザーであることはもはや疑いようがない。

ヘンドリクスの契約はとてもA'sの手に負えるものではないだろう。2019,20年シーズンの最大の功労者のヘンドリクスには良い契約を勝ち取ってほしいと心の底から願っている。

対するセミエンはと言うと、こちらも再契約の可能性は高くない

セミエンの去就を左右するのは、来年2021-22オフのショートの充実具合にある。

来年のオフにFAとなるのは、トレバー・ストーリーコリー・シーガーフランシスコ・リンドーアカルロス・コレアハビアー・バエズという錚々たる面子。
いずれもこれからエクステンションする可能性は高くなく、FA市場で大型契約を狙いに来る。

セミエンの代理人がセミエンのことを「マーカスの年齢や技術に近いプレミアなSSを長い間(FA市場で)見ていない」と持ち上げたが、来年はそれが一気に5人来るわけである。

セミエンはFAイヤーとなる今年に不振に陥ってしまったが、”一年契約でまた来年のFA市場にチャレンジする”という常套手段は使うのは来年の市場のことを考えるとリスキーだ。
もちろん需要の狭間を突いて来年の市場にチャレンジする可能性もある。しかしセミエンが今オフに本気で契約を取りに来た時、A'sにセミエンを満足させられるだけのオファーを提示することを期待するのは酷というものだ。

セミエンの移籍先の有力な候補があるとすれば、同地区ライバルのLAAかなと思う。

LAAは今ショートを必要としている球団の筆頭株だ。
これまでのレギュラーだったシモンズはFAとなり、現状のショート一番手はユーティリティ役でもあるデビッド・フレッチャーとなっていて、これまでフレッチャーが務めていたセカンドのポジションにはルイス・レンヒーフォフランクリン・バレトが入ると予測されている(!)。

LAAがまだ勝負を捨てていないとすれば(実際そうだろうが)、この二遊間のデプスを補強したいと思うかもしれない。
個人的にはフレッチャー、セミエン、レンドーン、トラウトらで構成される"過小評価されてます打線"を見てみたい...

もしくはニューヨークの2球団がDJ ルメイヒューを逃した時のプランBに収まったりする姿もありありと目に浮かぶ。
CINもよく候補に上げられるが、ディディ・グレゴリウスの古巣復帰のシナリオの方がありそうかなと思っている。

コントローラブルな選手の売却はあり得る?

ここでいうコントローラブルな選手というのはショーン・マナエアクリス・バシットの2人である。

2人ともこのチームの根幹を成す中心選手なのにも関わらずトレードに出したら?と言うのには理由がある。

今や先発ローテはこのチームの中で最も充実した部分と言えるだろう。誰か1人が抜けてもそこまで痛手にはならないのではないだろうか。
若手でエース候補のフランキー・モンタスとヘスス・ルザードがいたらある程度は安泰で、またお得意のベテランFAの再生に手を出してもいいはずだ。

そして若手にチャンスを与えることを個人的に推奨したい。

今年デビューを果たしたドールトン・ジェフリーズを筆頭に、球団内部にはAJ パクポール・ブラックバーンらAAAAクラスの投手がひしめいている。

元はと言えばマナエアも、バシットも、モンタスも今のレベルに到達するまで、MLBで多くのチャンスを与えられ失敗を積み重ねてきたという経歴がある。
持続的なコンテンドを目指すためにもここらで若手の覚醒を促すのはベターな選択だと思う。

ただバシットは9,10月を見る限りでは完全にエース。放出の目は薄いかなと思うので、出してマナエアだろう。

マナエアをトレードするとして、個人的な一押しターゲットはアメッド・ロサリオ(NYM)。
もしオフにNYMが補強に打って出るとしたら、チームでロサリオの立場はかなり危ういのではないかと思う。1-2枚の先発投手の補強がマストなNYMの事情を考えれば、余剰戦力のロサリオ中心のパッケージでマナエアレベルの先発投手を獲得できるなら喜んで食いつきそうなものだ。また彼の成績を見ても、来年の正遊撃手を任せるに足るレベルの選手ではある(視座の高さをリプレイスメントレベルに合わせた)。

ショーン・マナエア
↑↓
アメッド・ロサリオ + 若手リリーバー

FA市場で誰を狙う?FA選手四選

FAでの立ち回りは至極渋チンに終始しそうだが、ここでは夢も見ながらFA補強の候補を上げて行きたい。

-マイケル・ブラントリー

いきなり夢に夢見て夢から夢を抱きしめてしまった。

現実的に獲得の可能性はごく薄いだろうが、補強のニーズはガッチリと噛み合っている
ロビー・グロスマンが抜ける両翼の外野手、そして打線に少ない左打者・HRを打つだけではない打者の存在のそのすべてを満たすのがブラントリーである。

ただ年齢やスペランカー体質への懸念か、契約年数は2~3、額面も14~16Mに収まると見られている。
過去にはクリス・デービスにも3年間/毎年16.75Mの契約を与えているので、これは決して手に届かない値ではない。

ただもしブラントリーと契約してしまったら、ピスコッティを放出して資金を作ったり、先発投手を売って他のポジションに充てたりという工夫が必要になるかなぁ...

-トミー・ラステラ

トレードで加入したラステラはA'sのニーズにドンピシャで当てはまる存在だ。
清貧球団A'sであっても大枚を叩いて連れ戻すだろうと予測するメディアも多い。

ラステラのメジャー随一の精巧なバッティング技術が粗い打者の多いA's打線のカンフル剤として絶妙に機能することは疑いようがない。
左打者・セカンドという点も完璧、本当に理想的な選手だ。

ただハードルも高い。ラステラは良い選手すぎる。
もしルメイヒューが早々に売り切れた場合、内野手を必要とするチームは必然的にラステラに目を向けることになるだろう。その時にA'sに他の球団を振り切れるだけのオファーを出せるだろうか?正直厳しいかもしれない。

-タイラー・クリッパード

ヘンドリクスをはじめ、主要メンバーがほぼいなくなるもぬけの殻のブルペンに補強しそうなのはタイラー・クリッパードである。

これは正直的中の自信がある。
地味だからだ。
正直言って調べるまでFAだと気づかなかったレベル。

ただそれでも成績は未だ一流で、26試合を投じてERA2.77は立派の一言につきる。
1年4Mくらいでブルペンを埋めてくれないだろうか。

-ショーン・ドゥーリトル

とにかく人がいないブルペンだが、取り敢えずクローザー経験者を確保しておきたい。

A'sにルザードをもたらした伝説のトレードでWSHに移籍し、ワシントンの街に栄光をもたらしたドゥーリトルだが、去年はバテ気味だった。
球速も3マイル落ち、終わった投手と見做されるのは仕方ないことだ。ここに名前を書いているのも贔屓目が9割である。

ただここで重要なのはクローザー経験者の確保という点にある。他にはグレッグ・ホランド、デビッド・ロバートソンらが候補に上がる。特にグレッグ・ホランドは獲得の可能性はかなり高いんじゃないかと思っている。

よろしければサポートをお願いします